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とある研究者の日記 - 終 -

作者: 赤兎

「遂に完成させたぞ!これで生命を取り戻すことが出来る。」

暗い研究室の中、一人声を上げる者が居た。

私の名はイグリオッド・スラー。銀の丸眼鏡に不気味な笑顔が零れる、顎には灰色の髭を生やし伸びっぱなしの灰色の髪の毛と区別がつかない。肌は紫。

私は当時の食物と呼べるものがなくなった世界で、自身の肉体を土で生きながらえさせるように改造した。

既に人類として定義出来るかも怪しいが私は生きている。


数十年前、厄災が訪れた。

草木は枯れて植物という植物は全て無くなり、大地は荒れ果てた。

養分の無い大地が再生することは叶わず、生物が生きていける環境ではなくなったのだ。

人類は厄災によってその数を大きく減らした。

今となっては私以外の生存者を知らなかった。

この世界に希望はない。希望のない世界で長く生きながらえる者などそう多くはないだろう。


それでも私が生きようとしたのは単なる興味だった。

自身の限界への挑戦でもない、変わり果てた大地を再生したかったわけでもない。

ただ、再生するのかを知りたかった。


あの厄災から長かった。

既に人類は残っていないかもしれない。

私の最期の発明はたった1つの植物の種だった。

この種一粒があったところで、人類に続くものは居ない。

この研究はただの自己満足に過ぎなかったのかもしれない。

しかし私は成し遂げたのだ。



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