銃革命 -ガンレボリューション-
今回の加入クエストの順番としては、ヒナタ、カゲロウ、ケイトの順だ。ケイトのクエストだけ、クエスト内容の関係で開始が十一月に入ってしまう訳だが、ギルドへの加入日や結果発表日を調節すれば良いだけなので、大きな問題にはならないだろう。
カゲロウ発案で僕の強制的な参加が決まりそうな〔黒の職人さんVS初心者プレイヤー 捕まえれるなら捕まえてみろ 捕まえたプレイヤーあなたの勝ちだ鬼ごっこ〕は、準備期間と言う建前の事前告知に時間が掛かるらしく、クエスト開始日までに二週間の余裕が有る。まぁ、ある意味で執行猶予だな。
どう考えても、カゲロウのクエストの準備期間が二週間と言うのは僕に対しての時間では無くて、参加者を極限までに増やす為だよな。カゲロウの奴は、完全に僕を使って楽しんでいるところが有る気がするな………鬼ごっこイベントのタイトルも若干挑発気味だからな。
昨日、あの後はイベントの参加する事については、お茶を濁し続けて退散している。早めに、妥協案か解決策を考えなければならないよな。
まぁ、二週間も有れば、今残っている予定もほぼほぼ片付くし、それなりの対策………上手くいけば、鬼ごっこの逃げる役自体を回避する方法を思い付く可能性は残されている。
それに、単なる遊びと言っても、もし参加する事になるのなら、簡単に捕まってなるものか。まぁ、ルールが不明だから、その辺りについては何も言えないけど………その為にも、少しずつ強化が必要になるよな。
『主よ、どんな事が起きても大丈夫なのじゃ。主には、強力な味方が付いておるのじゃ』
『………黒も手伝う』
『あぁ、ありがとな。白と黒にも存分に期待してる………けどな。しばらくの間、お前達の紅茶とお菓子は抜きだからな』
僕は、昨日のリビングでの仕打ちを忘れていない。そして、忘れてはいけないだろう。
『主よ、あの時は仕方が無かったのじゃ。ワシらも自分の命が可愛いのじゃ』
『………本当にごめんなさい』
まぁ、二匹に悪気が無かったのも分かっているけど、軽度の罰を僕が与えても許されるだろう。それぐらいに、あの時の僕は恐怖を感じていたんだからな。それに、僕がお菓子を与えなくても、毎日雪ちゃんから手作りのお菓子を貰っているみたいだから、大した問題では無いだろう。
さて、まずは《機械製作》からだな。地味な生産活動を繰り返していたお陰で、一つの目標だった浮遊装置が製作可能なレベルになっている。
『うん!?』
自動化に自動式人形?。こんなの今までリストに有ったか?それとも………工匠にランクアップした事で増えたのだろうか?だとすると、他の生産スキルも製作可能な物が増えているかも知れないよな。
自動化の方は。スキルレベル的には製作可能だけど、製作に必要な素材が量産する程は無い。作れたとしても、色々と素材と材料をやりくりして精々一個だよな。
自動式人形の方は、全くスキルレベルが足りていない。いや、スキルレベルと言うよりも、スキルのランクが足りていない感じだよな。今までの感じから推測すると、《上級機械工匠》は必要だろう。
まぁ、すぐに出来ない事は一旦置いといて、出来る事から進めるのが良いだろうな。憧れの浮遊装置は使い方によっては〈浮遊〉や《浮遊》にも匹敵すると思うからな。それを想像した抱けでもワクワクが止まらないよな。男の子としては、空に浮くと言う言葉だけで魅力しか感じない。
『ほい、ほいっと………』
示された手順通りに組み立てていく。《機械製作》してる間に、ますます手先が器用になったかもな。実際は、スキルレベルの恩恵なんだろうけど、器用になったと思う方が夢が有るんだよな。ファンタジー的にも………
浮遊装置は完成と同時にぷかぷかと空中に浮かんでいる。空中に浮かぶ高さを調整出来るところが最高だな。でも、これってサイズ的には小さいけど、在庫を作り置くのは無理が有りそうだよな。
倉庫を開けたら、浮遊装置自体がぷかぷかと浮いているとか、滅茶苦茶カオスな状況だからな。倉庫の中を小まめに整理し、在庫を把握しているフレイに見付かった場合には、確実に怒られる未来が約束されている。むしろ、単純に怒られるだけで済めば、御の字だよな。
『取り敢えず、出来たけど………』
何に使って、浮遊装置の性能を試すかが問題になってくるよな。現状でも、何かと《合成》したり、何かに組み込んだりする事は出来ると思うけど、そのあとで解体とか分解が出来そうにない。多分有るであろう《合成》の対になるスキルなら可能だとうんだけどな………
『う~ん、う~ん………あっ!!』
良い事を思い付いたぞ。これは、想定していた使い方と全く違うけど、僕的には大正解の使い方だよな。これなら、《合成》に失敗したとしても痛手が無いからな。
倉庫に置いて有るトウリョウに作って貰った僕のお気に入りのイスのスペアを取りだし、浮遊装置を《合成》してみる。
『おぉ~浮いた、浮いた。本当に浮いたな。そして、このイスにこれを《合成》………よっし、完成だな』
ついでに、在庫してある音声認識装置を加えて、音声で浮遊する高さも調整出来るように調節機能も施してある。
完成した浮遊椅子に座ってみると、座り心地は勿論の事、浮き心地と言うか浮遊感も最高だよな。まるで、海の上で浮かんでいるように重力を感じない。だが、当然足りない物も有る。今、足りない物は………
それを思い付いたら、今さら止められないよな。もう一度浮遊装置を作り直し、今度は僕の一番大切にしているお気に入りのティーセットに《合成》する。勿論、音声認識装置も一緒に………
『よし、行け!!』
完成したイスに座り、一気に上空を目指した。
僕が、今いるのは塔よりも高い位置だ。流石に〈浮遊〉と魔力を使って浮くライトニングの高度には届かないけど、かなり高い位置まで来ている。僕の周りには360度の青空、右手に持つティーカップには濃い目の紅茶。手を離したティーポットも空中に浮かんでいて地上に落ちる事は無い。
『やっぱり、これは最高だよな』
最初は、単なる思い付きから始まった僕のおふざけ………
『主よ、主がこの高さから落ちたら、確実に死ぬのじゃ』
『まぁ、そうだよな。この高さだからな』
今、そんな事は全く気にならないと言うか、真面目に聞く耳を持ってない感じだ。右耳から聞こえてくる白の声が、左耳から聞き流されている。
だって、ここで飲む紅茶が最高なのだから………僕は飲み終わるまでは、全てを忘れてゆったりしていたいんだよ。
ここに小説でも有ったら、さらに最高なのだけど………トリプルオー内には、説明書の類いか武器としての魔導書しか本が存在してない。魔導書や日記等を書く事の出来る《執筆》スキルも有るには有るのだが………現実に実在する本は複製する事が出来ないらしいので、僕には取得する器も必要も無いからな。
ちなみに、この魔導書と言うは武器の一種で《魔術士》系のプレイヤーに人気が有る。攻撃力がほとんど無い代わりに、魔法攻撃力が上昇すると言う優れものだ。
魔導書自体を開いていないと効果が無いと言う欠点も有るのだが、ロール系のプレイヤーさん達には、それもまた魅力の一つらしい。僕には、必ず片手がふさがる分だけ、不便に思えるんだけどな。
『ふぅ~~~』
本当に良い一時だったな。鼻に残る紅茶の薫りも、空の匂いや見下ろす景色の全てが素敵だった。
浮遊装置のテスト結果は、十分に満足出来るものだった。いよいよ、おふざけ無しの本命として考えていた浮遊装置の使い方だな。まぁ、ある意味でイスに使った浮遊装置の使い方も、僕にとっては本命なのだけどな。
以前、浮遊装置が作れる事に気付いた時から考えていた本命の使い方は二つ有る。一つ目は、ブーツかローブマントに《合成》して空に浮かぶ方法。二つ目は、銃に付けてホルスター無しの状態で銃を複数装備する方法だ。
この二つが有れば、高い位置にいる魔物への安定した攻撃と銃の持ち変え効率が飛躍的にランクアップするのは、まず間違い無いだろう。
銃に至っては手から離れても浮いているので、銃に僕との距離感も設定しておけば、相手の攻撃で銃を吹き飛ばされて困ると言った過去に痛い目にあった事への心配も無くなるからな。その未来を考えただけで、僕は幸せになれる。
名付けるなら………見た目からして。【ガンズスカート】とか【ガンズボトム】と言ったところかな。
それと、さっき思い付いた事だが《機械製作》で製作出来る物が増えたと言う事は、同じ系統の生産スキルの《銃製作》でも増えているんじゃないのか?と言う事だ。
他にも似たような生産系スキルが有るのかも知れないけど、リストからしか製作する事が出来ない生産系を、僕はこの二つしか知らないからな。まぁ、これは実際に確認してみれば、すぐ分かる事なのだけど………
『やっぱりか………』
短銃系のリストでは、微妙な名前の銃ばかり増えている気がするけど。僕の気のせいだろうか………
【火縄銃・短銃】
【水鉄砲】
【銀玉鉄砲】
【空気銃】
【ガン型ライター】
【スタンガン】
名前だけで性能までは分からないけど、新しく六種類も増えている。【火縄銃】以外はオモチャ………いや、一個だけ生活用品が混じっているよな。でも、これらは《銃製作》で作るような物なのだろうか?小ネタとしてなら、面白いかも知れないけど、僕には利用価値が有るとは思えないんだよな。
しかも、素材も揃っていて全部製作可能ときている。まぁ、【火縄銃】以外はNPCの露店でも買える素材ばかりで構成されているから、出来ない方が不思議なんだけどな。
『………作ってみる』
『黒、何か使えそうなのが有るのか?』
『………どちらとも言えない』
黒達の知らない事が有るのも当然だと思うけど、どちらとも言えないと言う答え方は珍しいよな。
それに、どちらとも言えないと言っている割りには、妙にリストを気にしているよな。まぁ、最低でもスキルレベル上げが出来ると思えば、色々と無駄にせずに済むので、僕としては良いんだけどな。
【火縄銃・短銃】攻撃力400〈特殊効果:なし〉
※一度使用毎に二十四時間の冷却期間必要です。別途着火方法が必要です。
【水鉄砲】攻撃力10〈特殊効果:水属性〉
※数回撃つ毎に水の補充が必要です。普通のオモチャです。
【銀玉鉄砲】攻撃力10〈特殊効果:アンデット即死〉※別途銀玉必要です。
【空気銃】攻撃力0〈特殊効果:風属性・バースト噴射〉
【銃型ライター】攻撃力0〈特殊効果:火属性〉
※これは銃では有りません。ライターです。絶対に間違えないで下さい。必ず小さなお子様の手の届かない所に保管して下さい。
【スタンガン】攻撃力100〈特殊効果:雷属性〉消費MP 50
※接触必須・これは銃では有りません。電圧にご注意下さい。間違っても人に使用しないで下さい。
『おいっ!』
僕の心の底から出た『おいっ!』の一言。【水鉄砲】が普通のオモチャだと言う事は分かる。名前からして、多分そうなんだろうなって思っていたからな。まぁ、僅かの可能性で新しい属性銃かも………とは思っていたけどな。多分、これがアクア達の言っていたネタアイテムと言う物だろうな。夏場に有れば、面白可笑しく使っていたのだろうけど、もう季節は秋だからな………その点だけが惜しまれるよな。
この中で最も意外だったのは、【銀玉鉄砲】が攻撃力は低いけど武器だった事だな。しかも、アンデット系に即死効果付き。まぁ、別途で銀鉱石を使った特殊弾を製作する必要があるみたいだから、すぐには使えないけどな。名前だけを見て、完全に昔のオモチャだと思っていたから油断していたよな。
まぁ、この二丁は別として、【銃型ライター】と【スタンガン】の説明文は、どういう事なんだ?「これは銃では有りません」だったら、《銃製作》で作らせるなと言いたくなるよな。しかも、御丁寧な事に現実の物にも書いて有りそうな注意書まで………ネタアイテムだとしてもネタが過ぎる気がする。
さらに言わせて貰えば、数回しか使用出来ない系のアイテムの為、誰しもが装備する事は出来ないとか………悲しくなってくるな。
『………【火縄銃】と【空気銃】』
『その二丁が、どうかしたのか?』
黒は、僕が気になった銃とは違う物に注目してたんだな。最初から、この二丁が黒の目当てだったのか?
『うおっ!!』
他のネタ系の銃に気を取られていて、全く気付かなかったけど、【火縄銃】の方は攻撃力が400も有る。
【火縄銃】の火縄に着火する為には、《火魔法》等が必要になるので使い勝手が悪い点と二十四時間と言う長い冷却期間に大きな問題が有るけど、アーツの〈零距離射撃〉と合わせると驚異的な威力を叩き出しそうな銃だよな。まぁ、着火方法の一つとして【銃型ライター】が使えるのはラッキーなんだけどな。
これは、銃を使うプレイヤーにとっては嬉しい限りだな。見た目が、歴史の教科書で見たような和テイストなところも個人的には好印象だからな。
でも、【空気銃】の方は目立った性能じゃないよな。気になるとしたら………無駄に大きな銃口が特徴的なデザインと特殊効果のバースト噴射だろうか?
『主よ、黒の言いたい事は、多分そうじゃ。使って見るのじゃ』
『まぁ、攻撃力0だから良いけど………』
黒が、そんな武器を押してくる事が怖いよな。
『………念の為に裏庭で試すぞ』
黒が注目する能力が普通である訳がない。何かしら異常が有る方が遥かに納得出来る。
『おい、黒。なんだ?この惨劇は………僕にも分かるように説明してくれないかな?』
この結果は、誰がどう見ても無茶苦茶だよな。
『………黒のせいじゃない』
僕の考えが甘かったと言うのも有るけど、黒のせいじゃないと言うのは納得出来ないからな。
誰が見ても分かるように、この場で無茶苦茶になったのは僕の身体でも、攻撃力0の【空気銃】でも無い。カゲロウが総責任者を務めて大切に管理している畑だ。しかも、運の悪い事に昨日カゲロウが新しく薬草を埋めていた部分に………
もう少しで種を植えてから二十四時間が経過するので、薬草を初収穫する事が出来るはずだったのだけど………どう見ても良くて半壊だな。と言うか、時間的にそろそろカゲロウがログインしてくるのでは?
『これ、どうやって謝ろうかな………』
『………鬼ごっこ』
この惨劇を隠し通す事は無理なので、心の底から謝るしか方法は無いのだけど………やっぱり、それを取引に使うしか選択肢は残されてないのかな。
畑の横にあるスペースは、雪ちゃんがスキルの特訓に使っていただけ有って、かなり広い。ここなら多少の無茶は大丈夫と言う油断が有ったのも事実だけど、この広いスペースの中心で畑に背を向けて、周りの安全にも配慮して射撃した結果が、これとは………
そこで、何が起こったのかを説明するのは簡単だ。単純に僕自身が背後に有る畑に向けて吹っ飛んだのだ。ジャンボ機のジェット噴射に巻き込まれたかのように………
この結果には、僕も白も黒も予想してなかった事で、吹っ飛んだと言う言葉の頭に「無茶苦茶派手に」と言う形容詞が付くんだけどな。
『でも………今のは、かなり速くなかったか?』
一瞬で二十メートルくらいは飛ばされているからな。カゲロウには悪いと思うけど、この畑が無ければ、僕はどこまで飛ばされて行ったのか分からない。まぁ、この結果から見ると死ななかっただけでも良しとしなければならないかも知れない。トラウマの称号のこれ以上の成長だけは勘弁して頂きたいからな。
『………ひたすら練習有るのみ』
『えっ!?これを、まだ続けるのか?』
一回体験しているだけに、これを続けるのは怖いんだけどな。それに、これ以上の被害が畑に出ると、カゲロウに謝罪のしようがないからな。
『主よ、慣れるまで慣れろじゃ』
白、お前もか………いつから、こんなにスパルタになったんだ?もしかして、雪ちゃんの時もこんな感じに厳しくしているのだろうか?流石に小さな女の子を相手に、ここまで厳しくはしてないよな。倫理的にも、そこだけは本当に頼むぞ。
何度も繰り返して試してみるけど、何度やっても後方に飛ばされるし、飛ばされる方向すらも安定しない。分かった事と言えば、トリガーを引いている間はバースト噴射が続くと言うくらいだ。一瞬、緊急時の回避に使えるのかと思ったけど、この調子なら無理だろうな。ソロならともかく、パーティーを組んでいる時なら、仲間を巻き込みかねないからな。
流石に、これ以上は無理だろ。被害が、カゲロウの畑だけに留まっている内に練習を止めた方が良いと僕は思うんだけどな。どうでしょうか?白さん、黒さん。
………だが、この二匹は止まると言う事を知らない。
『主よ、二丁ならどうじゃ?同じ物が倉庫に増えているみたいなのじゃ』
増殖か………忘れてたな。《機械製作》で作った物や他の銃も増えてそうだな。あとで調べて整理しておこうかな。
『………主は残念、非常に残念』
『………黒が、これだけヒントを出したのに』
『………まだ気付かない』
『………それを地面に向けて射つ』
珍しく黒が連続で畳み掛けてくる。
それにしても、また物騒な事を言い出したぞ。
【空気銃】を地面に向けて撃つ。そうすると、僕自身が吹っ飛ぶ………
どう考えても、ろくでもない未来しか思い浮かばないんだけど………でも、この二匹は言い出したら、僕の意見は聞かないからな。
『分かった。あと一回だけだからな。そのあとは、失敗しても仮に成功したとしても、カゲロウに謝りに行くからな』
これだけ念を押しておけば、怖い思いや痛い思いをしても、あと一回で解放されるはずだ。
両手に二丁の【空気銃】を装備して、僕は覚悟を決める………
『ふっ~~!!行け~』
僕ロケット。願わくば、命が有ります事を………
『うぉっ!!浮いた。浮いたぞ。うぉっ、とっと………』
少しでも油断したらバランスを崩して真下に落ちるな。これは、バランスを取る事が難しいけど浮く………いや、違うな。上手く利用すれば空中を水平に移動出来るぞ。
『主よ、ワシらも見ているので分かっておるのじゃ』
黒は、これがしたかったのだろうか?感覚的にフライボード?だったかな。海の上を水流の力で飛ぶヤツに似ている。
適当に方向を決めずに移動するだけなら問題は無いと思うけど、左右の【空気銃】から放つバースト噴射の微妙なコントロールでバランスを取る事が難しい。まあ、一丁の時よりは遥かに楽にコントロール出来るのだけどな。確かに、慣れるまで慣れろと言う言葉が一番しっくりくるかも知れないな。
本当は、バースト噴射をコントロールする為に、《機械製作》で自動化を量産出来るようなっていたら、さらに良かったと思うけど。
結果だけを見るならば、〈浮遊〉と同じに感じてしまうけど、内容的には完全に別物だよな。
アーツとしての〈浮遊〉の効果は、あくまでも浮く事がメインで、ジャンプして落ちてこないとか、高い場所から安全に下りる等のサポート的なスキルだ。ゆっくりと空中を歩くような速度で動くくらいは可能らしいけど、決して自由に空中移動が出来るアーツでは無い。
ちなみに、〈浮遊〉は《浮遊》スキル所得者が最初に覚えるアーツで、他にも物体を浮かせて操作出来る〈浮動〉や物体を空中に固定する〈浮定〉も有るらしい。ちなみに、ここで言う物体にはモンスターやプレイヤーも含まれるらしい。僕自身は見た事が無いけど、βテスターの間では二つ共有名なアーツだったそうだ。
空中に足場を作れて、空中を歩けるようになるのなら、〈浮定〉も魅力的だよな。
ただし、自由に空中移動するスキルとして、《飛行》と言う別物がβテストの時には有ったらしいけど、現在は見付かっていない。
まぁ、《浮遊》スキルだけで空中を自由に移動する事が出来ないのなら、戦闘中に使うと的にされる可能性は高い。なので、《飛行》スキルは現在は見付かっていないだけで、存在している可能性は高いよな。
ちなみに、ライトニングが自由に空中移動出来るのは、〈浮遊〉とは別の動力として、プレイヤーの魔力を用いているからだったりする。
余談だが、空中を移動して遊んでいたβテスターの間では《浮遊》と《飛行》の二つのスキルを両方取得するのが定番だったらしい。実際に、ジュネは両方共を取得していて、空中から広範囲高威力魔法を放って魔物を殲滅していたらしい。本当に、どこの世界の魔王様だよって感じだな。
『白、黒、バースト噴射にも、かなり慣れてきたぞ。僕と競争でもするか?』
『主よ、調子に乗り過ぎなのじゃ』
『………身の程を教える』
あれ?いつになく、二匹共が好戦的な気が………ちょっと早まったかもな。
『おい、もう、これで良いだろ?そろそろ勘弁してくれ………』
『主よ、まだまだなのじゃ。ワシらの罰ゲームは厳しいのじゃ』
『………次はアップルパイ。早く、急いで』
今の僕と二匹の主従関係は逆転している。まぁ、普段から僕達に主従関係が有るかどうかは疑わしいけどな。それは、別問題だろう。
何故、こうなったかと言うと、空中移動勝負で僕が完敗したからだ。しかも、圧倒的な実力の差を見せ付けられて………僕も全力でバースト噴射を行ったが、二匹に追い付くどころか逆に引き離されてしまった。
僕から吹っ掛けた勝負だったので、罰ゲームとして白と黒の食べたいお菓子のフルコースを作らされていると言った訳だ。
罰ゲームの開始と同時に、二匹は雪ちゃんを連れてきている。まぁ、雪ちゃんを仲間外れにする気も無いし、一人増えても大した差は無いと思っていたけど………大きな間違いだったみたいだな。二匹と一人は既に軽く八品ずつを食べ終えているのに、まだ追加が必要みたいだからな。
僕もお菓子造りは好きなのだけど、流石に一気に八種類以上を作ると飽きてくるよな。多目に作って倉庫に保存しておこうかな。
『雪、次はプリンが食べたいの』
まだ、僕を解放させる気は無いらしいな。ふと、思ったのだけど………ファミリアって満腹にはなるんだよね?限界って言う言葉は有るんだよね?その辺の設定や仕様はシビアにして欲しいよ。運営さん、頼むから………
『ギ、ギルマス、大変だ。畑が、俺達の畑が荒らされている』
『あっ………』
僕が片付ける前に、カゲロウがログインしてきたみたいだな。かなり慌てているし、怒ってもいるみたいだな。まぁ、仕方が無い事だけども………
『カゲロウ、本当に悪い。犯人は現在進行形で罰を受けているから、許してくれないか。良かったら、カゲロウにも好きなお菓子作らせて貰うぞ』
『はっ!?』
『………それは全く別の話』
『弟くんよ、畑荒らしの犯人は主じゃ。ちょっと実験に失敗したのじゃ』
白と黒、僕に全ての罪を押し付けるのは何か違うんじゃないかな?
『おい、ギルマス。どう言う事だ?ちゃんと俺にも分かるように説明して貰おうか』
まぁ、到底隠し通せる事では無いし、隠し通す気も無い。最初から誠心誠意謝る予定だったからな。謝るついでに事の次第を説明していく。
『………なるほど。それは、確かに不可抗力だな』
『カゲロウなら、そう言ってくれると思っていたよ。本当に悪かった。すまない』
案外、穏便に済みそうだぞ。やっぱり、謝罪は誠心誠意謝に尽きるな。
『あぁ、気にするな。ギルマス達が無事で良かった………と優しい言葉でも言って貰えると思ったか?なぁ、ギルマス。それと、そこで隠れて逃げようとしている白と黒も同罪だと言うのは分かっているよな』
『『『はい!!』』』
ただし、素直に謝っても許される事と許されない事は別問題らしいな。
『あとで畑の片付けを手伝って貰うのは当前だが………そうだな。まずは、ギルマス達に水羊羹を作って貰おうか』
『かしこまりました』
カゲロウが選んだのは水羊羹か、和菓子系は得意では無いし、工程が多いから敬遠しがちなんだよな。まぁ、言われたからには誠心誠意心を込めて作らせて貰うんだけどな。それにしても、カゲロウは和菓子好きだったんだな。意外だよな。
『主よ、頑張るのじゃ』
『………ファイト』
まったく、他人事だと思って暢気に応援しているよな。
『おいおい、白と黒は何を悠長にサボっているんだ?お前達もギルマスと一緒に作るんだぞ』
かなり、怒ってるな………まぁ、種蒔きをした翌日………しかも、収穫間近に半壊した畑を見付けているので、仕方が無い事だけどな。僕が同じ立場だった場合でも同じような罰を与える事だろう。
『それと、ギルマス。分かっていると思うけど、鬼ごっこに対して拒否権や発言力は全く無くなったからな』
『はい。十分に心得ております。僕達は貴方様の従順な下僕でございます』
予想はしていたけど、やっぱりこうなったか。最近は、買い出しじゃんけんの連勝とか少し運が良かったからな。そのツケが回って来たのかも知れないよな。
そのあと、僕はカゲロウがログアウトするまで畑の改修作業とお菓子作りをさせられていた。他の皆もログインしてきたので、皆の分のお菓子もついでに………まぁ、スキルレベルだけは上がったので、良しとするかな。今日は本当に疲れたな。
翌日はログイン直後から、仮称【ガンズスカート】の製作を始めている。製作と言っても、何かを新しく作る訳では無くて、現在装備している六丁の銃に僕自身を基準として浮遊装置を《合成》しているだけだけどな。
【ノワールホルスターズ】分のステータスや補正が下がるのは少し痛いが、それを軽く補う利点がガンズスカートには有る。まぁ、僕にとってはだけどな。
利点と言うのは、装備出来る銃の数がホルスターに制限されない事だ。僕の予定では、浮遊装置を設定出来る限りは装備可能になるはずだ。まぁ、動き易さ等の観点も有るので、持ち過ぎる事はしたくないけどな。それに、カチャカチャと音がして不意打ちが出来なくなると元も子もないからな。
新たに装備に加わえた【空気銃】二丁の他にも、切り札代わりの【火縄銃】と【アルファガン】にも浮遊装置を《合成》したのは言うまでも無い事だけど、念の為に装備している【ノワールシリーズ】のブーツとローブマントにも各々浮遊装置と音声認識装置を《合成》している。
浮遊自体を【空気銃】に頼らずに行う事で、バースト噴射のコントロールの不安軽減を狙った結果なんだけどな。
『うん。良い感じだな』
ただ、今の僕の見た目は、僕の腰回りに八種十丁の銃が浮いている不可思議な状態に見えるので、知らない人から見たら違和感だらけ、もしくは不気味なだけなのだが、普段は銃をローブマントの中に隠してある為、街中で他人に見られる事は無いだろうな。
色々と動作テストをしてみたいけど、昨日の失敗が頭を過る。なるべく、人目に付く場所や時間は避けた方が良いだろうな。
取り敢えず、今日のところは船を改造して旅立ちの準備だな。
各工房と神殿に寄って、船内への簡易工房の設置を依頼してライトニングに転移する。
設置した工房は《鍛冶》と《革製作》と《細工》の三種類。全ての工房は設置出来なかったけど、この三種を抑えておけば、僕以外が使う場合でも全く問題が無いからな。それに、問題が有ったら、新たに他の工房を設置しなおせば良いだけだからな。
『主よ、生産工房の種類が、若干主よりではないかの?』
白の意見も分かるけど、この場合は脚下だな。多分、ライトニング内の工房は僕がメインで使う事になると思うし、船で移動中に依頼された指環を作っておきたいのも有るからな。指環を作るのなら、この三種類は外せないだろう。
『ヒナタ、いる?』
『はい。いますよ。船の改造ですか?』
『おう。もう工房は設置してきた。あとは音声認識装置と自動化を組み込むだけだ』
『自動化ですか?』
『うん。《機械製作》で一個だけ作れたからな。上手く音声認識装置と一緒に組み込めば。離れた場所からでも自動操縦が出来るんじゃないかと思ってな。船に使ってみようかなって思うんだけど………ダメか?』
なけなしの一個だからな。出来るだけ素敵に利用したい。
『自動操縦ですか………やっぱり、シュンさんはシュンさんなんですね。ふっふふっ、良いですよ。もう、どうせ改造するなら、空だけじゃなくて海に潜れるようにもして下さいよ』
めっちゃ笑われているけど、そんなに自動操縦って変だったかな?
『おっ!!良いのか?ヒナタが良いなら、ケイトから預かってる【アーツの書・潜水】も一緒に《合成》してしまうけど』
どう切り出すか迷っていたのに、ヒナタ自ら提案してくれるとは至れり尽くせりだよな。カゲロウがいるなら、ヒナタもいたみたいだな。
『えっ、あの~、海に潜ると言うのは私なりの冗談で言ったんですが………出来たんですね。でも、ケイトの頼みでもあるなら、仕方が無いですよね。その代わり、初めて海に潜るの時は、ギルドのメンバー全員が一緒にですよ』
かなり呆れている様子のヒナタだけど、ケイトの名前を出したお陰で大きな問題にならなかったな。サンキュ、ケイト。
それに、《合成》や機械を組み込んでも見た目が変わらないからな。ヒナタの好きなライトニングの姿のまま変化が無いと言うのが一番大きいんだろうな。
ヒナタと喋りながらも、ライトニングの改造を進めて行く。僕の机上の空論だった自動操縦だが、自動化と音声認識装置を組み込んだ事で、船を操縦する為の魔力を込める動力器が二つに増えた。一つは今まで通り甲板に固定して有るが、もう一つはコンパクトで持ち歩きも可能になっているので、今僕達がいる工房に持って来ている。
かなり便利にはなっているけど、自動操縦をする為には消費MPが今までの二倍になっているから、滅多な事では使えないよな。まぁ、そんなに都合の良い事ばかりでは無いよな。
でも、これで旅立ちの目処はついたな。
『主よ、スキルの方がまだなのじゃ。主のスキルの多くが上限に到達したものばかりなのじゃ』
それは、白の言う通りで、確か六個のスキルが上限に達しているはすだ。当然、忘れていた訳では無くて、進化先への計画が全くまとまらなかっただけだ。最近は外に狩りに行く予定も無かったからだけどな。
白達の無茶振りのお陰も有り、《調理師》や《銃工匠》のレベルが上がってSPも42まで増えているけど、全部成長させるのには心許ないよな………やっぱり、身体強化系は後回しにして、《魔銃》と《付与術》と《付与銃》の三つは優先的に進化させる方が得策だよな。
《魔銃》は威力が20%上昇する上位の《真魔銃》、《付与銃》は《付与魔法》を増幅させて放つ事の出来る《付与練銃》に、いくつか有った進化先の候補の中から既に決めている。
ただ、もう一つ残っている《付与術》は、簡易で属性を付与出来るようになる《付与術改》と同じ《付与術》を何重にも重ね掛け出来る《付与重術》の二つのどちらを選ぶか悩んでいるんだよな。
個人的には、前のレイドバトルで仲間をカバー出来なかった事も有り《付与重術》が欲しいのだけど、SPの都合がつかない。
《付与術改》を選んだ場合は、三つで40SP。《付与重術》を選ぶと三つで50SPと合計で10SPも違いが出てくるからな。
『………時には、妥協も必要』
まぁ、そうだよな。生産系スキルの取得にSPを使い過ぎているからな。
仕方が無い。《付与術改》の次の進化に期待するか。まぁ、《見ない感じ》を持つ僕には、どちらも同じくらい魅力的に感じるのも事実だからな。
僕は《真魔銃》・《付与練銃》・《付与術改》を選んで進化させた。今回は新たに派生先が増える等のトラブルも無く、普通に進化を終えた。やっぱり、普通が一番だよな。
それにしても、これで残りSPは2か………しばらくは上手な節約が必要だな。
装備
武器
【雷光風・魔双銃】攻撃力80〈特殊効果:風雷属性〉
【ソル・ルナ】攻撃力100/攻撃力80〈特殊効果:可変/二弾同時発射/音声認識〉〈製作ボーナス:強度上昇・中〉
【魔氷牙・魔氷希】攻撃力110/攻撃力110〈特殊効果:可変/氷属性/凍結/魔銃/音声認識〉
【空気銃】攻撃力0〈特殊効果:風属性・バースト噴射〉×2丁
【火縄銃・短銃】攻撃力400〈特殊効果:なし〉
【アルファガン】攻撃力=魔力〈特殊効果:光属性/レイザー〉
【白竜Lv59】攻撃力0/回復力209〈特殊効果:身体回復/光属性〉
【黒竜Lv59】攻撃力0/回復力209〈特殊効果:魔力回復/闇属性〉
防具
【ノワールシリーズ】防御力105/魔法防御力40
〈特殊効果+製作ボーナス:超耐火/耐水/回避上昇・大/速度上昇・極大/重量軽減・中/命中+10%/跳躍力+20%/着心地向上〉
アクセサリー
【ダテ眼鏡】防御力5〈特殊効果:なし〉
【ノワールの証】〈特殊効果:なし〉
天狐族Lv59
《双銃士》Lv78
《真魔銃》Lv1《操銃》Lv22《短剣技》Lv25《拳》Lv48《速度強化》Lv100※上限《回避強化》Lv100※上限《魔力回復補助》Lv100※上限《付与術改》Lv1《付与練銃》Lv1《目で見るんじゃない感じるんだ》Lv26
サブ
《調合工匠》Lv28《上級鍛冶工匠》Lv3《上級革工匠》Lv6《木工工匠》Lv34《上級鞄工匠》Lv8《細工工匠》Lv42《錬金工匠》Lv40《銃工匠》Lv36《裁縫工匠》Lv15《機械工匠》Lv19《調理師》Lv16《造船》Lv17《家守護神》Lv49《合成》Lv48《楽器製作》Lv5《バイリンガル》Lv2
SP 2
称号
〈もたざる者〉〈トラウマプレゼンター〉〈略奪愛?〉〈大商人〉〈大富豪〉〈摂理への反逆者〉〈初代MVP〉〈黒の職人さん〉〈創造主〉〈やや飼い主〉〈工匠〉〈呪われし者〉




