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光芒のライト=ブリンガ  作者: Yuki=Mitsuhashi
Chapter:02
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Chapter:02-08


Chapter:02-08


【2358-02『火星沖会戦』】

 【『第99特殊作戦航空団110号機』アルトリア・オブライエン少尉の場合】


「くそっ、ドジっちゃった――」

 両の鼓膜を破らんばかりに鳴り続ける警告音、視界一面を満たす赤表示、そしてもっとも深刻なのがコックピットの空気漏れ。先刻よりこっち、それこそ必死にシート下の緊急脱出機構、イジェクション・シートの起動装置を全力で引き続けているのだが、機能不全を起こしているのか、全く反応してくれない。


「落ち着いて、落ち着け」

 錯乱、惑乱へと至り掛けている自ら、その精神に懸命に言い聞かせた。冷静になるんだ、理性を保て。しかし、そんな懸命必死の努力も自分のヘルメット、そのバイザーに『SUIT-AIR Leakage ーWARNING』(気密服空気漏れ)、宇宙空間でパイロットをやっている者であれば一生見たくない警告表示が強制点灯されるまでに過ぎなかった。


「い、いやぁああああああああああああああああああああっ!!!!!」


 被弾したコックピット、それ自体の空気漏れは百歩譲って理解も出来る。が、生命活動に直結する気密服、パイロット・スーツそれ自体の気密が破られてしまった、そんな現実は到底理解、納得、許容できるものではなかった。


「あ、ああああ――」

 先程から右上腕部に軽い痛みが走っていた自覚はあったのだが、まさかここまで深刻だったとは。震える指先で腰元のポーチから簡易応修パッチを引き出した。せめて、こんなものでも上から貼り付けることが出来れば。しかし機体震動も立て続いている中、何よりも恐怖に引きしびれている指先が覚束おぼつか無いこともあり、なかなか上手く事が運ばない。被弾の際に弾け飛んだ計器類の一部が気密服の薄い部分を引き裂いたってオチだろうが、洒落にならないアンラッキーではあった。


「冗談でしょ……」

 悪態を最後まで続けることは叶わなかった。ゴン、ガンと激しい衝撃音が背中を伝わり、骨伝導的にその鼓膜へと直接叩き付けられた。さながらミキサーとなったコックピットの中で全身を遠慮、躊躇ちゅうちょ無くシェイクされ続けた結果、指先を離れた応修パッチが無情にもコックピット・ハッチ、その亀裂面から外部に吸い出されていく光景を、オブライエン少尉は目の当たりとした。


「あはは、これまでか――」


 空気漏れを気にする、それ以前に撃墜されて星間物質になって終わりか。どうもこちらの完全な爆砕を確認しないと気が済まないらしい神経質な相手、敵機が緩カーブを描いてこちらに機首を向けてくるのが、辛うじて生き残っているサブ・カメラで確認することができた。


 ――ああ、もうね、ひと思いにやってちょうだい


 進行形で空気が流れ出続けている右上腕部を押さえ付ける。他にすること、出来る事が無かった。スーツのあらゆる機能が死滅し掛かっているのか、酷く寒いことに今更ながら気付いた。


 ――ごめんね


 誰にともなく呟いたその時、三度衝撃が機体を揺すってきたのだが、深刻なものではなく……いや、まさか、これは外部での爆発か??


『58号機、敵機撃墜!! 並びに被弾した110号機を発見した! 目視での被弾状況、推定レッド――シモーヌさん、里山さん、フォローお願いしますよっ!! ――うおおおい、アルトリアさぁん、生きてますかーっ!!! 死んでいたら許しませんけどねっ!!!!! アルさぁああああああああああああああん!!!!』


 良好ではない電波状況下、それでもその声の主の正体に気付けない訳はなかったし、コックピットハッチ、その亀裂断面の向こう側に垣間見えた純白の装甲に見分けが付かない訳は『もっと』無かった。最後の衝撃は自分をストーキングしていた敵機、その爆発による余波衝撃だったことはもう明白だった。


「こちらオブライエン――どうにか健在ですが『シート』が機能しません――そして状況、SAL(気密服空気漏れ)です――申し訳ありません、沖田さん……」


『んじゃ、急がないとならんですね――』

「隊長、自分のことは――」

『それ以上を続けると、本当にぶん殴りますよー。誰だって、死なせるつもりは無いですよう――ハッチ吹き飛ばしますからねぇ、体丸めて、歯ぁ食い縛って――はい、カウント、ファイブ』

 隊長が実行しようとしていることを理解した自分、アルトリア・オブライエン少尉は空気漏れの続くコックピットの中、背中を慌てて丸めたのだった。


 ほんの数十秒前まで全く無縁だった不思議な『暖かさ』、『輝き』が、今は。


 そんな貴重な温度、光源を少しでも逃してなるか、と丸まった胸の中で理由無く、両の拳を力強く、全力で握り竦めた。


 そう。


 宇宙軍第二艦隊属、『第99特殊作戦航空団』、通称『モーニング・スター』。


 その隊長。知り得る限り、そして進行形で『最強のエース』である、彼。


 ありがとう、と言う言葉では足らない。



 とても、足りない。



 私は、貴方に何を捧げれば良いのでしょうか。


 誰か、教えて下さい。そして、願わくば。


 彼にとり。


 こんなちっぽけな自分に、少しでも価値がありますように。




   ◆ ◆ ◆



「いや、沖田少佐、お会いできて光栄だ。『ハバロフスク』へようこそ、艦長のセシル・リヴェットだ」

「こちらこそ光栄です、大佐殿――『第101特戦団』隊長、沖田クリストファ少佐であります」

 大して広くも無い艦長室にて、堅い握手を交わす二人であった。つい先刻、艦橋のハッチ経由で乗船、そのまま艦長自らの案内で連れて来られてしまったが。


「あまり疲れてはいないだろうが、まあゆっくりしていって欲しい。こう言う言い方は好まれないかもしれないが、火星沖の英雄を噂の『特機』ごとにお招きできて、光栄だ」

「いえ、こちらこそ恐縮です」

 艦長はなんと、手ずから紅茶を淹れてくれている。差し出されたティーカップは大変に清潔であり、また暖かかった。

「ブランデーでも入れたいところだがね、少佐も帰り道があるし、またの機会で、という事で」

 ニカ、と歯を見せて笑ったリヴェット艦長は音を立てて紅茶を啜った。別に疑っていた訳では無いのだが、慌てて沖田も紅茶に口を付けた。実は紅茶、茶類にはこだわりのある沖田クリストファからしても大変に芳醇、素晴らしい紅茶であった。


「素晴らしいアールグレイですね――これ程のものは久し振りな気がします」

 おっ、と嬉しそうになったリヴェット艦長だった。

「……いやはや、なかなか紅茶の味を分かってくれる人間が周囲には居なくてな、正直寂しかったが少佐のその一言には報われる」

「どうしてもコーヒー一辺倒になりますよね」

 差し出された砂糖とミルクをこれは固辞しながら沖田。これ程に素晴らしい紅茶に不純物は一切、要らない。ブランデーやウィスキーの類は別かもしれないが、実際にこの後、ヒャッハーと帰宅しなければならない身の上にあっては論外。他に存在を見ない人型兵器での飲酒運転で切符を切られる、そんな未来図はどう控え目に言っても格好良いものではなかった。……しかし絵面えづら凄いな、それ。


「せめてもうちょっとコーヒーはコーヒーで質が向上すればな、と思っているが、現状の宇宙軍では難しそうだ……そもそも……」

 よいしょ、と殊更にわざとらしく対面、ソファに腰を落としたリヴェット艦長。なるほど、これからが本題である、と。せめて味が分かる内に頂いておこう、と沖田はグイとカップの半分ほどを傾けた。


「少佐の事だからとっくに知っているとは思うが、今、この船にはまあ……宇宙軍のボンボンが乗っていてだね……」

 沖田のカップに新たなアールグレイを嬉しそうに注ぐ一方で、声には陰を含ませる器用な艦長であった。


「ああ、バカボンズですね――なんかもっと嫌がらせとか受けるんちゃうかなあ、と思って構えていましたが、何か拍子抜けですね。艦内で白兵訓練名目の襲撃だとか、トイレ内でこっちが踏ん張っているタイミングで放水だとか、トゥシューズに画鋲を入れられる、位は覚悟していたんですけどねー」

 アールグレイうめえ、とだけ表情に乗せて淡々と沖田。

「……そこまで把握していて乗艦してきたのか、本当に、なんつうか凄いね、君……」

 目の前、優雅に紅茶を傾ける絶世の美少女のような軍人の一体どこに、その精神的タフさ、マッチョさは存在しているのだろう――失礼にならない程度に拝見はしているが、本当に、なんでこいつは軍人やっているんだろう、とすら。


「いやもう、自分達は正に蛇蝎だかつのように、と言うか例のバカボンズ界隈かいわいからはメクラチビゴミムシのように嫌われている自覚はあるんですよ、これでもね……」

「……まあ、結果がご覧の通りだ。完敗と言えば聞こえが良いぐらいの惨敗だし、良い薬になっただろうて。さて、事務的な話をさせてもらうのだが、今後のパイロット育成に関しての――」

 艦長の言葉は遮られた。卓上の艦内直通電話が盛大に自己主張を開始した為である。どうぞ、とやはり華麗に右手で促した沖田に目礼をした艦長が溜息交じりに受話器を持ち上げる。


 この隙に、同じ艦に乗艦している筈のアルトリアとリチャードに連絡を入れようかなあ、

沖田が僅かな逡巡の果て、実際に携帯端末を持ち上げるのと同時に、リヴェット艦長が通話器を置いた。


「……噂のバカボンズの身柄を拘束した……って統合軍司令部所属を名乗る人間から……って何がどうなってんのか私も分からん……」

 艦長の顔色は控え目に言っても真っ青なものになっていた。

「……そんな役回りの人ってここに乗艦してたんですか? 小官も初めて耳にしましたが」

 聞いてないよ、とアピールしなくてはならない立場の沖田でもある。実際に知らなかったこともある。寧ろ、こっちに黙ってナニしやがってけつかねん、ぐらいには。

「秋山中将指揮下の望月中尉、と伝えれば分かる、と言ってるが……」

 その名前を聞いた瞬間、沖田は天井を仰いだ。

「あーあー……『海兵隊マリーン』が来ちゃったかあ……一体、何がどうなってんすか!?」

「私が聞きたい……って『海兵隊』って、あの『海兵隊』!?」

 連合陸海空軍、そして宇宙軍のいずれにも所属しない、独自の命令、指揮系統を保有する『海兵隊』。ある意味では統合軍管轄である沖田率いる『101』と、組織の在り方としての親和性は極めて高い存在だろう。実際の所、『101』と統合するプランも存在する、と沖田はあくまでも非公式に上層部から伝えられてはいたが、流石にリヴェット艦長にそこまで伝える必要は無かった。


「どうしてこうなったの???」

 気の毒な艦長の疑問に答える間もなく、沖田の携帯端末が鳴った。どうぞ、と今度は立場が逆転、無言で促す艦長に会釈して、その場で通話を拾った。未見の発信元は推察するに、くだんの『海兵隊』からのものなのだろう。


「『101《いちまるいち》』の沖田クリストファ少佐です――出来れば艦長にも通話内容を共有して貰いたく思うが問題無いか?」

『こちら『海兵隊』所属、望月タケル中尉です。ご理解が早く、助かります――お願いします』

 豆鉄砲を食らった顔の艦長だったが、沖田はそのまま携帯端末のスピーカー設定を外部のそれに切り替えた。


『該当集団、その一連の行動に不審点が散見された為、内偵を行っていたところ、実弾実銃器の保有を確認、また艦内に於ける軽度の暴力行為を目視した事もありまして、二分前にその身柄を士官食堂にて完全に拘束しました』


「……ほう、士官食堂――二分前?」

 沖田、形の良い髭一本生えていない顎に白魚のような指を当てた。タイミング的に僚機、部下二人がノンビリと飲み物でも片手に手足を伸ばし始めた頃合いではなかろうか。


「まさかとは思うがそのオバカ集団が、僕の可愛い可愛い部下、目に入れても痛くない、尻の穴に入れても痛くないどころかウホッ気ン持ち良いぃぃっ!!――そんな部下達にちょっかいを出したとかじゃないだろうね?」

 もはや、リヴェット艦長は石のたぬきとなって鎮座しているだけ。目の前の黙っていれば美少女のような存在がどこかの鬼軍曹のような罵り、煽りを行っている光景は、それこそ彼にとって異世界の演出劇にしか映らなかった事だろう。


『……比喩ひゆ表現はさて置いて、推察の通りです、少佐殿』


「よし、殺す!」

 ガタッ、と勢い起ち上がった沖田。その場でもう硬直している艦長には本当に気の毒な事ではあった。腰元から実銃『スペース・イーグル』を引き抜き、初弾を素早く装填した。


『いやいやいやいやいや!! よくありません!! 待って下さい。今、殺されちゃうと私が困ります!!! せっかく半殺し――ごほん、丁重なる『無力化』に成功したところなので!!」

「そうなの? 望月さんが困るんなら我慢するしかないか――ちぇっ」

 いささか、やり過ぎを自覚した沖田は改めて銃にセーフティを施し、ホルスターにスチャと戻した。対面の艦長はなんかこう、立て続くショッキングにピヨリ状態になっている。心から同情したい。現金な事を言えば、美味しい紅茶は大正義だったし。


『理解いただきありがとうございます、少佐――でまあ、このまま月面に連行――連れ帰るだけなのですが、検分はなさいますか? 個人的には精神衛生上宜しくないので、スルーを推奨しておきますが』


「アルトリアとリチャードは無事なの? 怪我は無いのか?」


 もしかしたら自分は『聞かなくても良いことを聞こうとしている』し、『答えたくないことを答えさせようとしている』のかもしれない、と思ってしまった沖田だったが。


『……オブライエン中尉が、頬に軽微ではありますが、打撲を……』

 これまた『答えたくなかったんだろうなあ』と言うような望月の声。引き出したのは私だが。


「――乙女の柔肌に傷を付けるとか万死に値する。神が許しても俺が許さん」

 今一度、白目で、ずいと腰を固めた沖田であったが。

『隊長、無線替わりました、アルトリアです――お気持ちは有り難いけれど、このまま退艦しましょう。本当に軽微だし――でも、隊長の気持ちは嬉しい』

「だがなあっ!」

 つい先程、胃に落とし込んだ最高のアールグレイがそのまま蒸発して身体、あらゆる穴から噴出されそうな勢いだ。

『バカ共と同じ土俵に綺麗な隊長が立つ必要なんて無いよ。彼等に対して最大の侮辱、軽蔑は『完全無視』になると思う。知ってる? 愛情の反対は憎悪感情では無くて、無関心、なんだよ』

 ぐぬぬぅ……と、とてもではないが似合わない呻き声を立てる沖田隊長だったが、


『早くお家帰って、ビールでも呑もうよ。一杯ぐらい、奢ってちょうだい』

 こうなったら負けである。これ以上、部下の度量の広さをこっちがゆがめるのは本意ではない。

「了解した、では直ちに退艦準備と行こう。リチャードさんにもそのように伝えてください」

『Rogerっす!』


 ふう、と通信を切断、広くも無い両肩で大きく溜息を吐いた沖田は部屋の住人である艦長に目を向けたのだが。

「少佐……いや、敢えて沖田くんと呼ばせて貰いたい――大したものではないが、これを持っていって欲しい。せめてものびじゃい――自分の責任では無いが、来艦してもらってこのまま、ではどうにも気持ちが収まらん」

 艦長がいつの間にか両手で抱えていたもの、それはいかにも高級然とした酒瓶であった。それも、二つ。

「いやいやいやいや、艦長、これは大切なものでしょう」

 チラ、とさり気なく、また抜け目なくラベルを確認する沖田ではある。酒飲みの性と呼ぶべきか、否か。沖田アイなら透視力。


 って、やべえ、『白州はくしゅう』だ! ぶっちゃけ超、超欲しい!!


『白州の森と水から、清々しい香り、すっきりとした味わい。白州蒸溜所で熟成されるモルト原酒だけでつくられたシングルモルトウイスキー「白州」。白州の森で育まれた清冽な水と自然の恵みは、「白州」でしか味わえない、森の若葉のような爽やかさをもたらしてくれます(お酒は18歳になってから)』


 脳内でうたい文句がそのまま声優さんボイスで再生されるぐらいに、好き!


「『白州』、持ってけ! 俺はまた近い内におかに降りるからさ、ささやかな土産だけれど、部隊のみんなで呑んでやってくれ。特に、例のオブライエンにはね。あと、ついでに未開封の紅茶があるから、これも持ってっけー!」

 脳に反し、興奮している沖田の両腕に強引に『白州』のボトル、紅茶のパックは握らされた。


「あ、ああああ、ありがとうございますうううう」

 固辞も過ぎれば、失礼に値する。そう開き直ることにしたクリストファであった。


「わはは、一つぐらい良い事、ないとね。あ、せっかくだからシャメ録ろうぜ。君と出会えたことは俺にとっても自慢になるからさ」


 安んじてお任せあれーーーーーーっ


 パシャッ



『2359年12月02日 最高の友と共に』



 後日、艦長室に設置された写真立てに刻まれた文字であった。体格差のある二人がそれでも満面の笑顔で肩を組み合う、そんな構図はなんか、人に見せると大昔のAAアスキーアートを思い出すとか言われることが多いようであるが。


 こうして、沖田クリストファ少佐及び、アルトリア・オブライエン、リチャード・ホアンの両中尉は『ハバロフスク』を後にすることとなったのである。実にその滞在時間は30分にも、満たなかった。


   ・

   ・

   ・


「なんか、返って悪いことしちゃったみたい……本当にホッペタ、大したことないんだけどな」

 オートパイロットによる帰還航行となっていることもあり、ヘルメットを外して寛いでるアルトリアが苦笑した。

『まあ、俺が艦長と言う立場でも、そーする……間違いなく、そーする』

 やや、赤みを帯びたアルトリアの左頬は、確かに一見問題は無いように見える。『101』の特殊性もあるが、本当に上官部下、と言う簡単な関係ではもはや彼等は無かった事もあり、実の所、隊長沖田の怒りの炎は未だにくすぶり続けてもいたのだけれど。


『俺が便所さえ行っていなければなあ……すまん、アルトリア』

 リチャードが苦々しく、呟いた。

「しょうがないよ。まあ、何だかんだと目の前で海兵のマッチョメンズがフルボッコにしてくれたから溜飲りゅういんも下がったってものだし? いやー、凄かったよ、見ろ、人がゴミのようだーーーっって感じだった!!」


『『それ用法違う』』

 沖田とリチャードが同時に突っ込んだが。


『ご歓談中に申し訳ありません、沖田少佐』

 『震電』は人工知性体こと『ルミナ』の言葉だった。


「……こう言う時、君に官姓名で呼ばれると悪い予感しかしないが、続けなさい、ルミナ」

 ギャグ調、煽り、ボケ無し。これがどれだけのものであるのか。


『今回の大規模演習に際しての情報封鎖、その解除が順次実行され始めているのですが、どうも地球本星にて何らか……いえ、ただならぬ事態、状況が発生している模様です』


「今度は一体、何があったしーーーーーーーーーーーーーーーー!?!?!?」


 沖田クリストファの絶叫が響き渡った。







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