31話 迫る気配
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「ポーションを卸したいんだけど?」
「あぁ、はい・・納品ですね。えっと、当ギルドで売買登録されてますか?」
「いえ、初めてです」
「はぁ・・」
受付嬢は、受付終了が近い時間帯の初納品の相手は、1本ずつ鑑定を行うため残業確定に眉間にシワを寄せて溜息をついた。
「ダメですか?」
「受付時間内なので、対応できますが・・あなたの納品する商品は?」
「H Pポーションです」
「HPポーションですね・・」
受付嬢は納品鑑定証明書を取り出し品名を記入する。
「本日は何本でしょうか?」
「300ほど・・」
「そうですか・・さんびゃ・・さんびゃくぅ〜!?」
「は、はい・・」
「・・今日は、泊まり込み確定じゃない」
リュートから数量を聞いた受付嬢は、その場に泣き崩れるかのようにカウンターへと沈んでいく。
カウンターに沈んだままの受付嬢を見ながらリュートは、カウンターの上にポーション瓶を置くとルカが丁寧に整えていく。
カチャン・・カチャン・・
たまに瓶同士が当たり、小さく綺麗な音を奏でていることに気付いた受付嬢は目の前の現状に発狂する。
「なに勝手に並べとんじゃー!ここは、受付!納品は、あっちー!!」
カウンターから体を乗り出し、リュートの右側に指を指して納品窓口を教える。
「えぇ〜!せっかく並べてたのにぃ・・」
リュートは受付嬢に抗議するも認められず、粘っていると隣りにいるルカに諭される。
「リュート様、今夜中に換金しないと野宿ですよ?」
「おぅ・・そうだったね・・」
リュートは自然な流れで、カウンターに並べていた数十本のポーション瓶をアイテムボックスへと一瞬で収納し納品窓口へと移動した。
「消えた?瓶が・・初めて見たわ・・空間魔法持ってる商人を」
驚きを隠せない受付嬢は、初めて見た空間魔法を持つリュートを窓口から体を乗り出し納品窓口へと行く2人の背を見送る。
「買取りをお願いしまーす」
「いらっしゃい、あんまり見ない顔だね?ギルドカードを出してくれるかい?」
30代くらいだろう男ギルド職員にリュートはカードを手渡す。
「どうぞ」
「どうも・・あぁ行商人なんだね。たしか、ポーションの買取りだったかな?」
「はい。H Pポーション300本をお願いします」
「300本か・・これは久しぶりの職員殺しの案件だね・・応援を呼ぶからその間に、この魔法具の下に置いていてくれるかな?」
「わかりました」
リュートは、男ギルド職員が他の職員を呼びに行っている間にポーション瓶を並べて行き、少しして戻って来た職員達が魔法具で鑑定を始め、終わったポーション瓶を後ろの机へと無言で並べていく光景が続く。
「えっと、リュート君?・・参考にだけど、このポーションの等級は知っているのかな?」
「全部、低級ポーションだよ」
「そ、そうなのかい?」
男ギルド職員は、リュートの言葉に驚きの表情を見せるも静かに業務をこなした。
「・・・・これで、300本目です」
リュートは60本目から数えるのを諦めていたため、職員の男の声で出しかけていたポーション瓶をアイテムボックスへと静かに戻す。
「お疲れさま・・後は1人で対応できるから業務に復帰してくれ」
「わかりました。失礼します」
手伝いにきた男職員は、事務所の奥へと消えていく。
「リュート君、お待たせしたね。鑑定結果と換金代をこの紙に書いてあります。コレを先程の受付窓口で渡し金銭を受け取ってください」
「ありがとう・・」
「また、お売りに来てください・・」
手渡された紙の内容を見ることなく、リュートはあの受付嬢がいる窓口へと向かう。
「ま、また来たわね・・」
「ここにしか、受付嬢がいないじゃん」
「そうだったわ・」
「この紙を渡せってさ・・」
換金窓口で受け取った紙を結けじょうに渡すと彼女は、はいはいといいながら紙を見ることなく気怠そうに椅子から立ち上がり事務所の奥へと姿を消して行きしばらくすると・・。
「なんじゃー!!」
事務所の奥から悲鳴じみた声が聞こえ、重そうな麻袋を抱えた受付嬢が奥から姿を見せて、カウンターに勢いよく置く。
ドンッ!
「はぁ・・はぁ・・お待たせしました。中身を・・」
リュートは確認することなく、素早くアイテムボックスへと収納した。
「えっ?確認しないの?」
「帰りに見知らぬ奴らに襲撃されちゃいそうだから・・それじゃ、オヤスミ〜」
商人ギルドを出た2人は、今夜泊まる宿へと大通りを並んで歩く。
「リュート様・・」
「あぁ、わかってるよ・・このまま行くよ?」
「はい・・」
商人ギルドを出た直後から2人を尾行する気配をルカが口にすると、リュートも気付いているも静観する方針にルカは同意した。
しばらく宿への道をわざと大回りして、人の気配が無い道を歩いても襲ってくる様子がないため、根気負けしたリュートは諦めて宿へと入る。
「いらっしゃいませ・・」
昨日の昼間にいた少年とは違い、大人の女性が受付で対応してくれる。
「部屋空いてます?」
「はい、大丈夫ですよ〜」
リュートは、2人分の宿代を手渡すと、女性の視線がリュートの後ろへと向けて告げる。
「3名様では?」
「「 えっ?? 」」
同時に驚くリュートとルカは互いに顔を見合わせゆっくりと後ろに振り向くと、そこには背丈が低く肩まで伸ばした桜色の髪と真紅色の瞳を持つ少女が立っていた・・。
「・・ミウ?」
「はい・・・・」
「「「 ・・・・・・・ 」」」
リュートの問いに、ただ返事をするミウは何も言わずリュートを見つめ、ミウがここにいる理由がわからない2人は、かける言葉が浮かばず3人は無言のまま見つめあっていた・・。




