49話 討伐祭3日目・・絶対的強者
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全身が漆黒のゴツゴツとした皮膚を持つドラゴンが森の木をなぎ倒しながら姿を見せ、逃げ惑う冒険者達へと顔を向け立ち止まるも、足元で絶命しているアースドラゴンを咥え、ゴリゴリと音を立てながら食した。
「ド、ドラゴン・・だよな?」
リュートは、初めてみるドラゴンを見上げ、鼓動を加速させていく胸を押さえ落ち着かせようと必死だった。
「リュート様、このままでは危険です」
「逃げよう・・勝てる相手じゃない」
リュートは、隣で座り込んでいるミウを抱き抱えると、その姿をみたミウは悲鳴を上げてしまい目の前にいるドラゴンに居場所をバレてしまう。
「クソッ!気付かれた・・ルカ、ミウを連れて馬車まで逃げろ!」
「リュート様!」
リュートはミウをルカに託し、茂みから飛び出し漆黒のドラゴンを見上げ1人で対峙する。
「・・勝てる気が、全然しねーな!」
背後にいるルカとミウの逃げる時間を稼ぐため、片手剣を抜刀し掴めない間合いを探りながらドラゴンの瞳を見る。
まとわり付く羽虫を見るような瞳で見下ろすドラゴンは、逃げ惑う冒険者よりも近くにいるリュートに興味を持ち顔を僅かに下げ短く唸る。
グルルゥ・・
漆黒のドラゴンから放たれる威圧が、リュートに死を連想させ片手剣を持つ右腕は小刻みに震えていることに気付き、落ち着かせるため本能的に魔力を体内に循環させその魔力がリュートの右手から握る片手剣へと流れると、片手剣が同調するかのように振動し刀身が白銀色に輝き出す。
グルッ・・
リュートの持つ片手剣が白銀色に輝いたことに警戒したドラゴンは、迷うことなくブレスを吐き出す。
ゴワァ!
「死ぬっ!・・」
突然襲いかかるブレスにリュートは、ギリギリのところで回避するも熱波で服は左半分焼け焦げてしまい熱を帯びた身体にポーションを振りかけて回復を促進させ痛みを堪えながら走り移動する。
「はぁ・・はぁ・・参ったな。このままじゃ、一方的に蹂躙されるだけだな」
リュートは、ワイバーンなら討伐経験はあるものの、さすがにドラゴンを相手にしたことはない。
活路を見出せないリュートは、ほんの数秒だけ片手剣を見つめ脅威であるドラゴンを見ていると、自身からドラゴンの顔が逸れて左へと向けた。
「リュート様!」
その直後にルカの声が聞こえ、茂みからダガーナイフを持ったルカがリュートの元へと駆け寄る姿があった。
「ルカ、来るな!」
ルカを視認した漆黒のドラゴンは、標的をリュートからルカへと変更し捕食しようと口を開けながら襲い掛かる。
「させるか!」
目の前にドラゴンを見ることなく自分へと駆け寄るルカだけでも助けようと飛び出し、リュートはドラゴンの口元へと狙いをつけて片手剣で斬りかかる。
ズシャッ!
グギャァァ!!
左側の口元を片手剣で斬られたドラゴンは、攻撃から防御へと巨体を右に降り喉元近くにいるリュートを長く鋭い尻尾で叩きつけて吹き飛ばす。
ドォンッ!
ドラゴンの鳴き声の後に鈍い音が響き渡り、リュートの身体は木々を薙ぎ倒しながら吹き飛んでいき姿を消していく。
「リュートさまー!!」
目の前で血飛沫を上げながら弾丸のように吹き飛ばされるリュートを目で追いながら泣き叫ぶルカの顔面を、彼の撒き散らす赤い血で染める。
ルカは、目の前の衝撃的過ぎる光景にドラゴンの存在を忘れ全力でリュートが吹き飛んで行った方向に駆け出したのだった。
大人が全身を隠せる程の木が根本の途中から裂けるように折れているのを見ながらルカは、リュートの姿を探し走り続けていると、1本の折れかけた木にリュートが持っていた片手剣が突き刺さっていたのをルカは見つけ名前を呼んだ。
「リュート様!」
片手剣が突き刺さっていた木の根本に仰向けでリュートが倒れている姿を見たルカは、彼の姿に絶句する。
「・・・・」
リュートは右手だけを残し両足と左腕を引き裂かれたかのように失い、腹部も半分以上も抉れ臓物が地面へと溢れ落ちてその姿を見せている。
「イヤ・・こんなのイヤ・・認めない・・」
リュートの魔力で生きているルカは、繋がりが急激に薄まり消滅していくのを感じている。このまま彼を失うと魔力譲渡してくれる唯一の相手がいなくなり、分け与えられ残っている今の魔力が尽きると自身も活動できず死んでしまう。
グルオォォ・・・・
ドラゴンが唸り声を上げて、木々を薙ぎ倒しながら空へと翼を羽ばたかせ飛び去っていく姿をルカは振り向き見送った。
「・・早く、リュート様を!」
血溜まりで目を瞑るリュートへと駆け寄り血溜まりに膝をつけるルカの両足は、リュートの血で真っ赤に染まっていく。
「治癒魔法リジェネレーション・ヒール!」
ルカは、リュートの命を救うため自身の魔法を枯渇することを恐れることなく、治癒魔法リジェネレーション・ヒールを詠唱し、全身を襲う虚脱感に抗いながら治癒を行使していくも途中で意識を手放したのだった・・・・。




