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4話 人材確保

2ヶ月振りの投稿です。

ブクマしてくれた方、本当にすいません。

不定期更新ですがお付き合いお願いします。


「さてと・・サラッと作りますかね」


 

 自宅兼店舗の地下にリュートしか知らない地下室でポーション製作に励んでいる。リュートは、錬成魔法を屈指して世間のポーション作りをしている職人達が1本完成させる時間で10 本を簡単に完成するペースを半日持続させることができる。


 もちろんリュート本人は全力でやっている気持ちだが、ステータス的には半分のチカラも出していない。



「よし・・とりあえず、HPとMP回復ポーション100本ずつ完成だ。これで、お姉さん達を眺める時間ができたぞ」


 リュートは、作業台に並べられたポーション入り瓶をマジックポーチに収納し秘密の地下室から出て店舗へ戻って行く。


「今日は、とりあえず50本ずつ並べたら終わりだな」


 ポーションを棚に陳列し終わったリュートは、いつものソファに座り、通りで勧誘している好みのお姉さん達を眺めて過ごしている。


「いいオシリだ・・・・」


 リュートが幸せな時間を過ごしていると、何者かが店に入ろうとしている。


 ガチャッ


 ドアが開く音を聞いてもリュートは見向きもせず、視線は通りのお姉さんを捕捉したまま接客する気がゼロのリュートを見つめる客が1人。


「あの・・・・」


「・・・・・・」


 客は、勇気を振り絞り出した一言に無反応のリュート。


「あ、あれ?寝ているのかな?」


 客は無反応のリュートをジッと見つめている。


 チラッ


 ビクッ!!


 リュートの視線がチラ見で客を捉えると、銀髪少女が全身をビクつかせ立っているを見たが興味なく視線を戻した後、少女の右肘がカウンターにぶつける。


 ゴンッ


「ゴメンなさい」


「・・気にするな、ウサパンちゃん」


「ぁぅ・・」


 リュートの店に入ってきたのは、昨夜派手に暴れ回りポーション瓶を割りまくり姿を消した銀髪少女本人だった。


「ウサパンちゃん、俺は業務多忙だから欲しい物あったら好きに取ってカウンターに金を置いてくれな」


「えっ?・・座っているだけじゃ?」


「ん?」


「ヒッ」


 リュートにほんの一瞬だけ睨まれた少女は、重たく冷たい空気を全身に浴びブワッと冷や汗をかき出そうとした言葉が出せず固まってしまった。


 しばらく店内に静かな時間が流れ、耐え切れなくなったであろう少女が重い足取りでリュートへと近づき反対側のソファに座りリュートの横顔を紅目(あかめ)で見つめる。


「・・・・・・」


「ウサパンちゃん、なんのよう?」


「ぅ、あの・・壊した商品の弁償を・・でも今はお金が無くて、ゴメンなさい」


 ゴンッ


 銀髪少女は、勢いよく机に額をぶつけて謝罪し長く綺麗な銀髪が床に垂れ下がっている。



「そうか・・金が無いなら、衛兵につき出すしかないな」


「・・・・そ、それだけは」


 伏せたまま懇願する銀髪少女は、僅かながら震えている。このまま衛兵に捕まり有罪になると、最悪は犯罪奴隷に堕ちてしまうからである。


「それなら、1つだけ道があるけど・・どう?」


「はい・・教えてください」


「それは、俺の・・・・」


「お、俺の?・・・・・・」


 銀髪少女はゆっくりと涙目になった顔を上げてリュートを見上げると、物凄い悪い顔をするリュートが見下ろし口を開く。



「・・店の従業員な。もちろん、無給で」


「・・え?」


「イヤなの?」


 困惑している銀髪少女に考える余裕を与えずにリュートは、威圧して答えを誘導していく。そして、銀髪少女が気付いた時には、もう選択肢が残ってなかった。


「わかりました・・あなたの従業員になります」


「契約完了だ・・俺はリュート。よろしくね、ウサパンちゃん」


「ウサ・・じゃないです。リーナです」


 この瞬間、初めてリュートの店に従業員が生まれた。見た目とは裏腹に、人件費ゼロの従業員が確保できた嬉しさに叫びたい気持ちをなんとか抑え冷静さを装いながら告げる。


「リーナ。もちろん住み込みで働いてもらう。部屋は2階にあるから、今日中に荷物を入れておくようにな」


「す・・住み込み!ですか?・・わかりましたぁ」


 リュートに見られないように右手を背中に回しギュッと強く握りしめ震えている。リーナは、この街の人間では無く日々泊まる場所に困っていたのだ。それが無給の従業員とはいえ雨風を凌げる場所を確保できたことが嬉しくてたまらなかった。



「それでは、荷物を取りに戻ります」


「おぅ、暗くなるまでには戻ってこいよ。夕飯の時間があるから」


「・・・・はい」


 そう言い残し、リーナは足早に店を出て行ったのだった。






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