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第24柿 カブトムシには少し荷が重いのでは




授業も終わり、ついに学生たちは

つかの間は学業から離れて各自

思い思いの時間を過ごせる冬休みに

突入した。



臼田キャプテンは荷物を早々にまとめると

久美ちゃんの後を追って校門を出た。



(計画通りだ、スクールバッグの大きさ的に

プレゼントは入っていなさそうだ。

ということは彼氏はいない…、


いや待てよ、小物という場合もあるか…)



臼田探偵が推理しながら

獲物を追いかけていると


その横を大きな荷物を抱えて

生徒会長兼野球部mg(マネージャー)

蜂子が通った。



(なんだあのでかい荷物!くそ、知りたい。

さては蜂子さん彼氏ができたか。


今日は彼氏とどこまで進むつもりだ。

俺の許可もなしに!!)




その瞬間、ターゲットは久美ちゃんから

蜂子に切り替わってしまった。



蜂子は止めてあった自分のママチャリに乗ると

けっこうなスピードで漕ぎ出した。



(速いな…。しかし、なんのこれしき)



臼田は足音を消しつつ、そのあとを

全力疾走で追いかけていく。





しばらく追いかけると…、あれ、


なんか山の方に向かっていくな。





そっちはもうこの辺の若者の間で

肝試しスポットになってる廃屋と

山しかないはず。




結局、蜂子は山の中にある古民家へと

自転車を止めて入っていくのだった。



(蜂子さん、ボロ小屋に入っていっちゃった。

カップルが夕方以降に2人きりでボロ小屋に…。

そしたらやることはひとつしかない)




「ふーん…、えっちじゃん。」




臼田はなにかあればいつでも収められるよう

iPhone5sをカメラモードにして、こっそりと

蜂子が入った扉に近づいた。



中からは話し声がなにやら話し声が

聞こえてくる。


臼田の研ぎ澄まされた計算では、

きっと話し声はそのうち蜂子の

別の声に変わるはずだ…。



いつになく真剣な表情で臼田は

しばらく扉に側頭部をくっつけて

聞き耳を立てていた。




すると引き戸だった扉がガラガラッと

おもむろに内側から開けられてしまって、






そこにはカニがいた。






カニは真剣な顔つきをしてる臼田キャプテン

を不思議そうに見た。




「あら、キャプテンいらっしゃい。

来てたなら中に入ってこれば

よかったのに。」(モールス)



「ここってカニの家?」



「そうだよ、今日はみんなでカレー♪」(モールス)



「………お邪魔します。」




「ア!キャプテン遅いデスヨ!」




小屋に入ると野球部がほぼ全員集まっていた。



蜂子はカニの家でおこなわれる

クリスマスカレーパーティに来ていたのだ。




「お、臼田じゃん!お前おせーよ〜。

みんなで準備したんだから片付けは

臼田の担当な。」



栗原監督がお皿を机に運びながら

横目で臼田を見た。



「監督、今日は教師のミーティングに

出るんじゃなかったんですか?」



「めんどくさくなって行くのやめた。

でも代わりに俺が飼ってるカブトムシを

出席させてるから多分大丈夫。」




どの部分が大丈夫なのか臼田には

分からなかったが、それ以上は聞かなかった。



「ウキウキキ!?(結局来るんじゃねーかよ!

ちゃんと交換用のプレゼントは持ってきた

んだろーな!?)」



猿は自分だけみんなより先にカレーを

食べながら臼田に怒鳴った。



「プレゼント…?」 



そもそも来る予定じゃなかった臼田は

全体的になんのことかわからなかった。



「今日はクリスマスだしプレゼント交換を

する予定なの。」(モールス)



なるほど…。




「私の持ってきたプレゼントは

今回の目玉商品になるわよ!」



蜂子が持ってきていた大きな荷物を

自信あります顔で叩いた。








あとでわかったことだがその日、

野球部員Aは呼ばれておらず

後日、猿からなぜ来なかったのか聞かれて

初めてパーティの存在を知るのであった。










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