化け猫の里での情報収集
青とミミが盛大に喧嘩をして30分ほど経ち、二人の喧嘩はようやく収まった。
「はぁ、はぁ」
「はぁ、はぁ」
二人は息が切れている、そりゃあ、あれだけ長いこと叫び散らしたらそうなるよな。
「こ、ここは、引き分けですね」
「うん、それが良い」
二人はそう言うと大人しくなった。しかし、よくあんなに長いこと大声が出せるな。
「はぁ、はぁ、そ、そうだ、何でここに来たのか聞いてなかった」
「ん?あぁ、実は情報収集でな、紅って言う妖狐を探してるんだ、化け猫は情報を集めるのが
得意だって聞いたからな」
「うーん、紅?ごめんなさい、私は最近来たばかりだから知らないの」
「そうか、なら俺達は聞き込みをするか」
「それが良い、ごめんなさい、役に立てなくて」
「大丈夫だ、気にすんな」
俺達は聞き込みを開始することにした。化け猫の里と言ってもそんなに沢山化け猫がいるわけではない
その為あまり話を聞けるわけでは無かった。俺達は別れて情報を集めることにした。
そして、俺が1人で色々と探していると人型の男と女の化け猫がいた。
「どうも」
「あれ?人間だよジュイ君、珍しいねぇ」
「お前は相変わらずのんきだな、普通人間なんていないぞ?」
「えぇ~、でもご主人様は人間だったじゃ無い」
「当然だろ?兄さんは人間の世界にいるんだ、俺達は妖怪の世界だぞ?」
「あぁ~、そうだったねぇ~、忘れてたよ」
その2人はコントの様な会話を続けていた。容姿は女の子の方は全体的に茶色い和服で髪の毛も茶色
和服には茶色としましまの模様が沢山あった、耳も茶色で尻尾はしましまだ。
男の子の方は全体的に黒い和服でチラホラ白色の模様が混じっている、髪の毛も黒だが耳には
若干白色がある、尻尾は根元が黒で先端が白だ。
「えっと、俺達になんの用ですか?」
男の子の化け猫は少しだけ焦っている様な口調でそう言った、警戒してるようだ。
「ジュイ君、そんなに警戒しなくても良いじゃん」
「チャチャ、お前はもう少し警戒心という物を持った方が良い」
「なぁ、お前らはもしかして人間がいる世界から来たのか?」
「え?あ、あぁ、よく分かったな」
「最初に言ってたじゃ無いか」
「あ!そういえば」
「あはは、ジュイ君はおっちょこちょいだねぇ、だから迷うんだよ~」
「うっせ!お前が俺に着いてきたからだろ!」
「あ、酷いなぁ、私はジュイ君が迷わないようにって思って指示を出したんだよ?」
「その指示のせいで迷ってこんな所にいるんだろうが!」
喧嘩している2人の話をまとめるとこの2人は人間の世界、もとい科学世界の猫らしい。
そしてジュイと呼ばれる男の子とチャチャという女の子が一緒に散歩していると
2匹のドジで道に迷い、うろうろとしていると偶然この場所に流れ着き、妖怪かしたようだ。
「ご主人様は優しいのにジュイ君は酷いよ」
「兄さんが優しいのは当然だろ?」
「その、お前らのご主人ってどんな奴なんだ?」
「えっと、ちょっと変な行動を取ることはあるけど面白くて優しい人かな」
「兄さんは俺の憧れなんだ、俺もあんな風になりたいなと思うんだ」
「あはは、ジュイ君には難しいって!イブちゃんも言ってたじゃん!」
「うっせぇ!イブ姉さんをここで出すなよ!」
なんだかよく分からないがこの子達を飼っていた人はこの2匹の他にももう1匹猫を飼ってるのは
理解できた。それに、この2匹に懐かれているのもよく分かった、懐いてないと良いようには
言わないだろうしな。
「ま、まぁ、俺達の事は良いじゃないか、それより俺達に話しかけた理由を教えてくれ」
「あぁ、実は化け猫は情報収集が得意だと聞いてな」
「確かに得意だけど、俺はまだ無理だぞ?化け猫になったばかりだから」
「私もなんだよねぇ、そういうのが得意な子は知ってるけど」
「本当か!?じゃあ、教えてくれないか?そういうのが得意な子の場所を」
「えっと、確かあっちだったかなぁ」
「あっちだな、ありがとよ!」
「ばいば~い」
「あれ?逆の方向じゃ無かったか?」
「いやいや、あっちだって」
「そ、そうだな、きっと俺の勘違いだ」
俺は2匹の化け猫が教えてくれた方向に急いだ、容姿は聞いてないが基本的に人型はいないし
人型がいたらそいつがそうなんだろう。しかし、いくら探しても見当たらない。
「あれ?こっちじゃないのか?人型の化け猫すら良いないじゃ無いか」
「あ、ご主人様、どうしてここに?」
「ん?ミミか、どうしたんだ?」
「それは私の台詞です、ここは里の外れですよ?」
「・・・そうなのか?」
「うん、あ、そうだ、情報を収集が得意な人の場所を思い出したんです、来てください」
「あぁ」
俺はミミの後に付いていった。
「おい、ミミ、服になんか付いてるぞ?」
「本当ですか?」
「あぁ、ちょっと待てよ」ぺたぺた
「どうですか?」
「あぁ、取れた、ほら」
「ありがとうございます、じゃあ、付いてきてくださいね」
ミミがそう言い、俺はしばらくミミの後に付いていった。
「おい、何処まで行くんだ?」
「ふふ、ここですよ」
「何も無いじゃないか」
「ええ、何もない方が良いんです、その方が、殺しやすいから!」ボン
ミミの姿が異様に大きな猫の姿に変化した。昔の絵とかで良く出てくる化け猫の姿だ。
「ほう、これはまた」
「随分と余裕そうだな、でもお前に勝ち目は無い、1人で妖怪に勝てる人間はいないし
それにここは私のエリア、お前が助かることは無い」
「そうか、でもお前の負けだ」
「ふん、馬鹿なことを」
「お前は2つミスをした、1つはミミの事をあまり知らなかったこと、そしてもう一つは
俺の力を侮ったことだ」パチン
「!!」ズドン!
俺が指を鳴らすと化け猫の背中から大きな音がした。まぁ、あそこには札を貼ったからな。
「ば、馬鹿な、い、一体いつから・・・」
「ゴミが付いていると言って近付いたときだ、そん時に貼らせて貰った」
「くそ、その段階で気が付いていたと?」
「最初からだ、あいつは俺に敬語は使わないからな、それに俺の事はご主人って呼んでるし」
「うぐぐ、う、うかつだった。しかし!何故札なんて物を!」
「俺はイメージで物を出せる、だから、有名なお札をイメージすれば出るのさ」
「く、そぉ!」シュン・・・
化け猫はちょっとした煙と同時に姿を消した、お札の効果で原型を保てれなかったのか。
しかし、お札に霊力を込めるのは難しいもんだな。もう一度やれと言われても出来そうに無いな。
さて、さっさと戻ろうか、情報を集めないといけないしな。




