6話 新たな従業員①
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紛らわしいリュートの言動で勘違いしたリーナは、1人で部屋の掃除をしている。
部屋の窓を開けると店前の大通りが眼下に広がり行き交う人々を窓枠に肘を置いて眺めていると1組の冒険者パーティーがリュートの店に入って行くのが見えた。
「あっお客さんだ・・」
リーナは呟いたあと、もう少しで終わる掃除を終わらせることにしたようだ。
ちょうど最後の部分の拭き取りを終えた時に下からリーナを呼ぶリュートの声がした。
「おーい、リーナ!下に降りて来て〜」
「はーい!今行きまーす!」
リュートに呼ばれて急いで部屋を出るリーナは、階段を降り始めた時に見上げて待つリュートの顔を見てドキッとして右足を踏み外す。
「きゃっ!」
ズルッ・・ドドンドンドンッ
階段に小さなお尻を叩きつけながら、リーナは器用に奇声を発しながら階段を滑り落ちる。
「あぅっ!アウアウアウアウアウ」
「おっと、大丈夫か?」
両足を広げ白パンを見せながら、階段から滑り落ちて来たリーナをリュートは、床に叩きつけられる前に抱きとめる。
「痛いよ〜オシリ痛いよ〜」
顔を少し赤くし涙を流すリーナのオシリに、リュートは右手を当てて治癒魔法ヒールで痛みを消す。
「だいじょうぶ、大丈夫だから」
「あっ・・痛くない」
「だろ?」
「・・うん」
「さぁ、客が、待っているから行くぞ」
リュートは、抱きとめていたリーナを立たせて売り場へと向かう。
その背中を見送るリーナは、ふと何かに気付いた。
(あれ?さっき、オシリを触られていたような・・)
「おーい、リーナ。早く」
「は、はい」
リーナは、1つの疑問を考えるのをやめてリュートの元へと急いで行く。
「あぅ・・」
「おい、お前!この子どうしたんだよ?」
「ん?さっき雇った」
リーナが店のカウンターでリュートの隣に立ちと、カウンター越しに冒険者達の視線がリーナに集まっている。
「あの・・」
混乱するリーナをよそにバーナスとリュートが会話を続ける。
「リュート、お前まさか・・この美少女を闇市で?とうとう犯罪に手を染めたか?」
「んなわけあるか!合法だ合法!間違いなく合法従業員だ!」
「「 かわいい〜〜 」」
アンナ達女冒険者が呟く。
「は、はじめまして・・リーナです」
興味津々のアンナが、バーナスを退かしカウンターから上半身を乗せてリーナを見つめる。
「ねぇ、リーナちゃん。私はアンナ。今はどこに住んでるの?」
「はじめまして、アンナさん。ここの2階の部屋に住んでます」
「はぁ?」
リーナの答えに口が開いたままのアンナは、殺意を込めてリュートを睨みつける。
「うぉっ!アンナさん?なんで怒ってる?」
「知らないっ!」
不満な顔をして店を出て行くアンナの背中を呆然と見送るリュートは理解できない顔をしている。
「リュート・・同棲って、おまえマジか?」
バーナスは、そう呟きながらリュートの右肩を軽く叩く。
「バーナス・・同棲じゃないぞ?部屋は別々だ」
「リュート、そういう問題じゃないんだ。アンナとお前は幼馴染みだろ?リーナちゃんと1つ屋根の下で暮らす事がね・・」
バーナスは、リュートに告げる言葉の後半をリーナに視線を向けて濁す。
「はぁ?俺とリーナは店主と従業員の関係なんだぞ?」
「女って生き物は、複雑なんだよ」
「・・・・」
リュートは、先程アンナが出て行ったドアを無言で見つめていた。