11話 新たな依頼
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「リュートさん!あの人は何者なんですか?」
青年が店を出た後にリーナは、カウンターから出て店のドアを見ながらリュートの近くへと歩く。
「さぁな・・とりあえず、リーナの素性がバレたかもな」
「えっ?・・わ、わたしは、ただの人でしゅ・・・・」
「はいはい。わかったから、さっさと店番に戻れなお前・・」
リュートの発言に対し、リーナは、甘噛みしながらも自信満々の顔で視線をリュートから外しカウンターへと戻って行く。
それから時間は流れ、あの青年が立ち去った以降1人も来客はなく夜を迎え1日が終わっていく。
「おかしい・・目の前に客は多勢いるのに、なぜ向こうの店ばかり・・なぜだ・・」
リュートの店は1等地と言っても過言ではない場所に店を構えているが、バーナス達のパーティー以外の客は1日に片手で数えれるほどが現状だ。それでもリュートは、いつもの時間に店を閉め愚痴をこぼしながら1日を終えた。
翌朝の開店と同時に、あの青年が店先に立っている。それに気付いたリーナは、店のドアを開けて開店の看板をドアに掲げ招き入れた。
「ありがとう、お嬢さん」
「い、いえ・・。接客が仕事なので」
「店主はいますか?」
「はい。いつもの場所に」
青年は、リーナに微笑みながら店内に入り、奥のソファへと向かうとリュートは、通りに顔を向けたまま口を開いた。
「今回は、随分と早いな?」
「依頼主様が細かい方ですので」
「ふ〜ん・・」
ソファに座り、笑顔を保つ青年はポケットから巾着を取り出しテーブルに静かに置く。
「今回の報酬と、出来高分が入っています」
「・・わかった。それじゃ〜な」
「では、次の依頼ですが・・」
「もうかよ!早くない?」
「そうですか?報酬をお渡ししたので・・・・」
「ちっ・・そうだけどさ、クールダウンってものがあるだろ?」
「・・クールダウンという言葉は理解できませんが、とりあえず置いておいて・・コレを」
青年が笑顔でテーブルに黄色の依頼票を裏返しに置き、それをリュートが嫌そうな表情で雑に拾いあげ書面に目を通し視線を青年に向ける。
「・・なぁ、コレは冒険者ギルドの仕事じゃないのか?」
「すでに3組のCランク冒険者パーティーが消息を絶っています」
「ならさ、もっと高ランク冒険者に行かせろよ・・俺はFランク止まりだぞ?」
リュートの正面に座る青年は、溜息をつき口を開く。
「昨日、冒険者ギルドは5組のAランク冒険者パーティーを向かわせたようです・・」
「なら、片付くんじゃないのか?Aランクのパーティーが5組だし」
「・・・・・・」
青年は、無言のままリュートを見つめる。
「・・・・・・」
リュートも負けじと青年を見つめる。
「あの、ポーションは1本いくらなんですか?」
場外から関係のないリーナの質問にリュートは苛立ち強めに答える。
「リーナが、適当に決めとけ!」
「あぅ・・でも・・」
「いいから、さっさと接客に戻れ!」
「・・はい」
リュートに怒られたリーナは、落ち込んでしまい小さく返事を返しカウンターへと戻って行く。この時にリーナが独断で決めたポーションの値段が破格で冒険者ギルド内に一気に広まり、大変な事態を招くことをリュートは気付いていなかった。
「お買い上げ、ありがとうございまーす」
「ありがとねー!リーナちゃん。また来るねー!次の休みはデートしようね〜」
店内にリーナの声と男冒険者達の声が聞こえた頃にリュートと青年の睨み合いが終わりを迎える。
「はぁ・・わかったよ・・コレは流石に時間が必要だからな?」
「ありがとうございます。期限は特に決められていないので、終わり次第ここの店主にコレを伝えれば私に連絡が来ますので」
「わかった。本当にお前らは謎の組織だよな・・知ってるけど」
嫌味っぽく呟くリュートに対し、青年はソファから立ち上がりながら笑顔で答える。
「あなたの強さの方が、我々の存在より謎ですよ。表向きは、元Fランク冒険者の商店店主なんですけどね・・」
「俺の強さは、王国の国家機密を凌駕するほどの企業秘密だ」
「それでは、いい返事を期待していますね」
「・・・・・・」
青年は店から出て行き、それをリーナが見送る。
「はぁ・・どこで俺の情報が漏れたんだろ・・」
そう呟きながら、リュートは青年が渡した依頼票を眺めていた・・・・。




