鬼の生き方
今回は戦闘が入ります、力が強く、人々から恐れられ、崇められた鬼、しかし、人間達に拒絶され
今の世界に居る、そんな鬼達は人間に何を思うのか
是非ご覧ください!
飯を食った俺達は、空の提案で散歩をすることにした、今はちょうど昼間くらいだから問題ないはずだ
「それで?空、どこに行くの?」
「あの山とかはどうですか?」
「あ!良いかも!思いで巡りって感じで」
「でしょ?お兄様にも私達の思い出の場所を知って欲しいですし」
山か、確かに問題ないが、山の思い出ってなんだろうか
「それでは!こっちです!」
俺は空に連れられて、その山に向かうことになった、ミアも一緒だ
「良い景色だな」
山に向かうまでの景色も絶景だった、元気よく生える木々、聞こえるのはセミの鳴き声と、こいつらの
話し声だけ、車の音も無く、静かな物だ、まぁ、セミはうるさいがな、そんな木々の間を進んでいくと
山頂と思われる場所にでた
「ここが山頂か」
「ええ、龍治様、綺麗でしょ?私達は昔、ここでよく遊んでたんですよ」
「おぉ!私、こんな景色があるなんて知らなかった!」
ミアが喜ぶのもよく分かる、視界に移るのは数々の山が連なって、波の様にも見える、それにさっきの
村が小さく見える、その中で動き回ってる妖怪達、なんというか、日本の原風景みたいな景色だ
「昔、ここでお姉様と遊んだ時です、お姉様が足を滑らせて崖にから落ちそうになったんです」
「妖怪でもこの高さはキツいのか?」
「そりゃ、当然ですよ!落ちてたら私死んでます!」
「そりゃそうだな、で、良く無事だったな」
「はい、その時、男の人が私を助けてくれたんですよ」
「ふぅん」
「その男の人の顔はあまり覚えてませんけど、深い安心感を抱いたのは覚えてます」
青の言う安心感はなんなのか、正直俺には分からない、にしてもよくその男はここが分かったな
しばらくこの景色を見て、俺達は次の場所に向かうことにした、下山してるときだ、1人の女の人が来た
「ちょっと待ちな」
「ん?」
「あんた、人間だね」
「あぁ、そうだけど?」
その女の人は赤髪で、髪の毛は長かった、それに頭に2本の角がある、ある大人の女性という雰囲気
服装は動きやすい半袖とズボン、角があるし、きっと鬼だなと分かった
「やっぱりね、ふふ、ちょうど良い久々に人間とやり合ってみたかったんだ」
「え?」
「人間は強いからね、でも、良いかい?不意打ちはなしだ、堂々と戦わないと」
「正面から戦って、人間が鬼に勝てるかよ」
この女の人は自分は鬼だと宣言している、見た目は人でも見た目での判断はこの世界じゃ自殺行為
ましてやあいては鬼だ、鬼の力は怪力は有名だ、真っ向からぶつかって勝てる相手じゃ無い
「それもそうだね、あんたはすごい武器を持ってるって風には見えないし」
「だろ?」
「じゃあ、ハンデをやるよ、あたしに攻撃を当てられたらあんたの勝ち、どうだい?」
「龍治様、鬼は一度目を付けられたら満足するまで帰りませんよ?」
確かにそんな気はする、多分この鬼は意地でも俺と戦おうとするだろう、最悪飲み比べって言う
最も駄目なパターンになりかねない、ここは、この条件で戦うか
「・・・分かった、一撃だな?」
「よし、そんじゃ、始めようかね!」
この鬼はすごく期待に満ちた表情をしている、すごく楽しそうだ
「行くぞ!」ダダ!
「本当に真っ向から来るなんてね!そういうの、大好きだよ!」ブン!
この攻撃は正確に俺の顔面を目指してきた、予想通りなんだが、この速さは予想外だ、これは避けれない仕方ない、戦い方を変えるかな
「そら!」ガン!
「お!?」
俺はアルスから貰った力を使って、盾を作り出した、その盾に阻まれ、鬼の攻撃は一瞬止まった
俺は、その一瞬の隙を突き、回り込む、盾は一瞬でつぶれたが、この攻撃力は予想できた
「そこ!」シュン!
俺は回り込み、すぐさま武器を射出した、正直鬼相手に接近戦なんて自殺行為だ
「はは!面白いじゃ無いか!」カン!
しかし、その攻撃は簡単に弾かれた、圧倒的な反射神経、行動スピード、攻撃力、防御力、
本当、鬼って種族はチートじゃないか?
「そこ!」ブン!
もう一度盾を出しての不意打ちは通用しそうに無いな、じゃ、今度はこうするか
「そら!」スゥ
「お!」
今度は武器を使って鬼の攻撃を流した、力が強く、まともに戦えないのなら、その力を利用する
「今度こそ!」ブン!
「あっと!」カン!
鬼はバランスを崩してるはずなのに、足を振り上げ、俺の攻撃を防ぎやがった、とんでもない奴だ
「ちぃ、ったく!絶対に決まったと思ったのによ」
「あっはっは!いやぁ!楽しいね!こんな楽しい戦いは久しぶりさ!」
鬼は心底楽しそうに笑っていた、俺は結構しんどいんだけどな
「あっはっは!さぁ!行くよ!頑張って回避してごらん!」スゥ
鬼の動きは遅く、まるで何かを溜めているようだ、嫌な予感がする、何か対策を練っとかないと
「破!!」ビュン!
一瞬の出来事、鬼は一瞬で俺の目の前まで間合いを詰めてきた、目にもとまらない速さで
「これで、終わりかい?」ズドン!
鬼の一撃は強烈だ、人間がまともに食らったら、まず生きていられないくらいに、まぁ、対策は簡単だ
「な!」
食らわなければ良い、攻撃が直線的な物なら、俺はその攻撃の軌道から逸れれば良いんだから
「馬鹿な!どうやって!」
「お前は本当に俺の姿を捉えていたのか?」
「!!」
種を明かせば簡単な事だ、俺の能力はイメージを投影する物、だから自分自身に自分のイメージを
乗せた、後は一気に間合いを詰めてきたときにそのイメージを前進させるだけ、あれだけの速さだ
鬼からしてみれば、俺の姿が近付いてきても気付かないだろう
「それと、周りにご注意を」
鬼の周りには俺が固めた武器が浮遊している、この武器達を一気に鬼に向かわせ、突撃させた
「はは、まさかここまでとはね」
「流石の鬼もこの数は凌げないだろ?」
「ああ、全くだ」ザシュ!
鬼は避けることもせずにその攻撃全てに当たった、しかし、攻撃性が強い武器は1つだけ
鬼に刺さったのはその1つのみだ
「痛た、1本だけかい?」
「あぁ、串刺しにする理由は無いだろう?」
「はは、そうかい、でもあたしの負けか」
この勝負の俺の勝利条件は一撃入れることだ、この条件を達成したら帰ってくれるんだ、これ以上の
攻撃は意味が無い
「それで、なんで俺にちょっかい出したんだ?」
「あたしは人間と戦うのが好きだからさ」
人間には理解できない、ただ、鬼にとっては重要な事なんだろう
「あたしはね、人間との勝負ってのが大好きなのさ、飲み比べでも、何でも良い、人間が好きだからね」
「じゃあ、なんで勝負するんだ?」
「簡単な事さ、あたし達鬼にとっては、それが最大の愛情表現なのさ」
最大の愛情表現が勝負ってのはなんでだろうな、ただ、分かることはこの勝負は命を賭けた物じゃなく
お互いが楽しむための勝負って事だろうな
「鬼の皆さんは人間とよく一緒にお酒を飲んでましたよね?」
「あぁ、よく飲み比べをしたもんだ」
「それも愛情表現なのか?」
「あぁ、そういえば人間との飲み比べを最後にやったのは島にいたときかねぇ」
「島?」
「あぁ、鬼ヶ島って呼ばれてたね」
鬼ヶ島、桃太郎で出てきた鬼ヶ島か、もしかして最後に飲む比べをした相手って・・・
「あの坊主は見た目はまだ子供だったのにすごく酒に強かったね、まさか、あたしが負けるとは
思わなかったよ」
「それ以外で戦ったりはしたのか?」
「いいや、飲み比べだけさ、負けたから約束通り島から出ていったんだ」
昔話だと戦って勝ったって事になってるが、きっと昔話で飲酒ってのは駄目って事で改変されたのか?
「じゃあ、村を襲った理由は?」
「村を襲った?無い無い、なんで人間を襲わないといけないのさ」
村を襲ったってのも違うのか、正直俺が知ってる物語は嘘ばっかりだな、これはきっとこの後も
知らない物語が出てきそうだ
「さて、あたしはもう帰るさ、もし何かあったら呼んでくれよ、全力で助けてやるからさ」
「それはありがたいが、本当に大丈夫なのか?」
「安心しな、鬼は嘘を吐かない、約束は絶対に守るよ」
鬼は良い笑顔でそういった、そういえばこいつの名前、聞いてなかったな
「お前の名前はなんなんだ?」
「あぁ、言ってなかったね、あたしは柳葉 童子こんなんでも鬼の中じゃそこそこ
強いよあんたらは?」
俺達は自己紹介をした、しかし、柳葉 童子なんて聞いたことが無い、もしかして伝承にいない
鬼なのかもな、俺達は柳葉 童子に別れを告げると一旦家に帰ることにした
「大変でしたね、龍治様」
「鬼ってすごいんだね」
「鬼ですから、妖怪の中でも上位の存在ですし」
「あれ?あそこに誰か居ない?」
そこには髪の毛が黒く、髪が短い、尻尾も耳も黒い青と同じくらいの女の子がいた
「もしかして・・・紅ちゃん?」
「・・・その声は・・・黄・・・」
その少女はどことなく青に似ている気がした、しかし、その目は紅く、狂気さえ感じるほどだ
「どうしたの?」
「・・・ふふ、ちょうどよかった、ちょっと、この世界を壊すから挨拶に来てたの」
「!!」
紅と言う少女は笑顔でそういった、しかし、その笑顔は恐ろしかった
「なんで、そんな事!」
「この世界は私を拒絶した、だから私もこの世界を拒絶する、復讐って奴よ、でも、黄と空は
受け入れてくれた、だから、この村は壊さない、それを言いに来た」
「駄目だよ!世界を壊すなんて絶対にさせない!」
青は臨戦態勢を取った、紅も同じく、しかし、どっちにも殺気はない、この勝負、どうなる?
次回は青VS紅、昔、唯一居場所になってくれた少女、彼女において行かれて我を忘れた少女は
彼女と戦い、何を語るのか
次回もお楽しみに!