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00:まえがき
先ごろ他界した伯父の遺品整理中、押入れから埃をかぶった大学ノートを見つけました。表題は「豪州カイチツアー1976~77」。
彼は実際そのころオーストラリアに行っていたそうなのですが、このノートに書かれた文章がその思い出を小説仕立てにしたものなのか、はたまた全くの創作なのか、今となっては分かりません。
手書きのその物語をタイピングしてみました。
登場人物には、自分たち身内の者も知っている名前がいくつかあり、そのほとんどは付き合いが途切れて消息不明、もしくは故人になっているのですが、差しさわりがあっては申し訳ないので、念のため筆者の名含めすべて仮名とさせていただきました。