逆関節歩行の獣人サーガル
そこには光がなかった。
物理的に何も存在していない空間。
そもそも時の進みも奥行きも、大きさという概念すらもない真っ暗な空間であった。
場所という概念のないそこに、いくつもの超越的な人格が集まっていた。
「第6次元宇宙イプシロンは白紙にしてもう一度最初から創り直しを……」
「待って頂きたい、第9次元宇宙ベータのように現在の状況から格別の発展を遂げる可能性があり……」
「それは第5次元がベータに於いて包括的な役割を担っていたことによるものでこの場合では……」
一から十一までの次元は直接的に関与しあうことは基本的に不可能だが、次元を零まで落とし込んでしまえば、霊的存在の意思のみが影響しあうことが可能だった。
一から十までの宇宙が複数個存在するが、十一次元宇宙のみ一つしか存在していない。十一次元宇宙のすべての知的生命体は、それらすべてが期限を異にするものであるにもかかわらず、平和的交流を(4次元宇宙の測り方で)数十兆年の単位で共存していた。
「……ではベータは経過を観察していく方針で異存ないか」
「異議なし。未だ取り返しのつかない事態にはなっておりません。介入はそれからでも遅くないかと」
「異議ありません」
「同じく」
「同じく」
「同じく」
その場にいた全ての霊的存在が肯定することで議論は終了した。どんな話題についての議論であっても、議論は全会一致で終了するものであった。
「では議会は以上にて……」
「待ってください。十一次元宇宙、発言を求めます」
「五次元宇宙ガンマ、発言を許す」
「ありがとうございます」
発言が許可されたガンマが一呼吸分黙ることで他の宇宙を注目を集めてから口を開く。
「四次元宇宙アルファについて提言を致したい」
突然話題にされたアルファが眉をひそめる。何も大きな失敗はしていないはずだと心の中で言い聞かせながら。
「アルファには現在知的生命体が一惑星に繁栄するのみで、他の生命体は出現の萌芽すら見せません。その一惑星にしても同種間で争いあうばかりです。これでは超越的昇華は起こりえないでしょう」
「第5次元ガンマ、それは時間の経過を見る必要がある問題で、それにサブリメイションの確率は決して低くは……」
自分の受け持つ宇宙の運営に突然口出しされたアルファが反論を挟む。
「今まで単一種族でサブリメイションに至ったケースはごくわずかであることをお忘れですか? その数少ないケースにしても、もとは同一であり、過去に分かたれた種が再び邂逅することでそうなったのです」
ガンマの言うことは事実であるので誰も口を挟まない。
「加えて、アルファのプロビデンスコードは新たな種が現れにくいようになっています。これではいつまでたってもサブリメイションは難しいだろうと考えます」
「アルファ、何か申し立てはあるか」
「……ガンマの言うことに間違いないことを認めます」
アルファの言葉で場がざわつく。失敗を防ぐためにできることは何か。それは多次元の存在にとっても難しい。
「しかし何か改善策を講じることができるのか? 一度創られたものに根本的解決をもたらす介入は難しい」
十次元宇宙アルファが現状確認の発言をし、それを肯定する発言が相次ぐ。
「一度軌道に乗った運営に手出しはできん」
「白紙にするほどの失敗をしているわけでもないだろう」
「やはり限定的介入しかないのでは?」
「それでは大した変化は……」
「しかし現状できることはこれしか……」
とめどなく広がるざわめき。第四次元アルファは何も言わない。ガンマも同様に沈黙を保つ。
「静粛にせよ」
十一次元宇宙が雑談のような議論を黙らせる。十一次元宇宙は他の宇宙を統括するような役割に回ることが多く、この場でもその役割を果たした。
「大した解決にはならんだろうが、限定介入しか取れる方法はないだろう。第四次元宇宙アルファ、異存はあるか」
「第四次元宇宙アルファ、異存ありません」
「よかろう。では介入には……」
「この第五宇宙ガンマが立候補いたします。問題提起した私が自ら協力するのが筋かと」
「アルファ」
「ガンマの介入協力に感謝します」
アルファが内心の思いを悟らせずに言う。
「では採決を取る。異議はあるか」
「十次元宇宙アルファ、異議ありません」
「十次元宇宙ベータ、異議ありません」
「十次元宇宙ガンマ……」
第一次元宇宙のオメガにいたるまで採決を取り、全会一致の賛成でこの超越的な存在の会議は終わった。
◇◆◇◆◇◆◇
「クソッ!!」
第四次元宇宙アルファが怒鳴り散らす。
もちろん苛立ちの原因は第五次元宇宙ガンマだった。
「俺よりひとつ次元が上だからって生意気になりやがって……! たまたまサブリメイションに辿り着いたから昇次元しただけで、もとは同じ四次元だろうが、あの野郎ッ!」
腹立ちまぎれに惑星を一つ握りつぶす。宇宙に散らばった破片の大半は恒星に飲み込まれていき、残りは彗星としていろいろな方向に散らばっていった。
「サブリメイションを起こした時のためにアストラルにスペースを空けておいたら宗教なんてものを考え出す。発現確率を少しだけ下げて初期の発展が容易な種が現れるようにしたら、一種しか発現しない……運がないだけだ!時間の経過でいずれ解決する問題だ!」
頭をかきむしり、ヒステリックな言動を抑える。
頭を両手で抱えながら言う。
「まずは限定介入だ……ガンマの奴にアストラルを送らないと……アスラ!」
「はっ」
三面六臂で筋肉質な体の存在が現れる。これは身体は大きいものの存在の密度はアルファには及ばない、アルファの被造物のひとつだ。
「第五次元宇宙ガンマにいくつか魂ごとアストラルを送る。とりあえず6つ持って行ってくれ」
「了解致しました。選定は……」
「ああ、今適当に選ぶ」
別の銀河系が映り、太陽系が映り、そして青い星、地球が映る。さらにズームアップして人間一人一人が見えるくらいに拡大する。
視野を様々なところに移しながら選定していく。
「こっちは……貧困か、助け合いの精神を学べってんだ……この餓死しかけな親子で二つ。あと……自殺しようとしているこの学生で一つ。受験なんて死ぬほどのことでもあるまいに思い詰めやがって……。それと、ああ、事故で巻き添え食ったこの二人。最後に……」
焦土のようになった広場を見つける。いや、爆発が周囲一帯を更地にしただけで、そこはもともと人の行きかう街だった。爆発が建物と人の命を消し去ったのだ。
「……けっ、バカなことしやがって。持っているものの性質も知らずに怠惰な管理をするからこうなるんだ。ここから……こいつがいいか。おいアスラ、こいつら持っていけ」
「かしこまりました」
六本の腕に一つずつ、もとは人間であったそれらを持って彼は消える。
「おい、アフラ=マズダ! アンラ=マンユ!」
「はい」「ここに」
「第五宇宙ガンマに……」
こうして第四次元宇宙アルファは人間の選定を続ける。
◇◆◇◆◇◆◇
暗闇の中から浮上した意識が最初に見たのは眼前に迫る布の玉だった。
反射的に首をひねって回避。布の玉は長い棒の先に紐で縛られていた。突きのあとの形でそのまま振り下ろされる棒。手に持っていた同じ棒で強く弾き、後ろに数歩後退する。
私は今何をしていたのだ?周りを確認すると、狼のように長い顔、とがった耳が生えている獣が数人、二本足で立っている。いずれも革でできた服のようなものを身にまとっている。
そして正面には刃のかわりに布玉のついた槍をもった獣がこちらをにらみつけている。
「どうしました隊長? 私との演習に不満でもありましたか?」
「いや……なんでもない」
口が勝手に答えを紡ぐ。頭では何が起きているのか理解できていないのに。
目の前の獣は一瞬首をかしげるが、すぐに槍でこちらを打ち倒そうとしてくる。
体が自然に動く。考えずとも勝手に腕や足が動き、槍に槍をぶつける。
相手が突き出した槍を斜めから弾き上げ、石突で胸を狙って突く。相手はこれをかわし、槍を持ち直しながら懐に飛び込んでくる。伸びきった腕を戻しながら手を回し、相手の頭を槍の柄で殴る。
「ガァァァッ!」
一発食らっても諦める様子はない。槍の穂先に近い方を持って突き出してくる。
俺は辛うじてそれを避ける。避け際にこちらも胸に突き入れるが、余裕をもって躱されてしまう。
一投足の間が開く直前に二人同時に長い突きを繰り出す。俺の突きで相手は首を大きくひねった。俺は腋の間に通して回避している。チャンス。懐にタックルし、槍を手放して顔をしたから殴りあげる。
「グェァッッ……!!」
決まった。相手は後ろ向きに倒れて、槍は手から離れている。周りの獣がおぉ~とか口笛を吹いたりしながら拍手する。
「ヨークトル様が勝ったぞ~!百人隊長に賭けてたやつは今晩のメシ奢れよ~!」
「最近この二人の模擬戦で百人隊長が勝ったことあったか? ヨークトル様にかけてなかったやつ誰だよ?」
「フィンとギヨーヴだよ。あいつら二人で10人くらいおごるわけじゃん、やべえな」
周囲の獣人たちがはやしたて始める。周りがにぎやかになり、うるさくなる。
「いてて……ここのところ私が全然勝ててませんな。本当に強くなっておられる」
俺が殴って吹っ飛んだ獣人が起き上がり、片手を目で覆う敬礼をする。
こいつを見たことがないという思いと、何回も一緒に戦ってきたという記憶が同時に存在する感覚。脳内が混乱しながら目の前の彼の名前を思い出す。
「なに、調子がいいというだけのことさ。実際、結構あぶなかったぞ、ジュアン」
左目を左手で覆い隠し、右目だけで相手を見る。戦いの前と後にする敬礼だ。
冷静になるといろいろな情報が脳内にあることがわかる。ここは我がサーガル軍の宿舎。毎日の修練の途中の模擬戦をしていた。自分は親衛隊長ヨークトル、ェウェイン女皇の第三の子。
目まいがする。運動の後ということだからではなく、頭の中の情報量に圧迫されている感じ。
「どうしました、エディアネギン(隊長)」
「いや、思ったより疲れてしまったようだ……あとの教導は適当にやっておいてくれ。俺は今日はもう休むことにする」
「え?」
「頼んだ」
額を抑えながら出口へ歩く。適当に練習用槍を立てかけると、速足で自分の部屋に戻った。
扉を開くと、見覚えのない部屋だと感じる自分と、自分の寝場所だと感じる自分、二人が脳内にいる。この状態に耐えられずに、革鎧をつけたままベッドへ倒れこむ。汗をかいたままということも気にならなかった。
◇◆◇◆◇◆◇
自分は誰だ?
ヨークトル親衛隊長だ。いや違う、永谷良蔵、課長だ。
なぜ自分はここにいる?片方の人格に自問自答する。
自分の最後の記憶。衝撃と轟音がして、鼓膜が破れたのか何も聞こえなくなって、足から大量出血している記憶。これが自分の一番新しい記憶だ。
日本の本社から途上国へ排ガス処理装置の技術提供に行って、現地の技術者と話しているときに爆発がした。危険物の管理体制がずさんだったということだと思うが、それで命を落とすなんて自分の不運さに驚く。この事故で技術提供は見直しになるだろうか。会社の業績や株価の下落、いろいろなことが心配になる。
(いや、死んでしまったなら仕方がない。地獄に落ちたわけではなさそうだし、家族には生命保険が出るだろう)
自分で掛けていたものもあるし、会社の保険もあるからとりあえず家族の生活が苦になることはないだろう。しかし、いま自分はどういう状況にいるのか、それが問題だ。
まず耳、後ろ向きに生えていて尖っている。顔は犬か狼のように前に長く、舌は先が割れている。
ヨークトルとしての記憶が、これは先天的なものではなく生まれてすぐの割礼によるものだと告げる。
細長い舌と尖った横の歯。奥歯と言える位置だが人間のものとは違い尖っている。
体は白と深緑の毛並み。指は四本、爪が長いが物はしっかり掴める。
(一番大きな違いは……足の関節だな)
人間のひざと逆向きに曲がる逆関節がもう一つついている。上から股関節、膝、逆膝、かかとの順になる。
右足を上げて曲げ伸ばししてみる。膝と逆膝を同時に曲げ、伸ばししていると短いばねのようだ。
この足で歩いたり走ったりする。走れば馬と同じほど早く走り、持久力も馬に比べて遜色ない。体一つで人間と戦って負けない理由の一つがこれだ。
(まて。人間と戦う? 人間の俺が?)
(馬鹿を言うな。お前は人間じゃない。サーガルだ。しかも第三皇子だ!)
同時に浮かび上がる意識。別人格ではなくどちらも自分なのだからとてつもなく混乱する。
確かに親衛隊長だ。そして我らサーガル軍は南下し、人間の土地に向けて侵略戦争をしている。母、つまりェウェイン女皇は兄と妹を突撃隊長として連れてたびたび攻撃に出ている。親衛隊として拠点を守るため、自分は土地を直接奪ったことはないが人間と殺しあった経験がないわけではない。
自分は人間なのか? 人間の自分が人を殺したことがあるのか? 考えるとショックなことだし、考えたくないのでこのことについては一時保留とする。
別のこと……そう、我らサーガルと人間のほかに種族はないのか? 二種族だけなのか?
西の方にドワーフがいるのは知っている。交流は確かあったと思うが、母の代になってからとんと不通になっている。
南の人間の国を挟んで鳥人の土地があるという話を聞いたことがあるが、それ以外の話はまったく聞いたことがない。つまり全く交流がない。
我がサーガルは寒冷な土地で小規模な農業と遊牧、それと狩猟で暮らしている民族だ。国土を八つにわけ、その土地や行政単位を旗と呼ぶ。王が率いる旗を序列一位として皇族が上三旗、臣下が下五旗を率いる。
今自分がいるここは首都であり、一番経済が活発と言えるが、日本の東京を知っている身からすると全然田舎のように思えてしまう。国民の多くは移動できる組み立て式テントに住んで遊牧しているため、そもそも家というものが少ない。最近は上三旗が首都に滞在しているため食事などを出す出店が立つようになってきている。
出店でよく売られているのが肉の串焼きとビール。基本の味付けは塩しかなく、ハーブを使うところがたまにあるくらい。コショウなどの香辛料は存在しないのかもしれない。
肉のことを考えていたら腹が鳴った。さっきまで模擬戦をしていたこともあってかなり腹が減っている。窓の外を見るとすでに空が茜色になっている。
考えるより先に体が動いた。ベッドから勢いよく起きて服を軽装に着替え、肉を食べに外へ出た。
◇◆◇◆◇◆◇
出店のほとんどは座る場所を用意しておらず、買って歩きながら適当に座る場所を探さなければならない。今はちょうど夕飯時であり座れそうな場所はどこも先客に座られていた。
(まずは買ってから、食べる場所をさがすのは後にしよう)
できるだけ並んでいない店を探しつつ歩く。が都合よく空いている店はなく、並んで待つことにした。
もとは兵30人が並んで行進できるほど広い大通りだが、出店と雑多な列のせいで歩きにくいくらいの道幅になっている。並び方のマナーも悪く、どちらが先に並んだの口論が見られたりする。そして後ろに並んでいた人に漁夫の利を取られたり並び直すはめになったり。日本人だったころの感覚からするとマナーが悪いように感じるが、訪れていた途上国ではマナーはこんなものだった気がする。
(日本人のマナーがいいって話は本当だったんだな)
サーガルという種族自体が知能が人間より低いのかもしれない。ちょっと細長くとがったような頭部は人間よりも脳の容量が少なそうだ。ヨークトルの記憶にあるサーガルの行動は人間の大人より子供っぽい。フランクな性格と言ってもいいかもしれないが、実際知能は人間の高校生、いや中学生レベルかもかもしれない。とすると人間だった私がサーガルになったのだから知能は下がっている? またはこれから下がっていく? 背筋が冷えるのを感じながらアルジャーノンに花束を、というタイトルを思い出した。
列が進み、串焼きを焼く店主の前まで進む。
どの店もそうだろうが、メニューなんて物はない。串焼きが1種類だけだ。
「2本くれ」
「はいよ、銅貨1枚」
横柄な態度に感じたが、今は身分をひけらかしているわけではないので気にはしなかった。
注文してからポケットに手を入れ、財布を取ろうとする。
「あれ?」
ポケットには何も入っていなかった。財布をポケットに入れるのを忘れて部屋を出てきたことに気付く。
「銅貨一枚だよ」
店主は焼くことに集中していて、俺が財布を忘れてきたことに気付いていない。苦し紛れに別のポケットも探ってみるが、当然何も出てこなかった。
(これは諦めるしかないか――)
踵を返して帰ろうかと思った矢先、俺を救ったのは妹の声だった。
「あら、もしかして兄様ですか?」
振り向くと妹のルルエンが男を連れてこちらを見ていた。
落ち着いた色合いの、しかし首都に住んでいれば皇族のルルエン皇女と分かるような服装。連れている男は彼女の部下だろう。名前は覚えていないが顔は見たことがある。
「ルルエン」
「店の前で突っ立ってどうしました?」
「いや、財布を部屋に置き忘れてしまってな……」
呆れと怪訝の混ざったような表情をする妹。
「まったく、うっかりしてますね。店主さん、5本下さいな」
「おお、皇女さま。こんな店でよろしいのですかな?」
「たまにはね。で、おいくら?」
「2本で銅貨一枚ですが……」
持っていた小さな手提げを開いて、お金を出す。
「銅貨3枚。お釣りはいらないわ」
店主は感謝して5本、肉が大きくてよく焼けたのを渡してきた。ルルエンは2本を俺に、1本を部下に渡す。
身分が分かるものを着て来た方がよかったかもしれないと、少し思った。
「兄様がこの時間に空いているのは珍しいですね。演習が早くおわったんですか?」
歩きながら話す。食べながら歩くような真似はしない。
「体調が急に悪くなってな。後を部下に任せて休んだんだが、ちょっと休んだら良くなってしまったから食事にしようと思ったんだ。お前こそ珍しいじゃないか」
「兵站のほうの整理をしていたら遅くなってしまって。ジューリヒに手伝ってもらったけどこんな時間だから」
「そうか」
串を一本もっているルルエンの部下が会釈してきた。ジューリヒという名前だったのか。
「兵站がそんなに散らかっていた? まさか盗みでも入ったんじゃ――」
「まあ、似たようなものね」
冗談で言った言葉を肯定されて一瞬固まる。
物資が貯められている倉庫は、鍵は簡単なものだが見張りが何人も立っているはずだ。警備をかいくぐって食糧や武器が盗まれたとなると大変な事態になる。
「女皇陛下が持ち出されたのです」
ジューリヒが説明してくれる。
母が倉庫から物資をもっていった。ということは、
「御壌黄旗にもっていったのね。槍や食糧が御壌黄旗の倉庫に持ち込まれたのを確認して、兵站倉庫から無くなった分と、御壌黄旗に持ち込まれた分がだいたい同じことを確認して、つじつま合わせのために倉庫に残った分を帳簿に記録して……ああもう、周りに相談もなしにいきなり行動するのをやめていただきたいわ」
「母上はいつもそんな方だから、諦めるしかないさ。だが、そんなことをされたというのは、またどこかに攻め入るつもりなんだろう」
続きをいつ書くか分からないので供養