2話 白からの代償
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月明かりに照らされた漆黒の髪を見つめる銀髪少女は、無意識にゆっくりとソファから立ち上がりリュートの膝の上に座り寝息を感じる距離で見つめる。
「黒髪ってこんなに綺麗だったんだ・・」
リュートの髪を触る銀髪少女は優しい笑みを浮かべながら、つぶやいている。
「んぁ・・」
不意に動いたリュートに驚く銀髪少女は、思わずギュッと両足に力を入れてしまう。
・・・・パッと目を開けたリュートは、銀髪紅目の少女に驚き全身に力が入る。
「うぉっ!(きゃっ!)」
ほぼ同時に2人は声を上げ立ち上がったリュートのせいで、銀髪少女が後ろに倒れ込みながら右足先がリュートのアゴにクリーンヒットする。
「がっ!」
アゴを蹴り上げられた形になったリュートは、脳が揺らされ足の力が抜けてソファに座り込む。
朦朧とする意識をなんとか呼び戻し、正面を見ると2本の長細い足が天井に向けられていることに気付きその元に視線を動かす。
「し・・しろ?・・白色だ」
視線の先には、大胆にも両足を広げテーブルとソファの間にスッポリと挟まり動けない少女が純白の下着を丸見えにしている光景にあるにもかかわらず、お姉さん好みのリュートは低い声で問う。
「だ・・誰だ、お前は!」
「・・・・」
リュートの問いかけは、完璧に無視されてしまう。
「もしかして、お前は・・」
正体がバレてしまったかと思う銀髪少女は、ビクッとなり緊張が走る。
「・・・・」
「やはりお前は・・白色パンツちゃんだな?」
「・・し、白色?・・あ・・イヤー見ないで!!」
ジタバタと足を動かした行動で、自身のスカートがどんどん捲り上がらせていることに気付かないほどパニック状態の彼女にリュートは、痛恨の一撃を与える。
「お〜いい眺めだ・・じゃなくて、丸見えだぞ!シロウサパンツちゃん」
「あぅ・・」
リュートの一言で顔を覆っていた右手をリュートに向けてクイッと振り払う。
シュバ!・・
「うぁ・・あぶねっ」
パリパリーン!!
突然襲いかかった風を避けきれず、頬を軽く切った風がリュートの背後の棚に陳列されていたポーション入り瓶を数本割った音が店内に響く。
「イタッ・・無詠唱で風魔法を放つなんて・・」
その場から大きくジャンプをして店奥のカウンターへと逃げてから銀髪少女をリュートは警戒する。
ソファの隙間から何かブツブツ呟くながら銀髪少女は立ち上がり、振り向くと同時に店内で風魔法を乱発する。
「バ・・バカ!やめろ!大事な商品が・・」
パリパリパリーン!!!
リュートは身を守るため床に伏せ、瓶が割れまき散らされるポーションを全身で浴びてビショビショになりながら耐えている。
「クソッなんなんだアイツは・・」
絶え間なく飛び交う風魔法と割れ続ける瓶の音の中でリュートは呟いている。
タタタタ・・バタンッ!
ドアが勢いよく閉まる音がした後からは、瓶が割れる音がしなくなった。
ゆっくりと立ち上がり店内の様子を見渡すがあの銀髪少女の姿は無く、ただ無残な状態になった光景が店内に広がっていたことにリュートは落胆するも復讐を誓う。
「あのオンナ・・・・次会ったら弁償させてやる」
全身ずぶ濡れになったリュートはそう誓いながら、無駄に元気になった状態の体で店内の掃除を夜明けまでかけて終わらせたのだった。