10話 リュートの裏仕事②
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闇夜の街へと出たリュートは、リーナに何かを感づかれたことを知らないまま無人の通りを歩き商人ギルドへと向かっている。
酒場が立ち並ぶ通りを歩いていると、酔っ払いの冒険者や巡回する衛兵がいるぐらいで昼間より少し早めに商人ギルド前に辿り着いた。
(さてと・・目的のハンザって野郎はいるかな?)
そう思いながら、たまたまギルドに入る職員らしき男の背後にピッタリ付いてギルドに入ることができた。
ギルド内には深夜とあって客はおらず、数人のギルド職員達が書類整理の業務に追われている様子だった。それを横目にリュートは待合場所の長椅子に座り観察していると、奥のドアが開き1人の女性が入って来た。
「みんな、今夜はそろそろ終わりにして帰りましょう」
「「 はい、ギルド長!! 」」
どうやらさっき入ってきた、茶目で茶髪を腰まで伸ばし制服を着こなす女性がギルド長のジェシカ=アイゼン本人だった。
彼女の呼びかけにギルド職員達は事務処理を止めて、立ち上がり帰り支度を始めているのに、窓口から離れ隅の方で再び座り事務処理を再開する金髪の男職員がリュートの視線が捉えた。
(あいつだけ変だな・・)
「ハンザ君。仕事に熱心なのは理解できますが・・もう夜も遅いので明日にしましょう」
「すいません、ギルド長。この書類は明朝早くにお客様にお渡しする書類ですので、終わり次第帰ります」
「・・そう、あまり遅くならないようにね」
「はい。ありがとうございます」
ハンザと呼ばれた金髪の男は、チラッとギルド長を見ただけで事務処理を続けている。
ギルド長のジェシカが部屋を出ると、続くようにギルド職員達が部屋から出て行くが・・ハンザだけは最後まで残り書類整理をしているが、最後の女職員がハンザに挨拶をしてドアを閉めた後にハンザの動きが止まった。
(あいつ・・何する気だ?)
長椅子に1人座るリュートは、立ち上がりハンザの背後へと移動し彼が何をしているか覗き込むとハンザが処理しているのは、入国審査済証と就労許可証明証の2種類の書類に個人情報を記入している。
その書類の脇には、他国の身分証が多数置かれて。
(コイツ・・完全にクロだな)
リュートは、ハンザが記入し終えた書類を保管する書棚の場所を確認し鍵の番号を確認しハンザが部屋を出た後に書類が保管されている鍵の暗証番号を変更しギルドを出て来た道を歩き家へと帰る。
何事もなく家に帰り着き自分の部屋のベッドに寝転びながら、違法入国者の顔と名前を記憶の中で合致させ今後の対策を考える。
それからいつもの日常が流れリュートはいつものように店のソファに座り通りで、客引きをするお姉様をニヤついた顔で凝視しているリュートをカウンター越しに白い目で見るリーナは店のドアが開かれた事に気付く。
「あっ!いらっしゃいませ〜!」
「こんにちは、お嬢さん。店主はいますか?」
「先日は失礼しました。リュートさんなら、いつものソファに」
「ありがとう、お嬢さん」
漆黒のスーツを着た青年は、軽く一礼した後に店の奥へと歩いて行く。その様子を紅い瞳で追うリーナは、カウンターで見守る。
「どうでしたか?」
ソファに座り窓越しに外を見るリュートの向かい側にゆっくりと座る青年は、リュートに問いかけた。その声にリュートは、視線だけを青年に向け告げる。
「あぁ、間違いなくアイツはクロだな。それも真っ黒だ」
「そうですか・・それでは、依頼主に報告させてもらいますね」
「よろしく。それとコレ・・アイツが大事そうに保管する書類が保管された書棚の鍵の暗証番号な」
リュートは、胸元から1枚の紙切れを取り出しテーブルの上に放り投げた。
「・・さすが、お仕事が早いですね」
青年は爽やかな笑顔でリュートを見つめる。
「はいはい・・期待通りだろ?」
「もちろんです。それでは事実確認ができ次第、報酬を持って来ますね」
「あぁ、早めに頼むな。俺も養う奴が増えたからな」
リュートの言葉に青年は振り向き、カウンターで客を待つリーナを見て不意に青年と視線が重なったリーナは全身をビクッとして顔を逸らす。
「ほぅ、なかなかの美少女ですね。高級奴隷ですか?」
「・・いや、奴隷じゃないな。ただの平凡な従業員だ」
「しかしながら、銀髪にあの紅瞳・・ただの人族ではなさそうですね?」
「あぁ。だから、あんまり詮索しないでくれると助かる」
「わかりました。それでは、用件が済みましたので失礼します」
青年は立ち上がりリュートの店から出るため、ドアノブに手をかけたところでリュートが青年を呼び止める。
「なぁ、ちょっと待て」
「なんでしょう?」
「報酬もらうまで、次の依頼を受けないからな?」
リュートの問いに青年は笑顔で頷きそのまま店を出て行った・・・・。




