良血馬(サラブレッド) 1
「おはよ」
誰も居ないリビングでの朝の挨拶。僕の両親から受け継いだ朝一番の日課みたいなもので、リビングに誰も居なくても、これだけは欠かした事が無い。これは、気持ちの問題だからな。まぁ、僕の家では僕より早く起きる人は圧倒的に少ないけどな。
「おう、おはよう。やっと起きたか?今日は遅いな」
「なんだ?一体どうしたんだ?今日は何か予定でも有ったか?」
昨日のイベントで疲れていたからだろうか、いつもよりも僕の起きる時間が遅い。まぁ、遅いと言っても、普段六時前に起きている僕に比べて遅いだけで、まだ午前七時を過ぎたところだからな。普段の蒼真よりは断然早いはずなのだけど………今日は、蒼真の方が早く起きて僕の家のリビングに来ている。これは、かなり珍しい事で年に二回は無いはずだ。
「たまには、そう言う日が有っても良いだろ。そこに朝飯出来てるぞ」
今日は珍しく気が利くよな。イベント後は、ほとんどログインせずに寝続けていた為、妙にお腹が減っている。だから、このサプライズは嬉しいよな。
「おぅ、サンキュ。それで、どこに朝食は有るんだ?」
僕は、テーブルを見渡したが、僕の視界には朝食どころか食べ物らしき物が見当たらない。目の前に絶対に視界に入れる訳にはいかない暗黒物質的な何かは有るけど………流石に、人に食べさせる事を推奨出来る物では無いよな。
「そこに、ほら、目の前に有るだろ。せっかく純が早起きしてトーストと目玉焼きを作ってくれたんだぞ」
「えっ!?純が………」
今、料理とは果てしなく無縁の名前が聞こえたな。それにしても、蒼真だけでなく純までが僕より先に起きているとは………本格的に今日の予定を知りたいところだな。
「おう、きっと駿の朝食の為に早起きしたはずだ。だから遠慮するな」
やっぱり、目の前に有る暗黒物質もとい炭の塊が、僕の朝食だったらしい。どう見ても食べ物には見えないのだが………と言うか、どうやったらこれを作れるんだ?
トーストは食パンをトースターに入れれば自動で焼き上がるので、品質に差をつける方が難しい。目玉焼きも、お皿の上に卵を割って電子レンジで一分加熱するだけだ。どう考えても、この二品は誰が作っても失敗のしようがないメニューのはずだ。
だが、僕の目の前にあるトーストは、パンのミミの部分だけを綺麗に残して真っ黒に焦げている。本来なら一番ふわふわしていて、焼けばちょっとカリッとする真ん中の部分は、炭の粉と化して所々穴まで空いている。その上に乗っている目玉焼きらしき物?は原型を留めていないだけでなく、その存在自体が分からない。かろうじて黄身であろう黄色の部分が二ヶ所程度見られるくらいだからな。
「悪い、どの角度から見ても、姉弟と言うフィルターを通して見ても、僕には食べ物には見えない。百歩譲ってもこれは食べられる炭だろ………と言うか、蒼真はこれを食べたのか?」
最近は食用の炭も発売されているらしいけど、僕にとっては炭は炭でしかないからな。食べ物が豊富なこの時代に、わざわざ炭を食べる事は無いだろう。
「俺は、今日は体調がすこぶる悪くてな。食欲が全く無いんだ。良かったら、俺の分も食べてくれ」
僕に押し付ける気が満々だったみたいだな。それに、体調の悪い蒼真が僕よりも早く起きると言う事は、絶対に有り得ないからな。
危険を察知して、家に逃げ帰ってないところだけは評価したいけど、純に料理をさせた事自体が大きな間違いだよな。まぁ、僕も食べないから良いんだけど………いや、待てよ。良い事を思い付いた。これを、僕が食べる訳にはいかないよな。
「蒼真、僕の事は気にしないでくれて良いからな。僕はいつも通り自分で作る。それで、問題の純は?」
でも、せっかく早起きした純が作った物だからな。使用した材料も勿体無いし、犠牲になった材料の冥福を祈るためにも、このダークマター達は蒼真の弁当のメイン料理にさせて貰おうか。
料理とは生涯無縁だろう純をキッチンに立たせた罰は必要だろう………それは「何故か?」と聞かれるなら、僕は「自分自身の朝食を作るよりも先にキッチンの掃除が必要になったからだ」と速答出来るくらいにはキッチンが悲惨な状況になっている。どうして、あのメニューでこんなにもキッチンが汚れるんだ?小一時間程聞いてみたいものだよな。
「今は、トリプルオーの中だ」
「はぁ~!?今日は月曜日だよな。学校は?」
「それは大丈夫だ。昨日のPVPの結果を確認しに行っただけだ。俺も早起きして、さっきまでログインしてたからな。あっ!!そうだ。ハーフマラソンの結果も出てたぞ。俺達が四位で、俺達と共闘したブレッド達も七位に入ってたぞ。九位以内に入った報酬は、一人一個の早い者勝ちで、十八種類のアイテムから好きな物を選べるようになっていた。勿論、俺は一番最初に一番良い物をゲットしてきたぜ」
何をもってして、勿論なのかは分からないけど………嬉しそうだから良しとするか。まぁ、イベントでは活躍していなかったので、微妙に腑には落ちないけど………彼には昼休みに天罰が下るからな。流石の蒼真でも、作った本人を目の前にして食べない選択は出来ないだろう。
ちなみに、蒼真も僕と同じようにイベント後は速攻で寝たらしいのだが、早く寝過ぎた為に逆に夜中に起きてしまい。たまたまトリプルオーにログインしたら、そのタイミングでハーフマラソンとPVPの結果が出たらしく、一番最初にゲットする事が出来たらしい。
まぁ、僕としては僕達の上位入賞よりも、共闘していたブレッド達も上位に入っていた事が嬉しかったかな。
それにしても、十八種類のアイテムの中から早い者勝ちで選ぶと言う事は、全員貰える物が違うと言う事なのか?まぁ、自分で好きなアイテムを選ぶ事が出来るのはテンションが上がるけどな。ちょっと楽しみが増えた気がするな。僕も学校が終わったらログインして報酬を貰うとするか。
でも、一番最後に選ぶ事になるプレイヤーは、ちょっと可哀想だよな。特に一位のペアが最後になったら最悪だよな。まぁ、選択出来るアイテムに大きな差は無いのだろけど、それでも気分は良くないよな。それに、白と黒なら………
『主よ、主より運の悪い者は滅多にいないのじゃ』
『………残り物には福が有る?』
とか、不本意な事を言い出しそうだからな。
僕は、そんな他愛もない日常や今後のトリプルオーでやらなければならない予定を考えながら、僕の分だけのスクランブルエッグを作り終えた。
その日、ログイン出来たのは予定よりも遅くなって夜の九時。予定よりも遅くなったのは、学校が終わって家に帰ってみるとトリプルオーの中だけでなく、現実世界でもやらなければならない事が溜まっていたからだ。まぁ、そのほとんどが僕に関係した物では無かったんだけどな。
『主よ、今日は何をするのじゃ?』
ログイン直後、ホームのゲートの前では、竜の姿の白と黒が待っていた。
『今日か………まずはイベントの報酬を受け取りに行って、そのあとは溜まってる依頼を片付けたりする………くらいかな』
ここのところ色々と忙しかったからな。しばらくは、落ち着いて生産活動を中心にする予定だから、白達には自由に過ごして貰っても良いかもな。
『だから、白と黒もホームを出なかったら自由にしていて良いからな。何か用が有ったら呼ぶから』
僕は白と黒をホームに置いて、ゲートで神殿に転送していく。
『………黒は付いてく』
そう言って、僕の転送前に銃の姿に戻り、ちゃっかりとホルスターに収まった。その場に残った白の方は………多分、いつも通り、雪ちゃんの所に行くんだろうな。
『シュン様ですね………はい。確認出来ました。ハーフマラソン四位入賞おめでとうございます。報酬の方は、あちらの部屋からお好きな物をお選び下さい』
『はい。ありがとうございます』
僕は、係のNPCに教えて貰った部屋へと向かう。
報酬に一歩また一歩と近付くに連れて、テンションが少しずつ上がっているのが分かる。
だが、教えて貰ったその場所にはアイテムが一つしか残っていない。それも、正確には残っていると言って良いのか分からない代物だけどな………
やっぱり、妄想での白は圧倒的に正しかったのかも知れないな………
『すいません。教えて貰った場所に行ってみたんですけど、そこに残っていた剣が折れているんですけど………』
折れた剣には、名前以外のステータス表記が全く無かった………もしかして、僕は教えられた部屋を間違えたのだろうか?
『剣が折れていたのですか?申し訳ございません。すぐに確認致します。少々お待ち下さい………』
あのNPCの慌てようなら、知らなかったみたいだな。でも、報酬のアイテムが破損するとか、有り得るのだろうか?
『お待たせ致しました。今、確認致しましたが、シュン様以外の方は既に報酬の受け取りに来られておりまして、その【カリバーン】ですが、最初からその状態だったそうです』
『はいっ!?』
最初から折れた状態が報酬って………報酬の中にもハズレが有ったと言う事か?いや、トリプルオーの運営なら、報酬の中にハズレを紛れ込ませるくらいの事は簡単にやりかねないと納得してしまう僕自身が怖いな。
それにしても、どうせ折れている状態で報酬をくれるなら、もう半分の剣先部分も欲しかったよな。持ち手部分しか存在しない剣は、修理のしょうがないからな。それとも、余っている素材で適応な刃でも付けようか?
『本当に申し訳ございません』
係のNPCは、本当に申し訳ないと言った感じで何度も頭を下げてくれる。別に、このNPCは悪く無いんだけどな。
どう考えてみても、悪いのは趣味嗜好に走ったであろうトリプルオーの運営サイドの人間………まぁ、今さら愚痴を言っても仕方が無いよな。僕が一番最後になったのもある意味で事実なのだから………取り敢えず、貰って帰ろうか。
僕の中の黒が言っていた『残り物には福が有る』と言うのは、僕には全く縁の無い話だったみたいだな。
もう一度報酬の置かれている部屋に戻り、折れた剣を掴み取って鞄の中に放り込んだ。まぁ、イベントの入賞記念に倉庫の隅に置いたり、リビングのインテリアとして飾るのも良いかも知れないな。
『………福は有った』
頭を切り換えて、既に次の予定へと取り掛かる僕には、さりげなく吐かれた黒の呟きは残念ながら届かなかった。
『すいません。施設の拡張をお願いしたいのですけど………』
続けて、同じ神殿内に有る施設関係の受付に来ている。
バージョンアップ以降、ケイトとカゲロウに畑と牧場の追加を頼まれていたのだが、イベントの準備を優先していたから遅くなったよな。まぁ、二人共に僕の事情も十分に分かってくれていたけど………
その二人との約束を果たす為にも、時間が出来た今の内に拡張しておきたい。遅くなった分は設備の向上で返させて貰おうかな。まぁ、個人的にオリジナル紅茶に使用する茶葉の栽培もしたいからと言うのも大きな割合を占めてるんだけどな。
『こちらのリストからお選び頂けますが、どれになさいますか?』
『これとこれをお願いします。あと、オプションでこのセットも。場所は………このスペースにおねがいします』
受付のNPCにリストを見せて貰い、大き過ぎない程度の施設を追加する。ただし、両方共に大きさは普通程度だが、機能だけは現時点での最高ランクの物を選ばせて貰っている。絶対に性能が良い方が使い易いからな。喜んでくれるだろう。まぁ、面倒な拡張は一回で済ませられるなら済ませたいと言う、ギルドマスター側の本音も有るんだけどな。
新に牧場と畑を作った場所は、以前はオークション会場が有った場所だ。
一回目のオークションが好評だった為、現在のオークション会場は生産系六大ギルド+【noir】で資金を出しあって別の場所に移転して拡張しており、権利の方も七ギルド共有の資産になっている。以前から皆に言われていた事だけど、一つのギルド単独でのオークション会場の取得は、流石にやり過ぎだったからな。
新しいオークション会場は広場の近くで、七ギルドの中では【サイク=リング】のギルドホームが一番近くなっている。まぁ、誰しもが利用しやすい場所なので、必然的に誰からも文句は出なかったからな。それと共に、オークション会場の横に事前に出展するアイテムを直接触って確認する事の出来る場所も併設している。この場所で、近日中に第二回のオークションも開催される予定だ。今回の僕は司会業務は免除されているので、かなり気持ちが楽だったりもしている。ちなみに、司会業務は七ギルドでの持ち回りになっており、次に【noir】が司会するのは第八回のオークションの予定だ。
僕自身は、第二回のオークションでは、前回の事を踏まえて特殊な鞄を出展する予定だ。これなら絶対に前回の二の舞は無いだろう。多分………本当に頼むよ。切実に………
そう言う事も有り、スペースが余っていたこの場所に建設した。この場所なら、ホームのリビングからも近いので何かと便利だと思うから、二人も喜んでくれるだろうな。ちなみにだけど、少し前に建てた塔もこの場所を利用していたりする。
ホームに戻り、イベントで非常にお世話になった二人の為に鞄を製作している。この二人と言うは自らが犠牲をかって出てくれたあの時の二人だ。
鞄の内容としては、僕が次のオークションに出展する物と性能は同じで、形状だけを彼等が使っていた物と同じにしている。ただし、オークション用の物とは違って、性能面以外でも若干のサービスは施して有る。まぁ、この違いは目利きの良い人にしか判別出来ない程度のサービスだけどな。
あのイベントを思い出しているうちに目的の鞄は完成したけど、あの二人の連絡先が分からないので直接渡す事は勿論、連絡をする事すら出来ないんだよな。あの時の会話からすると彼等はショップ【noir】を利用しているらしいからな………マナさん達に預けておけば大丈夫だろうな。
『シュン、いる?お客さんが二人来たよ。昨日のイベントで一緒に闘った人達みたい』
噂をすれば、ベストなタイミングで現れたな。昨日の今日で現れるのは少し早い気もするけど、僕個人としてはナイスなタイミングだと思う。
『アキラ、ありがとう。すぐに行くから、少し待ってて貰って』
渡す鞄は出来ているからな。あとは、料金の設定だけど………
普段、【le noir】の高品質鞄が十万~二十万フォルムだから、この鞄は定価は三十万フォルムぐらいかな?オマケをする約束もしているし、サービスも施して有るから………う~ん、オマケをする約束もしているし、店売りと変わらない十万フォルムで良いかな。
価格を決めた僕は、依頼人達の待つリビングへと足を早めた。
『お待たせ。この前はありがとう。それで、お礼の………』
だが、リビングで待っていたのは依頼人の二人ではなく、見覚えの有る鮮やかな青髪のエルフが二人。
『お邪魔しております。この前は、お世話になりました』
ブレッドとサラ………それに、ギルドメンバーのケイトだった。
『あっ………あぁ、そう言う事か』
この先の展開が見えたな。
〔『………黒も』〕
〔『ワシもなのじゃ』〕
まぁ、二人の師匠も一緒となると、かなり分かりやすい形だからな。
『マスター、お願いが有りますです』
『大丈夫。ケイト、大体は理解出来たから………それで、悪いんだけどな。もう少しだけ三人で紅茶でも飲みながら待ってて。アキラも悪い、工房の中にいるフレイを裏庭に呼んで来てくれるかな?』
接客してくれていたアキラを呼び止めて、お願いする。まぁ、アキラにも関係する事でも有るのだけどな。
『フレイ?あっ!!そう言う事ね。ちょっと待っててね』
アキラは、それを聞いただけで僕の考えを理解したみたいだな。
この際だから、以前にアキラと考えていたプランを実行に移すとしようかな。今ギルドにいないカゲロウとヒナタには事後報告になるけど………根本的に、カゲロウ達にとっては今と大きく変わる事もないからな。大きな問題にならないだろう。
しばらく、一人で中庭で待っているけど、なかなかフレイ達は現れない。あれ?今は忙しかったのかな?僕が興亡に行った方が難しい良かったかな。
『シュン、どないしたんや?ウチ、依頼とか装備の修理とか新しい素材の事で忙しいんやわ』
誰にも聞き取れないぐらい小さな声で言った新しい素材の事がフレイの本命だと思うけどな。残念ながら、僕と黒には聞き取れていました。
『すまん、忙しい時に悪かったな。じゃあ、単刀直入に言うな。フレイも【noir】のギルドマスターになってくれ』
『それは、断る………』
マジか!?流石に全く考える時間も無しで、最速のタイミングで断られるとは思って無かった。そんなに【noir】のギルマスになるの嫌だったのか?もし、そうだとするなら、僕は結構凹むぞ。
『………と普段のウチなら言うところやけど、今回はOKしたるわ。さっき、アキラから要件だけは聞いててん』
なるほどな。ここに来るまでに時間が掛かった理由はそれか。アキラが事情を説明していてくれたのは助かったな。ここは、良きパートナーに感謝だな。勿論、快くOKしてくれたフレイにもな。
ちなみにと言うか、当然の事なんだけど、ギルドマスターの数を増やさなくてもギルドメンバーは増やせる。だけど、最古参と言っても過言では無いフレイと新しく入るプレイヤーが同じ平メンバーと言うのは、【noir】的には良くない気がするので、フレイのギルドマスター就任の件に至っている。
まぁ、それを言うとカゲロウ達も似たようなものだけど、カゲロウ達は〈大商人〉の称号をまだ取得出来ていない為、今のところ二人目以降のギルドマスターになる権利を得ていない。勿論、この方法は商業系のギルドに限っての場合だ。戦闘系のギルドの場合は、この方法とは別の方法が有るだろう。僕は、その方法までは知らないけど、二人目以降のギルドマスターが商業系ギルド限定の措置では無いだろから、何かしらの方法が有るはずだ。戦闘系のプレイヤーが〈大商人〉の称号を得るのは不可能に近いからな。
『フレイ、助かる。それと、アキラも色々とありがとな。それで、前にネイルさん達にも言われたと言うのも有るんだけど、カゲロウ達が成長する為にもメンバーを少し増やそうと思うんだ』
『そうやな。そろそろ、【noir】もメンバーを増やしても良い時期かも知れへんな………ただし、ウチ個人としては、あんまり増えるのはゴメンやわ』
『私も、その点はフレイに賛成かな。だから、一人につきに三人までとか、制限を設けたらどうかな?』
一人につき三人と言う事は、今いる六人に最大十八人が増えて、合計二十四人になると言う事か、ホームの広さ的にはその三倍でも大丈夫だけど………今のところ僕に新たな仲間を勧誘する気が全く無い。なので、厳密にはそこまでは増えないだろうけど、十数人くらいの規模になれば、小規模なレイドイベントくらいは【noir】単体でこなせそうだな。
『それくらいで、ええんちゃうか?全員が上限まで勧誘しないやろし。それに、ウチはしばらく勧誘する気は無いしな。ただしや、見込みの有りそうな弟子候補は別口やで』
まぁ、おおよそ僕と同じところだな。最後に本音を一言付け加えるところがフレイらしいけどな。
『しばらく勧誘する気が無いと言う点は私も同じかな』
アキラは軽く手を挙げて、そっと僕の方を見てくる。どうやら、アキラも同じだったみたいだな。
『僕も同じ意見かな。だから、今のところはカゲロウ達、新人組だけに勧誘の権利を出すと言う事でも良いか?』
新米ギルドマスターのフレイを含めた三人が三人共、積極的に勧誘する気が無かったらしい、本当にこう言う時の僕達は気が合うよな。
『ウチは、それでええで。それと、新しいメンバーにも生産系スキルの取得と成長は最低条件に加えてや』
それは、そうだよな。僕も加入する為だけに生産系を取得して、スキルを成長させない新メンバーは嫌だからな。
『うん。だね』
どうやら、この点でも同じ意見だったみたいだな。本当に僕達は気が合うよな。
『じゃあ、そう言う事で。色々と迷惑をかけるかも知れないけどヨロシクな。フレイ、時間取らして悪かったな。それと、あとで見て欲しいイベントの報酬が山のように有るから楽しみにしててくれ。勿論、フレイの分も採取して有るからな』
フレイにも、イベントでゲットした素材をお裾分けしておきたいからな。量も結構有るし、何よりも今の僕が加工出来ない素材も有る。まぁ、本命の理由としては、僕と違った物が出来る事への期待だな。クリスタルとか………その前にアクアと山分けしないといけないんだけどな。
『シュン、それを早く言わんかいな。それは、ハーフマラソンの時のか?了解や。ウチ、もの凄く楽しみにしてるわ。言っとくけど、ハードルを上げたんはシュン自分やからな』
そう言い残して、フレイは若干のスキップ混じりで工房の奥へと引っ込んで行った。まぁ、あの素材達なら過剰に期待して貰っても大丈夫だと思うな。
『じゃあ、僕はケイトに説明するから、アキラはフレイの新規ギルドマスター申請をお願い出来るかな?』
『うん。私も外に行く予定が有ったら良いよ。じゃあ、ちょっと行って来るね』
それでは、僕も急ぐとするか、リビングにいる三人をこれ以上待たせても悪いからな………
『ケイト、少し良いか?ブレッドとサラには悪いんだけど、もう少しだけ待っててくれ。ごめんな』
今度はケイトだけを裏庭に呼び出す。『はい』以外の一言も喋らせて貰えない残された二人は、かなり不安そうな顔をしているが、今は気にしている余裕が無いからな。
『ケイト、今日の話って言うのは、あの二人が【noir】に加入したいって事で良いんだよな?』
イベント終盤で僕の正体がサラとブレッドにバレた時から、こう言う事になるのは容易に想像出来ていた。この場合は、早いか遅いかの違いだろう。
『そうなのです。マスターは私が話す前に、どうして分かっていたのですか?です』
『この前のハーフマラソン中に、二人からその件について少しだけ話を聞いてたからな。まぁ、あの二人と話してる時は、僕が【noir】のギルドマスターだと言う事には気付いて無かったんだけどな。イベント終盤で隠していた僕の正体がバレたんだよ』
『そうだったんですかです』
『うん。そうだったんだよ。それで、少し話は代わるけど、フレイにもギルドマスターになって貰う事になった。まぁ、その件と直接は関係の無い事なんだけど、カゲロウ、ヒナタ、ケイトの今後の成長の為に、各自三人までギルドメンバーを勧誘する許可と言うか………そう、権利を渡そうと思ってるんだ』
『Oh~!!ありがとうございますです。マスター』
『ただし、最低条件として生産系スキルの取得とそのスキルを常に成長させる事が条件だからな。それと分かっていて欲しいのは【noir】の特異性だ』
『イレギュラーですか?です』
顎の下に右手の人差し指をあてて首をかしげるケイト。やっぱり、イレギュラーの一言だけでは伝わらなかったみたいだな。
『うん。えっ~と、ほら、【noir】には色々と秘密にしている技術やスキル、あと………雪ちゃんとかファミリア関係もかな。ケイト達が加入した時も、加入自体をクエスト形式にして、他の落選した多くのプレイヤー達も一応は納得出来る形にしているから、大きな問題にはならなかったけどな。あの時よりも目立ったギルドになったからには、個人的な知り合いだからとか友達になったから等の理由で一部のプレイヤーだけを加入させたりすると、最初のクエストに落ちたプレイヤー達からの嫌がらせと言うか………些細な揉め事や問題が後々起きると思う。皆、各々に友達も知り合いもいるだろうからな。それに、なるべくなら、皆が平等の方が良いだろ』
〔『主よ、その目立つギルドになった理由の大半は、主自身が犯人なのじゃ』〕
その事については強く否定はしないけど、今は触れないでほしかったよな。
『なるほどなのです。マスター達は良く考えていますです。う~ん………と言う事はです。やっぱり、クエスト形式にした方が良いですか?です』
僕の拙い説明だけど、ケイトには伝わったみたいで良かったな。
『それは、カゲロウ達と話合って三人で決めたらどうかな?仮にどんな方法を選んでも僕達は協力出来るからな』
『分かりましたです』
ケイトから今まで以上にやる気が感じられる。
『まぁ、イベント中の短い間しか関わってないけど、僕はブレッドもサラも良い奴なのは分かっているから、二人に頑張る気が有れば加入する事には反対してないんだけどな』
これは、掛け値なしの僕の本音だ。
『はいです。自慢の良い子達なのです』
『うん!?ちょっと待って、良い子達?』
何か、会話のニュアンスが小さな子供を相手にしているような気がするんだけど………
『はいです。二人は、えっ~と確か小学四年生をしてますです』
『マジか!?』
………と言う事は、あの二人は十才くらいか?それには、全く気付かなかったぞ。てっきり、同じ年齢もしくはカゲロウ達と同じだと思っていた。まさか、小学生だとは思わなかったな。
『それなら、二人を早くログアウトさせないとダメだぞ。もう十時を過ぎてるぞ。それと、ヒナタ達に会ったら、新メンバーの勧誘の件とは別に、ホームの裏庭に牧場と畑が出来てる事も伝えておいてくれ』
小学生を遅い時間にログインさせるのは、倫理的にダメな気がする。まぁ、これは僕だけが思ってる事かも知れないけどな。
『そうでしたです、忘れていましたです。マスター、色々とありがとうございましたです。伝言の方も承りましたです』
ケイトは、急いで二人を待たせているリビングに戻って行く。もし、あの二人がギルドメンバーになった場合は、その辺も気にかけないとダメそうだな。
『ただいま。フレイの登録は終了したよ。あれ!?あの二人はもう帰ったの?』
僕の頼み事から帰ってきたアキラに、アキラがホームに居なかった時の経緯を説明していく。
『そっか………あの二人は小学生だったんだね。全く小学生には見えなかったよ。それと、神殿でたまたま会ったアクアからの伝言で、あとで………』
『シュン、いるか?』
アクアがゲートから転送してくる。直接ゲートを使ってホームに来るのなら、その確認は事前にしてほしいのだけどな。トリプルオーには便利なコールとメールが有るのだから………
『………もう、来たみたいだね』
アキラの伝言とほぼ同時にホームに現れる。これには、伝言を受けたアキラ自身も呆れているみたいだな。まぁ、こんなに早く来るのなら、アキラに伝言を頼む必要が全く無いのだから当然だけどな。
アクアよ、もう少しだけで良いから、空気を読めるようになって欲しい。幼馴染みとして、そこだけは切に願うよ。
〔『………高望み』〕
『いるぞ。イベントの戦利品の分配の件か?』
『そうだ。俺は、それだけを楽しみに今日一日を過ごしてきた』
言葉に出さなくても、その表情だけで全てが伝わって来るよ。まぁ、その件で僕もアクアを近いうちに呼ぼうとしていたから、その手間だけは省けたけどな。
リビングのテーブルに、僕が採取や採掘した素材と通常戦闘で入手した素材やアイテムを並べていく。
『これで今回のイベントで入手したアイテムは全部だな。採取、採掘した素材の半分は、アクアの取り分だぞ。戦闘での戦利品は………』
『おぉ~~!!こんなにいっぱい有ったんだな。流石に凄いな。俺の戦利品は、これだ』
アクアの戦利品を見るが、お互い戦闘で得た物には大差が無いようだ。これなら、わざわざ分ける必要は無いかもな。
『取り敢えず、素材類は置いといてだな。問題はこの二つ、イベントの報酬とケイヴキングのドロップだ』
アクアが、新たに鞄から二つのレア間を取り出してくる。完全に忘れていたが、あとでその鞄も確実に回収しなければならないな。僕にとってはアクアが嬉しそうに取り出したレアアイテムよりも、そっちの方が重要だ。
『それが、どうかしたのか?』
『良いから、ちょっと確認してみろ』
そう言って、僕にアイテムを手渡してくる。この名前からすると、ケイヴキングのドロップは僕と同じでファミリアの卵みたいだな。ただし、アクアのは銀狼石、僕のは水妖石と名前と内容に違いは有るけどな。
アクアと僕の二人共ファミリアの卵を獲得したと言う事は、種類は別としてもケイヴキングのドロップはファミリアの卵が確定していたのかも知れないな。まぁ、他に中ボスを倒したプレイヤーを知らないので、詳しい事は分からない事なんだけど。
問題は、イベント報酬の方だな………
【聖犬クラウ・ソラスLv1】攻撃力180〈特殊効果:聖属性〉※譲渡不可
スキル《魔剣化》《魔獣化》《成長》《意思疏通》※ユニーク
これって、どう見ても………
『主よ、主の思った通り魔獣器なのじゃ』
振り返ると、そこには竜の姿をした白が居た。
さっきまで絶対にこの場所には居なかったはずなのに、いつ現れたんだ?まぁ、雪ちゃんだけを残して来てないから良いんだけど………もしかして、ファミリアの気配を感じたのか?
『主よ、それはたまたまなのじゃ』
いつも通り、僕の思いはバレバレだったようだけど、そんな事よりも、イベントの報酬には魔獣器とかも有ったんだな。
それにも関わらず、僕の獲得した報酬は【カリバーン】と言うのは、物凄く格差を感じるんだけど………僕だけなのだろうか?
『俺も始めに見た時はビックリしたが、俺はシュンの【白竜】と【黒竜】の事を知っていたから、すぐにこれが魔獣器だと分かったからな。これを選んだって訳だ。見てろよ、出てこいラウ!!』
『ヴァウ~~』
光の中、剣が犬へと姿を変えていく………このシルエットは、ひょっとしてブサカワイイ系の代表格と言っても過言では無いルドックか?
『これが、俺のパートナーのラウだ。シュンのファミリアみたいに言葉を話せないが、俺とだけは意思疏通が出来るんだぞ』
アクアがラウを見て軽く頷くと、もう一度返事をするように『ヴァウ』と吠える。確かに意思疏通は出来ているみたいだな。
『ねぇ、アクア。ラウちゃんは触っても良いの?』
最初は空気を読んで我慢していたみたいだけど、アクアとラウがじゃれているのを見てアキラも我慢の限界に達したみたいだな。まぁ、その気持ちは僕も分かるけどな。
『………違う。残念』
『黒よ、やはりか。主よ、ラウはワシらの探しているファミリアでは無かったのじゃ』
『以前から他のファミリアにも会いたがっていたけど、探し人………いや、違うな。探しファミリアでもいるのか?』
『うむ………実はそうなのじゃ』
『………』
二匹が同時に口を閉ざした。何か言い難そうだよな。聞いたらダメなプライベート的な事だったか?まぁ、無理には聞かないでおくかな。白達の事だから、話したくなったり必要になれば自分達から話すだろう。
『それで、アキラ。相談なんだが、この銀狼石と山分けする予定だった今回のイベントの素材一式で、この前の借金ってチャラにならないか?』
アクアにしては珍しく以前の約束だけでなく、借金の事も覚えていたらしい………
『えっ!?』
アキラは、アクアから銀狼石を手渡される。
『ちょっと待て、借金の件はアキラとアクアの問題だから、本来なら僕が口を挟む資格は無い事だけどな。それは絶対にダメだ………と言うか、やってはいけない事だ。アクアはまだ知らないかも知れないが、その銀狼石は素材じゃなくて、成長させるとファミリアになるレアアイテムの一種だ。簡単に言えば、ファミリアの卵だ。借金の額とは全く価値が釣り合わない代物だぞ』
『これが、ファミリアの卵!?だと』
アクアとアキラが驚きの表情を見せてくる。やっぱり、知らなかったみたいだな。
まぁ、存在自体を知らなければ、見た目は素材にしか見えないので仕方が無い事かも知れないけど、僕達も成長したあとのファミリアの卵には出会ってないので上手くは説明は出来ないのだが、分かる範囲内で出来るだけ分かり易く説明していく。
『なるほど、そう言う事だったのか………それで、あの時シュンは言わなかったんだな。リタイアしてぬか喜びになる可能性と俺が落ち込む可能性が有ったから………納得したぞ。でも、ファミリアの契約は一人につき一匹までみたいだから、もうラウを装備して契約しちまってる俺には契約する権利が無い』
『はっ!?』
僕には、アクアの言っている意味が全く分からないんだけど………一人につき一匹?どう言う事だ………
『いや、そんな恐い顔で見るなよ。実際に、そうなんだよ。だから、俺としてはシュンが白と黒の二匹と契約している方が不思議なんだよ………一応ラウと契約する時に、確認項目が出てきたから、そこは間違い無いと思うぞ』
アクアには、雪ちゃんの事を説明してないから知らないのだろうけど………僕は、実質的に一人?と二匹の三種類のファミリアと契約している事になっている。
まぁ、雪ちゃんは雪ちゃん自身の意思で【noir】と再契約している………言うなれば、【noir】の守護霊みたいなものだから、少し勝手が違うかも知れないけどな。
それに、僕の場合は雪ちゃんの時は勿論、白と黒の時にも契約等の確認項目は無かったはずだ。もしも、その契約が有ったのなら白はともかく、二匹目にあたる黒とは契約出来てないはずだからな。
『主よ、ワシと黒の場合は少し特殊なのじゃ。主自身が〈創造主〉としてワシらを造ったからのう。主自身は、造る以外の手段で一種類だけ別のファミリアと正式な契約が出来るのじゃ』
〔『それと、雪の扱いはもっと特殊になるのじゃ』〕
白の話す内容を素直に納得する事は出来ないけど、言いたい事の理解は出来たかな。つまりは、僕自身は水妖石との契約も可能って事だよな。まぁ、僕には移動式動物園の園長に就任する気は、さらさら無いのだけど………
『そう言う事だ。どのみち、俺には使えないみたいだからな。これで借金がチャラになるなら、俺的には願ったり叶ったりだったりする』
実際に、お金を貸しているのはアキラだから、僕には判断する事は出来ないよな。
『う~ん。私も、それは貰えないかな』
『そこを何とか………アキラ、頼む。これ以外で借金返そうと思ったら、どのみち銀狼石やシュンが集めた素材を売って金に変えるしかないんだよな。だったら、俺は俺の知ってるヤツに貰って欲しいんだ』
どうしようと言いたそうな感じでアキラが僕の目を見てくる。そのアキラの視線に気付いたアクアも僕の方を見てくる。二人は、ここで僕に判断を任せて良いのだろうか?
アキラとアクア、二人共の言い分が理解出来るだけに………そんな目で見られるのは、非常に困るのだけど。
『う~ん、分かった。銀狼石だけを貰おう。最初に言った通りに、獲得した素材は半分ずつだ。それと、そのレンタル中の鞄はそのまま使ってくれ。あと他に欲しい物が有ったら、今回に限りサービスするぞ。二人共それで良いか?』
『本当にこの鞄も返さなくて良いのか?俺は、それだけで十分過ぎるぞ』
『私も、アクアが良いなら、それで良いよ』
これで、ギルド内にファミリアの卵が三つか………ケイトとアキラが一つずつ、もう一つ僕が獲得した分は、新しくギルドマスターに就任したフレイに就任祝いのプレゼントとして使って貰おうかな。まぁ、素直に受け取ってはくらなさそうだけど………そこは、僕の拙い話術の出番かな。
『アキラ、シュン、ありがとな』
僕に、お礼を言われても困るんだけどな。
『そう言えば、イベント報酬シュンは何を貰ったんだ?』
相変わらず、ストレートに痛い所を突いてくれるよな。僕としては何事も無く終わらせる予定だったのに………恩を仇で返された気分だよな。
『【カリバーン】だ。報酬の受け取りは、僕が最後だったみたいで、これしか残ってなかった』
折れた剣を鞄から取り出して二人に見せる。
『こんな変わったの有ったか?それって、言い難いがこれはハズレなのか?』
アクアは、なんとか声に出せたようだけど、アキラに至っては居たたまれないのか、折れた剣から視線すらも外している。
『二人とも、そんなに気にしなくても良いぞ。もう僕自身は納得しているし、イベント記念品だと思えば気分も幾分かマシだからな。それに、素材として使えるなら、使っても良いと思っているからな』
それくらいなら、利用価値も有るだろう。むしろ、それくらいの価値くらいは有って欲しい。切実に………な。
『フレイ、少し良いか?』
アクアを見送った僕とアキラは、工房で鍛冶に勤しんでいるフレイに声をかけた。
『おっ!!イベントの戦利品の話やろ。待っとったで』
『まぁ、そんなところだ。手に入った素材は共通の倉庫に入れて有るから、半分は自由に使ってくれて大丈夫だからな』
『おっ、それは太っ腹な話やな。あとで確認させて貰うわ。それで、話はそれだけやないんやろ?』
『あぁ、問題はこの二つだ。僕のスキルで分かる事なんだけど、銀狼石は名前の通り銀色の狼ファミリアで、水妖石は水属性の妖精ファミリアになるファミリアの卵だ。他にも、ここには無いけど、ケイトや【ワールド】のリツもイベントで一つずつ獲得している』
銀狼石と水妖石を見せて簡単に説明する。
『へ~!!そんなアイテムも有るんやな』
『一つはアキラの物なんだけど、もう一つをフレイが使わないか?ギルドマスターの就任祝いとしてプレゼントするけど』
『それは、なんぼなんでも貰われへんな』
速攻で拒否を示してくる。
『まぁ、そう言うと思ったんだけどな。【noir】の中だったら水妖石はケイトかアキラかヒナタと、銀狼石は僕かフレイかカゲロウと相性が良さそうなんだよな。ケイト自身は、さっきも説明したけど、すでに煌魔石を持ってるし、僕には白と黒がいるからな………水妖石をアキラに、銀狼石をフレイに使って貰いたいんだよな』
『いや、そう言うんやなくてな。いや、それも一理は有るんやけどな。ウチはシュンみたいに自力で魔獣器を作りたいんよ。特に最初のファミリアはウチ自身の手でな』
これは、称号〈創造主〉の事を知ってる生産系の職人としては、当然の意見かも知れないな。
『シュン、私も雪ちゃんいるし………ファミリアは遠慮したいかな』
確かに、雪ちゃんはギルドの中で誰よりもアキラと仲が良いからな。
『アキラも要らないんやったら、ヒナタとカゲロウの二人にプレゼントでどないや?ケイトと含めて三人平等で良いやろ』
『僕は二人がそれで良いなら、反対する気は無いかな』
アキラとフレイは同時に頷いてくる。こうなったら、説得は無理そうかな………端から無理強いする気は無いのだけど、最終的なファミリア達の姿を思い浮かべると少し残念に思うけどな。
装備
武器
【雷光風・魔双銃】攻撃力80〈特殊効果:風雷属性〉
【ソル・ルナ】攻撃力100/攻撃力80〈特殊効果:可変/二弾同時発射/音声認識〉〈製作ボーナス:強度上昇・中〉
【魔氷牙・魔氷希】攻撃力110/攻撃力110〈特殊効果:可変/氷属性/凍結/魔銃/音声認識〉
【白竜Lv50】攻撃力0/回復力200〈特殊効果:身体回復/光属性〉
【黒竜Lv50】攻撃力0/回復力200〈特殊効果:魔力回復/闇属性〉
防具
【ノワールシリーズ】防御力105/魔法防御力40
〈特殊効果+製作ボーナス:超耐火/耐水/回避上昇・大/速度上昇・極大/重量軽減・中/命中+10%/跳躍力+20%/着心地向上〉
アクセサリー
【ダテ眼鏡】防御力5〈特殊効果:なし〉
【ノワールホルスターズ】防御力20〈特殊効果:速度上昇・大〉〈製作ボーナス:武器修復・中〉
【ノワールの証】〈特殊効果:なし〉
天狐族Lv54
《双銃士》Lv75
《魔銃》Lv74《操銃》Lv19《短剣技》Lv24《拳》Lv45《速度強化》Lv98《回避強化》Lv98《魔力回復補助》Lv99《付与術》Lv69《付与銃》Lv74《目で見るんじゃない感じるんだ》Lv16
サブ
《調合職人》Lv28《鍛冶職人》Lv44《上級革職人》Lv6《木工職人》Lv34《上級鞄職人》Lv8《細工職人》Lv33《錬金職人》Lv33《銃職人》Lv28《裁縫職人》Lv15《機械製作》Lv27《調理師》Lv3《造船》Lv15《家守護神》Lv35《合成》Lv31《楽器製作》Lv5
SP 46
称号
〈もたざる者〉〈トラウマプレゼンター〉〈略奪愛?〉〈大商人〉〈大富豪〉〈自然の摂理に逆らう者〉〈初代MVP〉〈黒の職人さん〉〈創造主〉〈やや飼い主〉




