24話 露天商リュートの初仕事
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地方都市アーガリンに向かい街道を移動するリュートの馬車は、少し先の分岐路で止まったままの場所を見つけ近づきゆっくりと隣に止まる。
「こんにちは〜!ずっと止まっていましたけど、何かあったのですか?」
どうやらリュートが声を掛けた馬車に乗っているのは商人ではなく、冒険者パーティーの馬車であったみたいだ。
「・・あぁ、ちょっとな」
「あの・・俺に手伝えることがあれば・・」
「そうだな・・・・俺達は、これからターデイ地下ダンジョンに行く予定だったんだがポーションを買い足すことを忘れててな」
「ちょうど良かったです。俺は商店を・・いえ、露天商でポーションを仕入れたばかりで在庫は潤沢ですが・・どうですか?」
「本当か?」
「はい。H P回復ポーションとM P回復ポーションを揃えてますよ」
「よし、君の言い値で買おう!あまり高いと、たくさんは買えないが・・」
「そうですね、露天商を初めて最初のお客さんなので、1本なら銀貨1枚です。まとめて購入で10本であれば、銀貨5枚で売りますよ?」
「安い!・・さすがにそんな安いポーションなら低級だよな?」
「低級は取り扱っていませんよ?もし、パーティーメンバーに鑑定スキル持ちの方がいれば、鑑定してから購入しても構いませんよ?」
御者台に座る男冒険者は、荷台へと振り返り仲間の名前を呼ぶ。
「アリア!・・ちょっと来てくれ!」
「なぁ〜にぃ〜?」
アリアと呼ばれた金髪碧眼の女性が、荷台から御者台へと気怠そうに姿を見せて座る。
「確か、鑑定スキル持ってたよな?」
「ばかっ・・パーティー以外のメンバーに聞かれちゃダメなのよ?・・もう聞かれたなら仕方ないけど・・ボク?今のスキル忘れてね?」
「は・・はい。俺は、露天商のリュートです。隣のこの子は、相棒のルカです」
「はじめまして、ルカです」
「か、可愛い子・・・・じゃなくて、ウルガどうしたのよ?」
「あの少年が、ポーションを売ってくれるらしいんだが、街の相場より安いから品質を疑っていてな、アリアに鑑定してもらおうと思って・・」
「まぁ、街に戻らずポーションが手に入るなら別に鑑定ぐらいいいけど」
「すまんな。えっと・・」
「リュートです」
「リュート君、HP ポーションとM Pポーションを10本ずつ欲しいから、それを鑑定しても?」
「はい。構いませんよ・・少しお待ちください」
握っていた手綱をルカに任せたリュートは荷台へと移動してから自然な動きで隠れた後に、ポーション20本を木箱に入れてからウルガに笑顔で手渡す。
「遠慮なくどうぞ〜」
「すまんな、疑って・・」
リュートから木箱を受け取ったウルガは、適当にポーション瓶1本を手に取りアリアに手渡すと、アリアは鑑定スキルを発動しポーションを調べる。
鑑定結果・・
品名・・H P回復ポーション(ギルド未登録品)
品質・・超絶
効能・・ハイヒール
保存・・無期限(未開封)
「ぬほぉ!」
奇声を発するアリアに、ウルガやリュート達の視線が釘付けとなり、隣に座っていたウルガが声をかける。
「・・おい、アリア?」
アリアは、ポーションの鑑定結果に目を見開き思いを口にする。
「なんなの・・なんなのよコレ!・・信じられないわ、こんなポーションがあるだなんて〜!」
「お、落ち着けアリア!」
ポーション瓶を持ち御者台で立ち上がり興奮するアリアをウルガは宥めようとしている。
「ウルガ!!」
アリアが何かに取り付けたようにさらに興奮し、ウルガに掴み掛かる。
「ありったけ買いなさい!早く!・・他のパーティー連中に知られる前に!」
「落ち着けって、アリア・・たかが、ポーションぐらいで」
ウルガとアリアの2人の温度差があるやりとりを黙って見ているリュートは、ルカに木箱を持たせ新たにポーション瓶を20本詰めてから受け取り待つ。
しばらく続いたウルガとアリアのやりとりが落ち着いたところで、リュートにアリアが身を乗り出し迫り問いただす。
「ちょっと!あなた本当に商人なのよね?今あるポーションを全部買い取るわ!」
「ありがとうございます。コレが在庫全部です」
先に準備を済ませていたリュートは、持っていた木箱をアリアに手渡す。
「ありがとう。コレも全部同じ品質のポーションなの?」
「はい。心配なら全部鑑定してからの支払いでも構いませんが・・」
「そう・・なら遠慮なく・・・・うひょひょ!」
再び奇声を発しながら目を見開くアリアは、喜びながら木箱を荷台へと積み終えて帰ってきたときには、何事もなかったかのような顔付きに戻りリュートの前で立ち止まる。
「商人さん、コレで足りるかしら?」
アリアは自身の巾着から金貨10枚をリュートに見せてから手渡す。
「こ、こんな大金は・・」
「いいのよ!私は、真っ当な対価を支払わないと我慢できない主義だから・・素直に受け取りなさい」
「はぁ・・ありがとうございます」
リュートが売ったポーションは、ガノンに贈ったポーションに比べ遥かに劣る品質のため、自覚がないリュートは金貨10枚という大金に驚きつつ、嬉しそうに手を振るアリアを見送り別れた。
「リュート様、あのポーションを見知らぬ冒険者に売っても良かったのですか?」
「大丈夫だよ。あれは、片手間に作ったポーションだからな・・もちろん、ルカに使ったのは俺の全身全霊を込めて作り上げたモノだから比べ物にならないんだぞ?」
「はい、心得ています・・このカラダの内側に秘められた感覚でリュート様からの大きな愛を感じていますから」
「なんか恥ずかしいじゃないか、ルカ・・・・まぁ、俺達も行こうか」
「はい・・」
リュートは先に御者台に乗ってから右手を伸ばし、ルカの手を取り引き上げ座らせて馬車を走らせた。
先にウルガ達の馬車が通った街道ではない方の街道へと馬を誘導し走らせ、一晩野営をした次の日の昼過ぎに目指していた地方都市アーガリンに辿り着いた・・・・。




