69話 脱出の糸口
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リュートが突然拘束された事態に混乱しているルカとレナは呆然としているだけだったが、唯一行動を起こしたミウは大盾を持つ騎士に行手を阻まれ続けるも、やっとの思いですり抜けることができたが既にリュートの姿をミウは見つけることができず名を叫ぶ。
「リュートさん!!」
泣き叫ぶよように響き渡るミウの声は、虚しく消えていき残っていた騎士が立ち去ると残ったサギエルは、ルカとレナを見て口を開く。
「・・そこの使用人、行商人はいなくなったから諦めて私について来なさい・・今夜からさっそく夜の世話役として扱ってやろう。その身体を使って私を満足させてくれるのを期待しているぞ?」
ニヤニヤ笑うサギエルをルカとレナはただ睨みつけているだけでいると、抵抗する気が無いと判断した部下の男達が2人に拘束具を持って近づいていた・・・・。
村に取り残されたルカ達から引き離されたリュートは、騎士に連行された後は馬車の荷台に放り込まれ荷台で待機していた男に掴まれ鉄製の檻へと蹴り押し込められ監禁されてしまう。
「いってぇ〜な〜・・乱暴に扱いやがって・・」
両手を拘束されていたリュートは、檻に入れられる直前に目隠しを取られたことで視界を取り戻したものの、檻にシーツを覆いかぶせられたため外の状況は掴めないままだった・・。
リュートは閉じ込められたことで、どうやって状況を打破するか考え始めると馬車が動き出し荷台が小刻みに揺れて振動がリュートの身体に伝わる。
「乗り心地が最悪だな・・」
そう呟きながら、サギエル達と出会い騎士達に拘束されるまでの状況を思い返す・・。
「クソ商人が騎士団と裏で繋がっていたのか・・でも、何かがおかしい気がする」
その違和感がなかなか見出せないでいるリュートは、時間をかけてやっと1つのことを思い出した。
「・・・・紋章がない!騎士団なら、鎧に王家の紋章が刻まれているはずだ・・」
幼き頃に記憶にあった1つに父親の仕事について行った時に出会った騎士の姿を思い出し、拘束した騎士団が偽者だと確信したリュートは脱出することを決意するも・・。
「ん〜村に片手剣を落としてしまったし・・助けを求めるもルカとレナだと殲滅させちまうだろうしな・・居場所はミウの魔眼スキルで見つけてもらうか・・」
しばらく考えたリュートは、自分で解決するしかないと思いアイテムボックスに収納している物を思い出すも、野営グッズに食糧や大量のポーション・・そしてルカとレナの日用品ぐらいしかなく使えそうな物が入っていない事に愕然とする」
「やべぇ・・クソの役にもたたないじゃん」
・・・・・・
そのまま長い時間が経過して考えるのをやめていたリュートは、ハッとあることを思い出す。
「・・・・あった!武器あるじゃん・・聖剣が!」
退路を閉ざされていたリュートは、脱出の糸口が見つかるとアイテムボックスに意識を集中して収納していた大事な荷物である聖剣を外へと出した・・。
ガシャン・・
聖剣が床に落ちて檻の格子に当たると金属音でも品のある音が響き聖剣の素材が何かなのかが一瞬気になるも、身体を必死に動かし踠いて聖剣を鞘から抜く事に成功する・・。
「重てぇ・・・・よっしゃ、このまま拘束具を切って・・」
なんとか聖剣を鞘から抜くことができたリュートは両手にある拘束具を斬り落とそうとしていると、手に一瞬チクリと痛みを感じた直後に突然脳内に女の声が響き渡る。
『・・本体の解放を確認、魔力を感知しました・・照合を開始します・・照合中、照合中・・照合完了しました。パターンは黒・・不明です。再照合を開始します・・・・照合完了。仮登録実行中・・完了』
「な、なんだ?」
戸惑うリュートに関係なく脳内に女の声が続く。
『仮登録者の名前を・・仮登録者の名前を・・」
「仮登録者?なんのことだ?」
『仮登録者の声を認識・・男性・・名前を・・名前を・・』
「俺のことかな?・・・・リュート」
リュートは興味本位に自分の名前を口にする。
「リュート・・リュート・・仮登録者の名前を登録開始・・完了。仮登録者リュート。引き続き魔力を登録開始・・完了・・」
その女の言葉の後に急に重く感じていた聖剣の重さを感じなくなり、苦労することなく拘束具を斬り落とすことができた・・。
「おぉ・・聖剣すげぇ・・」
相乗以上の切れ味と扱いやすさに驚いていたリュートは、いつの間にか脳内で聞こえていた女の声の存在を忘れ去っていて、このまま檻の格子を切断できるか試そうとした時に荷台に誰かが入って来た足音が聞こえ聖剣をアイテムボックスに慌てて収納した。
ガサッ・・
檻にかけられていた’シーツが捲られると、中を覗き込むゴクドとリュートの視線が重なったのだった・・・・。




