13話 幼馴染の想い
アクセスありがとうございます。
ブクマ登録ありがとうございます。
焚き火を囲んで、山賊と話をするAランク冒険者の話を最後まで言わせる前に、リュートは焚き火を起点に火魔法ファイヤーウォールを発動し、一瞬で男達を灰と化し水魔法ウォーターショットで燃え上がる炎を消し残骸だけがその場に残った。
「あっ!派遣されたAランク冒険者も消しちゃった・・まぁ、山賊と繋がって居たから同罪か」
残骸を足で払いながら、身元となる物を探したが見つけることはできずにため息をついていると、もう一つ離れた場所で反応があった場所へと移動し状況を確認する。
「あれは、バーナス達か?」
少し離れた場所に月明かりに照らされている、満身創痍のバーナス達がいた。
「バーナス!これ以上の戦闘はパーティーが全滅するぞ!」
盾役のリックスが辛そうに喋っている。
「アンナ、残りのポーションは?」
「バーナス、もうとっくに使い切ったわ・・さっきのヒールで、私のMPも無いから使える魔法も無いの」
「クソッ!・・ここまでなのか・・」
森の中から開けた場所に座りこむバーナス達を見ているリュートは、とあることに気付く。
「こいつら、ピンチじゃね?」
そう呟いているリュートは、バーナス達の向こうから迫りくる魔物の気配を感じとる。
バキバキッ! バキ! バキバキ!!
グルオォォォォ!!!!
木々を薙ぎ倒しながら、1匹の大型ワイバーンが突如姿を現しバーナス達を威嚇する。
「くそぉ!!こんな状況でワイバーンかよ!」
震える両足に力を入れ、両手剣を地面に刺し立ち上がるバーナスは、明らかに戦える状態では無かった。同じく盾役のリックスも限界を迎えているようで、目の前のワイバーンを見上げるだけで立つ力も残っていない。
バーナス達を自分の獲物と認識したワイバーンは、攻撃しようと大きく口を開き始める。
「いや〜!こんなところで死にたくない!!」
アンナは、迫りくる自身の死を感じパニック状態になりワイバーンの前で大声を出してしまう。アンナの声に反応したワイバーンは、バーナスからアンナへと標的を変える。
ワイバーンの狙いが自分だと気付いたアンナは、呼吸も忘れ涙を流しながら最後の想いを口にする。
「ヤダ・・し、死にたくない・・たすけ・・て。たすけてリュートー!!」
たまたま依頼でこの森に来たリュートは、アンナの助けを呼ぶ声に自分の名前があることに恥ずかしさを感じながらアンナの傍へ移動し、彼女の右肩にソッと手を添えて耳元で囁く。
「仕方ないな、アンナ」
死の直前に右肩に温もりを感じると同時に、耳元で大好きなリュート声が聞こえたアンナは反射的に見上げるがリュートは姿はない。
「そんな・・・・夢だなんて」
「夢じゃないさ、アンナ」
「・・ウソ・・リュート?」
隠密スキルを発動し姿が見えないリュートだが、今のアンナには優しく自分を見つめてくれるリュートの笑顔が見えた気がした。
フッと頬で感じる風に大好きなリュートの香りが含まれていることに気付いたアンナは、大粒の涙を瞳から溢れさせ感じた風の行き先を滲む視界で追う。
アンナから離れたリュートは、躊躇うことなく一気にワイバーンへと間合いを詰めて大きく無防備にあけられた口内に火魔法ファイヤーアローを放つ。
「美味しく召し上がれ!」
グガガガガ!!
突然、口内奥に突き刺さるファイヤーアローに襲われたワイバーンは激痛を誤魔化すかのように周囲の木々を薙ぎ倒し暴れている。
そんなワイバーンに近づく冒険者は皆無だが、リュートは気にせず次の攻撃をくらわす。
「そんなに熱いなら冷やしてやるよ・・それっ!」
上級クラスである氷魔法アイスロックをワイバーンの頭上に出現させ、思いっきり叩き付け地面へと押し潰す。
ズドォーーン!!
拳ほどのサイズのアイスロックを生成させるのも並の魔法師でも難しいが、今のリュートはワイバーンと同じサイズの巨大なアイスロックを簡単に生成させることができる。
しばらくアイスロックに埋もれ、痙攣していたワイバーンは次第に動かなくなり絶命する。
「こんなもんかな?」
Aランク冒険者パーティーを最低でも5組編成して討伐する大型ワイバーンを1人でサクッと倒したリュートは、呆然と立ち尽くすバーナスとリックス達を見て笑いを堪えながら、泣き顔のアンナの傍へ歩く。
「アンナ、ちゃんとコレ飲んでから帰ってこいよ」
「・・リュート・・うん」
ポンポンッとアンナの右肩を軽く叩いたリュートは、そのまま立ち去り街へと戻り家に辿り着く。
「ふぅ・バーナス達は、鍛錬が足りないな・・」
そう呟きながら、濡れタオルで全身を拭いて着替えた後にベッドに寝転がり眠りについた。
その頃、森で生き残ることができたアンナは、突然現れたポーション瓶を見てリュートの商店にしかない独自の瓶だとわかり大事そうに抱き締めた後にバーナス達に配り無事に街へ帰ることができたのだった・・・・。




