52話 討伐祭4日目・・狩ろうとする者
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ミーシャが無言で立ち去り2人となったルカとミウは、言葉を交わすことなく荷台へと戻りリュートを挟むように寝転び離れた場所から時より聞こえるガイアスの笑い声を耳にする2人はしばらく無言で幌を見つめていたが、ミウが胸に溜めていた言葉を溢れ出すように口を開く。
「ルカさん、わたし・・わたし悔しいです。あの男に、リュートさんを化物呼ばわりされたことを・・」
「はい・・私も、とても悔しいですミウさん」
それ以降2人は言葉を交わすことなく夕食を食べることなく、ただ遠くから聞こえてくるガイアスの笑い声に腹が立ちつつ何もできない2人は、涙を流しながら眠りにつき朝を迎えたのだった。
ルカは眠るという習慣が身についたのか、ミウと寝てしまったことに焦り慌ててリュートの顔を覗き込むと黒い瞳と視線が重なり合う。
「リュート様!」
「・・おはよ、ルカ。ここは?」
「馬車の中です」
「そうか・・俺は、両足と左腕を失ったんだな・・」
「今はです・・必ず元の姿に戻します」
「ありがとう、ルカ」
リュートは、唯一動かせる右腕を伸ばしルカの頬に優しく触れる。
「リュート様・・」
ルカはリュートの右手を両手で包み込むと、リュートに顔を引き寄せられてしまい顔が近くなる。
「・・リュート様?」
「まりょく・・足りてないだろ?」
リュートはルカに口付けして魔力譲渡を始める・・ステータスの数値的にMPはルカの方が高いが、リュートの魔力がルカへと流れ込むと膨大な量へと変換され蓄積される。
「んぅ・・ぷはっ・・はぁ、はぁ・・」
枯渇していたルカの体内魔力が十分満たされたことにより、カサついていたルカの唇は潤っていく。
重ねていた唇を離し、ルカはそのまま立ち上がるとミウも目を覚まし起き上がる。
「ルカさん、おはようございます」
「おはよう、ミウ」
立ち上がっているルカの言葉ではなく、隣りからリュートの声が聞こえミウは顔を向けると、その視線の先に黒い瞳と視線が重なり思わず抱き付いた。
「リュートさん!」
リュートの胸元に顔を埋めるミウの頭をリュートは右手で優しく撫でる。
「ごめんな、ミウ・・迷惑かけちまったな」
「かけてないです・・目が覚めて良かったです」
リュートが目を覚ましたことにより、ルカとミウの顔に少しだけ明るさが戻りリュートが右腕1本で起き上がろうとする姿にルカとミウが支え合い起こす。
「ありがと、とりあえず街に戻ろうか」
「はい、リュート様」
「はいです」
リュートは、ミウ特製毛布で座り右腕で背もたれを掴み外を眺める。
その間にルカは出発の準備を終わらせ、リュートの隣りにミウが座る。
「リュートさん、落ちないよう傍にいますね」
「よろしくな、ミウ」
「・・出発します」
ルカがゆっくりと動かし馬車を反転させて山道を下ろうとしたところで、ガイアスに止められてしまった。
「やっと帰るみたいだな・・」
「そうですが」
ガイアスに声をかけらえたルカは、素直に答える。
「もう使い物にならない主は、魔物の餌として山にちゃんと棄てて来たのか?」
「俺がなんだって〜?」
荷台から聞こえるリュートの声に驚いたガイアスは、驚きながらも後ろへと足を向けると声が聞こえたのかミーシャも近づいて荷台の後ろへと駆け寄っていた。
「・・生きてたのか?」
「なんとかな・・これから2人で討伐か?」
ガイアスを見たリュートは、隣に立つミーシャの顔を見るも彼女に声をかけることはなかった。
「当然だろ?まぁ、どっかの誰かみたいに蜥蜴野郎に殺されかけることは無いけど・・な!」
荷台の後ろ側に座っていたリュートを掴み、強引に地面へと引きづり下ろしたガイアスは、そのままリュートを背中から叩きつける。
「がはっ!!」
「弱い・・弱すぎるぞ、平民商人!」
「リュートさんを離して!」
ミウは荷台から飛び降りて、リュートからガイアスを離そうとするものの、力負けしてリュートを助けることができない。
「お前も、俺のパーティーに入るか?・・この使えない男より、俺といる方が女としても幸せになるぞ?」
「ぜったいに、入りません!・・無理です!」
「そうか・・残念だ!」
そう呟いたガイアスはニヤついた後に、隠し持っていた解体用ナイフでリュートの喉元を狙い一気に振りかざし命を刈り取ろうとしたのだった・・・・。




