走れ
何も分からずにとりあえず書いてみました、お手柔らかにどうぞ。
夕暮れが迫る森の中を簡素な装備を身に纏った青年が全力で走っていた。
汚れ傷付いた鎧の上には所々真新しい血の跡が見える。
殴られ壁に飛ばされた衝撃で鎧は凹み、肺を圧迫し呼吸音が乱れる。
走り続けた足には乳酸が溜まり一歩を踏み出すのすらツラく口の中は血の味がしている。
死にものぐるいで逃げる青年パーキィ
彼の背後を木々をなぎ倒し重量感のある足跡を響かせて3メートルはあろうか二足歩行のけむくじゃらな鹿の様な化物が迫っていた。
(なんだあれ⁉︎なんだあれ⁉︎なんだあれ⁉︎この森にあんな奴いなかっただろ‼︎くそっ)
「ゴォオオオオオオオ‼︎‼︎‼︎」
鹿の化物が咆哮をあげる。木々にとまっていた鳥たちは羽ばたき、空気が揺れるほどの音量。
パーキィは咄嗟に手で耳を抑える。
すると、足に何かがぶつかり盛大に転ぶ。
「いってえ、なんなんだ‼︎」
苛立ち、再び走りだそうと地面に手をつく。
ピチャ…と音がする。
「ピチャ⁇…これ血か⁇」
息を呑み、ゆっくりとあたりを見渡す。
先ほどまでに騒がしかった音が急速に遠かった。
自分の唾を飲み込む音と早鐘のようにうつ心臓な音だけが脳内に響いた。
見渡すかぎり、死体、死体、死体、死体の山だった。
彼らの死装飾は飾り模様が描かれた銀色に輝く甲冑、黒色のマント…どれも血と泥に汚れ輝きを失っている。
「なんなんだ、なんだよこれ⁇どうなってんだ⁇なんなんだよこれは‼︎」
ドシン‼︎‼︎‼︎
すぐ背後に一際大きい音が響いた。
ムワッと鼻をつまみたくなる様な獣の臭いが鼻をつく。
手が震え青ざめた顔からさらに血の気がひく。
冷や汗が喉から胸元に落ちひたすらに不快だった。
振り返ると曲がった角を生やしヨダレを垂らした巨大な鹿の化物の顔が目の前にあった。