64話 不穏な動き
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地方都市ザイエンの街を歩き当てもなく気になる商店に立ち寄っては買い物をしたリュート達は、そのまま最初に見つけた宿屋スピンナイトに入り受付にいる男従業員に声をかける。
「部屋空いてますか?」
「はい、4人部屋であれば1部屋ご用意できますが」
「お願いします」
「ありがとうございます。お一人様銀貨4枚ですので、金貨1枚と銀貨6枚です」
リュートは、アイテムボックスから巾着袋を取り出し金貨1枚と銀貨6枚を取り出し男従業員に手渡した。
「はい、確かにちょうどいただきました・・こちらが部屋の鍵です」
部屋の鍵を受け取ったリュートは、そのまま部屋へと入るとリュートはベッドへと倒れうつ伏せになる。
「あ〜・・つ〜か〜れ〜たぁ〜〜」
大きく息を吐き出しながら心の声をこぼすリュートに苦笑いしながら近寄るルカは、ゆっくりとリュートの腰へと跨がり座ると背中に両手を添えて治癒魔法ヒールをかけ癒しの光で包み込む。
「ん〜気持ちいい〜」
「ふふっ・・疲れはとれましたか?」
「ありがとう、ルカ」
治癒魔法に特化したルカの癒しでリュートの蓄積されていた疲労は無くなり、やる気こそ回復しないものの怠く感じていた体は軽くなり身体を起こすとルカは隣りのベッドへと腰掛けた。
明日にはこの街を出発するリュートは、部屋でくつろいでいるとミウが買い物へ行くとリュートに告げる。
「ミウ、気をつけてな」
「はい、リュートさん・・」
ミウは1人で部屋を出て街へと出かけて行き、3人となるとルカとレナはリュートのベッドへと押しかけて寝転ぶ。
「ちょっ・・このベッドに3人は狭いよ」
「狭くないですよ、リュート様・・私が上になりますから」
「お、お姉様・・ズルイです」
「レナ・・これは、姉の特権なのですよ」
「むぅ・・」
ルカはリュートの身体の上に乗り胸元に頭を置いて、リュートの胸の鼓動を瞳を閉じて聞いている。
「あの・・俺の意見は?」
「「 ・・・・・・ 」」
リュートの主張を聞かないルカとレナは、リュートに密着し温もりを感じて過ごしていると外は暗くなりやがて夜になった。
「・・そういえば、ミウの帰り遅いな」
「そうですね、リュート様・・何かあったのでしょうか?」
「お姉様、ミウは冒険者だからこの街にいる知人と会っているのでは?」
「・・そうかもしれませんね」
3人がミウの帰りを心配していると、宿屋の廊下を歩く足音が聞こえドアがノックされる。
コンコン・・
「ミウです・・遅くなりました」
「入っていいよ」
ミウが部屋のドアを開ける前にルカとレナは自分のベッドへと戻り、ゆっくりとドアを開けたミウが姿を見せる。
「おかえり、ミウ」
「ただいまです・・リュートさん達は、夕飯済ませましたか?」
「いや、まだだよ」
「よかったです。宿の夕飯時間が始まっているようなので、一緒に食べませんか?」
「そうだね・・もうこんな時間だし夕飯にしよう」
ミウからの誘いで宿屋が提供する夕飯を食べることになり4人は部屋を出て食堂へと向かうと、すでに他の宿泊者達が食事をしているところで、リュート達は空いているテーブル席に座る。
「・・ご注文は?」
「えっと、このオススメを4人分を」
「わかりました」
夕飯を食べ終えたリュート達は部屋へと戻り、そのまますることもないため眠りについて朝を迎えるといつものようにルカとレナが先に起きて支度を始めるとミウも物音に気づいて目を覚ます。
「いつも2人は先に起きていますね」
「そうですね、リュート様より先に起きるよう毎日心掛けていますから」
「毎日ですか・・・・私にはムリですよ・・」
「ミウさんは、冒険者ですから私達のように早く起きる必要はありませんよ」
「はぃ・・」
窓の外が少しづつ明るくなり日の出の時間を迎えたことがわかると、ルカはリュートを起こす。
「リュート様・・朝です」
「ん・・もう朝か・・ありがと」
リュートは目を覚まし上半身を起こすと、ルカは避ける素振りを見せるものの動かず起き上がったリュートの頬に短いキスをした。
「お姉様・・」
「うふふっ・・」
ルカにキスをされたリュートは特に何かを言うこともなく笑みを浮かべながらベッドから立ち上自身の支度を手早く済ませると3人を見渡す。
「みんな準備はいいかな?」
「「「 はい 」」」
早朝のため宿屋の朝食時間にはまだなっていないため、そのまま宿を出る。
受付で椅子に座り番をしている若い男を起こし部屋の鍵を渡すと、慌てながら立ち上がり一礼してリュート達を見送ってくれる。
「・・それじゃ」
「はい、ご利用ありがとうございました。良い旅を」
人通りの少ない街の大通りを歩き馬車を預けていたみせに立ち寄り、自分たちの馬車を引き取ったリュート達は次に向かう街へと向かう。
「えっと、どこの門から出るんだっけ?」
「北門ですよ、リュートさん」
「北門ね・・ありがと。ルカ、北門へ行ってくれ」
「はい、リュート様。北門から街を出ます」
ルカは馬車をゆっくりと動かし北門へと向かう。早朝のため人通りは少ないが、人との衝突を避けるため人が歩くより少し早い速度で街の通りを移動すると数分で北門へと辿り着く。
「おはよう、早朝から行くのかい?」
「はい、物を運ぶ依頼を受けていますので」
「ほう、商人様は大変だな・・」
御者のルカと話をする年配の門兵は、簡単な点検で終わらせ街を出る許可を出す。
「よし、行っていいぞ!」
「ありがとうございます」
ルカが馬車を走らせようとしたときに、年配の門兵が声をかける。
「お嬢ちゃん、こんな老いぼれが言うのもなんだが護衛はいないのかい?」
「護衛はいますよ。少数精鋭の護衛です」
「そうか、引き留めて悪かったな・・この先の街の治安が悪くなっている情報があるから野盗や人攫いには気を付けてな」
「はい、ありがとうございます」
馬車は動き出し心配そうな視線を送る門兵は、いつも以上に遠く小さくなって行く馬車を見送り独り言のように呟く。
「おい、ミウが乗った馬車が出た」
「・・わかった。伝えてくる」
「あぁ、頼んだ」
年配の門兵の男の背後から、若い男の声が聞こえ門から立ち去る姿を早朝の時間帯のため目撃する住民は誰1人もいなかったのだった・・・・。




