59話 ギルドからの指名依頼とは・・
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「さぁ、行こうか」
シュリプスが立ち去り、しばらく時間を置いてから隠密スキルを解除したリュートは、裏路地を出てから大通りを歩き領主の屋敷へと向かう。
領主屋敷がある街の中央区に辿り着いたリュートは、立派な外壁の門の前に立ち警備兵と向き合っている。
「あの、領主様からギルド指名依頼で来た行商人のリュートとい言います」
リュートは商人ギルドカードと依頼票を警備兵を見せる。
「確認するから待ってろ・・」
「はい」
警備兵の1人が通用門から屋敷の敷地へと入り、数分経ったところで同じ警備兵が戻って来た。
「ラパナ、確認が取れた・・その行商人を案内する」
「わかった・・ガードン、俺はこのまま詰所にいるから」
「頼んだぞ・・では、行商人リュート殿。私に付いて来てください」
「わかりました」
リュート達は、警備兵ガードンの先導によって屋敷へと案内され敷地へと足を踏み入れ、手入れされた広い庭の道を歩き正面に見える二階建ての大きな屋敷の正面玄関へと向かった。
正面玄関に辿り着くと、警備兵ガードンは立ち止まり振り向く。
「リュート殿、私の案内はここまでです。このドアの先からは、使用人が案内します」
「ありがとうございました」
ゴードンがドアを2回ノックしてからドアをゆっくりと開くと、黒服を纏った執事の男が姿を見せリュートと視線を重ねると一礼した。
「お待ちしておりました。行商人リュート様・・執事のエクスです。領主様がお待ちなので客間へとご案内します・・が、その前に同行されるお嬢様がたとの関係をお聞きしても?」
「この子はパーティーメンバーの治癒士ルカ、そして魔法士ミウと剣士レナです」
「そうですか・・では、こちらへ」
執事のエクスに案内されてリュート達は階段を上がる。二階にある客間へリュート達が入ると、茶髪に白髪混じりの50代の男が豪華なソファに座っていた。
「領主のハイゼンだ・・・・君が、依頼を受けてくれた行商人なのか」
「はい。行商人のリュートです」
・・・・・・・
客間に静寂な時間が流れる中で、流れを読まないマイペースなレナが口を開いた。
「もう座って良い流れなのか?」
「ちょっと、レナ?」
「はっはっはっ・・なかなかの精神を持つお嬢さんだ。気に入った!当家の使用人にならぬか?」
「断ります。私の主様はリュートだけ」
「即断か!・・まぁ、仕方なかろう。それでは、依頼の話をしようか」
領主の話は依頼票に書いてある内容をそのまま口にするだけで、大した内容ではなくリュートは屋敷に来る必要性があったのかと疑問を抱いていると、領主の口調が急に変わった。
「さて、ここからが本題だ」
「本題ですか?」
「表向きは、娘の私用品を中央都市の騎士寮へ運ぶ。本当の依頼は、代々の先代から受け継いで来た家宝の1つを王族へ献上することなのだ」
「か、家宝をですか?」
「そうだ。その家宝を他の者に奪われてしまえば、この国が滅びてしまうほどの重要な物なのだ」
「それなら、ギルドに依頼を出すよりも身内で運んだ方が無難ではありませんか?」
「その案も考えたが、部外者に突然運ばせた方が妙案だと思ったからな」
「はぁ・・」
目の前で笑う領主ハイゼンを黙って見ているリュート達にハイゼンはソファから立ち上がり、ついて来るようにと伝えた。
客間から出たリュートは、領主に連れられて地下室へと降りて強固な鍵を数個解錠しドアを開けると祭壇の上に1つの両手剣が置いてあった。
「あの剣は?」
「あれは、聖剣だということだけ教えよう」
「せ、聖剣?」
「そう、伝説の勇者様だけが、能力を扱うことができる聖剣なのだよ。1人では到底重くて持てないから手伝ってくれるかい?」
「聖剣って言っても、両手剣ですよ?そんな数人じゃないと持てない剣を勇者様が扱えるんですか?」
「そう思うのが普通だろう・・だがな、勇者様のステータスは神に認められたモノだから持てないことはないのだよ・・嘘だと思うなら、1人で聖剣を手にしてみればいいだろう」
リュートはゆっくり歩き聖剣の前に立ち、右手で聖剣の握り部を握った。
(さすが聖剣・・なかなか握りやすいな)
初めて握った聖剣に、リュートは好感触を持ちいつものような感覚で持ち上げた。
「なんと!・・・・あの聖剣を腕1本で持ち上げているとは・・」
「領主様、重くないですよ・・聖剣だからって考えすぎじゃないですか?」
「うむぅ・・・・目の前にしても信じられぬが・・そのまま空間魔法で収納できるのかい?」
リュートはアイテムボックスの口を開き聖剣を剣先から近づけると、抵抗もなくスルッと
入っていき収納され姿を消した。
「おぉ〜!これが空間魔法か・・次は、娘の荷物を渡すから付いて来てくれ」
地下にある倉庫から地上へと出たリュート達は、客間の隣りにある部屋に入ると木箱が5箱置いてあった。
「この木箱を全て運んでもらいたいが、可能なのかな?」
「可能ですよ、見ててください」
リュートは部屋に入り木箱を右手で触れると、触れていた木箱が一瞬にして音もなく消え去る。
「き、消えた!?」
聖剣とは違い大きな木箱が目の前で消えた現実に領主ハイゼンが目を見開いていると、ルカとレナも部屋に入り軽々と木箱を持ち上げリュートのアイテムボックスへと木箱を消して行く。
「き、君達2人も空間魔法持ちなのかい?」
領主ハイゼンは、ルカとレナに問い質すも2人は何も答えなかった。
「これで荷物は全部ですか?」
木箱がなくなった部屋に立つリュートが確認する。入り口の横で様子を見ていた領主ハイゼンは信じられないような表情で頷く。
「ならば、これで用件は終わりですね」
「そうだな。それと最後にこれを受け取りたまえ」
ハイゼンは胸ポケットから紙を取り出しリュートに手渡す。リュートはその場で中身を確認する。
「君に預けた聖剣は、書いてある期日までに必ず届けるように。娘の荷物はその次で問題は無い」
「中央都市まで13日・・明日までに出ないと間に合わないな・・」
「もう諦めるのかい?」
「いえ・・この日数は、ギリギリの期日だと思いまして」
「その期日は、私には変えられない。王族からの命だからね」
「王族からの命ですか・・これから準備で忙しくなるので、他になければ帰らせてもらいます」
「もちろん・・伝えることは全部伝えたから問題ないよ。最後に、依頼達成したら私に面会に来ることを忘れないように」
「はい・・できるだけ覚えておきます」
リュートは、領主ハイゼンに別れの挨拶をした後にルカ達を連れて屋敷から出て、準備のため街へと戻ったのだった・・・・。
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