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39話 ランオン学園 討伐祭初日の朝①

アクセスありがとうございます


「ルカ、ミウ・・お待たせ、帰ろう」


「「 はい 」」


 奥の個室から出て来たリュートは、窓際の席で座っていた2人に声をかけて外に出ようと出口へと向かうと、ミーシャの後ろにいた男達が無言で行く手を阻む。


「・・・・・」


「・・貴族令嬢様との契約は結んだ・・彼女の心配事は解決されたから問題ないよ」


 リュートが男達にそう告げると、無言で道を空ける。


「どうも・・」


 リュート達はそのまま店を出て大通りを歩く。


「リュート様、どのような話しをされていたのですか?」


「大量のポーションが急に必要になったから買わせてくれって話しだったよルカ」


「大量にですか?貴族令嬢が、そんな大量にポーションが必要なのでしょうか?」


「なんかさ、学園の討伐祭に参加するからだって」


「討伐祭ですか?」


 リュートの右側を歩いていたミウが討伐祭の言葉に反応する。


「ミウ、何か知っているの?」


「はい・・たしかランオン学園が主催する討伐祭ですよね・・私も過去に学生の野営の護衛として参加したことがありますので」


「マジか・・わかる範囲で教えて」


「はい・・卒業を迎える学園生が学園が指定する場所で10日間魔物を討伐します。魔物ランクは下がCランクで上がSランクまでで、護衛の冒険者を除く1パーティー5人以内で編成され活動します」


「学生がSランクの魔物と戦うのかよ・・死ぬリスクが高くない?」


「はい、毎年数名の死者は出ているようですが、伝統行事と与えられる名誉のせいで軽視されています。それと・・


「それと?」


「同級生同士の蹴落とし裏切りは常であり、始まる前から戦いは始まっているのです」


「なんか人の醜い部分が若い時から滲み出ているね」


「はい・・」


 そのまま宿屋へと戻り部屋のベッドで寝転んだリュートは、外が暗くなり部屋が暗くなると同時に眠りについてしまった。


「リュートさん・・リュートさん起きてください」


「ん・・ミウ?」


「おはようございます。朝ですよリュートさん」


「もう朝か・・何時?」


「7時です。そろそろ討伐祭のパーティーが出発する頃ですよ」


「やばっ!」


 リュートはガバッと体を起こしベッドから出る。


「きゃっ」


 ミウは急に起き上がるリュートに驚き床に尻餅を付いてしまう。


「ゴメン、ミウ・・急いで学園に行かなきゃ」


「はい、リュートさん」


 リュートと一緒に寝ていたルカは遅れて起き上がり着替えを終わらせると、乱れた布団を綺麗に整える。


「ルカさん・・」


「ミウちゃん、女はどんな時も冷静沈着でリュート様をサポートすることもあるのですよ」


「はぁ・・」


「よし、お待たせ、今からランオン学園に行くよ・・ミウ案内よろしく」


「えっ?わ、わたしがですか?」


「あぁ、俺とルカは何処にあるか知らないし・・」


「そんな・・」


「ミウちゃん、女は冷静沈着にですよ・・」


「そうですね、ルカさん。わかりました・・時間が無いので急ぎますよリュートさん!」


「おぉ!」


 ミウを先頭に宿を出て大通りを走りランオン学園へと向かった。


(わたしが2人の先導してる・・・・ずっとアンジュとマリンの背中を見て歩いていた私の背中をリュートさんとルカさんがついて来てくれてる。期待に応えないと・・)


 休むことなく走り続けるミウは息を切らして、やっとの思いでランオン学園の正門前へと辿り着く。


「はぁ・・はぁ・・リュートさん、ここがランオン学園ですぅ」


「お疲れ様、ミウ・・ゆっくり休んでいて」


「は、はい・・ありがとうございます」


 その場に座り込んだミウは顔を見上げると、少しも息を切らしていないリュートとルカの表情に驚いていた。


(息も上がってない?・・数十分も走って来たのに・・)


 ミウは正門へ近づくリュートの背を見送り、完全に上がってしまった呼吸を落ち着かせるためこのまま座って休むことしている。


「お〜い!」


 リュートは正門から学園の敷地へと一歩入ったところで足を止めてミーシャの姿を探すも、彼女の姿が無い。


「お〜い!いないのか〜??」


 リュートは、あえて名前を呼ばずにミーシャが返事をするまで呼び続けていると、門近くにあった大木の影から金髪赤目の制服に身を纏った少年が1人姿を見せてリュートに爽やかな笑顔を見せながら近づいて来た。


「どうなされましたか?」


「あ、おはようございます」


「おはようございます」


 リュートは初対面に対しては、多少なりと礼儀は見せる。


「あのですね、8時にこの場所でお客さんと待ち合わせていたのですが、姿がなくてですね・・」


「ボクは、当学園生徒会長のヨルン=コビナートです。あなたは?」


「私は、行商人をしているリュートと言います。この子は同じくルカ。その隣りが護衛のミウです」


 ルカとミウが生徒会長と名乗る少年に一礼すると、ヨルンは白い歯を輝かせながら手を振っていた。


「それで、リュートさんが探しているお客さんというのは、学園の教師の誰かでしょうか?」


「いえ、女子生徒です・・」


「女子生徒・・ですか。何をお渡しに?」


「それは契約によりお話しできません」


「くっ・・しかし、外部の行商人と契約をする生徒がいるとは・・少し問題ですね」


「そうなんですか?」


「はい。生活必需品以外の物は、学園指定の商店で金銭を支払い購入しなければいけない規則があります。もし銅貨1枚でも支払ってポーションなどを購入した場合は規則違反で処罰の対象ですからね」


 ニヤつく生徒会長ヨルンを見ながら、リュートは自身の客がミーシャだとバレたことに気づき、思い切って彼女の名前を出す。


「なるほどね・・それじゃ、ミーシャ様をここに呼んでくれますか?生徒会長さん」


「プッ・・ミーシャをここにですか?」


「はい・・ミーシャ様に渡すモノがありますから」


 リュート達を見て手ぶらな事に笑いが止まらない生徒会長ヨルンは、見下した態度となり告げる。


「無様だね・・手ぶらでミーシャにあっても無意味だよ・・彼女はもう参加する資格すら無いんだからさ」


「それはどういう意味だ?」


 少しだけ苛立ったリュートは、口調を普段通りに戻す。


「ほら・・噂をすればだよ・・」


 生徒会長ヨルンが顔を向けた報告にリュートは視線を向けると、少しだけ制服が乱れ長い金髪がボサボサになり俯いて力なくこちらに向かって歩くミーシャの姿が目に入ったのだった・・・・。


 

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