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OOO ~Original Objective Online~ 改訂版  作者: 1048
第一章 第一部
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★第一回公式イベント 2

 昨日低難度をクリアした僕達は、今日も朝からログインしてイベントの攻略を続ける…予定だった。だが、実際はパートナーのアキラが急遽決まった部活に参加しなくてはいけなくなった為、一人で昨日の《木工》の続きをしている。


 今、僕が複数の生産系スキルを利用して鋭意製作中のこの武器の持ち主になる予定のプレイヤーは僕では無い…のだが、試作品段階では武器の重心等は僕が決めても問題は無いだろう。


 メインとなる《木工》を使った木材部以外にも、部分的に《鍛冶》スキルを応用して金属や《革製作》で加工した皮を使って持ち易さや強度を追及したり、重さや形状の微調整をしてバランスを取っていく。まぁ、最終的に持ち主の手に合わせたバランスの調整は必要になるだろうけど、まだまだこれは単なる試作品なのだから、少しは自由にやらせて貰おうかな。


 午前中いっぱいを使って、やっとそれらしい完成形が出来た。…と言っても、形の研究の為に作った物なので、即行で倉庫行き(お蔵入り)なんだけどな。まぁ、取り敢えず一回ログアウトして昼御飯&昼からはログインしてくるアキラ待ちだな。



 結局、アキラがログインして来たのは午後二時前だった。


 『急に部活が入って本当にごめんね。予定では休みだったんだけど、体育館が急に空いたからって事で練習になったんだよ』

 もの凄い勢いで頭を下げてくるアキラ。


 連絡もせずに約束を破ったならなら別だけど、事前に聞かされていた僕としては問題は無いんだけどな。それに…


 『まぁ、学校の事だから仕方が無いよ。それに、昨日の内に連絡も貰ってたし、僕も午前中は個人的にやりたい事が出来たから、アキラも気にしなくても大丈夫だよ』


 僕や純、蒼真は部活に入ってない正真正銘の帰宅部だが、晶はバスケ部に入っている。


 しかも、全国大会を目指している強豪バスケ部の一年唯一のレギュラーで次期エース候補とくれば、先輩方に期待されるのも仕方が無い事だろう。ちなみに、晶の所属する女子バスケ部は昨年都の秋季大会ベスト4の実積で、四月に僕達が入学してきた時には校舎から垂れ幕も掛かっていた。まぁ、流石にベスト4から半年以上たった今は外されているけどな。


 『そろそろ行こうか?アキラは部活で疲れてるだろうし、明日は学校も有るし、イベント攻略は休憩を取りながらリアルで五時頃までにしようか?』

 まぁ、現実時間で三時間も有れば、トリプルオーでは九時間になるからな。それだけ有れば結構楽しめるだろう。


 『うん。ありがとう。そうしようか。じゃあ、ダイス振るね』

 …5が出る。


 『おっ!』

 アキラが初めて6より下の目を出したな。至って普通の事なのだけど、それだけでも少し驚くよな。


 ・分岐点


 どうやらコースの分岐点にあたるので、特別な課題とかは無いらしい。アキラにもう一度ダイスを振って貰うと、次は10の目が出た。


 やっぱり、流石ですな~。最初の5と二度目の10を合わせて15。課題を全くクリアせずに移動出来る最大値(10マス)を大きく更新するなんて、規格外の運だな。


 今度の分岐では、僕達は低難度コースには進まずに中難度コースへと進んで行く。


 ・ツインヘッドスネークを十体討伐


 『うわっ…』

 いきなり難問を引き当てたのかな。ツインヘッドスネーク…初めて聞く魔物だよな。全く出現箇所が分からない。


 『僕は知らない魔物だけど、アキラは知ってる?』


 『う~ん、私も見た事も聞いた事も無い名前だから、行った事が無い場所の付近とかかな?それか、イベント限定のモブの可能性も有るかも?だけど、課題が討伐数関係だから、レアモブとかの可能性は低いと思うんだけよね』

 なるほどな。確かに、その可能性は高いよな。高難度ならともかく、中難度の…しかも最初の方でレアな魔物を十体討伐とかは考え難いよな。


 『取りえず、行った事の無い場所付近から調べてみようか?候補としては…そうだな。どうせなら、深緑の街【ヴェール】にでも行ってみる?北の森の奥には行ってないから、その辺りから【ヴェール】に向けて魔物を狩りながらゆっくりと。最悪、ツインヘッドスネークを見付けれなくても、ゲートの登録だけは出来るから、全く無駄にはならないと思うよ』


 『それもそうだね。それでダメだったとしても、ログアウトしてからサイトで探すか誰かに聞いけば良いからね』





 二人で北の森の最奥を目指す。僕もアキラも森の中は真ん中くらいまでしか入った事が無いので、中間地点以降の完全な未知の場所は若干のワクワクと同時にちょっとした恐怖心も有るんだよな。


 僕達は《探索》スキルをフルに活用しながら、森の中を進みながらも途中で見付けた採取ポイントでの素材採集も忘れない。およそ中間くらいのエリアで、昨日の課題でお世話になったベリツリーも出てきた。こちらも僕とアキラ(スタッフ)が美味しく素材として頂きました。ご馳走さまです。


 ベルツリーのドロップ素材であるベリツリーの樹木は、今日の朝《木工》で使ってみて分かった事だが、なかなか質の良い木材となっていた。まぁ、当分は価値の低い素材で試作やスキルレベル上げ(練習)しか出来ないと思うで、この素材の出番は先になるだろうけど、良い素材は有るに越した事が無いし多い方が良いのだから。


 そこそこ森の中を歩いて来たと思うのだが、全く街の形が見えてこない。それでも森の奥へと一本道が続いているので、【ヴェール】への方向は間違っていないと思うのだけど…それに、さっきから出現する魔物も少しずつ弱くなってきているので、感覚としてはそれらしい物が見えてきても良いと思うんだけどな。


 トリプルオーでも他のRPGと同様に街に近付けば近付く程魔物が弱くなる。つまり、街から離れれば離れる程出現する魔物が強くなる傾向に有ると言う事だ。まぁ、これはどのゲームでも定番の設定なのだろうけど、街を探す上で一つの目安にはなるよな。


 人が住む街の近くに強力な魔物が出現するとか、せっかくの世界観が台無しになるのだから…それに、街の近くで強い魔物が出現した場合、低レベル帯のプレイヤー(僕を含む)は街を出た瞬間に倒されると思うし、下手をすると街にまで影響が出そうだからな。まぁ、街を防衛する系のイベントが有るなら、それはそれで良いのかも知れないけどな。


 『あれ?シュン、気のせいかな?何か水の流れる音がしない?』


 『確かにな』

 しかも、一歩近付く毎に水音はどんどん大きくなっている気がするし、徐々に涼しくも感じてきた。


 やがて森が開けると、そこには轟音と共に…


 『これは…』


 僕は『これは…』に続く言葉が出てこない。次の言葉が、この美しさと清々しいまでの清らかさを表現するには全く足りていない陳腐なもの(綺麗と言う言葉)しか浮かんでこない。この感動を上手く表現する方法も思い付かない。こう言う時は、自分のボキャブラリーの無さを軽く恨むよな。


 『綺麗…』

 アキラも同じみたいだな。まぁ、本当に感動するくらい綺麗な物には、アキラが発したように素直に綺麗しか出ないのかもな知れないのだけど…


 そこには、大きな滝(この場合は瀑布と言った方が正しいかも知れない)が有った。その滝を囲うような森の緑と勢いよく流れ落ちる滝の青、所々で太陽に反射して光輝く水しぶきの白。そして、それらを強調するように二本の虹が交差している。それに、こちらまで飛んでくる光輝く冷たい水しぶきによって、なんだか心地好さも感じる。


 滝に奪われていた視線を滝の逆側へとスライドしていくと、僕達の探していた街【ヴェール】が有った。だが、今は街の事は置いといて、僕達は僕達二人の目を独占している滝に近付いて行った。完全に無警戒と言うの形で…


 『きゃっ!』

 アキラの驚いた声に振り返ると、流れ落ちる滝の中から魔物が急に飛び出してきている。


 『アキラ、大丈夫か?視認で五…いや、六匹か。空飛ぶ青い蛇?』

 空飛ぶ青い蛇?は、尻尾が無くい身体の両端が頭(・・・・・・・)になっている変わった見た目をしていた。この見た目から判断すると、これがツインヘッドスネークになるのかな?ここまで見た目で分かり易いのはあるらしい有り難いな。


 『アキラ、まずは慌てずに体勢を立て直そう。それまでは僕が前衛を受け持つ』

 僕はアキラを庇うように前に立ち、アキラには〈防御力上昇〉を掛けている。


 『もう大丈夫。ありがとう。相手は水系かな?それだと、私が前に出た方が良いから、シュンが後方で援護をお願い』

 そう言いながら、アキラは《扇》を出しアーツを使っていく。


 魔物のHPは僕でも一撃、二撃で倒せるくらいの低いHPしか無い…のだが、どんどん湧き出てくる。どう見ても、僕達の攻撃で倒す数よりも出てくる数が上回っている。


 しかも、厄介な事に僕が出会った魔物の中で、初めて攻撃魔法を使ってきた。


 『くそっ!』

 こうなったら、戦局を安定させる為にも〈魔法防御力上昇〉を初めて戦闘で使わせて貰おうか。僕が練習以外で唯一使っていなかった《付与魔法》が初めて日の目を見る事になりそうだ。


 『〈アイスストーム〉』


 『『えっ!?』』


 瞬きをしたか?しないか?くらいの僅かなタイミングで大きな滝の半分と、空を飛び僕達を標的にして攻撃していた全ての青い蛇が一瞬で凍り付いていた。空に浮かんでいたさっきまで蛇であった物が、どんどんと地面に落下している。


 何が起こったのかが分からないけど、一つだけ分かる事は〈魔法防御力上昇〉の出番は来なかったと言う事だ。本当に残念な結果である。


 ただ、この場で一番残念なのは、まだ片方の頭しか滝からでていないのに滝に対して垂直な状態で凍りついている(倒された)蛇か、初めて使う予定だった〈魔法防御力上昇〉の《付与魔法》に内心ウキウキしていた僕のどっちなんだろうな。


 『シュンくん、アキラ、無事?』


 『ジュ、ジュネなのか?』

 後ろから呼びかけられた声に振り返ると、本当に心配しているのかいないのかが分からない無表情なジュネがいた。


 あなたは、一体どんな威力の魔法使うんですか?どこかの世界の魔王でも通用しそうですよ。驚いたアキラも僕も、すぐには現実に戻ってこれない。その場にいるのがジュネだと分かっていても言葉が続かない。


 『えっと…ジュネ、ありがとう。助かった。それにしても、その魔法はとんでもない威力だな』

 何とか戻ってこれた十五年の付き合いになる双子の弟の僕。まだ戻りきれない知り合って約半年のアキラ。そして、それを理解しながらしれっとした態度の双子の姉(推定魔王)。僕がアキラよりも早く戻ってこれたのは、ただ単に年季の差だろうな。


 『取り敢えず、こっち、街行こ』


 『そうだな。アキラが戻ってきたら行こうか』

 僕も街で休憩したいし、ジュネに色々と聞きたい事も出来たからな。


 少し時間が経ち、アキラも戻ってきた。しかし、まだ滝の四分の一は凍り付いたままのようだ。あれはチャント全部溶けますよね?





 『それで、ジュネは一人なのか?』

 僕は一番気になった事をパーティーを組んでなさそうなしているのかに聞いてみた。


 ジュネは、無言で首だけを左右に振る。少し間を置き…


 『パーティー組まず、六人』

 アキラは聞いただけでは分からなかったみたいだど、双子の僕には十分に伝わった。これも付き合いの長さがなせる技なのだろう。


 『そんな方法も有るんだな。僕は全く考えつかなかったな…と言う事は、六人でバラバラの課題を協力しながらクリアしてるのか?確かに、それなら個人としての進み具合は悪いが、六人で協力出来るし、複数の課題を色々と同時に攻略も出来るのか。うん、意外に効率的かもな…と言う事は、もしかして高難度コースなのか?』

 ジュネは話を聞きながら首を振る。今度は左右じゃなく縦に一回。アキラも今の会話で全てが分かったらしい。


 実際に一番遅いプレイヤーに合わせて、進行すると六人の内数人の課題が被る可能性は高い。それに、パーティーを組んでいないと言う事は、報酬が一人に一個必ず貰えるのですごろく攻略後に揉める事も無いだろう。


 随分と頭の良い事を考えたプレイヤーがいたものだな。


 『ジュネが考えたのか?』

 ジュネは左右に首を振った。


 『メンバーは、この前手伝ってくれた人達?』

 ジュネは縦に頷いた。身内の僕に対してはそれでも伝わるから構わないと思うけど、今はアキラも一緒なのだから、もう少し言葉で話して欲しいと思うのだけどな…と言うか、家ではもう少し話してくれてるよね?


 『ジュネ達は、どんな課題が出たの?』


 『討伐、ツリー系四種』

 アキラの質問には言葉で答えるジュネ。一応、考えてはいるようなので注意しなくても良いかな。あまりに酷いようなら、晩御飯抜きの罰くらいは施行するけどな。


 そんな個人的な事よりも僕が気になったのは、ツリー系の魔物は四種類もいたのか?僕は二種類しか見た事ないよな。多分だけど、探すのが難しいのだけなんだろう。討伐の数は一種類一体で良いようで、残りは一種類らしい。


 『シュンくん達は?』


 『僕らは、ツインヘッドスネークの討伐だったんだけど、ツインヘッドスネークの存在を知らなくて、取り敢えずは行った事の無い場所を重点的に回ろうかって事になったんだ。そこで、さっきの……あぁ、やっぱり、さっきの魔物がツインヘッドスネークだったみたいだな』

 いつものようにドロップで名前を知る。何度も経験した作業だ。討伐した数は十分に規定数を越えていたらしく、タブレットにはダイスが表示されている。


 『私達二人共が滝に見とれていたからね。魔物の出現に気付くのが遅れたんだ。私達二人だけだったら危なかったよ。ジュネ、助けてくれて本当にありがとね』

 アキラが頭を下げている。


 トリプルオーでは、他のMMOと違い他パーティーの戦闘に割り込んでも良い事(メリット)が全く無い。割り込みで魔物を討伐してもドロップも経験を得る事が出来ないので、危険を冒すメリットが無いと言っても良いだろう。まぁ、強いて上げるとするなら、ピンチのパーティーを救うヒーローになれるくらいかな。


 例外的に複数のパーティーで組むレイド戦闘と言う物も有るらしいが、β版の時にイベントで一回有っただけで、正規版では全く発生した事がないらしい。まぁ、僕には複数パーティーでの戦闘とかは全く縁の無い話なんだろうけど。


 『それは、気にしない、お互い様。でも、装備は見直した方が良い』

 ジュネは、それだけを言い残して仲間のところへと戻っていった。


 『装備の見直しねぇ…』


 こう言っては語弊が有るかも知れないけど、装備を買う為のお金なら鞄事件のお陰?も有って腐るくらい有る。だが、僕はなんと何となくだけど、これ以上あの時に稼いだお金を個人的な用途で使う気にならないでいる。実際にホームを拡張して残ったお金はギルドの運用資金として全額を銀行に預けているのだから。


 それに、僕達の新装備はオリジナルを製作すると二人で決めているからな。まぁ、中には他の職人(フレイさん等)に依頼する物も有るのだけど。当然、代金は僕やアキラのポケットマネーで、それは狩りや依頼で稼いだお金だ。


 『うん。イベント後は、新装備の製作に集中かな?』


 『…だね。当初の予定通り、イベント中に出来るだけ自然素材やドロップ素材集めようか。そろそろ店舗の方もオープンしたいからな』

 僕達がイベント中にも関わらず森の中で必要以上に採集していた理由の一つに新装備の素材集めが有る。まぁ、イベントので、息抜き的な要素も含まれているのだけど。


 これからのトリプルオーを安全に楽しむ為にも、良い装備を作りたい。そして、ジュネに今回のお礼もしたいよな。僕の製作しなくてはいけない物リストにジュネの杖が追加された。





 次の出目は9、相変わらず好調な相方です。


 ・湖で魚を五匹とれ


 『『………』』

 また、あやふやな課題が出たと感じて、僕達の顔が険しくなる。取り敢えずは【ヴェール】をゲート登録して、ゲートで【ソルジェンテ】に転移して湖を目指す事にした。


 うん、ゲートの移動は楽で良い。本当にゲート様様です。


 『ここで魚を釣らないとダメなのかな?』


 『どうだろう?とれ(・・)って課題だからな…まず浮かぶのが釣りや漁だよな。それと魚系の魔物を狩ってドロップの回収。あと、プレイヤーは別としてもや魔物から盗む?的な奪い取る系も有りなのかも。う~ん…と言うか、魚系の魔物っているのか?そもそもこの場で言う魚って僕達が思っているような食材なんだろうか?』

 本当に色々とあやふやすぎる課題だよな。まぁ、中難度コースだから一筋縄ではいかないと思ってたけど、謎過ぎるな。


 『まずは、湖の側で狩りからだね。今回はレクトパスには充分気を配ろうね』

 まぁ、今日は時間も無いからな。是が非でも死に戻りは避けたいところだ。僕のトラウマを増長させない為にも出番は


 それにしても、この辺りはリザード系が多いな。レイクリザードやリザードマン等、この前は出現しなかった魔物もいる。リザードマンは武器を使ってくる爬虫類の鱗を持った二足歩行の魔物でドロップには使用している武器も含まれている。


 まぁ、剣や槍、斧を使える人が【noir】にはいないので結局解体して素材行きになるか、売り物(フォルム)に化けるかのどっちかだけど、比較的に狩り易い魔物なので、僕としては文句は無いけどな。


 『この調子だと、狩り案はダメそうだね。やっぱり、釣りか漁なのかな?』

 釣りとなると新たに《釣果》スキル、漁となると《漁業》スキルを取得するか、スキルよりは効率が悪いが釣り竿を作って運任せに釣るか、湖で手掴みしなければならない。今しか使わないスキルの取得は気が進まないんだよな。


 あれ?もしかしてアキラの幸運なら楽勝で釣れたりしないかな?試しに、《木工》で釣竿でも作ってみるか。


 それを見たのは、そんな事を考えている時だった…


 『あっ、分かった。アキラ、今の見たか?ほら、あそこで!今、飛んでる鳥系の魔物が急降下して魚を捕ったのを…』


 『見てなかったけど…じゃあ、魚を捕った(・・・)魔物から横取り(・・・)してもいいのかな?』

 そう言いながらも、すでにアキラは装備を弓に変えた。


 アキラに遅れる事数十秒、僕も《短銃》の〈必射〉アーツで魚を捕った魔物を狙い撃つ。シェルバードやキラーホーク等の空にいる鳥系の魔物は素早いがHPは他の魔物に比べても格段に低い。攻撃を楽に当てる事が出来る今の僕達からしてみれば、ただの経験値(カモ)だからな。それが今は(ネギ)を背負っている。これは本当に美味しい出来事だ。


 僕は、最初に牽制を兼ねて〈ウインドカッター〉で魔物の退路を断つ。アキラが放つ《弓》のアーツ〈ツーウェイ〉(二本の矢の同時射ち)も効いている。一本目が回避されても、二本目が標的を狙えるのは便利なアーツだよな。


 お互いに狩りに集中し過ぎていて、いつ課題をクリアしたのかに気付きませんでした。


 …と言う事で、本日は二十四マスで終了だ。


 『ログアウト前に、ダイスだけ振っておかないかな?課題の内容を考える時間も有った方が良いと思うし』

 確かにそれは良い案だよな。魚をとる(・・)と言う課題には、かなり苦労したからな。アキラにダイスを振って貰うと4が出る。


 ・二時間休み


 『フッ、ハハッ』


 『フフッ、丁度良かったね』

 ここで、ログアウトを決めると休みが出るとか、有る意味でかなりツイてる。


 まぁ、こんな時も有るか、アキラも初めて理論値以下の4を出すし、たまには休息も必要だと言う事だな。取り敢えず、もう今日はログアウトだ。





 本日もいつも通り、晩御飯を家族プラス一人×おかわり数回分を作る。そして、今日のメニューはカレーだ。おかわり分が無限大で必要になるメニューである。おかわりも無限大に必要になるメニューだが、そのカレーに付け合わせるトッピングもまた無限大に必要だ。らっきょう、福神漬け、トンカツ、エビフライ、コロッケetc.…冷えても美味しい物が望ましい。


 僕の分のカレーには揚げナス(大好物)が乗っかっている。これは冷えたらイマイチなので他の人の分は無い。決して、大好物の独占では無いが、これも調理者の特権だと思う。


 僕は、「カレーは鍋に…御飯は炊飯器に…トッピングは冷蔵庫の中へ…ご自由に食べて下さい」と書き置きを残して置けば、明日の昼までは大丈夫だろう。それだけの量は用意し個ている。個人的には一晩寝かせた(翌日の朝)カレー(菌が繁殖する為、衛生的には薦められない)が一番好きなので、かなり多めに作った。決して明日の朝御飯や昼御飯を手抜きしたい訳ではない。


 一人で早目の食事を済ませて再びトリプルオーの世界へとログインする。だって、今日こそは完成させたいのだから。


 朝作った試作品はパーツ毎に解体、今日獲得した素材には下処理をしていく。そうだな…リザードマンからのドロップ装備は解体して素材として利用しようかな。


 さて、いよいよ本番だ。


 『気に入ってくれたら良いけどな』

 無意識の内にそんな一人言が漏れるほど、気持ちを込めて製作を進めていく。




北白星(ほくびゃくせい)・弓】攻撃力58〈特殊効果:飛距離延長〉〈製作ボーナス:攻撃力+5%/命中+15%〉


南白星(なんびゃくせい)・矢筒】防御力5〈特殊効果:矢速上昇・小〉〈製作ボーナス:容量拡張・小/重量軽減〉


※セットボーナス:MP回復速度上昇・中




 純白一色の弓と矢筒は一言で言って華麗。色白(毛並みの色も含む)なアキラにやはり似合いそうだな。あとは、付属の各種の状態異常矢の製作かな。まぁ、これは似たような物を銃弾で経験済みだし、大丈夫だろう。


 『うん!?』

 何だ、これ?


 僕が完成させた二つの装備には、セットボーナスと言う物が付いてる。名前からすると二つを同時に装備した時に現れるボーナスなんだろうけど、何故そんなのが出現したんだ?


 二つの装備の名前が似てるからか?それとも、製作者が同一人物で色や形状が似てるからか?はたまた、その両方が正解なのか?それとも両方とも間違いなのか…まぁ、今気にしても仕方が無い事だけど、気にはなるよな。


 セットボーナスの件は先送りにして、《錬金》と《鍛治》の二つのスキルを絡めて【麻痺矢】【毒矢】【凍結矢】を各三十本ずつ作成した。色々と頑張ってはいるのだが、まだ石化の状態異常は銃弾でも作れてない。早めに作りたい状態異常だよな。


 状態異常を付与する弾や矢は、複数のスキルを使い製作している為だろうか、同じ物をメニューからは作れない事が残念なところだ。一回一回手作業で作らないといけないのは面倒なのだから。


 次は、ジュネの杖を試作していく。特殊効果は使う素材に依存するが製作ボーナスは製作者が選べる。勿論、素材やスキルレベルによって選べる範囲は変わるが、ジュネには何が良いのだろうか?悩みどころだよな。


 僕の構想的には、杖の両端に一種類ずつ違う属性魔力効果を上げる宝石を使った二属性の武器なんだけど…ジュネは、二属性の三倍の六属性使うんだよな。だから、どれを選ぶか悩むところだな。


 もう、今日はログアウトして純とそれとなく話してみようかな。小腹も減ってきたし、カレーでも食べながら…いや、夜食代わりにカレーうどんにアレンジしても良いかもな。少し食べても明日の朝食分は十分に確保出来る量だからな。そんな事に楽しみを膨らませながら、僕は意気揚々にログアウトしていった。





 …がしかし、鍋の中にカレーは残ってなかった。有るべきはずの夜遅く帰ってくる両親の分を含めて…


 「何故に(Why)?」

 頭の中で全く理解が追い付かず一度鍋の蓋を閉めてから、もう一度開けてみたが、鍋の中に並々と有ったはずのカレーはやはり空だ。僕は夢でも見ているのだろうか?


 「今まで、蒼真がいた」

 お姉ちゃん、ありがとう。


 今ので全てが分かったよ。明日も料理自体の手抜きをするつもりは無かったが、蒼真には僕を労うつもりは欠片も無いようだな。そっちがその気なら、僕にも考えが有るからな。


 「純は、ちゃんと食べれたのか?」


 「とても、美味しかった。いつもご馳走さま、です」

 純だけでも満足してもらえたのは良かったな。カレーは密かに僕の得意料理だからな。


 ちなみに、駿自身は自らが作った料理全てを楽しんで貰おうと言う優しさから得意料理を秘密にしているのだが、得意料理になればなるほど材料や調理方法に拘って調理時間が長くなるので、家族や幼馴染み等の親い人達にはもろバレしている。そして、駿本人だけがその事実を知らない。その事実を本人に気付かせず知らせてない事も、それはそれで優しさなのかも知れない。


 僕は食後の一時を久しぶりに純と一緒に過ごそうと二人分の紅茶を淹れた。


 「ところで、トリプルオーの話しなんだけど、純のキャラ…ジュネは武器を杖しか使わないのか?あと、六属性の中で好きな属性って有るのか?」

 ここは、ストレートに聞こうかな。


 僕が杖をお礼に製作する事は純に絶対バレる事はないのだからな。


 「武器は杖だけ、物理はしない。属性は、氷、火を使う事が多い」


 「でも、六属性を全て使うんだよな?」


 「使う、魔物に合わせる」

 なるほどな。《火魔法》と《氷魔法》をメインにして、魔物に合わせて他の属性を使っていくのか、なかなか考えてられた戦い方だよな。


 僕が作る杖にしても火と氷の二属性武器なら見た目も格好良いかもな。でも、この場合は木製ベースの杖じゃなくて、昨日採掘した水晶も使えば透明な杖が出来そうだよな。でも、氷属性の宝石(アクアマリン)の在庫は有るけど、火属性の宝石(ルビー)は無かったよな。


 「純、ルビー持ってたら売ってくれないかな?」


 「使わないから、良いよ」


 「ありがとう。助かるよ」





 平日は、アキラの部活が遅くまで有って、まとまったログイン時間が作りづらいらしく、一人残されたパートナーの僕は生産活動に準じていた。


 既に、ルビーは純から売って貰っているが、ベースとなる杖の部分に満足のいく物が出来ていないので、絶壁に通って採掘をしてホームに戻って試作品作りをすると言う行動を繰り返してばかりしている。そのタイミングで、採掘の時に宝石類の採掘率が向上するボーナスが付くと言う理由も有り、新たに《細工》も取得している。ちなみに、この情報の情報元はフレイさんだ。


 …と言うか、最近は戦闘系のスキルよりも生産系のスキルの方をメインに活動している時間の方が長いのではないだろうか?まぁ、生産活動(もの作り)を楽しく感じているので僕には向いていたのかもな。あくまでもゴリゴリ(魔女行為)以外は…だけど。


 その一方、イベントの方では早くも高難度をクリアしたパーティーが、ちらほら出始めたようだ。当然、通称攻略組の皆さんを中心にしてだけど、そんなにプレイしていて仕事や学校は大丈夫なのか?と言う心配も出てくるんだよな。


 それと、すごろくのクリア回数だけならイベント四日目で六回と言う強者達もいる。反対に、一回もクリア出来てないプレイヤーが多いこう言も事実なのだけど…


 今日も、かなりの量の宝石類を採掘して工房に戻った。《細工》を取得した事で僕自身の力だけでルビーも少し掘り出せており、杖の真ん中(ベース)部分以外は満足出来る形を形成出来るようになっているが、握りの部分を細くて持ち易くて丈夫にする作業が究めて難しい。二つは上手くいっても残り一つが上手くいかないのだ。《錬金》と《鍛治》の二つのスキルを駆使しているので、普段以上に上手くいかない。


 ちなみに、練習する為の鉄塊や合金は、自分で鋳造出来るようになっているが、まだまだフレイさんみたいに鼻唄混じりで楽勝とはいかない。すでに、フレイさんは《鍛治》スキルを進化させ《鍛治職人》になっている。さらに、それを高レベルまで鍛えているので鉄塊や合金にする作業程度では、余所見をしていてもミスが起きないらしい。最近、よく絶壁で会うので情報交換をして得た情報だ。まぁ、情報交換と言っても僕が一方的に貰っているんだけど。





 明日は休みなので、昼過ぎから久しぶりのイベント参加が決まっている。久しぶりなので朝から参加したかったところだが、午前中はアキラが部活なので昼からになるのは仕方が無いけどな。イベント期間も残り半分か、期間内にもう一回くらいはクリアしたいよな。


 杖の製作も四日間頑張っていたが、スキルレベルと技術が低い為に、どうしても持ち手の部分を水晶で製作する事が上手くいかないので、今回は金属を芯に使う事で妥協する事になった。いずれリベンジしたい項目だな。メモメモ…


 杖のベースは、合金製で上が青色、下が赤色。中心から端に行くにつれて色が濃くなるようにグラデーションのカラーリングを採用している。《細工》と《錬金》スキルを上手く使い、水晶を青の方は氷のようなデザインに、赤の方は炎のようなデザインに加工していく。水晶は透き通っている為、下地となる合金部分の色が際立つ事になる。出来上がったベースの青側にアクアマリンの加工石、赤側にルビーの加工石を埋め込んだ。



【アイス&ファイア】攻撃力10/魔法攻撃力40/魔法防御力40〈特殊効果:火属性+20%/氷属性+20%〉〈製作ボーナス:MP回復速度上昇・中/重量軽減〉



 アキラの純白装備に勝るとも劣らない、美しい物を作ってしまった。それに、なんか新しい称号が増えてるし。



new 称号

〈自然の摂理に逆らう者〉

自然の摂理に逆った変わり者への称号

取得条件/自然界では有り得ない事をする



 名前は格好良いと思うけど、嬉しくない称号が増えたよな(だって厨二臭がプンプンしてるのだから)…と言うか、もっとマシで素敵で有益な称号は無いのだろうか?


 ついでに思い出した事だけど、そろそろトラウマの称号のレクトパス(原因)も何とかしなければならないかもな。


 まぁ、二人の装備も出来たし、明日にでもプレゼントするかな。こうなってくると、自分専用の自作の武器が欲しいところだが、銃に関する製作スキルの存在が分からない。一度、《鍜治》スキルで挑戦もしてみたが、形はともかく武器としては完成出来る気がしなかった。


 まぁ、情報自体が少ない銃の情報が情報サイトに載っている訳もない。アキラに聞く話では、たまに銃関係の情報がサイトに載っていても「銃は全く使えない」とか「今日で、銃から引退します」等の暗い話題が書き込まれている事の方が多いらしい。暗くなかったとしても「【黒の職人さん】の正体は《銃士》ほ本当なのか?」等の【黒の職人さん】関連の検証話題が多いらしい…僕にしてみれば、どっちにしても大差の無い話題なんだけどな。


 そんな事も有り、僕は正体を変える為にも身体全体を覆うローブタイプのマントを作る事にした。トリプルオーの中の世間一般が持つ〈零距離射撃〉を使った真っ黒な軽装装備(・・・・)の【黒の職人さん】から見た目を変えたい。絶対に目立つのは嫌だからな。


 自分の装備なのでサイズや好み、特殊効果や製作ボーナスに悩む事は無い。今持っている素材の中で品質の高い皮素材を複数選んで、内側にはその中でも一番肌触りの良さそうな素材を選び合皮にしていく。ベースとなる生地が出来上がれば、あとは楽勝だ。


 何度も言うが重要なのは、全身を覆えるサイズ。あとは動き易さだな。勿論、ケモミミを活かす為のフードだけは絶対に忘れない。



【ノワールローブ・ローブマント】防御力15/魔法防御力10〈特殊効果:回避上昇・中〉〈製作ボーナス:速度上昇・中/重量軽減〉



 真っ黒いローブマントが出来上がった。自分の防具にはギルド名のノワールを必ず付ける事も決めた。全く確証は無い事だけど、同じテイストで他の防具も作ったら、アキラの装備と同様にセットボーナスが発生するのではないかと密かに思っているからだ。まぁ、仮にセットボーナスが発生しなくても一種の検証にはなるからな。どう転んでも、僕に損は無いだろう。





 翌日、昼過ぎにログインしてジュネに杖を渡す。『ありがとう』の一言だけだったが、双子の弟の僕にはその表情が驚き喜んでいるのが伝わってきた。あまり高性能ではないと思うのけど、今の杖より性能が良いらしく、渡した直後に装備していたのも好印象だったな。


 ホームに戻り、僕は紅茶を飲みながらアキラのログインを待つ。プレゼントする弓と矢筒は既に準備してある。改めて包装(ラッピング)等はしていないけど、喜んでくれたら嬉しいな。


 『お待たせ、シュン。あれ!?装備変えたの?』


 『あぁ、外見だけでも変えたかったからな。ローブマントを作ってみた。それと、これは今までお世話になった全部の件のお礼。露店の時の報酬ってさ、結局は僕のしたい事でもあったからアキラへの報酬としては微妙かなってずっと思ってたんだけど…なかなかタイミングがな。まぁ、何も言わずに受け取って貰えたら、僕は嬉しいかな』

 僕は全てが純白で統一されている弓のセットを手渡した。


 『えっ、あっ、えっ~~』

 そんなに驚かなくても…まぁ、プレゼントは《短剣》でも、最近メインにしている《扇》でも無いんだけどな。


 『ありがとう。真っ白な弓だね、シュンが作ったの?凄く綺麗だね。とっても嬉しいよ』

 弓を手に取り構えたり感触を確かめているようだ。


 『あれ?このボーナス何かおかしくない?えっ、セットボーナス?』


 『あっ、それな。弓と矢筒を似たようなデザインにして名前に共通性を持たせたら付いちゃった』


 『付いちゃった…って、また簡単に言うけど、こんな事も出来たんだね。生産系って本当に奥が深くて、凄過ぎだよね』


 『まぁ、今日はその武器のテストも兼ねてゆっくり進めようか』

 タブレットをアキラに手渡す。


 二時間休みは、当然ログアウト中に終わっている。新たに振られたダイスは6が出て、今は二マス進んだ先の分岐点。


 『どっちに進む?やっぱり中難度コースかな?』

 悩むところでだよな。多分、残り日数を考えると、あと一回しかクリア出来ないだろう。平日はアキラが忙しいのは分かっていた事だし、それ自体には不満も文句も無い。それなら答えは…


 『うん。予定通り中難度コースが良いかな。二人だけで高難度への挑戦は危険な気がするからな』

 僕達は中難度コースへとマスを進める。


 ・ダイスで1を出すまで振り続け、出目の合計数の魔物を倒す


 これは、まさに僕向きの課題ではなかろうか。やっと、役に立てる気がする。


 『ここは絶対に僕の出番だよね。任せて』

 ダイスを振る。


 コロコロコロ…2。まぁ、いくら僕でも一回では出ないだろう。


 もう一度振る…2。も、もう一度だ…2。これは、新手のイジメでしょうか?


 今度こそ絶対に、頼む。コロコロコロ、コロン…1。


 『やっと出たな。正直2が三回続いた時は、逆の意味で心が折れそうだった』

 確率で言うなら千分の一、無いとは言い切れない確率だが…


 『でもでも、合計数7はかなり少ないと思うよ。これで試し射ちも出来るね』

 アキラに気を使わせてるよな。でも、本当にその心遣いが胸に沁みるな。ありがとう。


 魔物の強さに指定がないので、【シュバルツランド】近郊でボアを狩る。弓の試し射ちも兼ねているので、僕が前衛を受け持つ。アキラの持つ【北白星】から放たれた矢は、ただ白いだけ一筋の軌跡を残してボアの貫き、一矢で息の根を止めていく。


 もうご存知かも知れませんが、前衛にいた僕に全く出番が有りませんでした。【北白星】の性能が証明されたので良い事なんだろうけど、攻撃力の低い(空気間の強い)僕としては少し寂しいよな。


 『凄い。凄いよ、シュン。弓の威力も凄いんだけど、何よりも腰に装備する矢筒が使い易い。シュン、本当にありがとう』

 その一言だけで僕の心は満足です。こちらこそ本当にありがとう。


 『複数のスキルを合わせて作ってるから、ちょっと自信は有ったんだ。メニューからは絶対に作れない一点物(ワンオフ)だよ』


 『これって、やっぱり《木工》スキルだけで作った物では無かったんだね。確かに、金属と持ち手には皮も使ってるもんね。凄いね』

 かなり満足してくれたみたいだな。わざわざ苦労して作ったかいが有るよ。これで、試作品と言う名で倉庫に積まれている元素材(ゴミ)達も浮かばれるな。


 さぁ、次行ってみようか。アキラの振るダイスは7、現在は四十一マス目。


 ・湖の南側で大雨蛙(おおあまがえる)の討伐


 『………』

 蛙。存在だけでなく、その名前を見る事も嫌って顔してますよ、アキラさん。大丈夫ですか?この様子だと、アキラは蛙が苦手なのだろう。


 『さっき出番が無かった僕が次も前衛するから、アキラは《弓》でサポートをお願い出来るかな』

 その言葉に目を輝かせたアキラは無言で頷いた。


 ゲートで【ソルジェンテ】に飛び、湖の南側に回る。辿り着いたそこは蛙の一大群生地だった。


 青蛙、赤蛙には多く出会ったが、大雨蛙と言うのは見当たらない…と言うか、青蛙と赤蛙ですら一メートルくらいはあるんだけど。大雨蛙ってどれくらいデカイのだろうか?そして、あれから一言も発しないアキラ。あまりにもデカイ蛙は、僕も見たくないんですけど…


 引き続き、蛙系を探して討伐を繰り返すが、全く見当たらない。


 ゲロロ…プチッ!


 アキラの足下で小さくプチッと音がする。アキラが恐る恐る足を上げてみると、そこには…


 『きゃぁぁぁ~』

 久しぶりに聞くアキラの声。そして、顔を真っ青にして抱きついてくるアキラ。


 アキラの足を上げた場所、そこには小さな本当に小さな蛙の死体があった…その状態に解説の方は控えさせて頂きたい。ただ一言、安らかにお眠り下さい。完全に不可抗力なのだから、決して僕達を恨まないで下さい。その蛙の死体は僕達が確認を終えるのと同時に光となって霧散した。出来れば確認する前にそうなって欲しかった。


 『こいつが大雨蛙だったのか、他の蛙に比べて全く大きくないんだな』

踏み潰した事で入手したドロップから確認すると、この小さな蛙が大雨蛙らしい。完全に名前負けだと思う。


 それと同時に討伐課題なのに、これで良いのか?と思ってしまう。たまたま見付ける事が出来たが、これは大雨蛙の正体を知っていても見付けるのには時間が掛かりそうだよな。


 ちなみに、この考察を続けている今現在も僕はアキラに抱きつかれたままだ。ここはどうすれば正解へと導けるのだろうか?残念ながら、僕にはその知識は無い。端から見ればラッキーなのかも知れないのだけど…それには時と場合と雰囲気(TPO)を考えて欲しいところだ。





 『あの~、アキラさん…そろそろ大丈夫でしょうか?』

 僕の精神にも限界は有る。特に自制心に…


 『………』

 抱きついている状態が長く続いていた事に気付いたらしく、パッと離れてタブレットでダイスを振る。


 どうやら、無かった事にしたいようだ。僕の方にも異論はないからな。有り難く流させて貰います。タブレットには5が表示されている。


 ・合金の入手※手持ちのアイテムは不可


 また僕達には楽な課題が出たな。合金を作る為の素材は充分有るのでホームの工房で製作するだけだからな。ついでに…


 『ホームに戻って、お茶にしようか』


 ホームでアキラに紅茶を出して、合金作成の為に工房に入る。合金作り自体はすぐに終了したのだけど、アキラが心を落ち着かせる少しの時間を作る為に鉄塊や銅塊もついでに作った。まぁ、タブレットでバレバレかも知れないけど…


 『お待たせ、合金出来たよ。ところで少しは落ち着いた?…みたいだね』

 僕は、アキラの顔色が戻っているのを確認出来て少し安心した。


 『…紅茶、ありがとう』

 照れていたのか?小さな声だった。タブレットを渡した。


 ダイスはアキラの気分とは裏腹に二度目の10。


 ・樹木系の魔物からドロップ素材を二種類回収


 この課題なら【ヴェール】から森に行くのが近いかな。滝も有るし、近付き過ぎなければ良い気分転換になるだろうな。


 『今日は、この課題で終わろうか?明日は何時にしようか?』


 『うん、そうしよう。明日も昼過ぎでお願い』


 『了解だ』


 僕達はゲートで【ヴェール】に飛んだ。滝は相変わらず美しい。アキラの為にも、滝に近付き過ぎない位置でしばらく癒されてから森の中に入ろうかな。


 僕が樹木系の魔物で知ってるのは、ベリツリーとウッドワーム。二種類とも中間くらいのエリアで出現する。素材的にも精神的にも今はベリツリーの方が出てきて欲しい。


 だが、言い得て妙な話でこう言う事を考えると実際に起きる確率が跳ね上がる。ジュネやアクアに言わせれば『フラグが立った』と言うらしい。


 『うわっ、ワームの方が出てきたな。どうする?』


 『正直、テンション的にも今は戦いたくないよね…ちょっと蔦の部分が気になるからね』

 そこは僕も大きく同意したい。


 ウッドワームから延びている蔦は触手みたいになっている。レクトパス絡まれた(・・・・)経験の有る僕達からすれば、良い気がしない。


 当然、触手と言う新たなフラグが立てば、お約束になる可能性が…なった。でもなるなら、この場合はアキラ(女の子)じゃないのか?何故に僕?なんだ。僕は全身を蔦で絡まれ、身動きが取れない。本当にデジャヴュを感じるよな…


 『シュン、ごめんね。大丈夫?私も近寄りたくないから《弓》で攻撃するよ』


 『〈ウインドカッター〉。アキラ、それは大丈夫だけど、この事は内密に頼みたい』

 唯一、動かす事の出来る口で《風魔法》唱えて蔦を切断しながらお願いする。切実に…


 『分かってるよ。本当にごめんね』

 アキラも本当なら女の子である自分が犠牲者になるのが、お約束だと分かっているらしい。レクトパスでもなっていたし…


 『〈ウインドカッター〉。ありがとう』

 僕が切断していくよりも、絡み付く蔦の方が数が多い。


 『アキラ、もう素材は諦めて全部焼こう。お願い』


 『分かったよ』

 アキラは《弓》スキルのアーツ〈フレイムアロー〉を使いウッドワームの蔦を中心に本体を燃やしていく。樹木系の魔物に対して火属性はかなり効果的だ。〈ウインドカッター〉や弓の通常攻撃で苦労した事が嘘かのように簡単に蔦を燃やしきる。


 『本当に助かった。ありがとう』

 燃え尽きた蔦から解放された僕は、ウッドワームから一気に距離を取る。僕もウッドワームへの攻撃を再開しようとしたが、その必要は無かったらしい。


 蔦の無いウッドワームは〈フレイムアロー〉のカモでしかなかったのだから…大部分を燃やしたこともあり、ドロップは一種類しか回収出来なかったが、素材として()が回収出来た。


 『うん?』

 どうやら、この炭も分類上は樹木系のドロップ素材に分類されるようで、タブレットにダイスが表示されていた。


 取り敢えず、いつもの様にダイスを振ってログアウトする事にした。二人とも今日は精神が持たなかったからな。最後の最後にとんでもないトドメを喰らったし…


 ・木系の魔物からドロップ素材を三種類回収


 出たダイスは5だが、課題は同じ物(焼き回し)だった。微妙に数増えてるし、もう今日は無理です。色々な意味で…





 翌日、ログイン後は、【シュバルツランド】側から森を目指した。《探索》スキルで昨日の今日で闘いたくないウッドワームだけは見逃さないようにする。幸いな事に今日は新たなフラグが立つ事は無かった。本当に良かったと思う。下手をすれば、僕達の公式イベントは終了していた可能性も有るのだからな。


 今日は昨日とは違ってベリツリーの方が簡単に見付かった。三体まとめて出現したので一気にドロップが出揃った。さっさと森を出たいので、急いで僕がダイスを振り3を出した。


 あまり関係の無い事だが、今回の3で一通りの出目が揃ったな。


 ・首長亀(クビナガメ)の討伐


 『この前探して見付からなかった魔物か』

 …今日は見付かれば良いんだけどな。


 『やっぱり、川?』


 『うん…私はそこしか知らないかな』

 それなら仕方が無い。また出会えなかったとしても、レベル上げだと思えば無駄にならないのだから。


 このイベントの移動距離って半端なく多いと思う。ゲートが無かったら移動だけで時間の消費が半端なかった事だろう。まぁ、それでも倒せないくらい強い魔物が出るより遥かにマシなんだけどな。


 ゲートでホームに移動してから川を目指す。道すがらの自然素材の回収は忘れない。今日は珍しく周りにプレイヤーがいなかった。


 『珍しく静かだね』


 『いつもなら、ここは採掘音が響いてるよな』

 川に着いた僕達は魔物を探して歩きまわる。


 まず亀系を探さなければ何も始まらない。亀系を狩っていれば出現するしか、出現条件が分からないのは微妙にツラいのだが、今日は運良く亀の群れを見付ける事が出来た。草亀やライトタートル等のバージョンアップで追加されたと思われる魔物達もいる。


 僕達に出来る事は一心不乱に狩る、狩る、狩る。


 『う~ん、やっぱり出てこないね』


 『出ないね。一旦休憩しようか?』

 僕は紅茶の入った水筒を取り出した。水筒と言っても、金属ではなく、強化ガラスで出来た使い捨てしなくても良い大きなポーション瓶になっている。


 『そうだね。シュンは今の内に採掘でもする?』

 どうやら、アキラには最近どっぷりと採掘にハマっている事がバレているらしい。《細工》スキルのお陰で良い鉱物や色々な宝石類出るようになったから楽しくて、止められ無いんだよな。


 『そうさせて貰おうかな。どの辺が良さそう?』


 アキラの勘はあてになる。今日も銅鉱石、鉄鉱石がいっぱい採れる。勿論、石ころ(ハズレ)無し。僕だけなら少なくとも半分は石ころになる事だろう。実際に、アキラのいない日は石ころを量産していたのだから…


 『シュン、く、首長亀。首長亀が出て来た。シュンの掘り出した鉱石食べてる』

 僕が振り返ると、少し目減りしている掘り出した鉱石と今も進行形で減りつつある鉱石を食べる首が長目の亀(・・・・・・)と共に…これが首長亀なんだな。


 以前に倒して首長亀の解説を見たアキラが言うには、あくまでも首が長目であって長い訳では無いのが首長亀のチャームポイントらしいけど、明らかにキリンよりも首が長そうなのに長目であって長い訳ではないと言う解説はどうなんだろうか?


 物欲センサーって言うか、探し物は探している時に見付からず、探すのを止めたら見付かるって本当なんだな。しかも、大小二体もいるんですけど…流石に確率おかしくないですかね。


 出現条件には掘った鉱石をエサにすると言うのも有ったのかな?


 『取り敢えずは、離れて遠距離で様子見からだな。アキラは〈紫雷扇〉でお願い』

 あの自称(・・)長目の首から繰り出される攻撃はリーチが長そうで近付きたくない。


 それに、雷属性アーツは水を得意とする魔物に相手に最近大活躍している。ジュネから聞いた氷属性と雷属性が他の属性より優れていると言う情報は正しいらしい。結局、僕の射撃は足止めにしかならなかった。


 『本当に《扇》って便利だよな。でも、他に使ってる人を見たことないのは何でなんだろう』


 『多分、《扇》って攻撃力自体が低いから、メインには向いてないと思うんだ。使ってもサブで遠距離くらいだし、このフレイさんに特注で作って貰った【緋扇】は、扇を畳んだ時にナイフとしても使えるから、私としては使い易いんだよ』

 武器が良いのは分かるけど、僕としてはアキラの使い方が上手いって言うのも有ると思うんだよな。


 『雷属性以外にもアーツ使えるのか?』


 『水属性の〈蒼水扇〉と風属性の〈翠風扇〉が使えるよ。今のところスキルレベルが10上がる毎に属性アーツ覚えているから、多分レベルが上がれば六属性全てを使えるかも。威力の方はどれも変わらなそうだけど』

 そう言いながら、アキラはダイスを振る。


 『じゃあ、属性を補助する装備あった方が良いかもね』

 ダイスは7をだす。


 ・回復アイテム八種集める


 楽な課題が出た。回復アイテムは市販されているので《調合》で製作しなくても街で買えばすぐに集まる…はずだったのだが、街の露店ではアイテムの売り切れが続出していた。


 結局、下位の五種類しか露店では集まらず、ホームの倉庫で在庫を探していたが、手持ちは露店で買った物+二種類しかなかった。計七種、あと一種類が足りない。


 『う~ん…』

 僕は、自分で作るかプレイヤーから買うかを迷っていた。《調合》スキルは、ゴリゴリ(魔女行為)を避けていた為、まともに使った事が無いからな。でも、プレイヤーから買う方法は、同じ種類の課題が複数存在するこのイベント中は難しいかもしれないな等と考えながら、いつも通り紅茶を飲もうとして二人分淹れた。


 う~ん、今回ばかりは覚悟を決めようかな。


 『あっ!シュン、やったね。課題をクリアしたみたい。紅茶にHP回復3%が付いてる』

 アキラに言われて僕も確認してみた。確かにクリアしている。


 これは、かなり盲点だったかもな。《料理》アイテムが回復アイテムの代用品になる可能性が有る。これは、他にも応用が利くかもしれない。


 紅茶を飲みながらダイスを振った…6


 ・七十七マスおめでとう もう一度ダイスを振る


 すごろくで一番嬉しい進む系が出た。もう一度ダイスを振って…9。次は何かな?


 ・料理アイテムを五種食べる


 絶対に太らないゲーム内で大食い課題って、どうなのかな?まぁ、休憩でお茶してたから、お茶菓子食べれば終わると思うし、僕達には丁度良い課題だったけど。


 すぐにクリアとなって、ダイスを振る。次のダイスの目は4。


 ・新たにダイスを振って出た目×三倍のプレイヤーと物々交換をする。


 とんでもなく面倒な課題が出たと思う。ダイスで出目を決める。数が少ない方が有利な時は僕の出番だ。


 自身満々にダイスを振った。


 『マジか!?』

 ここで初めて僕が4を出す。運が悪い…悪過ぎる。運が悪過ぎても半分以下の4しか出ないのは悲し過ぎる。


 『これは、二人で別れて課題をクリアしよう。アキラは、アクア達三人とジュネに、僕は各工房を回って八人分を集めるよ』

 二人で別れてホームを出た。まずは斜め向こう側のネイルさんのギルドからだ。


 『すいません。シュンです、誰かいませんか?』


 『おや、シュンさんじゃないですか。どうされました?ギルマスは今日はログインしてませんよ』

 彼は【プレパレート】のサブマスでドワーフのロン・ブー。ドワーフの見た目とは相容れない中華風のキャラメイクがなされているネイルさんを通じて知り合った《調合》系のプレイヤーだ。


 『ロンさん、こんにちは。今、イベントこ課題で物々交換が出たので、誰か交換してくれる人を探してまして。良かったら何人かお願い出来ませんか?』


 『構いませんよ、他ならぬシュンさんの頼みですからね。今、ホームに暇そうなのが四人程いますから呼んできますね』

しばらくたって、ロンさんが四人を連れてきた。


 『皆と相談した結果ですが、ギルマスと同じ性能の鞄は五人分有りませんか?有るのでしたら、(それ)と最近《調合》して出来たアイテムの値段分と交換しますよ』


 『在庫は有りませんが、すぐ作れますので、しばらくお待ちください』

 ホームに戻り工房でメニューから鞄を作る。メニューから一気に作れる事の有り難さを思い出す。最近は《木工》等で手作業ばかりしてたからな。


 『お待たせしました。これをどうぞ』

 交換の条件で鞄を渡す…が相手のアイテムを受け取れない。


 タブレットには価値が合いません。鞄を減らすか、アイテムを増やして下さいとご丁寧な事にアラーム付きで表示されている。


 『すいません。本当に言いにくいのですが…価値が合わないそうです』

 タブレットを見せる。相手も納得してアイテムを増やしてくれる。結果、交換で得られたアイテムは当初の倍になった。相手側のロンさん達が喜んでいるから良いけど…この課題は意外に難しのかもしれないな。


 アキラに、今起こった事をメールで伝えて次を目指す。次はフレイさんに鉱石を渡して、塊類を貰う。今までに何回もお願いている事なので一瞬で終わった。代金を払えない分、いつもより数が減ってしまったが、これは仕方が無い事だ。テスウ優しさ工賃が必要なのはどの世界でも同じなのだからな。


 『こっちは、ジュネのところで六人と物々交換が終わったところだけど…課題クリアしたみたいだね。ホームで待ってて』

 アキラからコールが入った。ジュネの仲間たちとの交渉が速くまとまったみたいだ。一体、何と何を交換したら、そんなに上手くいくんだろうか?


 『おかえり、早かったね』


 『うん。ジュネ達のお陰かな。ジュネ達も似たような課題が有ったみたいで、同じアイテムを六人で交換して済ませたみたい。だから、今回も簡単に終わったよ』


 『あ~!』

 なるほど、そんな抜け道が有ったのか。確かに、同じアイテム同士の交換なら確実に価値が同じアイテムになる。このイベントの課題は、発想力の差がマジマジとでる気がする。


 ・五時間休み


 ダイスを振って7が出た結果だ。あと三マスだが、これで今日のクリアは無理になったかな。時間的に…


 『アキラは、明日も部活だったよね』

 アキラが少し気まずい感じで頷いて答える。


 『あぁ、勘違いしないでよ。別にアキラを責めてる訳ではないからね。単なる予定の確認だからね。次の土曜までは僕だけで少しずつだけど進めておいても良い?』


 『良いの?』


 『うを。進行状況は毎日学校で報告するね。取り敢えず、中難度の報酬も素材で良いかな?何か欲しい物が有ったら教えておいて』

 中難度の報酬は、低難度と内容が同じなのは知っていた。ただ貰える量が低難度より多くなる。その数およそ二倍。高難度はそれまでの内容によってパーティー毎に変わるらしい。


 『うん。ごめんね。私も素材で大丈夫だよ。それと、絶対に無理はしないでね』

アキラは今日になって高難度コースの報酬にちょっと欲しいものが、出来たらしいからな。ギルドの…パーティー兼パートナーとしては少しは手伝いたいからな。


 『大丈夫だよ。ただ、あまり進んでなくても怒らないでね』





 翌日は、ログイン後にダイスで4を出して、中難度コースをクリアした。ぴったりゴールのマスに止まらなくてもゴール出来るのは嬉しい仕様だった。すごろくによっては、ぴったり止まらないとクリアにならない物も有るかならな。


 報酬は予定通りレア素材を選んだ。低難度コースとは違い五個も貰う事が出来た。これでイベント後には素材が八個も貰える。一人頭四個ずつは確保だな。何が貰えるか今から楽しみだな。


 さあ、次はいよいよ高難度百五十マス先のゴールを目指しますか。まぁ、三十マス目までは、中難度と同じなので少しは安心出来るけどな。はてさて、僕一人でどこまで行けるのか…五日間は一人で頑張ってみようかな。

装備

武器

【デルタシーク】攻撃力30〈特殊効果:なし〉×2丁

【ハンドガン】攻撃力15〈特殊効果:なし〉×2丁

【銃弾】攻撃力+10〈特殊効果:なし〉

防具

【ゴーグル】防御力3〈特殊効果:命中補正・微〉

【レザーブレスト】防御力15〈特殊効果:なし〉

【冒険者の服】防御力10〈特殊効果:なし〉

【メタルバングル】攻撃力5/防御力15〈特殊効果:なし〉〈製作ボーナス:軽量化〉

【レザーブーツ】防御力5〈特殊効果:なし〉

【ノワールローブ】防御力15/魔法防御力10〈特殊効果:回避上昇・中〉〈製作ボーナス:速度上昇・中/重量軽減〉

アクセサリー

【ウルフダブルホルスター】防御力5〈特殊効果:速度上昇・微〉〈製作ボーナス:リロード短縮・小〉

【左狼脚ホルスター】防御力2〈特殊効果:回避上昇・微〉〈製作ボーナス:リロード短縮・小〉

【右狼脚ホルスター】防御力2〈特殊効果:回避上昇・微〉〈製作ボーナス:リロード短縮・小〉



《銃士》Lv48

《短銃》Lv56《拳》Lv21《速度強化》Lv40《回避強化》Lv36《風魔法》Lv39《魔力回復補助》Lv41《付与魔法》Lv38《付与銃》Lv11《錬金》Lv13《探索》Lv48


サブ

《調合》Lv12《鍛冶》Lv15《家事》Lv29《革職人》Lv34《木工》Lv12《料理》Lv8《鞄職人》Lv40《細工》Lv9


SP 34


称号

〈もたざる者〉〈改めてトラウマを得た者〉〈略奪愛?〉〈大商人〉〈大富豪〉〈自然の摂理に逆らう者〉

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