27話 それぞれの悩み
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商人ギルドを出たリュートとルカは、今夜の宿を探し街を歩く。もう手持ち資金の底が見えていたためで、それなりの宿に泊まると急速的に生活が苦しくなる。
「ルカ・・しばらくは安宿で我慢してほしい」
「私はリュート様と一緒であれば、野宿でも構いません」
「さすがにルカを連れて野宿はね・・雨風を凌げる宿じゃないと」
「雨風など些細なことです。何日何十日であろうとも、一滴もリュート様を濡らすことなく快適な安らぎの空間を私が保証しますから」
「ルカ・・それだと、キミが休めないだろ?」
「心配無用ですよ。私は、リュート様から命を与えられた、まるちどぉーるなのです。リュート様から毎日魔力を頂いているので、睡眠という欲求は私にはありません」
「たしかにそうだけどさ・・俺はルカを普通の女の子として見ているから」
ルカはリュートの言葉に顔を紅くし、恥ずかしさを隠すためリュートにギュッと抱きつき耳元で囁く。
「ありがとうございます。ルカは使命を果たすその日まで、ずっと傍に・・」
リュートは胸元にに顔を埋めるルカの頭を優しく右手で撫でながら、左手を彼女の細い腰に回し抱き寄せた。
ルカとひと時の甘い時間を共有した後に宿屋街に行く途中にあった、出店が立ち並ぶ街の中央広場に辿り着き少しばかり商売ができそうな場所を探し歩く。
人並みをすり抜けて、やっと見つけた場所は人通りが少ない隅の方であったものの試しにと決めてポーション売りを始めた。
「「 ・・・・・・ 」」
地面に大きめな毛布を広げ、品質が中級のH Pポーションを数本並べて客を待つものの誰1人として足を止める人はいなかったのだった・・。
「・・1本も売れないね」
「そうですね・・」
「もう日も暮れてきたし、諦めて宿を探しに行こう」
「・・はい」
ルカの隣でリュートは空を見上げ、オレンジ色に染まっている雲を眺めながら深く溜息をついて立ち上がり、無言のまま片付けを終わらせ宿屋街へと歩き出し1つの安宿を見つける。
「ここで、いいかな・・」
元気なく呟くリュートは、足早に宿屋へと入って行き、それをルカが後ろからついて行く。
「いらっしゃいませー」
受付横から10才くらいの男の子が姿を見せる。
「2人部屋空いているかな?」
「あいてるよー!1泊銀貨6枚だよ」
リュートは、銀貨6枚を少年に手渡すと、少年は受付へと移動し棚から部屋の鍵を取り出しリュートに手渡した。
「お兄さん、部屋は2階の5番だからね」
「ありがとう」
「朝食付きだけど、夕飯は別料金なんだ・・どうする?」
「そうだね、夕食は遠慮しとくよ」
「は〜い。ごゆっくり〜」
部屋の鍵を持つリュートが先に進み階段を上がり部屋へと向かう背中を見つめるルナの胸はギュッと締め付けられ悲しい感情が立ち込めていた。
(どうすれば、リュート様を癒すことができるのでしょうか・・)
落ち込んだ表情を微塵も出さないリュートでも、ルカは魔力で通じ合っているため小さな変化も見逃す事はない。それでも彼女は、その対処法が分からず悩み落ち込んでいる。
2人はそれぞれの理由で落ち込んでいるため、それが悪循環となり部屋に入るも会話も無くリュートはベッドに横になりルカに背中を向ける。
その後ろ姿をベッドに腰掛けて見つめているルカの青紫色の瞳からは、大きな粒の涙が零れ落とし続け夜を明かしたのだった・・・・。




