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退屈な世界とのお別れを~妖怪達の楽園~  作者: オリオン
プロローグ、次なる目標
3/14

妖怪達の本当の姿

今回は妖怪達の日常を描写します、果たしてあなたが抱く妖怪象とこの世界の妖怪は似ているでしょうかそれとも全くの別物でしょうか?


是非ご覧ください!

不意に後方から声が聞こえて俺は噛みつかれた、ただ、あまり痛くない、何でだろうか


「はむ、はむ、はむ」

「・・・何してんだ?」

「おいしー!」

「あぁ、龍治様、はむはむされて」


そうだ、ものすごく甘噛み、なんでこうなってんだろうか、普通人食い妖怪ってこう、ガブって感じ

だよな?でも今はすごい甘噛み、全く分からん


「その、こいつは何をやってんだ?」

「捕食行為です」

「俺は何を食べられてんだ?」

「多分、汗ですかね」

「汗なんて喰ってどうすんだ?」

「私は食べないからなんとも言えませんが、おいしいそうですよ?」


よく分からない、俺の世界で人食い妖怪なんて言われたら、思いっきり捕食してくる妖怪だぞ?

どうなってんだか


「なぁ、これのどこが人食いなんだよ」

「食べられてるじゃないですか」

「普通人食いってこう、ぐしゃあ!って感じじゃ無いのか?」

「そんな訳ありませんよ、ちょっとはむはむされるだけです」


こいつは驚いた、俺の世界で妖怪と言ったら人に害悪を与える存在なんだが、こいつ程度なら

たいした害にはなりそうに無いな・・・もしかして他の妖怪もそうなのかもしれん


「なぁ、1つ聞きたい」

「なんですか?」

「妖怪ってのはそこまで人間に害はなさないのか?」

「はい、でも、人間達は私達を嫌ってましたけどね」


ふむ、つまり、そこまで害をなさない妖怪が多いって事か、まぁ、この人食い妖怪が良い例だな

もしかして、大人が子供の、妖怪に対する認識を変えさせるために捏ち上げたのかもな


「あ、でも、危険な妖怪は居ますよ?ぬえ様とかは人間を嫌ってますし」


鵺か、確か昔に源頼政に射殺されたって言う妖怪か、確かにやばそうだ


「今でも昔話の時に良く聞かされます、子供と遊んでただけなのに撃ってくるなんて酷いって」

「え?遊んでたのか!?」

「あ、はい、鵺様は変身が自在に出来て、それを使って子供を楽しませてたんですよ、昔は私も良く

見せて貰ってたな、あ、本当の姿は赤髪の女の人なんですけどね」


これが本当だとしたら、人間の勝手な都合とか誤解とかが多かったって事になるな


「それと鬼の方々ですよ、あの方達は強い人を見ると戦わないと気が済まないそうなので、龍治様は特に気を付けてくださいね、手加減はしてくれるとは思いますけど」


鬼のイメージが変わった、今まで鬼って力で人々を襲う化け物だと思ってたが青のこの言葉でイメージが変わった、なんで人間は妖怪達を拒絶したんだ?


「ふぅ、おいしかったぁ!ありがとね!」

「・・・」

「あ、あと、お礼に体の悪い部分も食べといたから、さっきよりも元気になったんじゃないかな?」


体が軽くなった、本当に悪いところも喰ってくれたのか・・・本当になんでこいつらを拒絶したんだ?


「そういえばなんであの時逃げたの?」

「その、人食い妖怪=人間を喰うって言うイメージが抜けなくて」

「私は龍治様が逃げたから、一応言おうとはしましたよ!?でも逃げちゃったし」

「その流れで逃げたって事か?」

「はい」


まぁ、あれが無かったらこの村に着いてないし、そう考えるとまぁ、良いかって気になるな


「あ!そうだ!私はミア!よろしく!」

「あっと、俺は東河 龍治だ、よろしくな」

「その式、青です!」


この世界に来て、妖怪のイメージが大きく変わりそうだ、本当に人間なんかよりもずっと優しい気がするでも、何かがある、そうじゃないとこの世界に歪みが生じた理由が無いからな


「ねぇ、龍治、私も一緒に居させてよ」

「あ?なんで?」

「だって、人間、龍治しか居ないし、はぐれたら私死んじゃうから」

「良いんじゃないですか?人食い妖怪も戦ったらすごく強いですし」


こいつが強い?想像できないな、でも、見た目で判断は出来ないか、青だって見た目だけじゃ、

和服を着たコスプレ少女、でも実際は耳と尻尾は本物で圧倒的な攻撃力を誇るからな

妖怪を見た目で判断するのはやめとこう


「出来ましたよ!あれ?人食い妖怪さん、起きたんですね」

「こんにちは!私ミア、よろしく!」

「あ、これはご丁寧に」

「ご丁寧?」

「私は空と呼ばれている妖狐です、そちらの青お姉様の妹です、どうぞ、よろしくお願いします」


空は頭を深く下げた、俺に自己紹介したときは高級宿の女将さんが良くやってる様に挨拶してたな

この子は本当、礼儀正しい、青の奴なんて初対面でいきなりストーキングしてました宣言だ、その後は

丁寧な口調になったが


「ねぇ、空、どんな料理を作ったの?」

「はい!お姉様が大好きな油揚げを使ったお料理です!」

「本当!お姉ちゃん嬉しい!」

「えへへ、お姉様・・・」


仲が良い姉妹だ、なんか今まで見てきた姉妹って、喧嘩したりしてばっかだったから新鮮だな、

しかし、油揚げばっかだな


「いただきます!」はむはむ!

「い、いただきます」はむ

「ど、どうですか?」

「おいしい!流石は空だね!」

「あぁ、うまいぞ」

「ありがとございます!」


そんな食事風景を横で見ていたミアは食べたそうにしていた


「喰ってみるか?」

「うん!」はむ!


俺が聞くと同時に、一気に食いついてきた、それだけ食いたかったって事か


「はふ、はふ!おぉ!人間とは違うおいしさ!」

「そうでしょうね」

「でもやっぱり人間を食べた方が元気が出る!」

「そうでしょうね、だってあなたは人食い妖怪ですし」

「でも!この料理でも生きていける気がする!」


人食い妖怪は人間以外を食っても生き残る物なのか、じゃあ、なんで全滅したんだ?よく分からん


「お兄様、なんだか悩んでるみたいですが?」

「ん?あぁ、なんで人食い妖怪が全滅したのか気になってな」

「人間以外の食事でも大丈夫なのにって事ですか?」

「あぁ、気になってな」

「多分ですけど、人間以外の食事を見たことが無かったんでしょうね」


他の妖怪の食事を見たことが無いのか、それで別の食い物に興味を示さなかったって事か


「違うよ、お母さん達はこのご飯は不味いって言って食べなかったの」

「へぇ、つまりあなたはレアケースなんですね」

「うん、私のお父さんは人間だったから」

「え!?」

「つまりね、私は半分は人間で、半分は妖怪なの」

「お父さんとお母さんが出会った理由って聞きました!?」

「えっと、お母さんがお父さんを食べて、お父さんが楽になった、ありがとうって言ったのがきっかけ

って言ってたかな、もう何百年も前の話しだし、うろ覚えなんだけどね」


何百年って、そうか、うん、そうだよな、こいつらは妖怪だしな、人間なんかよりも断然長生きするか


「妖怪と人間の恋、なんだかロマンチックですね」

「・・・そうだな」


だが、その恋はきっと不運な物だろうな、人間よりも断然長生きする妖怪、その妖怪が人間と恋か

先に人間が死に、妖怪は取り残される、悲しい物語だろう


「お母さんはね、お父さんが死んだとき泣いてたんだけどさ、お父さんは最後に幸せだったって

言ったんだって、それでお母さんは前向きに頑張ろうって言ってた、そして、お母さんは、死ぬときに

私とはもう会いたくないから死なないでよ、って言ったの、酷いよね」


不器用な母親だったんだな、娘に死んで欲しくないからそんな事、言ったのか、こいつはその意図に

気づいてないみたいだが、いや、これで良いのかもな、その方が長生きするかもしれんし


「うぅ、いい話ですねぇ・・・」

「私、感動しました、さぁ!油揚げ、ドンドン食べてってください!」


青と空はものすごく泣いてた、本当に、妖怪の方が人間らしい気がしてきたぜ、もしかして人間が抱いた理想の人間像は、妖怪達に少し憧れてたからなのかもしれないな

次回は少し戦闘が入る予定です、かつて妖怪と人間が共存していた時代、その時代の妖怪達は今の人間を

見てどう思うのか?


次回もお楽しみに!

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