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OWL不動産(本編完結)

この回で本編完結です。

「さてと、連絡は済んだし作業に戻るかー。」

「ゆうくーんどーだったー?皆来るってー?」

「うん!来るよ!みんなで集まるなんて何年ぶりだろーね!」

「ねー♪」


今、僕らは新居への引っ越し作業中だ。

今までは店舗無しのネットのみで仕事をしていたが、手広くやっていくにはやはり店舗も必要だと考え、思いきって自宅兼オフィスを新築した。

実家からは駅寄りに徒歩5分程度の場所で、1階は店舗&自宅、2階・3階までも自宅というちょっとしたビルだ。

お母さんや泉も一緒に住む予定だし、将来楓ちゃんの両親も同居する事や、子供が沢山出来てもいいように部屋数はめちゃくちゃ多くした。

僕らの稼ぎでは到底建てられないけれど、お母さんがとんでもない額を出してくれたので余裕で建てられた。

「こんな時の為に死ぬほど働いてるからね。」って、うちのビッグマムはすげーや。

まぁ美咲の会社には無理させちゃったけど。


僕達はもうすぐ結婚式を挙げる予定で、式の数日後にパーティーを開く為に、高校時代の部活メンバーに声を掛けた。

色々あった僕らだけど、その分絆の深さは半端じゃないので、集まるとしたらやはりこのメンバーが一番いい。

おっと、友紀ちゃんからメッセージだ。

えーと…へー…いーね!


「楓ちゃん!あのさ!」


「あ、夕君!美咲ちゃんからさ、その日皆で泊まりたいって!友紀ちゃんと遥ちゃんも。部屋あるし、いいよね?」


「あ、僕も今友紀ちゃんからその打診来たとこ!実家から布団持ってくれば大丈夫でしょ。」


「だよね!めちゃ楽しみだね!」


「だね!泉も喜ぶだろーし。」


泉は今大学4年生、モデルをしていて就職活動はしていない。

相変わらず僕らにべったりで、「そもそも男いらないけどさ、30まで男作らなかったらフツーにお兄ちゃん責任取ってね。おねーちゃんとママは良いよって言ってた。」なんて言う。

責任取るって何?何したらいいの僕。

怖い。


……………………


そしてパーティー当日、部長や高志が帰った後のこと。

ちなみに、部長と高志はまだ付き合っているんだけど、ちょっとそれは置いといて…


楓「何言ってんの?!本気?!」


美咲「そーだよ。めちゃくちゃ本気だよ。卒業してから5年経つけど、変わらないんだよ。夕から連絡貰った後、話し合って、決めた。」


楓「決めたって…。」


遥「楓ちゃん、神田君、お願い、少し考えて貰えない?私も本気だから。」


友紀「法律の事、知ってるよね?私達がさ、8年前からこの時が来るのを期待していたのも…知っているでしょ?まさか、当時は本当に施行されるとは思わなかったけれど、でも、4月から実際に施行される。だから…だから…」


夕「え…えーーーーっ!!」


泉「うわー。あなた達ときたら…もう…1ミリも変わってないねー。あーあ。」


楓「お、恐れていた事態…」


そう、これは私がなるべく考えないようにしていた事案。

この事は少なくとも不動産業界にも激震が走ったが、それよりも、彼女達からいつこの話題が切り出されるかを私は恐れていた。


それは、少子化に喘ぐ日本が出した苦肉の法案、重婚の合法化について。


伝家の宝刀とも、諸刃の剣とも呼ばれるこの法律が、十数年程前から長いこと議論の対象となっていたが、この春から正式に施行される事になった。

それは、夫一人に対し四人まで妻を娶れるというもので、めでたく子供を授かる度に国から手厚い給付金が貰えたり、子育てに必要な色々な補助がーってもういーよこんな説明っ!!


はぁ…彼女達から夕君を切り離して5年弱、まさか、まさかここまでの想いだなんて……それは…それはもう…


美咲「ねぇ夕、どうかな…私ずっと…ずっと…」


夕「美咲、ちょっと待って。もう僕達は子供じゃない。高校生じゃないんだぞ?この先もし3人が奥さんになったとしたらどうなると思う?………え?どうなるの?ちょっとカッコつけて言い始めちゃったけど…一瞬楽しそーとか思っちゃったけど…や、でもさ、楓ちゃん身重だよ?ストレスかけたくないし。…ごめん。今はそれしか言えない。」


楓「夕君…。」


泉「…おねーちゃんはどう思った?」


楓「私は………私は……賛成。」


「「「「え?!」」」」


夕「楓ちゃん?!」


楓「あのね、私怖かった。今の今まで。私の夕君が取られちゃうのが、怖くて怖くて仕方なかった。…だけど、5年だよ?5年。その間に沢山の出会いがあった筈なのに、こんなに可愛くて、こんなに素敵で、こんなに最高の3人が、ずっと夕君一人を想っていたんだよ?…凄いよ……嬉しいよ。だって、それって私が3人いるようなものだもん。私の愛する夕君を私と同じように…。だから夕君、私は賛成。大賛成。夕君は…どうでしょうか。」


夕「……分かった。」


美咲「え…」

友紀「まさか…」

遥「信じられない…」


夕「泉、おねーちゃん増えるぞ。」


泉「あはは!いきなり大家族だ!あはははは!はぁー…。さてさて、ではお嫁さん候補の皆様に妹より一つ忠告です。家庭内での序列は、ママ、おねーちゃん、私、あなた達の順です。私にとっては今の所おねーちゃんは一人です。あなた達は友達。それでもいい?」


楓「泉ちゃん…。」


美咲「ふふふっアハハハッ!上等だよ、上等。そんな順位なんか今後どーとでもなんだよ泉ちゃん。私の嫁力舐めんなよ。でもまさか楓が許すとは思わなかった、けど、今奇跡が起きた。ねぇ泉ちゃん。夕はもう私の夕でもあるだよ。だから私はあんたを愛すから、いつか私を愛してくれたらそれでいい。わかった?よろしく。」


友紀「泉ちゃん。結婚が決まった以上あなたは私の妹よ。友達と思いたいならそうしなさい。けど、私はあなたを友達とは思わない。私の可愛い妹よ。覚悟してね。よろしく。」


遥「泉ちゃん。あなたの大切な家族に私はお邪魔する事になる。それも一生ね。家族は友達かしら?私はそうは思わない。家族は、家族よ。嫌ってもいいし、邪魔だと思ってもいい。でも、ずっと家族でいさせてね。よろしく。」


楓「なんか懐かしいわね。あははっ」


泉「はぁ…お兄ちゃんさー、お兄ちゃんの女は何でこーすげー人ばっかりなんだろね。こんな人達が集まるなんてさ、お兄ちゃんが一番凄いよ、惚れ直したよ。」


夕「いや泉。女って言ってもさ、僕が惚れてんのは楓ちゃんだけだよ?5年もブランクあるし。いきなり結婚はしないよ?てゆーかさ、さっきの序列に僕入ってなかったよね?アレ気になったんだけど。」


美咲「ちょっと夕!何今の!結婚してくれないの?してよ!泉ちゃんへ啖呵切った手前ハズいんだけど!」


友紀「夕君や。この流れでそんな事言うかね?こちとら8年ですよ?やっと楓ちゃんに追いついたと、やっと夕君の隣りに行けると、そう思った矢先に…なによ!イジワル!」


遥「神田君、私なんてアメリカ行っちゃったよ?あなたを忘れる為にだよ?あっちで試しに金髪外人と付き合ったけどね、ちっとも好きにならないからさ、一回夕食デートしただけ。…あれ?これただのディナーだね。ってつまり結婚して?」


夕「いやいや、その想いは嬉しいよ?5年、いや8年か。凄いよ。ありがたい。もうね、怖い。正直怖い。ひく。ただ遥ちゃんがパツキンと付き合ったとかちょっとイラついたけど。てかさ、僕ら恋愛してないよ?楓ちゃんの気持ちが変わらない限り、結婚する気持ちはあるけれど、皆ちょっと焦りすぎ。取り敢えず一緒に住んでみない?部屋いっぱいあるし。で、高まったら結婚しよ?」


友紀「怖いとか引くとか、どんな想いで私達が5年間過ごしたと…ふふ♡でも一緒に住むー♡結婚するー♡」


美咲「きょ、今日から一緒?あ、今日元々泊まりだった!ねぇねぇ今日する?私は二人と違って夕が初めてだからね?しよ?ね?」


友紀「ちょっと!私だってそーだよ!8年前から夕君にずーっと捧げたかったんだよ!そっちのアメリカンビッチと一緒にしないでよ!」


遥「な、何て事言うの?!神田君違うからね?フツーにヴァージンだからね?もう金髪は忘れて!あなただけ!あなただけなんだから!うわぁーん!」


夕「楓ちゃん。懐かしいね。タイムスリップしたね。あと遥ちゃん発音いいね。」


楓「ほんとにね、なんて楽しいのかしらね。ふふふっ♪取り敢えず皆で暮らしてみようね♪」


泉「お兄ちゃんだっこ。」


夕「おぉ、懐かしいなそれ。なんなの?環境がそうさせるの?とりま拒否。」


泉「拒否を拒否にゃん!おにちゃーん♡」


ガバッ


夕「うわっ!」


友紀「次ゆきにゃーん♡」


遥「そ、その次はるにゃんね!」


美咲「えと、えと、あ!みーにゃん!みーにゃんも!」


楓「まったく。すぐこれだもんなー。言っとくけど、よめにゃんの称号は譲りませんからね!と、言うことで、みんな残念でしたー♪よめにゃんが次でーす♡」


夕「おいおい…皆いい年して何やってんの?それと泉、序列の件なんだけど、、、」



「家電製品と同列。」と泉に言われた夕は激しく凹んだが、家電が割と好きな夕はすぐに立ち直った。

しかしその夜、ハーレムハリケーン(大人バージョン)に襲われた夕は身も心もボロボロになった。

地下シェルターを作ろう。

そう誓った。


……………………


そして1年半後


「いらっしゃいませ、内田様。お待ちしておりました。本日、内田様の担当をさせて頂きます 神田 遥 です。よろしくお願致します。早速ですが、先日お電話でご相談のあった…」


「すいませーん、こちらに 神田 美咲様はいらっしゃいますかー?お届けものでーす。」

「はーい♪今行きまーす♪」


「はい、神様の神に田んぼの田、友達の友に紀元前の紀です、はい、あはは、本当ですかー?分かりやすかったです?はい、はい、そうなんですよー紀州の紀って言うと襲っちゃう方の奇と間違われちゃうんでー、あはは、はい……」


ここは、私と夕君で起ち上げた会社、『One Week Lover 不動産』通称OWL不動産の店舗内。

上から、接客対応、宅配の受け取り、電話対応をする頼もしい嫁ーズだ。

その声を聞きながら、私と夕君は居間で子供をあやしている。


今私達は、忙しくて、ドタバタで、笑いが絶えない、そんな毎日を送っている。

私達が付き合い始めた13歳の頃、まさかこんな未来になるなんて、誰も予想出来なかったよね。

だけど、こんなにも楽しくて、幸せで、幸せで、幸せな未来があるのなら、今すぐ過去に戻って教えてあげたい。

病気のこと、夕君のこと、未来のことで不安で一杯だった私に。

一週間、たったの7日間であなたの人生はこんなにも素敵なものになるんだよって。


「まーま。」

「ちがう、ぱーぱ。ぱーぱだよ?いつ言ってくれるの?ぱーぱ。」

「ぶーぶ。」

「くぅー!車に負けたー!でもかわゆーい!」

「うふふ、パは言いづらいんだよねー♡ママの勝ちー♡」



Fin♡

一応本編はここで終了になります。

ご愛読いただいた皆様ありがとうございました。

アフターストーリーやちょっとした日常的なものは書いていくかもしれませんので、見かけたら覗いて下さい。


がめ

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