協力者(3)
未来予知、それは一部の者達からは神から認められた者にしか得ることのできない魔法と言われている。
その効果は絶大で、過去この魔法を得た者はいくつもの災害から人々を救っていた。
しかし、ある時未来予知を得たある者が次々と悪事にこの魔法を使用し、多くの犠牲を出したこともあった。
使い方を間違えなければ強力な魔法となるが、だがその反対に悪事に使用すれば相当凶悪になるのがこの魔法である。
故に当時最大の権力を持っていた教会は、強力すぎる未来予知の存在を隠したのだった。
玲の魔法が未来予知だとは誰もわからずにいるが、話し合いは順調に進んでいた。
「本題ですが、玲さんにはその魔法でわかったことをその都度教えて欲しいのです。そして楓さんと早苗さんには何かわかったことでいいので、その際にその情報を報告してほしいのです。ですが無理してまで情報収集をして欲しいとは思っていないので安心して下さい」
「私たちはそれだけでいいのですか?」
「はい、それだけで大丈夫です。まだこちらに慣れてもいないのに諜報活動をして欲しいなんて言えませんし、できても無理してやって欲しいとは思ってないですから」
「それくらいなら別に私達じゃなくてもいいのではないのですか?」
「一番の理由は先ほど話したとおり信頼できるからってことですが、それ以外にもきちんと理由があります。お二人はどのくらい自分達が注目されているのか気がついていますか?」
「どのくらいって、周りの人と余りかわらないんじゃないの」
「やはりそうですか。早苗さんも同じ考えですか?」
「あはは……、流石に楓と同じようには考えてないですよ」
天然の楓とは違い、早苗はしっかりと自分がどのように見られているのかわかっていた。
「いいですか、二人は自分達が思っている以上に注目されていますよ。そしてそれは明日以降に会う貴族達もきっと二人のことが気になり近づいてくるでしょう」
それを聞き、早苗はうんざりしたような顔をした。
「そのような機会が多ければ色々な話を聞く機会も多くなるでしょう。先ほども言いましたが無理して聞く必要はないのですが、もし聞いた話の中に怪しいと思ったものがあれば教えて欲しいのです」
聞けば簡単な内容に聞こえるかもしれないが、そう簡単に行くとは思えないんだよな。
早苗はともかく、楓にこうゆうのは難しい気がする。
普段から信じ過ぎるせいでよく俺に騙されてたし。
玲は知らなかった。
普段玲の前ではダメダメだが、それ以外の場所ではしっかりとしていることを。
伊達に成績が優秀なだけある。
玲に絶対の信頼を寄せている楓は、玲の前では素の自分でいる。
今まで素の楓しか見ていなかった玲がああ思ってしまうのも無理の無い話だろう。
今の説明で楓と早苗がある程度アリス求めていることがわかったと考え、次は玲に対して求めるものを説明した。
「玲さんにはその感覚強化で得た情報を教えて欲しいのです。その見返りとして私は私の持っている力を駆使して貴方達のことを全力でサポートしたいと思います」
「アリスさんの全力サポートですか。……なるほど、それは確かに見返りとしては十分、いや、むしろこちらが得すぎているのでは?こちらとしてはありがたいけど」
「えっ? どうゆうこと」
玲は瞬時に内容を理解したが、早苗はそうではなかった。
早苗の隣に座っている楓も理解できてるようなわからないような、なんな表情をして玲をみていた。
楓も早苗も決して頭は悪くない。むしろ学年でもトップクラスの学力がある。
これもまた二人がよくモテる理由のひとつなどだが、二人は気がついていなかった。
二人からすれば身近に自分達よりよほど頭のいい人がいるのを知っているため、何も感じなかった部分はあるのかもしれないが。
もちろん、その人物は玲である。
もし真面目にやれば学年どころか全国でもトップクラスの成績になるくらいだ。
だが、玲の性格である。
真面目に勉強するはずもなく、授業中寝てばかりである。
それでも楓や早苗と同じ成績くらいの成績はだしている。
そのせいでよく楓や早苗に小言を言われるのはまた別の話である。
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