23話 ルカにお試し魔力譲渡
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「ん・・」
眠るリュートの口から声が漏れて、僅かに目蓋が震えたあとに黒色の瞳がルカを見つめる。
「・・・・おはよう、ルカ」
「おはようございます。リュート様」
荷台の硬い木の板の上で、寝袋も毛布もない環境だったのに寒さや身体の痛さを不思議に思いながら目を覚ましたリュートは、今も抱き締めてくれているルカに聞いた。
「ルカ?・・もしかしてだけど、ずっと俺を抱き締めていてくれたの?」
「はい・・夜は冷えましたから魔力で寒くならないよう、ずっと傍にいました」
「そっか・・ありがとう」
グッと身体を起こし起き上がるリュートの動きを妨げないようルカは自然な動作で離れたことに、まだ寝起きのリュートは気が付いていない。
そのルカの動きに気付くことなく荷台から降りたリュートは朝陽に向かって背伸びをして振り返ると、そこには朝陽に照らされたルカが立っていた。
「ルカはさ、俺みたいに飯とか食べれるの?」
「はい、リュート様と同じように飲食できますが基本的に摂取する必要はありません。私の原動力は、この世界でリュート様の魔力だけとなります」
「おぉ・・もし、魔力が欠乏して失うと?」
「枯渇し失った場合、私は動けなくなりますのでリュート様カから魔力譲渡が必要です。でも、休むことによって自動回復しますので危機的状況な場合以外で魔力を枯渇することなどありません」
「そうなんだ・・ちなみに、魔力譲渡はどうやるの?」
「し、知りたいですか?リュート様・・」
「もしものために・・ね?」
ルカは少し躊躇うような態度を取るも、リュートの要望を断る選択肢は無いため了承する。
「わかりました。私・・まるちどぉーるへの魔力譲渡は、危機的状況に陥った時にしか行使しないと約束してくれますか?」
「もちろん、約束するよ」
「それでは、両手のひらに初級魔法レベルの魔力を集めてください」
「わかったよ・・・・準備できたよ、ルカ」
全身に巡っている魔力回路を通じて、手のひらに魔力を集めるとジンワリと暖かくなる。
「それでは、私の首を両手で挟んでください」
ルカの指示に従い、リュートはルカの首を優しく触れて包みこむと、ルカはグッと顔を近付けて呼吸を肌で感じるほどの距離で青紫色の瞳で黒色の瞳を見つめる。
「ちょっ・・ルカ?んむぅ・・」
口付けをするルカの行為に驚きつつも、リュートはそのまま受け入れた。
「私に、そのまま魔力を流してください・・」
重なった唇を離し囁いたルカは、リュートの返事を聞くことなく再び口付けをする。
「んぅ〜」
リュートが魔力譲渡すると、ルカは声を漏らしビクンッと全身を震わせた。
「ぷはぁっ」
熱い吐息がルカの口から漏れて、潤んだ青紫色の瞳で見つめられるリュートの胸の鼓動は高鳴っていく。
「ルカ?大丈夫か?」
肩を上下に揺らし荒く呼吸しているルカは次第に艶やかさを放ち魔力が溢れ出している。
「はぁはぁはぁ・・リュートさまぁ〜もう、わたしの心は熱く溶けてしまいそうなのですぅ・・」
「どど、どうしたら?」
「んぁ・・もうこれ以上は、耐えきれません」
「おい、めっちゃ身体が熱いじゃないか!」
ルカの全身から熱気が放たれ異常状態になってしまったルカに、どうしたらいいか分からず慌てるリュートをギュッとルカは抱き寄せて懇願するように呟いた。
「申し訳ありません、魔法行使をお許しください・・」
「えっ・・ルカ?」
「・・イクステェンシヴ・ヒール!」
ブワっと風を受けたような錯覚になったリュートは、広範囲に魔力が円周上に広がっていくのを感じ言葉を失う。
ヒヒィーーン!
少し離れた馬も反応し、大きく鳴いた。
「ふぅ・・リュート様、これで元の状態に戻れました」
いつの間にかルカの表情は魔力譲渡前の表情に戻っていた。彼女にいったい何が起きたかわからないリュートは、触れていた彼女の首から手を離し後退る。
「ルカ・・物凄い魔力が遠くまで放たれていったんだけど?」
「はい。やはり、普段の状態からリュート様の魔力を受け入れるのは危険ですね・・。魔力暴走を避けるため、治癒魔法イクステェンシヴ・ヒールを使ったので周囲に被害は皆無なのでご安心してください」
ニコッと笑うルカの笑顔にリュートもつられて笑顔になる。
「ねぇ、イクステェンシヴ・ヒールって何?」
「治癒魔法エリア・ヒールよりも遥かに広範囲に強大な治癒効果を発揮する治癒魔法なのです」
「すげぇ・・他に使える人は存在するのかな?」
「そうですね、聖女様にも不可能ですね・・」
「マジでハンパねぇーよ、ルカ・・」
「ありがとうございます」
リュートは、周囲を見渡してからルカに告げる。
「そろそろ、ここを出発しようか」
「はい、リュート様」
1つも野営グッズを準備していなかったリュートはそのまま御者台に飛び乗ると、見上げて待つルカの右手を握り優しく引っ張り上げて御者台に座らせた。
「ルカ、落ちないように気をつけてね」
「わかりました、リュート様」
朝の涼しい時間帯に馬車を走らせたリュート達は、街道を順調に数時間移動したところの先にある分岐路で止まっている馬車を見つけて近付いて行ったのだった・・・・。




