71話 彼女達の行動
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僅かな光もない森の夜で容赦無く打ち付ける大きな雨粒は、道端に倒れているリュートの体温と傷口から流れ地面へと流れる赤い血を無慈悲にも奪い続けていく・・。
ザァァァーーー
いつもなら徘徊している魔物達も、この大雨では巣から出ることなく大人しくしている。
「さむっ・・」
リュートはジワジワと襲いかかる眠気と闘っていたものの、耐えきれず小さく呟いた後に眠るように意識を手放した頃に、灯も付けずに森の中の道から逸れることなく疾走する馬車の姿があった。
「このまま真っ直ぐ!急いで!!」
「はいっ!!」
雨音の音でかき消される声と、暗闇に光り輝くミウの魔眼がリュートがいる場所へと近づいて行く。
「・・・・見つけた!あそこです!!」
「はいっ!」
暗闇の中でリュートを見つけたミウは右手を前に突き出すも、その先は真っ暗で何も見えない・・が、馬の手綱を握り怯える馬を操り走らせるルカはミウの言葉を信じてひたすら馬を走らせミウの指示で馬車を止めた・・。
「リュートさん!」
ルカが馬車を止めると、すぐにミウは御者台から飛び降り着地で跳ね上げた泥が顔につくのも気にする素振りもなく倒れて動かないリュートの横に両膝をつけ覆い被さりリュートを雨から守る。
「リュート様!」
少し遅れルカがリュートの傍に駆け寄ると、リュートの怪我と魔力の不安定さを肌に感じすぐに治癒魔法ハイヒールをかけて深傷を負っている傷を治癒し止血した。
・・・・・・
暗闇の中に沈んでいたリュートは、優しい温もりに包まれていることを感じるとともに意識が覚醒していき目覚める。
ゆっくりと開いた視線の先には白い天井がぼんやりと見える瞬きを数回しピントを合わせていると、ふと視界に覗き込む顔と視線が重なる。
「リュートさま・・」
「ルカ・・ここは?」
「馬車の中です。ミウさんのスキルのおかけで、見つけることができました」
「そっか、2人は?」
「隣で寝ていますよ」
涙目に告げるルカは、レナとミウが寝ている方へ顔を向けるとリュートもつられて左に顔を向けると、並んで寝ている2人の姿があった。
「・・また心配かけさせたね。なぁ、あの商人達はいなかったのか?」
「はい。私達がリュート様を見つけた時には、すでに夜になっていたので・・」
「ありがとう。魔力は足りてる?」
「はい、まだ十分蓄えてありますから。リュート様は、しばらく休んでいてくださいね」
「そうするよ・・」
「それと2人が起きたら、ちゃんと褒めてあげてくださいね?」
「あぁ。もちろんだよ、ルカ」
リュートは、そう答えると両手を上げるとルカは僅かに上半身をリュートへ寄せると、リュートはルカの背中に両腕を回し抱き寄せる。
「ありがとう、ルカ」
「はい、リュート様」
リュートに抱き寄せられたルカは、涙を流し静かに泣いていたのだった・・。
ややあって、レナとミウが起き上がる。
「おはよ・・ミウ、レナ」
リュートが目覚めていた時に1人起きていたルカは、リュートが目覚め安心したのかいつの間にか活動休止状態へと移行し眠りについてしまっていた。
その中で1人起きていたリュートは、胸元で寝息を立てているルカの頭を撫でて過ごしていると、モゾモゾと動き起き上がるレナとミウに声をかけた。
寝起きにいきなりリュートの声を聞いた2人は、ギュンッと顔をリュートに向けて視線が重なると涙目になりリュートに抱き付いた。
「リュートさん!」
「主様!!」
「ごめんな2人とも・・ミウ、俺を見つけてくれてありがとうな」
「いえ、このスキルはリュートさんからいただいたのも同然なので」
ミウはリュートの身体に顔をグリグリと押し付け、頭を撫でられると泣き顔から笑顔へと変わっていく。
「レナ、2人を守ってくれてありがとうな」
「主様・・私は、役目を果たしただけです」
「レナがいてくれたから、2人は自由に動けたんだよ」
「・・主さまぁ」
レナもリュートに抱き付き、子供のように甘えている。2人に抱き締められたリュートは、寝ているルカと共に抱き寄せたのだった・・。
「さぁ、落ち着いたら依頼のために中央都市に急がないとな・・」
依頼の期日まで残り10日となったリュートは、ここから中央都市までかかる日数を把握していないため、内心焦っている。
それでも、自分のことを心配してくれた3人を急かすことができないリュートは、3人が元通りになってから出発する事に決めたのだった・・・・。




