72話 旅の再開
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ルカ達が落ち着きを取り戻し、次の街へと向かうため馬車を走らせるもサギエル達が進んだ道が中央都市へと向かう方向なのかわからないリュート達は悩んだものの、ルカ達が村から走って来た方向の先へと進んでいる。
「リュート様、もし中央都市の反対側に進んでいていたら・・」
「きっと大丈夫だよ、ルカ。違ってたらその時に考えよう。今はこの先にある街へと行こうな」
「・・はい、リュート様」
馬車は森の道を抜けて丘陵地帯になり走り続けると、遠くに街が見えてきた。
「次の街並みが見えてきたね?ルカ」
「はい・・」
「そんな気にすることは無いさ。門兵に聞いて違っていたら戻れば良いんだし・・それに、この街にサギエル達がいると思うから立ち寄らず先に進むから」
「はい、リュート様」
「ミウとレナも良いか?」
「はい、リュート様」
「主様の意思のままに・・」
相変わらずレナの反応がよく掴めないリュートは、苦笑いしながら前を向き隣で手綱を持つルカの頭を撫でていた。
街が見えてから数時間が経ちリュート達は街に入るための列に並び順番を待ち、やっと自分達になった。
「ようこそ、地方都市グラノへ・・身分証と目的を・・」
リュートを見上げる門兵の男は、事務的な口調で告げる。
「街で物資を買い足して、滞在せずにそのまま中央都市へ行く途中だ」
「中央都市?・・王都へ行くのか?」
「あぁ、中央・・王都へ荷物を運ぶ依頼を受けてね」
「・・商人か?」
「その下の行商人さ」
「行商人ね・・大変だな。まぁ、今の王都はいろいろと賑やかになっているらしいから楽しんでこいよ」
「今の王都は賑やかなの?」
「・・そうか、旅をしているなら知らないよな。今年は、勇者様が召喚される年のようだぞ」
「勇者様・・御伽噺でしか存在しない人だと思っていたけど現実にあるんだね」
「そのようだ。前回の勇者様が去ってから数百年だからな」
「なるほどね・・。ちなみに、王都はどっちに行けば?」
「この街の東門を出て、タジリンって街を過ぎた先に王都があるぞ」
「ありがとう」
「おう、それと今日中に街を出るならコレを門兵に手渡せ」
門兵はリュートに木札を手渡す。
「コレは?」
「1日木札だ。出る時にコレを門兵に渡せば、簡単に街の外へ出れる」
「ありがとう、助かる」
リュートは街へ入る通行料の銀貨4枚を支払い街に入り、そのまま東門へと向かい立ち並ぶ商店を横目に東門から街を出る。このグラノの滞在時間は、僅か十数分だった・・。
「なかなか良さそうな街でしたね、リュート様」
「そうだね、アイツらの存在がなければ泊まったんだけどなー」
「主様・・なかなか美味な食べ物ですぞ?」
荷台にいたレナが御者台に座るリュートの背後から紙袋を差し出してきた。
「レナ、これは?」
「名産のハニカラという、ふわふわしたお菓子です」
口をモグモグしていたレナの口周りが少しベタついている事に気付いたリュートは、人差し指をレナの口周りについているモノにサッと触れて舐めてみた。
「んっ・・甘い・・蜜の味がするな」
「さすが主様・・女店主が蜂蜜を生地で包んでいると言っておりました」
「レナ!リュート様の許可なく1人離れて買い物をするとは、どういう事なの!?」
「うぅ、お姉様・・」
「落ち着きなよルカ・・レナも好奇心で買ったと思うし」
「ですが・・私とレナは、まるちどぉーるです。リュート様に黙って行動することは・・」
「ルカ?・・レナは、俺のことを想って買ってくれんたんだ。そうだよなレナ?」
「はい。主様の喜ぶ顔が見たくて・・」
俯くレナをリュートは抱き抱え対面する形で膝の上に座らせた。
「あ、主様・・あむ・・」
レナを膝の上に座らせ驚くレナの口にハニカラを1つ口に入れて大人しくさせると、もう1つ取り出し両手が塞がっているルカの口にもハニカラを入れた。
「さぁ、このままタジリンを目指すよ!ミウの里帰りだ」
グラノの街を出たリュート達は、次の街であるタジリンへと向かう。道中は何も起きる事なく平和で静かな野営を3日過ごし、4日目にミウの出身地である地方都市タジリンにたどり着いたのだった。
リュートの聖剣を王家に届ける期日まで残り6日・・・・




