モンスタニア村の西の森
早速、授業が始まった。
「それでは、今日は魔素についての説明をしましょう。魔素とは、すべての生き物の体の中や、空気中にただよっているエネルギーのことです。そして、これが集まるとモンスターが産まれてきます。しかし、これが空気中にただよっている魔力と結び付くと結晶になることがあります。これが大きくなったものがモンスタースポナーと呼ばれる現象です」
先生が黒板に書く。
「モンスターには、内部に持っている魔素の量により、ランク分けされています。これは大まかに、下からF、E、D、C、B、A、S、SSまでの八つの帯に分かれています。また、各帯には-と+があり、合計すると全部で24段階あります。一番下がF-ランク、一番上がSS+ランクですね。つまり、強いモンスターほど大量の魔素を持っているということですね」
「せんせー!質問です!モンスターはどうして生まれたのですか?」
一人の子供が手をあげて言う。
「良い質問ですね!それは神様であるルシファー様のおかげなのです!なので、日頃から感謝しましょうね」
「はーい!」
「次に、モンスターは死ぬと、煙になって消えてしまいます。そして、魔石だけが残るのです。これは魔素の塊であり、魔族や人間にとってとても重要な資源で、魔石を売ってお金を稼ぐことができます。このように、魔石はとても価値があるものです。しかも、魔族の場合、体に取り込むことによって進化することもできるのです。進化については、また別の授業で習います。楽しみにしておいてくださいね」
「はーい!」
すると、キュウは隣にいるシンシアに話しかける。
「なぁなぁ、シンシアはん。ウチらってどんなふうになるんやろ?なんか気になるわあ」
「うーん。私にも分からないかな。でもきっと、カッコよくなると思うわ」
「ほんまか!?ウチ、めっちゃ楽しみや!……そういえば、シンシアはんはどのランクなん?」
「私はF-ランクよ。子供はみんなそうだと思うわ」
「そっかー。じゃあ、ウチと同じだね!仲間がいるみたいで嬉しいなー!」
「ふふっ。よろしくね」
彼女は嬉しそうな顔をする。
「ねぇ、放課後になったら一緒に遊びに行かへん?」
「いいよ!一緒に冒険しよ!」
こうして、二人は遊ぶ約束をした。
***
放課後。二人はモンスタニア村の西の森へ冒険に向かった。
「ここから先はね、ダンジョンなのよ。野生のモンスターがたくさんいるわ。彼らは言葉が通じるのに話が通じないの。殺して奪う。それがルールの世界なの」
シンシアが真剣な顔で言う。
「そっ、そんな怖いところやなんて……。けど、ここで強くなって、立派な狐人になりたいねん!」
「うふふ、大丈夫!私が守ってあげるから!」
「ええんか……?ありがとぉな!」
「いえいえ。さて、着いたわよ。早速、冒険を始めましょう!」
「うん!」
二人は森の中に入っていった。
森の中はとても静かだった。小鳥のさえずりが時々聞こえる、のどかな雰囲気の場所だ。
「あっ、あれ見て!洞窟よ!」
そこには、ぽっかりと大きな穴が空いていた。中から汚いおじさんが出てくる。盗賊だ。
「うぃーヒック、んん?狐人にエルフのガキじゃねーか。へっへっへ、奴隷商に売り飛ばせば金になりそうだぜ」
男は酔った勢いで言った。
「なっ……!こんなところに人がおるとは思わんかったわ……」
「あれは人間よ!私たちモンスターの天敵だわ!彼らは私たちを襲うつもりよ!迎え撃ちましょ!」
「おっしゃ!ウチに任せとき!狐火!」
キュウは指を結んだ。すると、青白い炎が盗賊に向かって飛んでいった。
「ぐああ!!なんだこいつ!?妖術が使えるのか!?あちちちちち!!」
「まだやで!もう一発行くでー!狐火やー!」
「ぎゃああああ!!!熱いいいいい!!!」
男はそのまま倒れてしまった。
「やったー!倒したでー!」
「凄いわキュウちゃん!」
すると、洞窟からドタドタと男たちが飛び出してきた。その人数は三人だ。
「おっ、おい!どうしたんだ!」
「お頭、このガキども、狐人とエルフですよ!奴隷商に売り飛ばせば金になりますぜ!へっへっへ」
「マジかよ!?なら早く捕まえようぜ!」
「うおおー!!!」
「なっ、なんや!もう来たんかいな!」
「仕方がないわ!戦うしかないわね!私も加勢するわ!」
「頼むで!シンシアはん!」
「くらいなさい!リーフカッター!」
「ギャアアーッ!」
シンシアは葉っぱを鋭く尖らせた弾丸を撃ちだし、男たちの首を貫いた。
「はあ、はあ……。これで全員ね」
「はぁ〜怖かったわ〜」
「ふぅ、なんとかなったわね。さて、この人たちは盗賊だわ。きっとお宝を持ってるはずよ!お宝を頂いちゃいましょう!」
「せやな!」
二人は死体のポケットを探る。すると、カギを見つけた。
「これ、宝箱のカギかしら?洞窟の中を探しましょ」
二人は洞窟の奥に進む。奥には、大きな宝箱があった。
「あったでー!宝箱やー!」
キュウは嬉しそうに言う。
「開けるわよ?」
「うん」
ガチャリと音がして蓋を開ける。中には500Gが入っていた。
「やったわ!ものすごい大金よ!」
シンシアは喜ぶ。
「盗賊のお金は倒した人のもの!それがルールよ!頂いちゃいましょう!」
二人はお金を手に入れた。その後、二人は森を抜けて村へ戻った。
「今日は楽しかったで!また遊ぼうな!」
「ええ。また会いましょう」
こうして、二人の初めての冒険が終わった。
***
「トンきちはん、今日な、友達ができたんや!それでな、盗賊を一緒に倒したんやで!」
「ほう!それはすごいべ!よかっただな。今夜はごちそうだぞ。いっぱい食べて大きくなるべよ」
「ほんまか!?嬉しいわー!ほんなら、ウチ、もっと頑張らんとな!」
キュウはやる気に満ちた目をしていた。