48話 討伐祭3日目・・高位ランクの魔物の存在
アクセスありがとうございます
リュート達は、レッドダニーの森を抜けて山の麓で野営した。深夜に馬を狙った魔物達が2回襲撃したものの、ミウの魔法により撃退されそれ以降襲うことはなかった。
夜明けと共に先にルカが動き出す。まるちどぉーるである彼女に睡眠は必要では無いため、リュートの横で横になり目を瞑るも意識を完全に失う状態にはなっていない。
パチッと青紫色の瞳が幌を見てから上半身をゆっくりと起こすと、横で寝ているリュートの寝顔を見つめソッと頬に触れる。
「・・・・」
「・・んっ」
リュートは、ゆっくりと閉じていた瞳を開けて黒い瞳でルカを見つめる。
「おはよ、ルカ・・」
「おはようございます、リュート様」
2人が起きて動いたことによって荷台がわずかに揺れたことで、ミウも目を覚まし寝ぼけたままリュートに抱き付く。
「んにゅ〜・・」
小さく寝言を呟くミウは、抱き締めていた何かがいつもと違う感触になり、うっすらと開いていた瞳が大きくなり桜色の瞳がリュートを認識する。
「あわゎゎゎ・・・・」
「おはよう、ミウ・・俺は、抱き枕かな?」
「リュートさん・・なのです」
混乱したミウは、身体が硬直し固まって動けなくなりリュートに腕を外され朝の支度を終わらせ、ルカが準備した朝食を食べてリュート達は出発し、緩やかな勾配の道を移動し山の中腹を目指す。
これから高位ランクの魔物を討伐するため山道を移動するなかで、ミウは朝から魔眼を発動し緊張した面持ちで警戒している。
そんな彼女の横で、リュートはいつも通りの雰囲気で景色を眺めている。
「リュート様、ここから先は道が狭くて馬車で行けないようです」
「わかった〜ここから先は、歩いて行こう」
ルカは馬車を道の端へと寄せた後に、魔物除けグッズを馬の周囲に配置してリュートとミウの元へと向かう。
「リュート様、準備が整いました」
馬車が通れないぐらいの道幅の山道をリュート達は、並んで歩いて歩く。
「ミウ、朝からずっと魔眼を発動してるけど魔力は残ってる?」
「大丈夫ですよ、少しづつ制御できるようになりましたから」
ミウの魔眼が発動している桜色の瞳に浮かぶ紋章を覗き込みながらリュートは聞き、彼女の返答を信じてそのまま魔物討伐のため歩き続ける。
「リュートさん、向こうに魔物を囲む大勢の気配があります!」
リュートの右側を歩くミウが立ち止まり指を差し、彼女の声にリュートが足を止めるとるかも足を止める。
「・・いるね、少し様子を見に行こう。ミウ、先導をよろしく」
「はいです!」
リュートの要請にミウは笑顔で頷き、道から茂みへと突き進む。
「リュートさん、ここからは音と気配を消すためにゆっくり行きます」
「わかった」
ミウは行く手と足元を見ながら慎重に歩き出し、リュート達の前を歩きしばらく進んだところで止まり振り向きリュートと視線を重ねた。
「リュートさん、この木の向こう側に・・」
手招きするミウの横へと音を出さないよう歩いたリュートは、気配探知で捉えていた気配を自分の目で視認する。
「アースドラゴンと学園生パーティー・・・・が3組くらいの合同パーティーかな」
リュートの視線の先には、赤土のような赤茶色の短い四つ足で対峙する全長4メートル程のアースドラゴンを16人の人族が扇状に立っていた。
グルオォォ!!
威嚇するように大きく口を開き鋭利な牙を見せ唸り声をあげるアースドラゴンは、太い尻尾で地面を叩きつけドスドスと地響きを鳴らし人族の中央へと突撃する。
見た目よりも動き速いアースドラゴンを中央の先頭に立つ学園生の少年が両手剣を構えたまま動けずにいると、戦い慣れていた周囲の冒険者の魔法士達が牽制の火魔法ファイヤーアローを放つ。
ボンボンッ!
狙いが外れ、アースドラゴンの足元にファイヤーアローが2発着弾し砂埃が舞うものの、恐ることもなくアースドラゴンは、両手剣を構え動けない学園生の少年の腹部を大きな口で咥え高く持ち上げ血飛沫を周囲へと飛散させる。
「「「 バウルッ!! 」」」
アースドラゴンの初撃の犠牲となった学園生の名前を周囲の学園生が叫ぶ。そして、口の中で絶命しビクビクと痙攣しなくなった獲物に興味を失くしたのか、高く上げていた頭を左下へと振りながら獲物を投げ飛ばす。
ドシャッ・・
腹部から上下に分断され体内に残った赤い血を地面へと垂れ流す死骸を、アースドラゴンは石ころの様に踏み潰し肉塊へと無惨な姿となった。
「この、蜥蜴野郎がぁ〜!!」
目の前で同級生が殺されたことに激昂した、金髪の学園生の少年は魔法杖を掲げ魔法を詠唱し風魔法ウインドカッターを放つ。
少年が放ったウインドカッターは、アースドラゴンの硬い頭部を浅く抉っただけで、僅かな流血だけの成果だった。
討伐祭は、学園主導の伝統行事のため実力のある冒険者は自ら行動を起こすことなく全て学園生の指示で動いているが、パーティーリーダーである学園生が死亡した場合は、その限りではない。
「お前ら!元の配置に戻るぞ!」
アースドラゴンに殺された学園生の近くにいた冒険者5人は、男剣士の声で素早く動き態勢を整えた。
「冒険者の実力なら、アースドラゴンを倒せそうだな・・」
そう呟くリュートに一瞬視線を向けたミウは、再びアースドラゴンに視線を戻す。
それからは、先頭で立っていた学園生2人は冒険者達の後ろへと足早に移動し何かを叫んだ後は、冒険者達の声が飛び交い長い時間をかけてボロボロの姿となり、アースドラゴンに辛勝する。
「終わったようですね、リュートさん」
「あんなにボロボロじゃ、今日の討伐は厳しそうだな・・」
ドォン・・ドォン・・
アースドラゴンの周囲に座り込み、ポーションを飲んでいる冒険者と学園生達の元へと新たな脅威が近付く足音が聞こえてくる。
「に・・逃げるぞ!」
飲んでいたポーションに即効性があったのか、冒険者達と学園生2人は立ち上がりリュート達がいる右の方へと逃げ始めるものの一足遅かったようだ。
ゴウゥ!!
「ブ・・ブレスがくるぞー!」
茂みの向こう側から、火炎が木々を燃やしながら背中を見せて走る冒険者達へと襲いかかる・・・・が僅かに逸れて、左側にいた冒険者達数人が燃えて炭化となり地面に転がり砕け散る。
グギュオォォォーー!!
直後にアースドラゴンとは比較にならない程の威圧を放つ唸り声が周囲に響きわたり、ミウは恐怖のあまり足が震え座り込む。そして、恐慌状態となった学園生2人と一部の冒険者達は意識を手放し受け身を取ることなく地面へと倒れ転がったのだった・・・・。




