幕間・・裏切りを知る者
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「リーナ!何があった?」
「・・うぅ・・バーナスさん・・・・もう、落ち着きましたから」
リーナは、バーナスが腰に腕を回してきたため、掴んでいたシャツを離し2歩下がり涙を拭く。
「そ、そうか・・」
「すいません、急に・・お帰りが早かったですね」
「まぁね。抜けたアンナの野郎の代わりの女魔法士が優秀でね・・メンバー総意で加入が決まったんだ」
「それは良かったですね・・そうだ、まだ店の準備が残ってるので続けますね」
そうバーナスに告げたリーナは、背後にまだ積み上がっている箱へと移動し商品を並び始め、その姿をみたバーナスは小さく舌打ちをして2階の自身の部屋へと向かったのだった。
リーナの作業は日付が変わった頃に終わり、音を立てないよう2階へと戻り今日という1日を終えた・・。
いつもの朝を迎えたリーナは、密かに作っていた木製の看板を店のドアに掲げ営業中の看板もその下に掲げた後にリーナ自身が店先で呼び込みをする。
「おはようございます!今日から新しく日用雑貨のお店を始めました!商店リーナルです・・どうぞ寄って見てください!」
リーナの呼びかけに通りを歩く人達が数人店へと入っていく。その中には、向かいにある商店の出勤前の客引きお姉さん達も店へと入って行った。
初日からの嬉しい客入りにリーナは笑顔で店へと戻り対応をしていく。
「お嬢さん、元気そうね」
「はい、お姉さん達のお店には負けませんよ」
客引きのお姉さん達と会話をしながら雑貨が売れていく中で、1人の女冒険者がリーナに声をかける。
「リーナちゃん、来ちゃった」
「ありがとうございます。メリナさん」
メリナは、バーナスのパーティーメンバーの1人で肩まで伸ばした茶髪で茶色の瞳を持つ女剣士だ。リュートとは挨拶をする程度の関係でアンナよりも関係は深くないため、リュートの店がリーナの店に変わっても特に関心が無いというのが周りの反応だった。
本当の2人の関係は、アンナと同じように深い関係で互いを信頼しているほどの繋がりを持つ彼女だ。
それから店が入って来た客で騒がしくなった頃に2階の自室にいたバーナスが売り場へと姿を現す。
「あら、バーナスじゃない・・本当にリーナちゃんと同居しているのね」
「なんだ・・メリナか」
「バーナス、最近リュートくんを見かけないんだけど知らない?」
「リュート?・・・・そういえば、最近見かけないな・・どっか仕入れにでも行ってんじゃないか?」
「そう・・リーナちゃんはどう?」
メリナの鋭い瞳に言葉を一瞬詰まらせたリーナは、グッと締まった喉を必死に解放し口を開く。
「リ・・リュートさんは・・見てないです」
「そう・・リュートの特製ポーションが売ってると思ったのになぁ〜」
「メリナ・・ここはリーナの店だぞ?あいつの物が売っているはずがないだろ?・・それにお前とアイツは、そんな親しい関係でもねーし」
「そうね・・貴方達から見れば、そう見えるわね」
「メリナさん?」
「ふふっ・・なんでもないのよ、リーナちゃん。それよりもバーナス・・今日は新しく入った魔法士の子と魔物討伐に行く日よ?早く支度をしてギルドに来なさい」
「はぁ・・そうだったな・・今から支度していくから先に行っててくれ」
「わかったわ・・」
メリナは去り際にリーナの紅目を見つめた後にスッと顔を近づけ耳元で小さく冷たい声でささやいた。
「・・この、クソビッチ。私は全て知っているんだから」
「えっ?」
「それじゃ〜リーナちゃん、お仕事頑張ってね〜!バイバ〜イ!!」
リーナから離れた女剣士メリナは、笑顔で手を振りながら店から出て行き姿を消した。
そんなメリナに対し、リーナは無言でただ手を小さく振ることしかできなかった。
「お、おい・・リーナ?顔が真っ青だぞ?」
「・・・・へ?」
バーナスに両肩を掴まれ揺らされているリーナは、メリナから言われた言葉に全身が震え力が抜けていくのを感じながら意識を手放したのだった・・・・。




