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32話 押し掛け冒険者ミウ

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「あの、お客さん?」


 固まる3人に痺れを切らした女従業員が声をかけ、リュートが振り向く。


「えっと・・」


 戸惑うリュートのシャツの袖を掴むミウ・・。


「お客さん?」


 これから修羅場が始まると期待する女従業員の視線は、ルカとミウの顔を交互に向ける。


「・・追加分です」


 先に行動したのはルカだった・・。リュートと同じ魔力性質を持つ彼女は、アイテムボックスに右手を突っ込み素早く銀貨を掴みカウンターに置く。


「た、たしかにちょうどですね・・」


「ル、ルカさん?」


 微妙な空気から逃げたくなった女従業員は、リュートに部屋の鍵を渡しながら早口で説明し移動するのを催促する。


「どうぞ、ごゆっくり〜」


 背中を押されるかのように部屋へと向かうリュートは、一度も振り向くこともなく割り当てられた3人部屋へと入る。


 部屋に入ったリュートは、ベッドやソファに座ることなく自発的に床の上で正座の姿勢となりルカの顔を見れず俯き黙る。


「あの・・」


 ミウが小さな声で発すると。


「いいんですよ、ミウさん」


 ルカに言葉を遮られてしまい言葉を飲み込み、コクッと頷いた。


「リュート様、自覚はありますよね?」


「は、はい・・それなりに」


「そうですか・・でしたら、顔を上げてミウさんにお伝えください」


「はい・・」


 リュートが顔を上げると、視線の先には聖女のような微笑みで見つめるルカの姿があり、リュートの心は震えてしまうも、隣に立つミウの真紅色の綺麗な瞳を見つめ口を開く。


「ミウ、あのな・・」


 彼女をあのパーティーのところへ帰るよう告げようとしたところで、ミウは察したのか、先制する。


「リュートさん、これからずっとお世話になります!!」


「えっ?・・世話になるって?」


 ミウは1歩踏み出す。


「はい、これからはリュートさんとルカさんと共に生きていくことにしました」


「「 はい?? 」」


 ミウの言葉にリュートとルカが理解できず固まっていた。


「どうされましたか?」


「あの、ミウさん?リュート様と共に生きていくとは、どういうことでしょうか?」


「えっと・・その、一緒にいたアンジュとマリンが冒険者を辞めてしまいました。そして、まだ続けていたい私は1人では無理なのでリュートさんの傍にいれば護衛兼・・妾でもいいのでお世話にと・・」


「め、妾って・・ミウ、意味を知ってて言ってるの?」


「は、はい・・」


 顔を紅潮させるミウは、両手をギュッと握ってモジモジしている。


「ミウさん・・本気なのですね?」


 ルカが真剣な面持ちでミウに問う。


「はい。私は、本気です・・ルカさん」


 ルカは小さく溜息をついた。


「・・そうですか、安心してください。ミウさんの純潔は、私が責任を持ってお守りいたします」


「ルカさん・・」


「ちょっと、ルカさん?俺は、そんなに節操の無い男でしたか?」


 リュートの問いにルカが、ミウを庇うように告げた。


「男というものは、欲望のままに生きるケダモノです」


「・・・・否定はしません」


 突然、リュートとルカの元へ訪れた、冒険者ミウは今夜から2人と共に生きていくことに決まった。ミウの加入を祝って、宿を出た3人は夕食のため近くの飯屋へと移動する。


「ミウは、お酒飲めるの?」


「はい、16才なのでお酒を飲めますよ?リュートさん」


「わかったよ・・ルカも酒でいい?」


「はい、問題ありません」


 リュートは女店員を呼び、エールと夕食のオススメ3人分を注文して先にエールを持ってくるよう伝えた。


「はい、エールをお待たせしました〜」


 テーブルに置かれたジョッキを3人は手にすると、リュートがルカとミウを見る。


「え〜突然の出来事に驚いた俺だけど、ミウが俺とルカの護衛として加入したことを祝って・・」



「「「 かんぱ〜い!!! 」」」



 互いにジョッキを軽く当ててから、エールを口にする。久しぶりにエールを飲んだリュートは、ジョッキになみなみと注がれていたエールを一気に飲み干し、食事を持ってきた女従業員にエールのおかわりを注文する。


「リュートさん、お酒強いんですね?」


「いや・・そんなことないよ・・」


 何かの肉と忘れた料理を口にしながらリュートは答えると、あの2人と別れた理由を聞くか聞かないでいるか悩んでいた。


 人族の感情を読み取ることが苦手なのか、まるちどぉーるのルカは普通に聞いてしまう。


「ミウさん、どうしてアンジュさんとマリンさんと別れたのですか?」


「ばっ・・ルカ!」


「いいんです、リュートさん・・隠し事は無しですからね」


 ミウは食事していた手を止めて話し始める。


「えっと、簡単にいいますと、後衛職の魔法士である私が魔物の急襲に瀕死の重傷を負ってしまったことが、前衛職の2人が責任を感じたのと、幼馴染が目の前で死ぬのを見たくないからと・・言われまして、2人は地元の村に帰ると決めたのです」


「そうですか・・」


 さすがのルカも、落ち込むミウを見て何かを感じたようで、それ以上の追求はなく暗い空気がリュート達3人を包み込み始めた時にリュートが話題を変える。


「ミウはさ、得意な魔法は何?」


「・・私は、火魔法と風魔法が得意です。後は、生活魔法をそれなりにです」


「おぉ・・かなり優秀な魔法士だね・・他のパーティーから勧誘があったんじゃないの?」


「はい、ギルドではいくつかのパーティーからお誘いがありましたけど、全てお断りしました。魔法よりも、私の身体目当てのパーティーばかりでしたので・・」


 ミウの容姿は、背丈に比べ存在をかなり強調する双丘を持ち、顔を美少女だ・・・・突然ソロになった彼女を放っおく男冒険者達はいないのは確実だ。


「そうだよな・・」


 リュートの視線は、ミウの顔から少し下へと無意識に移動すると、ルカが席を立ち上がりミウを守るように手でミウの胸を隠そうとした。


「リュート様・・ダメですからね」


「わ、わかってるよ・・」


 スッと視線を逸らしたリュートは、誤魔化すようにエールを飲む。自身の胸にリュートの視線を感じたミウに嫌悪感は微塵もなく逆にもっと見て欲しいという感情があり、心の声が小さくこぼれていた。


「リュートさんなら、いいんですよぉ・・」


 ミウの小さな言葉を耳にしたルカは、それでもミウを守ろうとした・・なぜなら、先にカラダを許すのは私だと心に決めているルカだったからなのだ・・・・。


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