25話 2つ目の出会い
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「ん〜どれがいいかなー・・」
地方都市アーガリンに入ったリュートとルカは通りを歩き最初に目についた店に入り、持っていない野営グッズを手に取り品定めしながら悩んでいる。
その背後で静かに見守っているルカは、悩むリュートに自分なりの助言をした。
「リュート様、まるちどぉーるを増やすのであれば、あちらの大きいサイズでもいいと思います」
「そうだな〜たしかに増やそうとは思うけど、まだルカと2人で過ごしたい気持ちもあるんだよな〜」
「そ、そうですか・・でしたら、こちらのサイズが良いかと」
「コレか?」
「はい。コレであれば、荷台よりひと回り小さく今まで通り寝れます」
リュートは、試しにテントを広げ昨日までの野営を思い出し決断した。
「よし、それでいこう」
最後に悩んでいたテントのサイズが決まったリュートは、他にも寝袋類を購入し次に武器屋へと移動する。
武器屋に入ると種類が豊富で目移りしてしまうも、持ち金が少ないため今必要な物だけを買うことに決めたようで、最初に短剣や解体用ナイフが陳列されている棚の前で2人は立ち止まる。
「ダガーナイフか・・ルカ、片刃と両刃どっちがいい?」
「そうですね、両刃が良いです」
乱雑に置かれているダガーナイフのなかで1本だけ他とは違い異色を放つダガーナイフをリュートは手に取った。
「これなんかどう?」
握り部がルカの髪と同じ薄緑色の長い髪と同じような色合いを持ち、刀身はリュートの黒髪と同じような色をしている。
「リュート様と私みたいですね・・コレが良いです」
「オッケーこれで決まりだね。あとは・・っと」
店内を見回しながら歩くリュートは、1つの片手剣に目を留めて自然と立ち止まる。
カタッ・・カタカタッ・・カタッ・・
剣立てで、小刻みに震える片手剣をジッと見つめていたリュートはソッと右手を伸ばし剣を握るものの、特に感じるモノはなかった・・・・。
「なんだ、気のせいか・・」
ほんの心の片隅で期待していた、ビビビッと感じる運命的な出会いのようなイベントは発生することなく掴んでいた片手剣から右手を離し、少し離れた場所で小物を見ているルカの元へと移動した。
「ルカ、何か良いのあった?」
ルカは笑顔で、手に持っていた小物を見せる。
「マジックポーチだね。ルカも持っていた方が、この先何かと便利かもな」
「いいんですか?」
「俺達商人には、必須アイテムだからね」
「その・・商人に片手剣も必要なのですか?」
「ん?・・片手剣って?」
ルカに指摘され指をさされ視線を手元に向けると、気になって一度は握ったあの片手剣をなぜか左手でしっかりと握っていた・・。
「あれ?・・なんで?」
この片手剣を握っている感覚も、重さも感じていなかったことにリュートは困惑していると、ルカは優しい瞳でリュートに告げる。
「リュート様とその剣が繋がる、何か通じるモノを私は感じています」
「そうなの?」
「はい・・」
その片手剣は、握り部が紅く全てを反射するかのように磨き鏡面仕上げされ白銀に輝く刀身となっている。
その刀身に反射して映り込む自身の黒い瞳を見つめるリュートは、ここで初めて片手剣から放たれている何かの想いを感じ取りニヤリと笑い購入を決めてカウンターへと向かう。
「この2つを買うよ」
「いらっしゃい、片手剣にマジックポーチだね・・金貨7枚と銀貨5枚だ」
「なかなかの値段だね・・」
リュートは、カウンターに金貨7枚と銀貨5枚を並べながら呟いた。
「この剣はな、名匠刀鍛冶師ギレンゾ=ボッゲーの現役最期に製作された剣だからな・・」
「なんか、アヤシイ刀鍛冶師だ・・めっちゃ斬れ味が悪そうな気がする・・」
「リュ、リュートさま!」
ギレンゾ本人が居たら激怒してしまいそうな発言をしたリュートに焦るルカとは対照的に店主の白髪老人男は笑う。
「はっはっはっ!・・なかなか素直な少年だ。名前はなんという?」
「露天商のリュートだ。この娘は、相棒のルカ」
「ルカと申します・・」
ルカが一礼するとカウンター越しに椅子に座っていた店主は、ゆっくりと立ち上がり一礼し口を開く。
「ワシは武器屋店主のダンガ・・死に損ないのジジイだ。それにしても、なかなか教育されたお嬢様ですな・・リュートと違い貴族令嬢のようだ」
「どうせ俺は、品の無いただの平民商人さ・・」
マジックポーチをルカに手渡し、カウンターに置いてある片手剣を取って店を出ようとしたときに、ダンガがリュートの手を止める。
「リュートよ、露天商なのに片手剣を扱えるのか?」
「護身用だよ・・これでも、元冒険者だしな」
「むぅ・・若くして転職か、少し待っておれな・・」
ダンガはゆっくりとした足取りで、店の奥へと姿を消して行った・・・・。




