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OOO ~Original Objective Online~ 改訂版  作者: 1048
第一章 第四部
32/65

★王からの依頼 2

 『一体、どうしてこんな事に…』

 僕が何をしたと言うんだ。普段の(おこな)いか?普段の行いが悪いとでも言いたいのか?


 事件の発端は数日前へと遡る。





 『うはっ!!ザックザックやわ。あっ、そこ、もう一丁(いっちょ)。ほれ、そこもや』

 笑いが止まらないとでも言いたげなフレイは、最前線で二振りの刀を器用に(ふる)いながら、鞄の中に現在進行形で(大絶賛)納められていくビーから得たドロップアイテムを、これまた器用に確認していた。


 普段の僕なら、例え慣れ親しんだビーとは言え、ケイトを守りながらの戦闘なので確実に注意しているところだが、そのフレイ(当人)が器用に一振りで数匹のビーをまとめて凪ぎ払って、ケイトの安全は確実に確保(キープ)しているので、注意する事は諦めた。


 そんな重要なポジションを任されながらでも、ドロップアイテムの確認をする余裕は有るらしい。まぁ、各々の鞄が倉庫と直接繋がっているので、各々が回収したドロップアイテムの合計数の確認が簡単になっているからでも有るんだけど。ゲーム開始当初を思い浮かべると本当に便利になった気がする。


 僕も陰ながら(背後から)【雷光風】での射撃や《付与術》を用いて援護しているけど、あまり必要が無さそうなんだよな。


 この戦闘で唯一の出番でもあったドロップアイテムのカウントも前衛のフレイに奪われつつあるケイトに至っては、ほぼ全てと言うほど出番が無い。まぁ、ケイトにはドロップアイテムのカウント以外にも、後衛から他の魔物にたいしての監視(モニター)役もお願いしているのだけど。


 一応、ボス戦の部類に入るクィーン戦は他の魔物の乱入は無いが、それ以前のビー戦では他の魔物の乱入も時々起こる。念の為に警戒しておくに越した事は無いだろう。やっぱり、背後からの不意打ちだけは遠慮したいからな。クィーンと同じ戦うにしても少しでも万全の状態が望ましい。


 ドロップアイテム(蜜油)も、流石はイベント専用アイテムの面目躍如と言った感じで、ビーを倒す毎に確実に一個ドロップしている。まぁ、この時にドロップするアイテムが蜜油に固定されているようなので、通常のドロップが全く手に入らないと言うデメリットが有るかも知れないけど。ビーの通常ドロップアイテムが倉庫で溢れている僕達には、あまり関係ないだろう。


 『フレイ、一応(・・)言っておくけど、油断するなよ。もう少しでクィーンが出てくるはずだ』

 以前に手痛い思いをしているだけに、そこだけには細心の注意を払いたいからな。まぁ、ここでクィーンの亜種やクィーン以外が出てくる可能性も有るのだけど…


 『普通は、そうなんやろうけどな…今なら、これ、どう考えても楽勝やろ』

 軽口を叩きながらも、どんどんとビーの数を減らしていくフレイ。


 ある意味、それも事実だ。今回は前回と違ってパーティーメンバーが僕以外に二人もいるし、武器や防具もリニューアルされている。合体クィーン(仮に多少の強化が施されていたと仮定している)が出て来たとしても、多少の事ではピンチにならないだろう………


 『フレイ、マスター、そろそろ100個になりますです。一回逃げますですか?です』

 フレイに任せっきりにせず、あくまでも愚直にドロップアイテムの数を数え続けていたケイト。


 『この際や、久しぶりに三人でボスも一緒に狩ってまおうや』

 そのケイトに対して、新たな提案をするフレイ。


 僕達三人がクィーンと戦うのは船の素材集め以来だ。フレイの意見に賛成したい半面、心の奥底では若干だけ嫌な予感もしている…まぁ、ここはフレイを信じて大丈夫だと思っておこう。


 『了解だ。だだ、念の為に《付与術》を掛け直すから少しだけ待ってくれ』

 僕はフレイとケイトにステータス上昇の《付与術》をかけた。竜の力の恩恵でMPを全く気にしなくても良いのは本当に有り難い。他者よりも安全に対するマージンが大きいのも有り難い。過剰回復(オーバーフロー)が関しては許されるくらいには。


 『よっしゃ!準備万端やな。ほな、最後の一匹(ラスト)狩るで』

 僕が魔法を掛け終わったのを確認したフレイが、最後の一匹を縦一文字に真っ二つに切り裂いた。


 その瞬間、僕達にとっては慣れ親しんだ(例の如くの)変化が始まった。ビーを倒した事で、この場所に飛散し溢れていた魔力がクィーンの出現地点の二ヶ所に集まる。何度も何度も見慣れた光景だ。ただし(・・・)、その醸し出す雰囲気とビークィーンの属性が水と土で無ければの話だけど…。


 『やっぱり、そうなるか…』

 悪い方向への予感だけは良く当たるんだよな。まぁ、今さら愚痴っても仕方が無いけどさ。


 『ありゃ、新しいの出たみたいやな。これ、もしかしなくても不味いんとちゃうか?』


 『いや、う~ん…多分、大丈夫そうだな。ステータス的には氷と火と大して変わらないぞ。それと、今までと違って攻撃は単発系しか持ってない。ただし、一発一発の威力は今までとは比べものにならないくらい強そうだから、そこだけは要注意だな』


 僕の言葉の終了を待っていたかのようなタイミングで、土のビークィーンが土属性の巨大な針(超スローペース)を飛ばしてきた。この針一発のサイズはビー三匹分のサイズに相当している。


 まぁ、《見破》で見た通り、攻撃自体(そのもの)は遅いし、単発発射なので回避するのには問題が無さそうだ。現に僕達三人共が余裕を持って回避に成功している。最早、これを回避とは言えない気もする。歩いていても余裕をもって避けれるのだから。


 もう一方の水のビークィーンの方は、《水魔法》での攻撃を仕掛けてきている。速度こそ、土のビークィーンが放つ巨大な針よりも早いが、こちらも単発なので回避は容易(たやす)い。


 それにしても、僕とビークィーンの間には何かしらの不思議な縁(見えない赤い糸)でも有るのか?稀少種(レア)亜種(イレギュラー)との遭遇確率が異常だと思う。多分、全属性のビークィーンを制覇したプレイヤーは他にいないだろう。


 フレイと二人で前線から〈朧〉を使い、ビークィーン同士の攻撃で同士討ちを狙っていく。相手から放たれる攻撃が単発な事も有り、ビー戦同様にフレイは全く防御をせず、攻撃たけに集中出来ている。


 時々、水のビークィーンが土のビークィーンを回復しているが、その回復量も僕達(主にフレイだけど…)が繰り出すアーツのダメージに比べれば微々たるものでしかない。つまりは、焼け石に水・暖簾(のれん)に腕押し状態。


 僕達は水のビークィーンを完全に無視して土のビークィーンを倒す事に集中し始めた。その会もあってか、土のビークィーンのHPが見る見る内に(どんどん)削れていく。


 まぁ、フレイがビークィーン達の懐に突っ込んだ事による多少のダメージとその時に使ったMPの消費をケイトと僕が回復させているから出来る荒業でも有るのだけど。


 …だが、僕達の顔に明らかな余裕が有ったのも、ここまでだった。


 それほどなくして、土のクィーンを倒しおえたのだが、水土のビークィーンに合体した途端、無駄に厄介なボスへと一気に変貌した。


 『シュン、アカン。これはダメやで、瞬く間に(ほんの一瞬で)回復しよるわ』

 フレイの放つ〈抜刀酒咲き(最強の攻撃)〉を軽々と耐えきってみせる水土のビークィーン。心なしか、水土のビークィーンが笑って見えるのは僕の錯覚だろうか?


 合体して一体になった事で、さっきまで非常に有効だった〈朧〉での撹乱作戦が出来なくなった事に加え、水魔法での常時(オート)回復状態に…まるで竜の力を持つ(ほぼ無敵状態の)僕を相手にしたような感じだ。


 さらに(たち)の悪い事に、先ほどまで楽勝で避けれていた土属性の巨大な針が水属性を纏い、そのスピードアップさせて僕達の逃げ場を無くすように襲ってくる。その威力は、紙装甲の僕が喰らえば、一撃で死に戻り(即死)出来る自信が有る。まぁ、喰らえばだけど…


 唯一の救い(になるのか?)は、合体した水土のビークィーンのHPが合体前の土と水各々単体のビークィーンよりも格段に低い事だろう。


 まぁ、あくまでも気休め程度の救いで、少しでも攻撃の隙を見せると一瞬で全快まで回復するので、与えなければならないトータルダメージは元よりも遥かに上がる…さて、どうしたものかな。


 〔『…一撃必殺』〕


 〔『主よ、答えは簡単なのじゃ。一回の連繋でHPを0まで削り切れぼ良いのじゃ』〕

 一瞬で全快する相手を倒すのには、それしか方法は無いんだろうけど、言うのは簡単な事でも実践するのは完全な別問題だと思う。まぁ、やるだけやってはみるけどね。


 『皆、一撃だ。ビークィーンが回復しだす前に一連繋に皆の全てを賭けて一気に倒し切るぞ。フレイとケイトも準備してくれ』

 僕もビークィーンと距離を取り、武器を【雷光風】に変えて、二丁同時に〈チャージ〉を始めた。


 『了解や。ほな、ウチらはケイトの魔法に合わせよか。ケイト、タイミングは任せたで』


 『分かりましたです』

 僕やフレイのアーツの〈チャージ(溜め時間)〉よりも遥かに時間を必要とする強力な魔法の詠唱。


 なので、僕達はケイトの魔法を起点にコンボを繋ぐ事を一瞬で判断し決定する。この辺りの意思疏通は少なくない時間をトリプルオーで一緒に過ごしてきた僕達だから出来る事で、即興では無理な相談だろう。


 決して少なくない時間、僕達は待たされていた。その間にも水土のビークィーンからの止まない攻撃は続いている。僕はともかく、フレイの方は紙一重と言った感じの回避が続いている。《付与魔法》が無ければ、回避し続けるのは難しかったかも知れない。


 『皆さん、お待たせしましたです。それでは行きますです。続いて下さいです〈ウインドバースト〉×2』


 『〈トライアングル〉〈サザンクロス〉だ』


 『最後(シメ)は、ウチや〈抜刀酒咲き〉〈蛇腹斬(じゃばらぎり)〉』


 それは、まさに一瞬の出来事だった…


 真っ先に放たれる今ケイトが放つ事の出来る最強魔法×()二発。その二発の魔法は水土のビークィーンを、その場に固定するかのような突風となり左右から挟み、その身を切り裂いて爆ぜていく。


 それに続き間髪入れず、三角形の軌跡を描く三連射と十文字の軌跡を持つ四連射、合計七発の魔力の塊がケイトの魔法の隙を突くかのような軌道でビークィーンを貫いた。


 そして、これが止めだと言わんばかりのフレイの斬撃が乱舞する。


 〈抜刀酒咲き〉は以前に見た事も喰らった事(我が身で体験した事)も有ったが、〈蛇腹斬〉は完全な初見だった。蛇腹状にギザギザに斬られていく水土のビークィーンを見ていると何だが可哀想にも思えてくる。僕があの時受けた〈抜刀酒咲き〉と〈裏切り〉にも確かな優しさ()が有ったんだと思えるくらいには…


 『最後の一撃が来る。防御…』


 それは、僕達各々が最後の一撃に耐える準備に入った時だった。


 新緑の森を切り裂く白い流星のような矢の一撃が水土のビークィーンを貫通して地面へと突き刺さった。それと同時に水土のビークィーンは光の泡のように消えていく。


 『何や何や!?今のは…一体何が起きたんや!?』


 『な、何なんですか?です』

 何が起こったか分からず、辺りを見回すフレイとケイト。


 『フレイ、あそこだ』

 僕が指差す方向…つまり、矢が飛んで来た方に僕達は一斉に目を向けた。


 そこに居たのは…


 『主よ、人馬一体なのじゃ』

 それは、分かっているのけど…でも、何でだ?どうすれば正解なんだ?


 僕達は武器を身構えたまま、視線だけを推定ケンタウルスに固定していた。誰も動けない。


 『πφλθρυψδηλ』

 何かを喋っているような推定ケンタウルス。


 だが、それは僕達にとっては言葉ではなく鳴き声に近い叫び。理解は当然出来な…


 『主よ、ありがとうと言っておるのじゃ』

 …いと思いきや、簡単に訳してみせるいつの間にか竜の姿で空に浮かぶ白。


 一応相手はレアと言っても討伐対象(狩り)の魔物の一種なんだけど…『ありがとう(お礼を言われる)』って、有りですか?そんな事をされると倒せなくなるんですけどねぇ…


 『白、何を言っているのか分かるのか?もしかして、聞き取るだけじゃなくて話せたりも出来るか?』

 とりあえず、その場の空気を読みに読んだ僕が三人を代表して白に問う。


 『勿論、出来るのじゃ』

 早速、推定ケンタウルスと何かしらを話始める白。


 一気に僕達は蚊帳の外と言った感じとなり、ビークィーン戦の戦意は完全に削がれてしまった。


 ケイトに至っては、内容が分からないはずの白とケンタウルスの会話を常に喋っている側に顔を向けて、ウンウンと頷きながら、真面目に聞いている。絶対に意味は分かっていないはずだけど…こうなると、もうここで推定ケンタウルスと戦闘するのは無理そうだな。一応、命の恩人?にあたる(のか?)ケンタウルスを、この場で捕獲したり倒す訳にはいかない。それに…


 まぁ、今の内に散らばった素材でも回収させて貰おう。


 それにしても、だ。合体ビークィーンが放つ最後の一撃(ラストアタック)をただひたすら防御して耐える以外に、撃たせないと言う防ぎ方も有ったんだな。これは、かなり勉強になったと思う…と同時に、今までの僕って結構無駄な事(痛い思い)をしてたんだとも感じてしまった。


 まぁ、僕に合体ビークィーンの最後の一撃を霧散させる攻撃力はないので、どのみち痛い思いをする選択肢一択しか僕には与えられてないのだけど…


 『主よ、お待たせなのじゃ。話を聞いて色々と分かったのじゃ。話をまとめると、この辺りに生息しているビーとビークィーンは、あのケン殿の娘さんの仇だそうじゃ。それと、ケン殿は畑あらしの犯人でも無いそうじゃ』

 ほどなくして、ケンタウルスと話終わった白が、我知り顔で僕達に向かって聞いた内容を話始めた…のだが、結果だけ切り取り過ぎて?色々と知りたかった重要な部分が色々と省かれている。はっきり言わせて貰おう、それはまとめ過ぎだ。


 色々と気になるワードも出てきたけど、まずは…


 『白、ケン殿と言うのは、あのケンタウルスの名前で良いんだよな?』


 『そうなのじゃ』

 やっぱり、名前まで有るのか。当然と言われれば当然なんだろうけど、今まで普通に倒してきた魔物にも名前が有る事に違和感を感じてしまった。


 『…そうか。あっ!そうそう。畑あらしの犯人と違うのは僕にも分かっていたぞ。明らかに見ただけでも分かるくらいに足の大きさが違うからな。それに、ほら。そこの足跡も現場に残っていたのとは違っているしな』


 現場に残されていたのは綺麗で小さな馬の蹄。これを見て、以前に感じた違和感の正体も分かった。


 二つを比べてみれば簡単に分かる。ご丁寧な事に、現場に残されていた蹄には蹄専用の馬具(蹄鉄)が付けられていたのだ。当然、野生に生きる魔物のケンタウルスには、そんな物は存在しない。蹄も傷付き所々割れていたりもして、人間の指紋と同じように個人の識別も出来そうだ。


 『それに気付くとは流石はワシの主なのじゃ。じゃが、まだまだ甘いのじゃ。ケン殿は、なんと畑あらしの犯人を見ていてるそうじゃ』

 白から突き付けられる誰も予想だにしなかった新事実。


 『はい?』

 この時のシュンの顔が過去最強に驚きに満ちていた。


 えっ~と…今、白さんは何を言ったのだろうか?ケンタウルス(魔物)が畑あらしの犯人を見ている?いやいや、それは流石にご都合主義が過ぎるのでは…


 『白やん、それマジなんか!?一体誰が犯人なんや?』

 誰よりも早く白に反応するフレイ。


 普段からフレイは会話やボケに対する反射神経が良い。簡単に言い換えれば、頭の回転が早いと言う事の証明。関西人は皆が皆そうなのだろうか?この点だけは少し羨ましい気もするな。


 『これは非常に言いにくいの話になるのじゃが、犯人は主と天狐の姉さんと同じ種族の天孤族の(オス♂)だそうじゃ。ケン殿も、とある理由から犯人を追っていたところで天弧族の主達を見掛けて、主達を犯人と勘違いして密かに尾行していたからだそうじゃ。安心して欲しいのは、もう誤解は解けているのじゃ。よくよく見れば、ケン殿が見た犯人の見た目は主達とは髪の色等、ところどころが(色々と)違うようじゃ』

 まぁ、実際に自分の目で見た犯人と同じ種族のが同じなら勘違いするのも仕方が無い事かも知れない。言ってみれば、日本人が外国人の顔を…外国人が日本人の顔を見分けるのが苦手なようなものだろう。


 僕達に魔物の顔を見分けろと言われても無理な話と同じで、ケンタウルスに天狐族の顔を、いくら髪の色等が違うと言っても見分けるには少なくない時間が掛かる事だろう。それにしても…


 『天狐族の男が犯人か…』

 同じ天弧族として情けない。


 でも、これであの時、ケンタウル…ケンさんが滝の上から僕を見てた理由にも納得出来たな。単純に尾行(マーク)されていただけだ。


 『えっ~とです。と言う事はです。犯人はプレイヤーさんですか?です』

 信じられないと言った表情を隠しきれていないケイト。まぁ本人に隠す気はないのかも知れないけど。


 『結果そうみたいやな。ここまでくると疑いようもあらへんて。ウチらと同じ天孤族が犯人なら、種族専用の〈(アーツ)〉を悪用した認識阻害やろ?残念ながら、バカタレの考えそうなるの事やわ。それなら誰にも見付からずに犯行に及んでいたのも分かるわ…ちゅうか、同じ天狐族のウチらはこんな単純な事を何で今まで気付かへんかったんや。ほんまにアホやわ、ウチらか(・・・)…』

 普段の明るさからのギャップか、人一倍凹んで見えるフレイ。ウチら(・・・)の中に含まれている同じ天弧族の僕としては、凹んだフレイに掛ける言葉が見付からない。


 ここまで情報が揃うと、それ以外に考えられる方法は無いだろう。でも、これは対処が難しそうな問題だよな。まぁ、戻ってから()と相談して対策を考えるしかないな。


 ここで出た皆にはギルドメンバーだけでなく、依頼主の王様や協力者達も含まれる。


 『白、ケンさんに色々有り難うと伝えてくれ…』

 偶然の産物だけど、感謝してもしきれないくらいの欲しい情報が貰えた。僕達の言葉では伝わらないのが悲しいけど、それでも言葉くらいは残したい。


 そして、僕達がこの場を去ろうとしたちょうどその時、それは起きた。水土のビークィーンが光の泡となり消え去った場所が再び光だす。


 『…おいおい、今度は何なんや?流石にもう一戦は完全してな』

 光だした場所をいち早く確認して焦るフレイ。


 それは、あとに続く僕とケイトも同じだ。


 次から次へと一体全体何が起こっているんだ?少しくらい落ち着いて考える時間が欲しい…


 ま、まさか!?水土のビークィーンは回復だけじゃなくて、復活までするのか?それはシャレでは済まないぞ。それだけは本当に遠慮したい。僕達は、一斉に光かへと武器を構えた。


 だが、光っていた場所(そこ)に現れたのは明らかに見ただけで女性(メス♀)と分かるケンタウルスだった。僕達の側にいるケンさんと見比べても二回りは小さいケンタウルス。その中性的な容姿と身体残したいサイズ的に、とある部分がこれでもかと主張していなければ、女性とは分からなかっただろう。非常に良いものをお持ちで有る。


 僕が目のやり場に困っている一方で、ケンさんは現れた女のケンタウロスを見るや否や、見るも止まらぬスピードで一気に駆け寄り、涙を流しながらもピタリと寄り添い何かしらの言葉のやり取りをしている。はっきりと分かるのは、二人?共が幸せそうな表情をしている事。


 また、何かしらのイベントが進行したのだろうか?


 『κθβΩλδαρ』

 こちらに向かい頭を下げ、何かしらを喋るケンタウルス(ケンさん)


 『おぉ~!!それは凄くおめでたいのじゃ。おめでとうなのじゃ。主よ、ケン殿の娘さんが生きておったのじゃ』

 その事だけを僕達に伝え、ケンさんの側に寄って祝福の言葉を述べる白。


 『はい!?一体、どう言う事だ?』

 はっきり言わせて貰おう。僕達三人は全く付いていけてないぞ。


 それに、白はビーとビークィーンがケンさんの子供(娘さん)の仇と僕達に説明したはずだ…それが生きていた?それとも、死んだ娘さんとは別の娘さんなのだろうか?


 『主よ、もう少し理解して欲しいのじゃ。同一人物なのじゃ。ケン殿の娘さんは幼い頃にビークィーンに食べられたのじゃ。じゃが、生きていたのじゃ。無事だったのじゃ』

 白、本人は分かり易く簡潔に説明したつもりのようだけど、聞かされるこちら側は益々理解から遠ざかっている。


 えっ~と、食べられたのに生きていた…昔、読んだグリム童話(赤ずきん)みたいな話か?物語としては有りがちと言われれば、そうなのかも知れないけど…まさにファンタジーだ。


 『Oh~!!それは、幸せな完結(ハッピーエンド)なのです。とっても、とっても素敵な結果に成りましたです』

 その喜びを腕を大きく回し身体全体を使って表現するケイト。ついにはケンさんの娘さんの手を取り、その場をくるくると回りだした。その姿は端から見ていて微笑ましく思う。


 勿論、僕も娘さんが生きていて良かったと思うし、隣にいるフレイも無言ながら感動の涙を流している。


 ただ、僕が今一番気になっているのは…これが、どのイベントが進行した結果なのだろうか?と言う。


 ケイトが見付けた《機械製作》のクエスト?王様からの依頼系?それとも全く違う新しいイベント?僕には、全てが複雑に少しずつ混ざっているような気がしてならないんだけど…流石に考え過ぎか?


 『マスター、こう言う時はもっと喜びを表現しましょうです。祈りの…讃美歌を演奏しましょうです』

 ケンさんやその娘さんと、ひとしきりの喜びを表現しおわったケイトは、おもむろに鞄からギターを取り出して讃美歌を演奏し、僕達の返事を待たず一人で歌い始めた。いや、メロディーに聞き覚えは有っても、讃美歌の歌詞なんか普通の日本人は知らないよ。


 それに、讃美歌を歌うなら普通はピアノかオルガンじゃないのか?と思いつつも、僕はケイトにならい鞄からギターを取り出してケイトの演奏に合わせていく…まぁ、合わせていくと言っても、僕には基本となるメロディーくらいしか分からないのだけど。


 気のせいか、僕達の(なんちゃって)讃美歌演奏中は清浄な空気が辺り一帯を包み込んでいるようにも感じられた。





 白が訳してくれたケンさんとその娘のウルちゃんの言葉によれば、ウルちゃんはビークィーンに食べられたのではなく、吸収されていたのだそうだ。


 吸収された先(お腹の中?)では、かろうじて意識を保つ事が出来たが、吸収された時点で意識以外が止まっていた為、吸収された時から全く成長しておらず、ケンタウルスの年齢的には成人しているはずなのにも関わらず、その容姿が幼いままだったらしい。つまり、現状の容姿はあれでもまだ子供…うん、末恐ろしい。


 話をまとめると、そこは感覚としての時間は経過しているが、実際の時間…自分自身の成長(とき)は進まない場所と言った感じか?イメージとしては、以前に蒼真達に薦められて読んだライトノベルで出てきた時の狭間とか時の牢獄に近い気がする。


 正直、僕には理解は出来なかったけど、実の親のケンさんが最後に見た時(ウルちゃんが吸収されていた(食べられていた)と言う時)から全く成長してないらしいので、そう言う事なんだろうなと思うことにした。


 今回の出来事の過程は、今さらどうでも良いだろう…目の前の光景(あの二人の笑顔)が全てだと思う。


 『πφλμεζπθδη』


 『主よ、ケン殿が改めて謝罪とお礼をしたいそうなのじゃ』

 ケンさんとウルちゃんの言葉を代弁する白。すっかり魔物通訳のポジションに収まっている。


 『いや、それは遠慮するよ。今回はケンさんとは関係のないクエストをクリアした結果が、たまたまウルちゃんを救ったと言うだけ。それに…』


 『結果的にはウチらも助けられたんやし、ウチらが一番欲しかった貴重な情報も貰ったからやな、シュン。むしろウチらがお礼言いたいくらいやんな』

 僕の言葉に自然に続くフレイ。


 僕が一番言いたかった言葉を奪われてしまったな。まぁ、間違ってないから良いんだけど。


 それに、本当にケイトの持ってきたクエストをクリアしようとしたら、完全なオマケとしてウルちゃんが助かっただけで、僕達が改めてお礼を言われるほど、何かをした訳でもない。まぁ、ビークィーンの討伐報酬の一つと言う可能性も極僅かに残されているけど、ここでそれを伝えるのは完全な野暮と言うもの。


 それも、正確に言えば、水土のビークィーンに止めを刺して仇を討ち、ウルちゃん自身を救った真の英雄はウルちゃんの父親であるケンさん自身なのだから。


 『…と言う事だ。こちらこそ、ありがとうと伝えて欲しい』


 今のところやり取りを感謝の言葉(ありがとう)と共に白に伝えて貰ったのだが、ケンさんサイドは全く譲る銀行気がないらしい。僕達には良く分からないのだけど、ケンタウルス種特有の暗黙の掟みたいなものも有るらしい。


 う~ん、困ったな…


 『そやな…そしたら、お礼はおっちゃん達の気持ちに任せるちゅうんわ、どないや?。ウチらは特に何かに困ってる訳でも急いでる訳でもあらへんし、おっちゃん達の考えに任せるんは』

 稀少種の魔物を軽くおっちゃん扱いするのは、どうかと思うけど…それで、この場を切り抜けられるのならと、僕はフレイに乗っかってみる事にした。





 僕達は別れを惜しんでいる様子のケンさん達親娘と別れて【ヴェール】から【ポルト】へと転移し、クエスト〔灯台に灯を灯せ〕をクリアする為に街の端に有る灯台まで来ていた。


 『ケイト、アカンわ、これ。こんなんなってもうたら歯車に蜜油()を差すだけじゃ、全然直りそうも無いで』

 珍しい事に一目見ただけで匙を投げるフレイ。まぁ、この劣化具合を見る限りは当然の判断だ。


 ケイトがクエストの依頼主から聞いた話によると、灯りを灯す為に灯台の内部に有る機械仕掛けの歯車が止まっているので、大量(百本)の蜜油を入手して差して欲しいと言う物だったらしい…のだが、それ以前に汚れはともかく、ひび割れは蜜油を差す程度ではどうしようもないのだから。


 近海を支配してたクラーゴンの影響で何年も灯台を使っていなかったのも分かるのだけど…掃除そのものは、こまめにしておこうよ。何度も言うけで、綺麗は絶対。綺麗は正義(せ・い・ぎ)なんだよ。


 『僕とケイトは灯台の掃除。フレイは壊れていた歯車のチェックをお願い』


 『スキル的にも、そんなとこが無難やろな』


 『分かりましたです。頑張りますです』

 鞄から掃除道具を取り出して清掃を始めるケイト。


 《水魔法》の攻撃魔法〈ウォータ〉を器用に使い、一気に汚れやゴミを流して雑巾で拭いていく。ここで僕に出来るのは雑巾オンリー。ただし、脚立の使用と白と黒のコンビネーションによるサポートで背の届かない高い場所担当をしている。


 こんな場合でも、《家事》スキルの取得が際だって役に立っている。メンバー全員が《家事》スキルを取得している【noir】の中でも《家守護神》まで進化しているのは僕とケイトだけだ。この《家守護神》がとにかく凄い。《家事》系のスキルは進化しても出来る事には全く差が無い…ここまでだと、残念な感じもする(がっかり感も強い)けど、その作業速度(スピード)は断然に早くなる。今みたいな掃除で言うなら、汚れの落ちる《家事(通常)》の三分の一なのだから。


 二時間を費やして建物自体の清掃と壊れている歯車のチェックは終わった。


 『ここからは完全に〈家事〉スキルでは全く効果が無いみたいや。多分、《機械製作》スキルでのメンテナンス扱いになるんやろ』

 僕とケイトの《家守護神》でも無理なのだから、フレイの言う通りなのだろう。


 僕達は歯車等を一つ一つ丁寧に研き直しハケ等を使ってゴミを掻き出す。壊れている物は金型を取り、同じ物を新しく製作する。まぁ、同じ物と言っても使用する素材の関係上性能は否が応でも上がってしまう。悪くはならないので問題は無いはずだ。





 灯台の中に有る機械仕掛け部分自体があまり大きく無いとは言っても、スキルのレベルが(最低)でしかない状態の僕達では効率良く進む訳も無く、メンテナンスが完全に終わるまでには二日も費やした。まぁ、僕達のログイン時間の都合と言う障害も少なくない割合で有ったのだけど…


 『じゃあ、最後はケイトに任せるよ』

 誰が何と言っても、このクエストの締めとなる蜜油を差す大役はクエストを見付けて来たケイトの物だ。


 『分かりましたです。それでは行きますです』

 ケイトが恐る恐る歯車の中心に蜜油を差して回る。


 ケイトが蜜油を差し終わった瞬間、灯りを灯す為の歯車がギ、ギギーっと低い音を立てて動き出し…やがて、音も回転も滑らかになり、灯台に灯りが灯っていく。


 僕達が灯台の外に出て、海を遠くまで照らす力強い灯りを眺めているとクエスト達成のアラームが鳴った。それと、同時に《機械製作》のリストも解禁された。


 どうやら、《機械製作》は《銃製作》と似たような仕様になっており、リスト上からのみ製作が可能らしい。異なっている点は形の自由度とリストのシステムだ。《銃製作》のリストは新しい銃の製作後に順次開放されていくシステムだったが、《機械製作》はスキルのレベルが上がる毎に開放される仕様だった。


 また、低レベルの状態でもリストで製作可能な物と名前等の観覧は可能だが、レベル不足で製作自体(そのもの)が出来ない物は選択する事が出来ないようになっている。ちなみに素材不足で製作出来ない物は、どの素材がいくつ不足しているのかを音声で教えてくれる親切設定になっていた。まぁ、さらに上位になると《銃製作》同様に伏せ字になっているけど。


 本来のクエストはケイトが聞いたように蜜油を回収してきて差すだけで終っていたんだろう…と思うと、時間は掛かった(大半は長期間放置されていた事が原因なだけど…)が感慨深い物も有った。


 灯台のメンテナンス作業を通して、《機械製作》のスキルレベルがケイトが6、僕とフレイが5まで上昇していたので、今の段階でも幾つかのアイテムが製作可能になっていた。リストの中で気になるのはレベル15で作れる音声認識装置とレベル25の浮遊装置だな。まとまった時間が出来たら、スキルのレベル上げでもしようかな。また色々と楽しみが増えて良かったな。僕にとっては、これが一番の報酬だろう。





 『おっ!!』

 新しいアーツを習得してるぞ。まぁ、今回は編み出したと言うよりも、二つも一つに合体させた感が強いな。それと、嫌な称号も成長していた…んだけど、これって前の名前の方が絶対にマシだよね。



newアーツ

〈オール上昇〉

上昇系の《付与魔法》を纏めて使用

習得条件/上昇系の全ての《付与魔法》を同一人物に対して1分以内に使用する


〈奥義セブンスター・七点バースト〉攻撃力×7/消費MP 100

七点同時撃ち/連射不可

習得条件/〈トライアングル〉と〈サザンクロス〉同時使用


称号成長

〈やや飼い主〉

魔獣器をLv30まで成長させた者への称号/成長称号

取得条件/Lv30の魔獣器を飼う



 『主のお陰で、ワシと黒もずいぶんと成長しておるのじゃ。感謝なのじゃ』


 『お、おぅ…』

 まぁ、確かに白と黒も成長してはいるんだろうけど、〈やや飼い主〉って何?僕としては、かなり不本意なんだけど…僕としては、すでに立派な(一流の)飼い主のつもりなんですけど…


 『主よ、まだまだ一流は言い過ぎなのじゃ。今の主なら、良くて二流…やはりやや(・・)くらいが相応しいのじゃ』

 白の言い分に無言で頷く黒。言葉に出さない分余計につらい。白さん、黒さん、それ以上いじるなら僕は普通に泣いちゃうよ。


 『そ、そうじゃ。主よ、ワシは新しく《吸収》スキルも覚えたのじゃ。これでワシも主と一緒に戦えるのじゃ。また一つ、主の力になれて嬉しいのじゃ』

 僕の心を読み取り、慌てて話題を変える白。気のせいか、どんどん人間っぽくなっている気がする。


 『…おい白、ちょっと待て!今《吸収》スキルって言ったか?』


 『言ったのじゃ。主のMPを使って相手のHPを吸い取り、【黒竜(ワシ自身)】に蓄えておく事が出来るのじゃ。勿論、《吸収》で蓄えたHPを回復に流用する事も可能なのじゃ』

 スキルの詳細を説明するかのように話す白。その表情は自信に満ちあふれている。


 …と言う事はだ。今までは僕のMPを使って直接回復していたところを、同じMPを使うにしても魔物のHPを《吸収》すると言う一手順を挟んでから、回復する事も可能って事になる…という事だよね。でも、この行為に何かメリットが有るのか?明らかに手間が増えている。ひとつ手間が増えれば、その分回復させるまでの時間も増える。


 『うん?』

 いや、ちょっと待てよ。これって、ある意味で【白竜】装備中でも攻撃可能になったって事じゃないのか?確かに一つ手間が増えるけど、【白竜】装備時の攻撃手段の乏しい僕にしてみれば、メリットが大き過ぎる気がする。


 大概のプレイヤーはMPに限りがあるので、そうそう(簡単に)連発出来る能力では無いけど、竜の力の恩恵を受けた僕のMPは簡易的では有るが無限なので、連発も可能となる。


 ちなみに、【白竜】を用いた回復と《吸収》の切り替えは、白の意志によって決定されるらしい。まぁ、僕が言葉に出すだけでも選択可能らしいので切り替えに関しては何の問題も無いだろう。だけど、実際に慣れるまでは、ある程度の練習も必要だとも思う。こう言う事は、焦っていない(普段)時よりも焦っている(突発)時の方がミスしやすいものだから。


 …もしかすると、黒もレベル30で《吸収》スキルを取得するのか?これを取得出来たなら仲間を襲う強力な攻撃も全く恐く無くなるぞ。


 全く白も黒も末恐ろしい存在だよ。





 翌日からの僕は、【ヴェール】で天孤族の男の捜索を続けていた。


 今回は髪色が燃えるような赤だったと言うケンさんからの目撃情報も有るので、かなり捜索は捗りそうな気がしている。当然、この情報は今日の捜索助っ人であるガイア達にも提供済みだ。ちなみに、パーティーチャットを使う為にガイア達五人に僕を加えて六人でパーティーを組んで、各々がバラバラで(単独)行動をしている。


 『主よ、今日こそは絶対に犯人確保(捕獲)なのじゃ』


 『おう、頑張るぞ』

 明後日にはバージョンアップ。そのあとには公式イベントも待ってる。僕としても出来るならそれまでには何かしらのケリを着けたいと思っている。


 犯人が〈朧〉を使用していると推測しいる僕達も、犯人側から見付からないように今日は〈朧〉を使って張り込んでいた。犯人さえ見付ける事が出来れば、今日集まったメンバーを全て倒して逃げきれるプレイヤーはどこにもいないだろう。


 白は大袈裟に捕獲と言っているが、基本的には捕まえて罪を認めさせ厳重注意をしてから軽い罰を与えるだけで釈放だ。僕達は犯人がNPCや魔物ではなく、プレイヤー()と分かった時点で王様と相談して罰を決めている。


 仮に、もしもその注意で聞かなければ、王様による指名手配や様々な施設の利用禁止、最悪で|国外追放ログイン禁止とまではいかないが【シュバルツランド】への入国禁止(国外追放)が待っている。賢明なプレイヤーなら二度と畑荒らし等の犯罪行為はしないだろう。


 『シュン、今はD地点周辺の畑にいますよね?犯人らしき天孤族の男がC地点の畑の方に向かいました。私達は、逃げ道を塞ぎますので追跡の方をお願いします』

 ガイアからの指示(コール)で、僕は速やかにC地点の畑を目指す。


 僕達は畑の警備にあたり、以前に荒らされた三つのエリアとその近辺の四つのエリアを合計して七つのエリアに対してAからGのアルファベットで仕分けしてある。これは一番最初に色々な借りを返すためにと助っ人に来た(犠牲になった)アクアの案で、すぐに居場所を把握して全員が集合する為らしいけど、見事的中した形だ。かなり良い案だったと思う、アクアありがとう。


 ちなみに、犯人らしき人物を見付けたガイア達自身が直接追跡しないのは、僕や犯人の種族(天狐族)とは違って戦闘方面に特化しており、所持しているスキルも尾行等には向いていないものが多いからだったりする。


 僕がCの畑に着くと犯人を肉眼で確認する事は出来無かったが、街の人が育てている薬草や食材等が急に消えて、どんどん数を減らしていくのは分かった。


 〔『白、《探索》で犯人の気配とか分かる?』〕


 〔『大丈夫なのじゃ。ちゃんと気配を捕捉しておるのじゃ。もう逃がす事はないのじゃ』〕

 誰よりも頼もしい発言をする武器()。頼りにしてますよ。


 さらに用意周到な犯人は、なれた手つきで何かしらのアイテムを用いて畑に馬のような足跡を残している。誰もいなくて何もない場所で急に足跡が浮かび上がってくるので、知らず知らずの内に見てしまったのなら軽いホラーだと思う。


 だが…これで犯人は確定した。このまま尾行続けて、犯人が〈朧〉を解除したところで現行犯逮捕(確保)するか。パーティーチャットを使いガイア達にも実況しながら、この後の作戦を伝えていく。ガイア達は僕の指示に従って遠巻きから徐々に犯人を包囲していった。


 そして、犯人はついにその姿を現した。苦節数週間…本当に長かった。


 『はい。そこまでです。お疲れ様でした』

 街の端、人気の無い場所で〈朧〉を解除した犯人の背後から声をかけた。


 『うぇっ、ひぃぃぃぃぃ~』

 不意の声に身体全体をびくっとさせて驚き叫び転げ回る犯人。


 僕達が〈朧〉を使った犯人を見付けられなかったように、この犯人も〈朧〉を使っている僕達が見えていない。その犯人に対して僕達も〈朧〉を解除して姿を現した。


 僕達が姿を現した時には…すでに犯人は僕達六人によって包囲されていて、逃げ場はない。


 『急に驚かせてすみませんね。あなたの犯行は全て確認させて貰いました。えっ~と、プレイヤーネームはオキツネさん。天孤族レベル30の《準騎士》レベル25ですか…』

 全てを知っていると(おど)すように《見破》を使って犯人(オキツネさん)のステータスを確認して読み上げていく。種族レベルが高いので、それなりにトリプルオーに時間を割いているプレイヤーの一人だと思うけど…


 『な、何で?お、俺の名前とステータス…いや、姿が…』

 オキツネさんは見る見る内に顔色を青くし、一歩また一歩と後退る。以前にも試した方法だけど、乾いた笑顔を見せて相手の個人情報を述べる事は、その相手の心を砕くのに一番効果的だと思う。それに、今回はトリプルオーで有名なギルド【ワールド】の面目に前後左右(四方八方)を囲まれているのだ。ビビって腰が引けるのも無理は無いかも知れないな。


 『それについては、どうでも良い事ですから一端置いときましょうか。一体どうしてこんな事をされたんですか?』

 他人のステータスを見れる事をどうでも良いと言い放ち、無意識の内に乾いた笑顔のレベルを一つ上げたシュン。


 『…こ、こんな事って、な、何を言ってるんだ。俺は何も盗んでない(・・・・・・・)

 何とか動揺を隠そうと必死に言葉を選ぶオキツネさん。


 どうにかして平静を取り繕いたいのも分かるけど、はっきり言ってバレバレなんだよ。あなたには演技の才能も度胸の欠片も無い、それに半分自爆(自白)しているようなものだ。僕は犯行を見たと言っただけで何かを盗んだとは言ってないのだから…


 『最初に全て確認させて貰いましたと伝えたはずですが、念の為にスクリーンショットも撮らせて頂いております』

 僕は事前に撮影しておいたスクリーンショットをオキツネさんに見せ付ける。


 これは本当に意外だったのだけど、スクリーンショットは〈朧〉を使っていてもはっきりと写る。犯行を確認している時に黒の発案でスクリーンショットを撮影してみたのだが、はっきりと犯人を捉えていた。文明の力にはアーツも勝てないと言ったところか。まぁ、全く知らない人が見たら即席で(インスタント)心霊写真の完成なんだけど。


 このように事が反面した事で僕達も雪ちゃんの事も気を付けなければならないと再び自覚していた。


 『す、すまなかった。お、俺も本当に悪い事をしていると思っていたんだが…そ、そのう、お金が必要だったんだ』

 一気に態度を改め、頭を下げてくるオキツネさん。


 それにしてもお金ねぇ…それは普通に誰でも必要だと思うんだけど。そして、誰でも犯罪を犯さなくても稼ぐ方法は有る。つまり、それは犯罪の理由としては弱くないかい?と言い事。


 『それは一体どういう事ですか?』

 だが、その事に僕よりも早くガイアが喰いついた。。


 『実は…』

 より神妙な面持ちを見せるオキツネさんが語る。


 オキツネさんが言うには、トリプルオー内に石ころ等のクズアイテムを降下な宝石等のレアアイテムと偽って法外な値段で売り付ける天孤族のプレイヤーがいるらしい。


 このプレイヤーはオキツネさんと同様に〈朧〉を使って犯行に及んでいるらしく、アイテムが偽物かどうかの見分けが付かないらしい。当然、アイテム偽装詐欺(そんな事)を知らなかったオキツネさんはその場での確認もしていない。


 オキツネさんは、このクズアイテム(偽装レアアイテム)を転売して儲けようと財産を売り払って大量に購入したのだが、実際に手にしてみるとゴミ同然のクズアイテムなので売っても二束三文にしかならず、半ばゴミと化しているらしい。


 無くしたお金を稼ごうとフィールドに出て魔物を狩ろうにも、狩りで傷んだ装備を治すお金もなく、そこでクズアイテムを売っている犯人と同様に〈朧〉を使った別の犯行を思いついたらしい。


 う~ん…何と言うか、本末転倒だよな。


 お金が無いのなら、《拳》等の格闘系のスキルや生産系のスキルを取得して、狩りや採取、採掘で稼げば良いものを…わざわざ犯罪までするなんてな。許す価値は無いだろう。


 それにしても、この件は情報サイトに書き込みしといた方が良さそうだ。これ以上、このアイテム偽装詐欺で被害が出るのは阻止したい。幸いな事に購入前にスクリーンショットで確認すると言う〈朧〉を使用したアイテム偽装への対象法も判明している。この点はガイア達とも意見が一致した。


 意見が一致しなかったのは犯人への対処法だ。ガイア達は運営側に絶対に連絡すると言って聞かなかったのだが、今回は僕に借りが有ると言う事もあり対処方法は譲って貰った。


 僕と王様の考えていた罰は被害額の倍額をNPCに弁償する事で、被害額の倍額に達するまで盗みを働いていたNPCの畑での無償奉仕。当然、バージョンアップ後に《農業》スキルを取得して限界まで働いて(奉仕して)貰う。これには、オキツネさんも納得したようだ。


 まぁ、奉仕終了後に使わなくなった《農業》スキルをスキルチェンジ機能で必要なスキルへと変更する事も出来るからな。バージョンアップ様々ですね。これは奉仕終了後にでも教えてあげよう。


 ちなみに、奉仕作業をサボった場合やNPCからの注意を聞かなかった場合の対処方法(・・・・)抑止力(脅し)として伝えている。次が無い事を祈りたい。何にしても、これで依頼の一つは終わりだな。


 ケイト達の街のクエストの方も順調そうだから、残すはヒナタの《造船》か。これはいくらトウリョウ達に手伝って貰ったとしても時間は掛かるだろうな…まぁ、果報は寝て待てとも言うし、これは気長にいこうか。





 その翌日…


 僕はログインしてすぐに神殿に寄り、明日から始まる公式イベントの出場種目の登録を済ませていた。今回のイベントは王の依頼の進行を優先させて、見学や応援だけの方が僕としては良かったのだけど、アキラが一人一種目は大運動会(イベント)に参加しようと言い出して、他の皆(僕以外)も同意したので参加する事になった。


 それで、僕は仕方なく射撃競技を選んで登録した。


 他の競技よりは運動神経の悪い僕でも勝ち目が有りそうだし、何よりも参加プレイヤーが少ないだろうと思ったからだ。何しろ、参加出来るプレイヤーは射撃系と言われる銃系か弓系のスキル取得者に限定されているし、射撃競技は週末と言っても開催時間は朝方だ。人気の薄さが予想される。ちなみに、PVP等の人気種目はゴールデンタイムに割り当てられている。


 本当は高い安全性が見込める採取や採掘系の種目に出たかったのだけど、競技時間と僕のログイン時間が微妙に合わなかった事とギルドの他のメンバーが参加したがっていた為、今回は遠慮させて貰っている。その事は白と黒(スパイ)から得た極秘の情報で、本人達は僕が遠慮した事を知る由もない。


 さてと、今日は《機械製作》でもしてみようか。色々と他の予定も頭に浮かんでいたのだけど、せっかくクエストをクリアして《機械製作》が可能になったんだから、一度くらい試してみたくなるのも当然だろう。


 『えっ~と…』

 まずはレベル上げを兼ねて作れる物からだな。


 今の時点で作れるのはバッテリー、ギア、それにモーターの三項目。必要な素材は主に鉱石類で、鉱石の種類で性能や大きさや形が変わるらしい。そして、そこで完成した製作物を一部パーツ(素材)として、高ランクの製作物を製作可能になるようだ。


 これだけを見ても、今すぐに簡単なミニカーくらいは作れそうなラインナップだな。案外、このスキルは面白いスキルになるかも知れないぞ。


 色々な素材で数パターン試してみるとギア等の固さが必要な物には硬石系、バッテリーやモーター等の精密な物には軟石系を使う方が性能が高かった。


 ちなみに、バッテリーはライト、ヘビー、ライトヘビーの三種。ギアは大・中・小・極小の四パターンをギアの歯数違いで各二種、固さの違いで各三種、計二十四種。バッテリーは僅かの素材の差で初級の物のみ製作出来ている。


 『主よ、どんどんガラクタが増えているのじゃ』


 『…白、いずれは使い道が有るはず…黒は主を信じる?多分?』

 大きな声で失敬な…とでも言いたいところだけど、僕にも今作ったギアの山はガラクタに見えるので仕方が無いかも知れない。黒に至っては、いつもよりも長く喋ったと思ったのに微妙に貶されてる。まぁ、今はこれを繰り返してレベルを少しでも上げて作れる物の幅を増やすしかないんだけど。





 『おい、シュン。今時間良いか?土曜の夜中から(・・)って空いてるか?』

 僕が《機械製作》を切り上げた途端に(タイミングで)アクアからのコールが入る。気持ち悪いぐらいタイミングが良すぎだな。あまり続くようだと、どこからか見てる事(ストーカー説)を疑うぞ…


 『今のところは、土曜日の夜中なら大丈夫だと思うけど…どうかしたか?』

 無意識の内に何かしらのの不安を感じたのか?知らず知らず遠回しな言い方をしているシュン。


 『今回のイベントはペア競技も有るんだよ。だから、一緒に参加してくれ』

 確か…土曜日だと、障害物競争にペア部門が有ったような気がするな。どんな障害が準備されているのかも分からない。少し気になるところだけど、僕の答えは決まっている…


 『それはギルドメンバーに頼め』

 【双魔燈(そっちのギルド)】には僕よりも優秀で相応しいメンバーは沢山いるはずなので、わざわざ僕を必要としなくても良いはずだ。


 『まさか!?もう二種目共に登録済か?』

 その返事に焦るアクア。


 『いや、僕は一種目しか出ない予定だけど…』

 アクアと一緒の種目に出る理由は無い。


 『それなら、頼む。予定していた仲間はダメになってな。他のギルメンは二種目登録済みで空いてなくて…だから、頼む』

 かなり必死な様子を見せるアクア。


 そんなに障害物競争に出たかったのだろうか?それとも報酬が魅力的なのか?…と言うか、僕は誰かの代理だったんだな。まぁ、そこは別に良いけど…う~ん…何故か少し複雑だ。


 『分かった。だが、運動会(こう言う場合)の僕に多大な期待はするなよ』

 まぁ、幼馴染みに今さら言わなくても分かっているとは思うけど、念には念を。


 『それなら、多分大丈夫だ。シュンなら活躍出来るさ。登録は俺がしておくから、当日はヨロシク。じゃあな』

 嵐のようなコールが終わる。


 現実の体育祭での僕の失態を忘れたのか?と思ってしまうけど…やけに、自信が有りそうだったのも気になるな。まぁ、出来る限りは頑張るけど、とんな頑張っても僕には出来る事しか出来ないのだけど。





 『シュンいる?本当にあれに出るつもり?』

 慌てて工房へと入ってくるアキラ。


 『うん?いるけど。何の事?』

 その慌てように、僕は作業の手を止める。


 『あれ?私の見間違いだったのかな…シュン違い?』

 冷静な対応をした僕に思わず首を傾げて立ち止まるアキラ。


 『いったい何が有ったんだ?』

 その様子をまじまじと見せつけられ、続きを聞かずにはいられない僕。手元の完成したばかりの銃は完全に置き去りである。


 『私、さっき広場にいたんだけど、最終競技の出場者にシュンとアクアの名前が有ったんだよね』

 最終競技?えっ~と、確か最終競技ってPVPだったような気がするんたけど…ペアのPVPって有ったかな?


 いや、ちょっと待てよ。冷静に考えるとPVPなら運動会系の種目よりはマシか?それがアクアのあの自信に繋がってたのかも知れないな。


 でも、それにしてはアキラの慌てっぷりに違和感があるよな。


 『あぁ、さっき、アクアが誘ってきたんでOKしたんだけど…それの事かな?ちなみにだけど…最終競技ってPVPで合ってるよね?』


 『えっ!?全然違うよ。最終競技は十二時間魔裸存(ハーフマラソン)って、知らなかったの?』

 ちょっと待て、何故かは分からないけど、名前を聞いただけでも嫌な予感がヒシヒシとしてくるんだけど…いや、ハーフマラソン(名前)だけ聞くと普通な気もする。だが、アキラの顔は普通じゃない事を物語っている。


 『なぁ…それって、普通にハーフマラソン(21キロ走るだけ)って言う事は無いんだよね』

 はっきり言って、これは希望的観測。


 『ハーフって言うのは一日の半分の十二時間。マラソンのマは魔物狩りの()、ラは裸一貫の()、ソンは存在するの(ソン)魔裸存(マラソン)。簡単に言うと、十二時間防具(守備力)無しで魔物を狩りながら生存する事がルールのサバイバル競技?かな』

 全く悪くないはずのアキラが、ばつが悪そうな様子で語る。


 お~い、運営さん。その競技は流石にカオス過ぎませんでしょうか?そもそも、運動会の種目じゃないでしょ、それは完全に陸上競技。


 確かに内容を聞けば、アクアが喜んで参加しそうな競技だとは思う…けど、それでもな。あれ?そう言えばアクアが誘ってきたのはペア競技だったよな…と言う事は、違うだろう。違うよな?頼むから間違いであってくれ…お願いします。


 『それで、報酬は十二時間生存した場合にのみ、イベントで得たアイテム全部が貰えるみたい。参加資格は二人パーティー(コンビ限定)の競技みたいだよ。あっ!!そうそう、一番肝心な事を言い忘れてたよ。これって色々な制限ばかりが多くて規模の割りに人気もなくてさ、参加するプレイヤーも多くないみたいで、今はキャンセル不可になってた…かな。ごめんね』

 アキラから放たれる無情の宣告と謝罪。何度も言うけど、アキラは全く悪くない。


 これは、ほぼ死刑確定みたいだな。参加させられる僕に対しても、この内容を僕に秘密にしていたアクアに対しても…な。取り敢えず、本日は晩御飯抜き(生き地獄)に決定だ。


 『…そっか。アキラ、教えてくれてありがとな』

 これで、かなり来週末が憂鬱になったよ。これは、早目に自分の目でルールを確かめた方が良さそうだ。

 多分、アクア(アイツ)は確実に生き抜いた場合に貰えると言う報酬に釣られてるんだろう。アイツらしいと言えば、アイツらしいけど…


 これで、かなり来週末が憂鬱になったのは確かだ。それと、早目に自分の目でルールを確かめた方が良さそうだ。それにしても…


 『一体、どうしてこんな事に…』

装備

武器

【雷光風・魔双銃】攻撃力80〈特殊効果:風雷属性〉

【白竜Lv30】攻撃力0/回復力160〈特殊効果:身体回復/光属性〉

【黒竜Lv28】攻撃力0/回復力148〈特殊効果:魔力回復/闇属性〉

防具

【ノワールシリーズ】防御力105/魔法防御力40

〈特殊効果+製作ボーナス:超耐火/耐水/回避上昇・大/速度上昇・極大/重量軽減・中/命中+10%/跳躍力+20%/着心地向上〉

アクセサリー

【ダテ眼鏡】防御力5〈特殊効果:なし〉

【ノワールホルスター】防御力10〈特殊効果:速度上昇・小〉〈製作ボーナス:リロード短縮・中〉

【ノワールの証】〈特殊効果:なし〉



天狐族Lv38

《双銃士》Lv61

《魔銃》Lv61《双銃》Lv56《拳》Lv35《速度強化》Lv87《回避強化》Lv88《旋風魔法》Lv33《魔力回復補助》Lv88《付与術》Lv56《付与銃》Lv64《見破》Lv92


サブ

《調合職人》Lv24《鍛冶職人》Lv27《上級革職人》Lv4《木工職人》Lv30《上級鞄職人》Lv5《細工職人》Lv24《錬金職人》Lv24《銃職人》Lv1《裁縫職人》Lv12《機械製作》Lv8《料理》Lv40※上限《造船》Lv15《家守護神》Lv18《合成》Lv18《楽器製作》Lv5


SP 32


称号

〈もたざる者〉〈トラウマ王〉〈略奪愛?〉〈大商人〉〈大富豪〉〈自然の摂理に逆らう者〉〈初代MVP〉〈黒の職人さん〉〈創造主〉〈やや飼い主〉

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