幕間・・裏切りの発覚
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銀髪紅瞳少女リーナ Side
リュートが店から去った夜に謎の全ポーション破裂現象から一夜明けた早朝の店内で、リーナは1人飛散したポーション瓶の破片を回収し終えて濡れたソファや家具を天日干しのため店先に出している。
「今日からワタシの店なんだよね・・」
店先から店舗兼住宅である家を眺め呟き、昨日まで軒先に掲げられてあった木彫りの看板は姿を消しフックだけを残してあった。
「はぁ・・ほんとにこれで良かったのかな?バーナスさんに言われたままにしたけど・・」
そう呟いているリーナの後ろから女が1人声をかけてくる。
「リーナちゃーん!おはよー」
「あっ・・おはようございます。ジェシカさん」
「昨日は大変だったのに、こんな朝早くから片付けてたの?」
「はい、寝てもすぐに目が覚めてしまうので・・」
実は夜が明ける前から店内を片付けていて、外が明るくなった時間帯から店先に物を運んでいたのだった。
そして事前に職人達と話をつけていた商人ギルド長ジェシカは、改装作業に来る職人達よりも先に店に来ると店先にいたリーナに声をかけたのだった。
「おう、ジェシカ!来たぜ!!」
リーナとジェシカが店先で話し込んでいるうちに。新たに男達5人がやって来て、先頭の坊主頭の男が親しそうにジェシカの名を呼ぶ。
「あら早かったじゃない、ズィーク。今日も二日酔いで昼前かと思っていたわ」
「バカやろう、新規のお客様の仕事初日に遅れるわけないだろ?」
「ふぅん・・新規お客様が、美少女だからじゃないの?」
ズィークは、ジェシカとのやりとりで、客が女とは聞いていたが美少女とは聞いていなかったため年甲斐も無く一目惚れしてしまう。
(可愛い・・前のやる気がなかったクソガキより最高じゃないか)
「そ、そんな事は・・ないわけでもないな・・ガッハッハッハッ!」
笑って誤魔化すズィークは、リーナから視線を逸らしジェシカを見る。
「それじゃ、ズィーク。今日からリーナちゃんのお店を頼むわよ?」
「任せな!完璧に仕上げてみせるぜ・・よし、お前ら道具を持て!始めるぞ?」
「「「 へいっ!!! 」」」
ズィーク達5人は店の中に入ると、躊躇う事なくカウンターや棚を破壊した後に内壁さえも破壊していき、長年続いた商店リューノスの姿を消していく。
その光景を少し見ていたジェシカは、興味を無くしたかのようにギルドへと出勤してしまったため、1人その光景をジッと見守るリーナの傍に新たな存在が近づく。
「おはよう、リーナちゃん!もう始まったみたいだね」
リーナは振り向き声をかけてきた主に視線を向けると、そこにはバーナスの姿があった。
「バーナスさん、おはようございます。今日も、1人ですか?」
「いや、今日はパーティー仲間とダンジョンに行く予定なんだ。ダンジョンは、朝早く出発するからその前に様子を見にきたんだよ・・」
「そうですか・・」
バーナスは笑顔で歩み寄りリーナの真横に立ち、改装作業が続けられている店を眺めているとズィークが汗を拭いながら外に出てきて2人と視線が重なる。
「おう?・・もしかして、リーナちゃんの彼氏かい?」
「いえ、違いますよズィークさん」
「そうかい?そこの彼は、満更でもないような感じだけどな・・まぁそれはいいとして、リーナちゃん今日中にジェシカの所へ行って営業権利証をもらっておいてくれな」
「わかりました・・」
「こっちは、暗くなるまでには一区切りつけておくから」
ズィークはそう言い残し、再び店の中へと入って行く。
その姿を見送った後に、リーナは顔を店に向けたままバーナスに問いかける。
「バーナスさん・・」
「なんだい?リーナちゃん」
「リュートさんは、どこにいるのでしょうか?」
「さぁな・・もう、あのリュートのことを忘れて俺と・・」
「そうだ!私はジェシカさんのところに行かないと・・」
バーナスの言葉を遮るかのようにリーナは声を上げて店の裏口へと足を動かし、2階にある自分の部屋へと急ぎ足でバーナスから離れた。
「リーナちゃん・・」
1人取り残されたバーナスは、離れるリーナの背中を見ながら舌打ちをして仲間を待たせている冒険者ギルドへと足を動かそうとした時だった・・。
「ねぇ!!・・リュートの店が、なんでこんなことになっているの?・・・・コラ!リュート!起きているなら、降りてきなさい!リュート!!」
「・・・・」
バーナスはこの場所で一番会いたくない幼馴染のアンナと遭遇してしまった。ギルドで待たせていたはずのパーティー仲間である彼女が早くもここに来てしまったことに対し言い訳を考える。
「ばかリュート・・まだ寝ているのかしら?ねぇ、バーナス。リュートの店が急に工事を始めた理由を知っているでしょ?私にも教えなさい!」
「ア、アンナ・・俺も久しぶりに来たから、この状況に驚いているんだ・・」
「そう・・バーナスなら知っていると思ったのに・・。こんな大切な店を工事するだなんて許せないわ・・早くとっ捕まえて聞き出さないと!」
何も知らないアンナは、またリュートが勝手に何かを始めたと勘違いしていることにバーナスは安堵するも、タイミング悪く裏口からリーナが姿を現してしまった・・。
「アンナさん、おはようございます」
「おはよ〜リーナちゃん。リュートは、まだ部屋で寝てるの?」
「えっ?」
リーナは、アンナは既に知っていると思っていて、彼女の質問に驚き視線をバーナスへと向ける。
「リーナちゃん、どうしたの?」
「バーナスさん・・」
リーナのいつもと違う反応に女の勘が働いたアンナは、視線をバーナスへと向けて問い詰める。
「バーナス!ちょっと、あんた何か隠しているでしょ!?」
「いや、何も隠してはいないぞ・・」
「本当に?・・・ねぇ、リーナちゃん。部屋で寝ているリュートを叩き起こして、ここに連れて来てくれる?ルルカさんとトライルさんから受け継いだ大切な店に何を始めたのか直接本人の口から聞きたいの」
「えっとですね・・その・・」
リーナはアンナに対しどう伝えるべきか躊躇して言葉を必死に探している。
「リーナちゃん、どうしちゃったの?」
「・・・・・・」
長い沈黙の後に、リーナはアンナに告げる。
「・・実はですね、もうここはリュートさんのお店ではなくなりました」
「・・・・えっ?どういうこと?リーナちゃん、意味がわからないわ」
リーナが俯き弱々しく語る言葉に、アンナは意味がわからず聞き返す。
「ですから・・もう、商店リューノスは閉店しました・・」
「はぇ?・・リューノスが閉店?」
「もういいだろ?それ以上は、リーナちゃんが可哀想だ。早くダンジョンに行くぞ、アンナ」
バーナスは、この話を終わらせるためアンナの右肩を掴む。
パンッ!
「フザケないで!リュートが、大切なリューノスを潰すわけないでしょ!?」
右肩に馴れ馴れしく置かれたバーナスの手を不快に感じ叩き飛ばす。
「落ち着けって、アンナ」
バーナスは、アンナに叩き飛ばされた右手をさすりながらアンナに声をかけるも、彼女はバーナスを睨みつけた後にリーナを見て荒げていた声から一転冷淡な口調で告げる。
「教えなさい、リーナ・・リュートに何があったの?」
「ひぃ・・」
冷淡な口調でリーナを問いただすアンナは、同時に魔力を高めていくため足元から砂埃が舞う。
「リュートは、もうココにはいねーんだよ!」
「えっ?」
開き直るかのように、バーナスは叫びアンナは驚きのあまり魔力の制御を忘れ飛散させた。
「・・ねぇ、どうしてリュートはいないの?」
「わ、私達が追い出しました」
「お・・追い出したですって?」
「はい・・だから、今は私とバーナスさんのお店なの・・ぐぇっ」
持っていた杖をリーナの下腹部に叩き込んだアンナは、その場に倒れ込んでいくリーナを横目にバーナスへと襲いかかるものの、魔法士と剣士のステータス差には勝つ事はできず打撃を避けられてしまい悔しさを漏らす。
「くっ・・」
「アンナ!リーナちゃんに、何してくれるんだ!早く謝れ!」
アンナは、怒りを露わにするバーナスから、背後で蹲るリーナを見て呟く。
「その言葉・・その言葉を。あなたた達2人に、そのまま返すわ!」
そのままアンナは、右手人差し指に長い間はめていた銀色のリング2つをバーナスに投げ捨てる。
「お前、そのリングは・・」
「そうよ、あの頃のリュートがいた頃に結成したパーティーの証・・リュートと私の分・・もうそのリングは、私にとって無用の長物よ・・」
パーティーリングを投げ捨てたアンナの表情は、すでに覚悟を決めた女の顔になっている。
「アンナお前・・その行為の意味わかってやってんだよなぁ?」
「バカにしないでくれる?もう私は・・いえ違うわ。もう幼い頃から決めていたの。だから最後に教えるわ。もう、バーナスと共にしない。ギルドへは、私が手続きを済ませるから」
アンナは、蹲っているリーナに近づいて強引に立たせると、先ほどとは違い穏やかな表情をしていることにリーナは恐怖を覚える。
「・・痛かったよね・・ゴメンね、リーナちゃん。1つだけ聞いてもいい?」
「・・は、はい。アンナさん」
「貴方は、本心でリュートを切り捨ててバーナスを選んだのね?」
「えっ・・えっとそれは・・」
「ゴメンなさい。愚問だったわね・・・・リーナちゃん、貴方は将来絶対に深く後悔して長く苦しむ日々が訪れるわ。本当に可哀想な子・・・・私は、今までずっとリュートの傍にいられる貴方が羨ましかったのよ?でも、それも今日でお終い・・私はどんなことがあろうとも、リュートを絶対に選ぶわ」
「アンナさん?」
「これで、最期よ。私は、リュートを選んでバーナスを切り捨てます。貴方は、バーナスを選んだのだからこの先ずっと寄り添って生きて行きなさい。そして、さようなら」
アンナは、掴んでいたリーナの胸ぐらを解放し歩き出し冒険者ギルドへと力強く去って行った。
この日以降バーナスとリーナは、アンナの姿や情報を見聞きする事はなかったのだった・・・・。




