表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/29

第28柿 平行線だ、法廷で会おう





仙台育米高校理事長の娘で

生徒会長で、野球部マネージャーの

蜂子(Eカップ)は放課後に理事長室へ

呼び出されていた。



「どうしたの?おじいちゃん。」



蜂子は理事長室に入ってくるなり

学校のお金で買った30万円する

コムデギャルソンのソファに座り込んだ。


ちょっとだけムチッとした白い足を組んで

制服であるラムちゃんパンツから

えちえちな太ももが溢れて、男子悩殺

メロリンキッス状態だった。



ソファは理事長が、これを経費で落とす

というと教師陣からも大反対をくらい、

他の経費にまぎらせることで

こっそり購入したお気に入りのソファだ。



「こらこら、蜂子。学校でおじいちゃんは

やめなさいと言ったろう。

グランパと呼びなさい。」



「わかりましたよグランパ。

で、わざわざ呼び出した用は何?」




理事長は自分のデスクに貼ってある

ビックリマンシールを優しく撫でながら

悟ったように話し始めた。



「いよいよ、仙台育米高校も廃校だ。」




「あー、やっぱりかぁ…。」



「あぁ、去年通りだったらな。」



そういうと理事長はデスクの引き出しから

取り出したものを蜂子に見せた。



それは理事長お気に入りのビックリマンシールを

アルバムにして保管してある本だった。



「なにそれ?」



「わたしのお気に入りのコレクション。


見たい?」



「廃校回避と関係あるの?」



「え?ないよ。」




「じゃあ、いい。」





「………あ、そう。」




理事長はデスクにビックリマンシールを

しまうと、代わりに高校野球雑誌を

取り出した。




「ここ最近の野球部の活躍のおかげで

中学生からの学校見学の問い合わせが

増えている。」



「え!?そうなの?」



「あぁ、まだ廃校を免れるほどの

人数ではないがな。見学に来る子は

野球やスポーツを頑張っている子が半分、

猿やカニが授業を受けているのを見てみたい

というバカ中学生が半分くらいだ。」



「まぁ、見たくなる気持ちは

分からないでもないわね…。」




「本当に甲子園に出場したり、

優勝するなんてことがあれば

廃校しないで済むかもしれん。」




「やったぁ!!私の応援も捨てたもんじゃ

ないでしょグランパ!」



理事長は決心したような眼差しで

蜂子を見た。


それはどこか試しているかのようにも

見える眼だった。


「そこで蜂子に相談なんだがね。」



理事長のただならぬ雰囲気を察して

蜂子は恐る恐る祖父に尋ねた。


「なに?おじいちゃん。」



「高校の見学者は集まっているが

野球部が甲子園に行く保証はない。」


たしかに、これは綱渡りな作戦だ。



学生や教師、理事長の家庭など

あまりに多くのものが野球部の肩に

乗っている。



その野球部も半年までは弱者野球部。

賭けに出るには大博打もいいところだ。


「まぁ、たしかにそうだけど…。」




「そこで、蜂子。美人JK野球部マネージャー

としてグラビアに出てくれないか?」




蜂子の表情は、もう人間に向けられるもの

ではなく、毒のある30cmくらいの大きさの

赤と黒と紫の斑点がある毛虫を見るような

感じになっていた。



まずい!と思った理事長は、釈明した。



「いや、違うんだ蜂子。野球部マネが

美人っていうのはTikTokとかTwitterで

流行るから!その保険があれば

安心じゃん!!」



蜂子は5秒ほど理由の分からない沈黙を

続けた後、一言だけ返した。


「いやだ。」




「そこをなんとか!お願いお願い!!

蜂子のおっぱいグラビアが見たいって

意見がTikTokで4000件コメント来てんのよ。

これマジでチャンスだから。」




蜂子返事せず、ゆっくりと理事長室から

出ていった。



ドアから出るときに振り返らず


「今日から私とお前は他人だから。」


と元祖父の理事長に言い放った。




蜂子が部屋を出ていったあと、

気を沈めるためビックリマンシールを

舐めたり、おでこに貼ってみたりした。



そして、彼女が出ていったドアに向かって

ボソッとつぶやいた。





「なにアイツ、うざ。」




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ