入学式、そして出会い
初めまして、これから週一ぐらいのペースで投稿していきたいと考えてます!よろしくお願いします!
みなさんは、何年経っても忘れられない恋というものを経験した事はあるだろうか?
あるいは、何年経っても忘れられないだろうと感じるような恋をしているだろうか。
私にはある、25という社会人になって少し落ち着いてきた今でも忘れられない恋が。
気が向いたので、君達にも話すとしよう。
私が高校2年の頃の、身を焦がすような恋の話を
そうだな、出会いは高校1年、春の事だ———
———2016年4月
『次は〜秋葉原〜秋葉原〜』
「はぁ、学校って面倒くさいなぁ....」
次が学校の最寄駅というところまで来て思わずため息が溢れる。
私立神田高校、これから俺が通うことになる学校だ。
近くに有名な上野公園がある学校で、通っている生徒は元不登校生だったり、現役の所謂ヤンキーだったり、あるいは勉強ができる空間があればそれでいい天才や高校卒業資格が欲しい、家庭の事情で高校に通えなかったから歳をとった今、通ってみたいなど様々な理由で普通の高校に通う事が出来なかった生徒を受け入れる通信制高校だ。
通信制高校と言っても、その形態は様々で、一般に認識されているのは自宅からネットや郵送でレポートを提出し、単位を取得、その後卒業というものだが、中には毎日通うものや週に1,2回通って単位を取得するものなどがある。
これから俺が通う事になるのは、その中でも1番面倒くさい毎日通わなければいけない通信制高校だ。
『秋葉原〜秋葉原〜』
「面倒くさいけど、行かなきゃいけないから行きますか」
そう1人呟き、電車を降りる。
初めて来た秋葉原駅は、人が多く、メダカの大群を彷彿とさせた。
忙しなく歩いていくスーツを着た人達、中には私服で歩いている人や子供と手を繋いでいる人もいる。
———この中で何人の人が平凡で幸せな家庭を持っているのだろうか
そんな捻くれた、考えてもどうしようも無い事を考えながら、改札を抜け学校へと向かおうとする。
「うわぁ......ここが秋葉原なのか」
改札を抜けた瞬間、目に入るビルと、様々なアニメの絵、また、メイド服を着た人などが人混みの中に見え、思わず感嘆の声が漏れる。
様々な人が行き交い、自分の『好きな事』をしているという事が、とても羨ましく感じた。
もちろん、スーツを着ている人達やすぐ隣を歩いている携帯に耳をあて何やら話している人(私服だが、漏れ聞こえてくる声から察するに、休日だが何やらトラブルで会社からかかってきたのだろうか?)の様に全員が全員好きな事や、趣味でこの街に来ているわけでは無いだろう。
ただ、道を行く人達の半数以上が何やら楽しそうな目をしている、その事が酷く羨ましく感じたのだ。
「やばっもうこんな時間じゃん!急がないと!」
大体10分ぐらいその街並みに圧倒されていた。時計を見ると入学式の時間まで残り10分を切っている。
元々人付き合いというのをしようとは思っていなかったので、時間ギリギリまで家にいたのが仇となったが、幸いにも学校までは駅から5分ほどなので式が始まるまでには着ける。
「これからこの街に通う事になるのか.....結構楽しみだな」
そう呟き、学校に向けて歩き始めた。
———私立神田高校
「着いた!えっと、空いてる席はどこだ?」
この学校は入学式の席も特殊で、席順は早い者勝ちになる。
もちろん、誰かと座りたいという人は時間を合わせてきているわけだ。
既にほとんどの席が埋まっており、空いているのは2席しかなかった。
最後から2番目の席に座り、式の開会を待つ。
「すみません、遅れました」
式まであと1分を切ったところで、そんな声が聞こえた。
聞こえてきた声から推測するに、女性だろう
彼女で最後か、1学年30名ほどか.....
そんな事を思っていると
「こんにちは、私の名前は東條彩芽っていうの、これから3年間よろしくね」
そう声をかけられた
こちらとしてはそこまで仲良くするつもりもないし、適当に挨拶して今後関わらないようにしよう。
そう決めて彼女の方を向く
———そこには、女神が座っていた。
そう思ってしまうほどに美しかった。
艶やかな黒髪は背中の中程まで伸びており、端正な顔立ちは人形を思わせる。
「ど、どうも、西宮和人です、よろしくお願いします」
「ふふっ、そんな緊張しないでよ、リラックスしないと!入学式はこれからなんだから!」
「うす.....」
少し緊張してしまったのがバレたので、顔を赤らめながら目を逸らす。
すると、前に教師が出てきた。どうやら丁度式が始まるようだ。
「それでは、これより私立神田高等学校入学式を始めます。」
———無事入学式が終わり、帰宅しようと考え荷物を持ち席を立つ。
「待ってよ!西宮くん!」
帰ろうとしていたら、先程話した東條彩芽に呼び止められる。
「何か用でもあるの?」
帰ろうとしていたところを止められたため、少しキツい言い方になってしまった。
「これから他の新入生の人達とご飯食べに行くんだ!よければ一緒にどうかな?」
キツい言い方を気にせずにそう問いかけてくる。
ご飯か....別に行ってもいいが、特に話すことも無いし、得する事も無いんだよな。
「ごめん、今日は少し用事があるから帰るよ、また機会があったら誘ってね」
「そっか.....残念だけど、用事があるならしょうがないよね.....またね、西宮くん!」
そう言い残し、彼女は去っていく。
「またね、か......誰かに言われると結構嬉しいものなんだな」
これまで無かった事がある、そのことが無性に嬉しく感じた。おそらく、今俺の顔はとてもニヤけているだろう。
「学校なんて行く必要も無いし、面倒くさいだけだと思ってたけど、少し頑張ってみるか」
明日以降の学校生活に少し期待しながら秋葉原駅へと歩き始めた。
どうだったでしょうか?短い上にまだストーリー進んでないですが......
よければ感想聞かせてください!お待ちしています!