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67話 商人サギエルの企み

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 ミウと2人で村を出たリュートは、森を走り気配探知スキルで捉えた集団へと近づき、途中から足音に気づかれないようゆっくり歩きながら茂みの向こう側に集団の姿を見つけ周囲を見渡し近くまで行けるルートを選びながら接近すると男達の会話が聞こえてくる。



「サギエル様、そろそろ村全体にいつものアレが浸透し効果が出ている頃合いかと・・」


 20人程の集団の先頭にいる男が、1人椅子に座る出っぷりとした腹を強調している中年男に告げる。


「そうですか、そうですか・・あの村もやっと堕ちましたか・・なら、参りましょう。私達がいつものように村人達に救いの手を差し伸べるのです・・」


 ニヤつきながら立ち上がるサギエルという男は、茂みの向こうへと歩き始め後ろをついて行くように男達が移動して行く。


「リュートさん、間違いなく村長さん達を苦しめた元凶は・・」


「あぁ、間違いなくあのサギエルという男達の仕業だ・・」


 リュートとミウは立ち去る男達の会話を聞いて犯人が誰かを確信し、そのままサギエル達と距離を取りながら追跡する。


 サギエルが率いる集団がしばらく移動すると荒れ果てた山道があり、そこには商人は使う馬車が3台止まっており見張りの男達が頭を下げて出迎えると、先頭の豪華な馬車にサギエルがノッシリと乗り込むと他の男達は残り2台の馬車に分乗し出発する。


 リュートはサギエルが乗る馬車と並走し村へと辿り着くと、村に入った馬車は村長の家を知っているかのように迷わず村長の家の前に止まりサギエルは家の前に立ち村長を呼ぶ。


「村長さーん!・・村長ー!・・・・おい!村長ぉ!!ッンゴホッゴホ・・グェッ・・・・はぁ、はぁ・・」


 村長を大声で呼ぶものの喉に何かが詰まったような汚い声を漏らし口から涎を垂らし乱れた呼吸を落ち着かせようとしていると、村長メシウスはサギエルの呼ぶ声が聞こえたようで小走りで近づいて来た。


「・・サ、サギエルさん!お待ちしておりました!・・はぁ、はぁ・・」


「グフェッ・・ふぅ・・定期荷物を運んで来てあげましたよ。予定より2日早いですが、前回の要望品は全て揃えて来ましたから苦労しましたよ?・・それにしても、いつもの子供達が姿を見せませんね?」


「サギエルさん、実は村に奇病が蔓延していたようで・・私の家族を含め30人が犠牲となってしまいまし・・」


「き、奇病!?」


 サギエルはわざとらしく村長の言葉を遮りながら叫びながら後退り離れる。


「落ち着いてください・・朝起きたら全身の痺れと倦怠感に襲われまして」


「それは大変です!ちょうど大量のポーションを仕入れたばかりなので、優先的に売りましょう!」


「・・いえ、もうポーションは必要ないので結構です」


「はぁ?・・ポーションが不要な訳がないでしょう!?早くポーションを買って村の人達に飲ませないと村が壊滅し廃村になりますよ!」


「いえ、もう全員が完治して日常生活ができるまでになりましたので・・」


「ぐぬぬぬ・・」


 サギエルは村長から想定外の言葉を聞き、隣りに立っていた部下の男を睨みつけると男は目を見開き激しく動揺している。


「サギエルさん、実が偶然この村に立ち寄った行商人様から十分なポーションを頂戴しまして、なんとか犠牲を最低限に抑えることができ苦難を乗り越えることができました。


「・・んなバカな・・計画が・・」


「はい?」


「なんでもない・・」



 サギエルの悪行が失敗し愚痴を漏らすものの村長メシウスは聞き取ることができずに聞き返したが答えを得ることができずにいると、サギエルが苛立った表情を隠すことができず村長に問いかけた。


「村長、私達より先に来たという行商人を私に紹介してくれませんか?いえ、しなさい」


「はぁ・・今は最後の家族の世話をしているのでじきにここへ来ると思います」


 すると、間の悪いことにルカとレナが最後の家族にポーションを飲ませ回復を確認し終え戻って来てしまったのだった。


「村長さん、リガルさん達も元気になられましたよ」


「ありがとうございました・・」


 ルカの呼びかけに村長メシウスが頭を下げると、村長の近くに立つサギエルを見たルカはゆっくりと足を止めて笑顔から警戒する表情へと切り替え黙り込む。


「なんと美しい・・」


 ルカとレナを見たサギエルは、美少女2人に興奮し計画失敗のことなど忘れ2人をモノにすることで頭がいっぱいになる。


「村長さん、お知り合いですか?」


「はい、この村に定期的に物資を届けてくださる商人のサギエルさんです」


 村長の定期的に村へ物資を運ぶという言葉に少し警戒を緩めるルカは硬い表情から僅かに笑顔を見せる。


「はじめまして、私はサギシグループ会長のサギエル=ハビコルと申します。あなたが、この村を救ってくれた行商人ですね?」


「はじめまして、私はルカといいます、この子は妹のレナです。私たちは行商人の使用人です」


 リュートが街に入るときに名乗るときに教えていた行商人の使用人だという教えを、ルカはこの時も使ってしまいサギエルに下人の立場だと印象付けてしまった。


「ほほう・・使用人ですか。ならば、話は早い。今から2人は私の使用人だ」


「なっ!?いきなり何を言っているのでしょうか?」


「そうだ!私には主様がいるのだぞ!」


「黙れ下女が・・サギシグループ会長の私に行商人ごときの使用人が口を挟むではない・・大人しく黙ってついて来い」


 リュートは、この場で隠密スキルを解除して1発殴ろうと踏み出したものの、ミウが必死に取り押さえ諦めると一度村長の家の裏へと移動しスキルを解除してからルカ達の傍へと立ち止まった。


「なんだお前は!」


「俺か?・・行商人だけど何か?」


 恐れることもなく、何食わぬ顔で答えるリュートにサギエルの怒りはさらに上昇したのだった・・・・。

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