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84話 国王陛下との対面

アクセスありがとうございます。


 大声でクリスティーネ第1王女の名を呼ぶ男は、愕然とした表情と共に眉間にシワを寄せながら冷たい視線でリュートが庇い背中に隠れるクリスティーネを見下ろし告げる。


「き、貴様は第1王女に悪事を吹き込んだのか!?」


「はぃ?・・違いますけど」


「わたしが、決めたの!!」


 リュートの背中で隠れていたクリスティーネは、リュートの服をギュッと掴み顔を出し涙目で見下ろす男を見る。


「はぁ・・クリスティーネ王女様。とにかく、その男から離れてこちらに」


「イヤよ。ロヤーソクより、リュートの傍が良いの」


「ば、バカなことを言わないでください!もうすぐ大事な儀式が控えているのですぞ?もし、クリスティーネ様の身に何かがあれば、国王様と王妃様が悲しみます」


「うぅ・・でも・・」


 なかなか動こうとしないクリスティーネに我慢できなくなったロヤーソクは、リュートの背後に隠れている王女の手を掴み引きづり出そうとした。


「痛いっ・・」


 男の身分が自分より上だと認識しているリュートは男の行動を妨げる動きを見せなかったが、クリスティーネの痛がる声を聞き反射的にロヤーソクの伸ばした右腕の肘に打撃を与え、激痛でクリスティーネの腕を手放した隙をつきルカ達がいるソファへとクリスティーネを抱き抱え座らせる。


「王女様、お怪我はありませんか?」


「うん、ちょっとだけ手が痛いけど大丈夫」


「そうですか、ルカ頼めるか?」


「はい、リュート様」


 ルカは隣りに座るクリスティーネに治癒魔法ヒールをかけて、色白の腕の赤くなったところが元に戻っていく。


「すごい!・・もう痛くない」


 無垢な笑顔をルカに見せて喜ぶクリスティーネに、ルカも笑顔になっていると蚊帳の外にいたロヤーソクは溜まっていた怒りに感情が爆発し背中を見せるリュートに隠し武器を突き刺すため足を1歩踏み出した・・。


 ドンッ!


 背後のドアが勢いよく開けられ、ドアの前にいたロヤーソクは背中を強く押され押し倒されるように床を転がり見上げると複数の近衛兵が部屋に入って来たところだった。


「この・・」


「リュート殿!待たせてすまないが非常事態が・・クリスティーネ第1王女様!!」


「どうしたのリーヴス?」


 リーヴスの慌てる表情とは裏腹に、クリスティーネは理解できず不思議そうな表情で近衛兵長リーヴスを見上げる。


「どうしたの?じゃないですよ・・急にお姿が見えな句なり、総出で探しました。これから謁見ですのでお部屋にお戻りください」


 近衛兵長リーヴスは、ロヤーソクとは違い優しい笑顔でクリスティーネに告げる。


「ごめんね。ちょっとだけ、この部屋が気になったの」


「そうでしたか・・ご無事で何よりです。では、陛下と王妃様がお待ちですので・・」


「・・うん」


 クリスティーネは素直にソファから降りてリーヴスの横を通り抜け部屋を出て姿を消すも、ヒョコッとドアから顔を覗かせリュートと視線を重ねると笑顔で呟いた。


「リュート、またあとでね」


 小さな手で軽く振った後にクリスティーネは戻っていき、その後ろを数人の近衛兵達が護衛として歩いて行き、部屋には近衛兵長リーヴスとリュート達そしてロヤーソクが残った。


「リュート殿、クリスティーナ第1王女様と親密な感じでしたが何かあったのですか?」


「えっと・・まぁ、ちょっとした遊びですよ・・」


「その遊びとは?」


「任命ごっこです。自分は、王女様の前で片膝を付いて頭を垂れるやつです」


「任命ごっこ・・王女様はなんと?」


「専属護衛騎士に任命すると宣言されて・・額にキスされました」


「なんと!・・君達は見ていたのか?」

 

 リーヴスは、部屋の隅で倒れているメイドを介抱しているメイド2人に問いかけると、2人は無言で頷く。


「なんてことだ・・それで、リュート殿はなんと答えたのですか?」


「単なる遊びなので、拝命しますと答えました」


「・・・・王女様から額にキスを受けたのですよね?」


「はい、驚きましたけど拒否するわけにもいかなかったので・・終わるまでしばらく動けなかったですよ」


「・・・・・・」


「リーヴスさん?」


 リュートの言葉にリーヴスが固まっていると、背後からロヤーソクが怒鳴る。


「リーヴスよ!その平民を王城から追い出せ!」


「ロヤーソク宰相、リュート殿は陛下の大事な客人でもあります。そのお言葉は、陛下への反逆と受け取っても?」


「クッ・・近衛兵が調子に乗りおって・・」


 表情を歪めるロヤーソクに背を向けリュートを見るリーヴスは口を開く。


「リュート殿そして同伴の皆様、今から謁見の間に案内します」


 リーヴスを先頭に部屋を出て、謁見の間へと移動する。1つ上階層へと階段をあがり長い廊下を歩いた先に大きな扉が待ち構えていた。


「それでは、この扉を開けた先にテーブルがあります。そこにテーブルを置いた後に片膝を付いて頭を垂れお待ちください」


「わかりました。あの、1ついいですか?」


「なんでしょう?」


「俺達、普段着のままなんですが・・」


「心配無用です。事前に許可を得ておりますので、ご安心を・・では」


 扉が開かれ、リーヴスが先に入るとリュートの視線の先には誰も座っていない豪華な玉座が置いてあり、その少し手前に白い布が覆い被さっている長机を見つけ恐る恐る足を進める。


 ここまで先導してくれたリーヴスは壁沿いへと移動し、他の近衛兵と並び立ちリュート見つめる。リュートは周囲から視線を感じながら歩き長机の前で止まると、アイテムボックスから聖剣を取り出し静かに置き2歩下がった後に片膝をついた姿勢をとる。


 ・・・・・・


 しばらく静寂な空気に包まれた後に、若い男の声が謁見の間に響き渡った・・・・。


「ギルホップ国王陛下様の、ご入場!!」


 謁見の間に数人の足音が近づくのが聞こえるも、リュート達は動くことなく国王陛下からの言葉を待つのだった・・・・。


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