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吹部物語。〜北原中学校吹奏楽部〜  作者: 星野 美織
2013年度吹奏楽部入部員
5/12

clarinet 鷹馬 莉音

中学校に上がってから、なにも変わることはない、と思っていた。

なのに、なのに……

───君がいない。

中学校、一緒だと思ってた。

もちろん彼女もそう思ってただろう。

いつも地味な私と仲良くしてくれた、たった1人の私の友達。

彼女は、入学式にはいなかった。

入学直前に彼女の親の転勤で引っ越したそうだ。

どうしよう。君がいないと、私は1人になってしまう。

彼女と一緒に、私は吹奏楽部に入ろうと言っていた。

そんなオロオロした私に、声をかけてきたのは明るい女の子だった。

「あ、えっ……と」

「あなた、どこ小?! 初めてだよね! 会ったの!」

「えっと、東野小、です……」

「あたし、松井 美琴! みんなみこってゆってる!あなたは?」

「あ、鷹馬 莉音、です……」

「じゃ、莉音だね! よろしくね!」

「あ、よろしくお願いします……」

美琴……。

なんだか変になりそうだった。

私、美琴さんの友達になっていいのかな。

「あの、友達になってもらってもいいですか……?」

と言うと、彼女はきょとんとした顔で、

「へ? あたしたちもう友達じゃね?」

と、笑って言った。

どうやら彼女は友達か友達ではないかのラインが曖昧なようだ。

「ねぇ、莉音は部活何入るの?」

「え、っと、一応、吹奏楽部かな……」

「あ! 私もだよ! クラリネットやりたいんだぁー!」


2年後。

「リレーします! B♭dur(ベードゥア)でします!」

「「はい!」」

私は、みこちゃんと一緒にクラリネットをすることになった。

みこちゃんはバスクラ担当だけどね……。

でも、やっぱり吹奏楽って楽しい。

曖昧な理由で入った人でも、最後にはみんなの心が1つになれる。

この夏、関西へ行く。

去年の先輩を、絶対超えて見せる。

最後に、笑って引退できるように────。


もう大丈夫だよと言いたい。彼女に。

不思議。どうして一緒なんだろう。

彼女の名前は、美琴。

美琴。もう、私は大丈夫。

コンクールで会えたらいいね。

絶対に負けないから────!

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