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OOO ~Original Objective Online~ 改訂版  作者: 1048
第一章 第三部
23/65

★黒(くろ)

 二学期の始業式(数十年前から安定の午前中終了)が終わり、午後からは完全フリー(基本的にリアル家事以外は予定が無い)の僕は早速トリプルオーにログインしていた。だけど、案の定と言うか、ギルドメンバーは誰もログインしていない。まぁ、特に誰かと約束していた訳でも無いし、僕のログイン時間がいつもよりも少しだけ早かったかも知れないけどな。


 『さてと、予定通り防具の新調でもしますかねぇ』

今日も今日とて僕の予定は代わり映えはしない。


 『主よ、今日は生産活動がメインなのかの?』


 『まぁ、そうだな。だから、白は雪ちゃんと遊んでても良いぞ。もし出掛ける時は声を掛けるから』


 『分かったのじゃ』

 そう言い残した白は、すぐに竜の姿に変化して雪ちゃんの部屋に飛んで行った。同じファミリアと言う仲間意識からか、雪ちゃんと白はすでに十年来の親友かのように仲良くなっている。それは本当に良い事だとは表けど、少しは主人()の事も気にかけてくれても良いのではなかろうか。まぁ、別に良いんだけどね。これは断じて拗ねている訳ではないし、雪ちゃんと白の関係に嫉妬している訳でもない、決して。


 ちなみに、雪ちゃんと雇っているNPC(マナさん達)はホームに常駐しているので専用の個室を作ってある。そこには、各自に聞いた好みに合わせてベットやソファー等の家具類やクローゼットをベースにした簡易倉庫も完備しているので、かなり住みやすい状況になっている。この点は完成時に感謝されたので間違いないだろう。


 『あっ、そうだ』

 まだ子供の雪ちゃんの部屋には、ぬいぐるみやオモチャくらいは有っても良いのかも知れないよな。装備製作の合間をみて作ってみようか。白そっくりのぬいぐるみとかが雪ちゃんの部屋に有っても、それはそれで面白いかも知れないし、雪ちゃんなら喜んでくれるだろう。


 『まぁ、それは一旦置いておいて、誰の分から作ろうか』

 今回の僕は、カゲロウ以外の四人分の装備を製作する予定になっている。誰の分から製作しても良いんだけど…誰の分かを選んでも悩ましくも感じる。僕個人の意見を言わせて貰えれば、早く完成するのも嬉しいし、あとになったらなったでスキルレベルが上がった状態での製作になる。つまりは、装備自体(そのもの)の性能の底上げが見込めると言う事に繋がる。


 結局はどっちも良し悪しが有ると言う事になるんだよな。まぁ、最初に約束もした事だし、まずはフレイからにしようかな。


 僕が今回フレイに新しく頼まれたのは、今まで装備しているような中華風の武道着ではなく、神社で見掛ける和装の巫女装束だった。フレイは毎年正月に家の近くに有る神社で売り子の手伝いをしているらしく、今の武道着よりも着慣れているらしい。


 フレイ曰く、巫女装束も着慣れると意外と動き易いらしいし、メイン武器スキルとして使う《刀》スキルと雰囲気を合わせる為に、和装の袴系をどうしても(是が非でも)装備したいらしい。どちらかと言うと、後者の意見がフレイの本音のように僕は感じていた。


 ただし、腕の動き易さを重視して袖の部分は短くする事と、折り畳んで収納出来る三節棍用の鞘を付ける事は付属で頼まれていたりもする。


 『まずは、全体のベースとなる巫女装束からだよな』

 当然、見た事は有るが作った事は無い代物…そもそも、和服自体を作る機会など僕の短い十六年の人生の中では存在していないからな…と言うか、和服系は製作するのが初体験だと言うこと以前に、純が着ていた振り袖か夏祭り&花火大会用の浴衣くらしか、間近で見た事が無いんだよな。


 以前の装備を製作した時のフレイの型紙を元にして、僕の記憶の中の僅かな記憶を呼び起こしながら、形状を変えて三着程作ってみたのだけど…


 『う~ん…』

 どうもしっくりとこないんだよな。しかも、微妙にしっくりとこないのではなくて、割りとがっちりとしっくりときていない。


 特に後付けでフレイに頼まれた袖の長さで、初詣で見る巫女さんが来ている衣装のイメージとのギャップが少なくない割合で有るんだよな。やっぱり、良く知りもしないで良い物が作れる訳が無い。つまりは、巫女装束を製作するの為に、実物がサンプルとして必要になると言う事だ。そうと決まれば僕の行動は早い。


 『…よし、買いに行くか』

 巫女装束は、確かNPCの露店でも似たような物(類似品)は売っていたはずだ。ついでに、皆の防具のデザインとして参考になる物を適当に見繕って買ってこようか。


 『白、雪ちゃん、ちょっと外に出ようと思うけど、どうする?まぁ、ちょっとした買い物だから、すぐに帰ってくるけどな』

 一応、外出する時は声掛けると言った手前、この場にはいない白達も誘ってみた。


 僕の言葉に反応した一人?と一匹はすぐに飛んで現れた。


 『ゆきもおそといきたい』


 『なら、一緒に行くか?外で会話は出来ないけど、それでも良いかな?』


 『主よ、それについては心配無用なのじゃ。雪もすでに(・・・)《心話》は使えるのじゃ』


 『えっ!!マジで?』

 誘ってみた(その)結果、またしても僕一人だけが寂しく驚く事になる。こう言う事が続くと手持ちの称号(何かしら)の陰謀を疑いたくなるな。


 それに、そんな事が出来るとは雪ちゃんから聞いていないぞ。


 『主よ、間違えるでないのじゃ。ワシはすでに(・・・)と言ったのじゃ』

 白の説明では、《心話》スキルはプレイヤーには取得出来ないファミリア限定の必須能力で、雪ちゃんも最近になって使えるようになったそうだ。


 ちなみに、自分のファミリア側が取得しているなら、主人側も問題なく使える非常に便利で有能なスキルである。


 〔『《心話(しんわ)》?って、これのことでしょ。ゆき、このまえアキラとこれでおはなししてたよ』〕


 〔『うん、合ってる。このスキルの事だよ。雪ちゃん、凄いな』〕

 これが出来るなら、会話には問題が無い。


 雪ちゃんの話では、オークションの時にはすでにアキラとこれで会話をしていたらしい。こんな事が出来るなら、もっと早く僕にも教えて欲しかったと思う。それに、その事をオークションで一緒に司会をしていた僕にも一切悟らせなかったアキラも強者(つわもの)だよな。


 三人?これは言い得て妙だ。正確には一人と一体(単位が不明なので推定)?と一匹になるのだけど…この際、雪ちゃんは(もと)より白も一人換算で良いのかも知れないな。その三人で街へと繰り出す。


 当然、他人からは《魔銃化》状態の白と幽霊である雪ちゃんは見えないから気にならないのだけど、知っている人からすれば、プレイヤー()幽霊(雪ちゃん)喋る武器()、組み合わせとしては凄く異様だ。


 〔『シュンおにいちゃん、みて。あそこ、ひとがいっぱいいるの』〕

 かなり先に出来ている人混みを指差して教えてくれる、すぐに飛んで行きたそうな顔をした雪ちゃん。


 雪ちゃんは僕の上をぷかぷかと浮かんついて来ているので、誰よりも何かを発見するのが早い。白も雪ちゃんと同じように空を飛ぶ事は出来るし、同じように何かを発見する事も可能だけど、その姿があまりにも異彩を放ち目立つ為、今はホルスターの中でお休み中だ。まぁ、お休み中と言っても、寝ている訳ではないのだけど。


 雪ちゃんの指差した場所には神殿が有る為、比較的に普段から人が集まりやすい場所では有るのだけど…明らかに普段以上の人がいるように感じる。まぁ、造船所の改築に来た時以来なので上としては定かではないけどな。でも、あの辺りなら目的は神殿か、その前の広場しかないよな?


 あっ!そう言えば、定期バージョンアップの時期が近付いてたか?もしかしたら、何かしらの発表が有ったのかも知れないぞ。お出掛けの目的であった買い物(メインイベント)は特に急いでいないし、先に寄ってみるか。まぁ、何よりも雪ちゃんが目をキラキラさせて今にも飛んで行きたいのを必死で我慢しているのを見ると無視は出来ないだろう。


 そして、そこに記されていたのは…


 『やっぱり、バージョンアップの情報か…』

 記されている内容は別にして予想した通りの情報。それ以上でも以下でもない。僕にとっては取り立てて珍しくもない光景。


 だが、見るもの全てが新鮮に見える彼女にとっては、そんな情報()でも違って見える。


 〔『シュンおにいちゃん、ばーじょんあっぷってなんなの』〕

 特に聞いた事もない(真新しい)言葉に対しては。


 う~ん、困ったな。この場合は何て説明したら分かりやすいのかな。僕としてはPC用の言葉を使えば説明しやすいけど、それらを使っても無事に伝わるものなのか?


 〔『それは難しい質問だな。う~ん、何て言うか…バージョンアップと言うのは、この世界の拡大と言うか、進化と言うか…あっ、そうだ!成長、成長だな』〕


 急に思い出したかのような演技臭いタイミングで、今回の説明に相応しい言葉(ワード)を思い出すシュン。決してタイミングを計ったのではなく、頭の中から言葉を絞り出した結果が、たまたまあのタイミングだったと言うだけだ。彼の名誉の為に敢えて言わせて貰うが、彼はそんなに器用ではない。


 〔『せいちょう?』〕

 その言葉と共に、右手の人差し指を顎に当てて、首を傾げる雪ちゃん。そのあどけない姿が妙に可愛く見える。全ての幽霊が雪ちゃんなら、僕も怖がらなくても済むはずだ。


 〔『うん、成長。雪ちゃんもどんどん新しい事を覚えていくでしょ?この世界も同じようにどんどん新しい事を覚えていくんだよ。それをバージョンアップって言うんだ』〕


 〔『そうなんだ。じゃあ、ゆきもいまバージョンアップしたね』〕

 僕の方を見てニコッて笑う雪ちゃんに、またほっこりさせられてしまう。やっぱり、雪ちゃんのこの笑顔は反則だ。


 改めて掲示板を確認してみると、今週の金曜日にバージョンアップが行われると書いてある。詳しい内容は相変わらず書かれていないが、世界の拡大と種族に関する大規模なバージョンアップになるらしい。


 特に、僕としては種族に関するバージョンアップに期待したいな。トリプルオーではキャラメイク時に自分の好きな種族を自由に選択出来るのだが、今までは容姿(その見た目)以外に大きな違いは無かった。今までも有ったのは目に見えないレベルアップ時のステータスに対する僅かな補正の差ぐらいのものだろう。なので、僕の期待が膨らむのも仕方が無い事だ。


 最新型のVRを使ったMMOゲームとしては、発売以来かなりの人気を誇っているトリプルオーだが、その(あたり)クレーム(運営側へのお願い)が情報サイトや公式サイトの掲示板に書かれているのを見た事が有るし、その手の話が尽きる事はないらしい。だから、今回のバージョンアップで種族毎で何かしらの特徴が増えてくれるなら嬉しいよな。そう言う僕もケモミミやモフモフの見た目と触り心地に憧れて天狐族を選んだ一人なのだから。


 まぁ、もう一つの世界の拡大と言う方も期待したい。新しい街が増えるのかも知れないと言うだけで、新種の素材やアイテム等の入手率に変化が出る可能性も有ると言う事、それは間接的に生産系の職人達にとっては希望に繋がっている。


 〔『そろそろ行こうか。雪ちゃんも何か欲しい物が有ったら遠慮せずに言いなよ』〕

 母の買い物に着いて行って、お菓子を買って貰っていた小さな頃の事を思い出してしまった僕。これは、大人になるにつれて誰もが通る道なのかもな。この時はがりは少しだけ、本当に少しだけ過去が懐かしく感じた。


 〔『ゆき、おかしがほしい。シュンおにいちゃんのこうちゃにあう、あま~いおかし』〕

 一瞬お世辞を言ったのかと疑いそうになるぐらい可愛い言葉をを言う雪ちゃん。そんな事を言われるとだね、今度は特に美味しい紅茶を淹れたくなるな。


 〔『それなら、今日はこの前アキラ達が話してた美味しいと評判のケーキでも買って帰って、週末は皆と一緒に簡単なお菓子(クッキー)でも作るか?』〕

 分量を量って生地を作り、その生地を適当なサイズで型取って、最後はオーブンに入れて焼く、デコレーション等を加えない比較的シンプルなクッキーの製作過程。分量を量って生地を作る工程さえ僕がやれば、あとは小さな雪ちゃんでも作れるはずだ。


 〔『クッキーってなに?ゆきにもつくれるの?』〕

 僕が大丈夫だよと伝えると雪ちゃんは今まで以上に嬉しそうに空を飛び回った。


 それから、僕達は街をブラブラしながら、何種類かサンプルになりそうな物と噂のケーキを購入してホームへと戻った。





 『マスター、雪ちゃんお帰りなさいです』

 ホームに戻るとケイトが出迎えてくれた。


 『ケイトおねえちゃん、ただいま~』

 僕の側からケイトの側へと飛んで移動する雪ちゃん。


 この場にはいないがフレイもログインをしてようで、工房の奥からカンカンと金槌を軽快に叩く音が軽く存在感をアピール(自己主張)しているようだ。この軽快な音を奏でている犯人は間違いなくフレイだろう。


 『ただいま。今はケイトとフレイだけか?噂のケーキ買って来たんだけど、良かったら一緒に食べないか?』


 『噂のケーキって?この前、皆で話してたケーキですか?です。はいです。勿論一緒に食べますです。すぐにフレイも連れて来ますです。待ってて下さいです』

 満面の笑みでフレイを呼びに行くケイト。その笑顔は雪ちゃんにケーキを買ってあげた時の笑顔(それ)と変わらない。


 やはり、どこまでいっても、いくつになっても女の子は女の子。女の子にとって、甘いもの好きと言うのは万国共通になるのだろう。


 その満面の笑み(期待)に応える為にも、僕は美味しい紅茶の準備をする事にした。


 『あれ?』

 いつのまにか、ぼくの《家事》スキルが上限に達している。えっ~と、進化先は女性キャラ専用の《メイド》と男性キャラ専用の《執事》、それに《家守護神(ハウスキーパー)》か…どれを選んでも《家事》の上位スキルで、能力面では大きな差も無さそうだな。まぁ、表向きの《家事》スキルと言うのは完全な趣味スキルだからな。それなら…


 『《家守護神》一択だな』

 すぐにスキルを《家守護神》へと進化させた僕。


 普段からやっていて(正確には、僕がやらざるを得なかっただけど…)、それほど嫌悪感の無い《家事》はともかく、男性キャラ専用スキルの《執事》はオークションで着ていた【執事服】を連想して入札者0(黒歴史)を思い出しそうで却下。女性キャラ専用の《メイド》はそもそも選べない。なので、僕が《家守護神》を選んだのは完全な消去法による自然な流れとも言える。


 そう言えば…トラウマ称号だけど、オークションの(あの)時は成長しなかったよな…てっきり、トラウマ神(推定今の上)くらいには成長すると思っていたんだけど…それとも、今が最上級(MAX)なのかな?これ以上成長する事も嫌なんだけど、現状(これ)がMAXと言うのは、もっと嫌な気もする。





 僕が気付いた時には、すでにケイトがフレイを連れてリビングまで戻って来ていた。どうやら、僕は少し考え事に集中しすぎていたらしい。まぁ、それでも、紅茶を淹れる手を休めていなかったのは凄く僕らしい話でもある。


 『シュン、ありがとな。丁度休憩しようかと思っとったところで、渡りに船やったわ。それで、それでや、シュンに一番重要な事を訪ねるんやけどな、ケーキは何を買って来たんや?』

 いくら《鍛冶》をしている姿がよく似合い、一流職人の雰囲気を常に身に纏っているフレイでも、お口とお腹は女の子だったらしい。ケーキの種類が一番重要な質問になるくらいには。


 『チーズケーキとショートケーキを三個ずつに、季節限定の洋梨のタルトを四個買って来たよ』

 ちなみに、僕のオススメは断然季節限定の洋梨のタルトだ。一口食べた瞬間に、ほのかな香りと洋梨の甘味が口いっぱいに広がり、サクッサクッとした食感を含めて全てが絶妙な逸品。当然、買ってきた三つのケーキを僕はお店で試食済みだ。


 その試食時に白と激しい一悶着が有ったのは、また別の話(最終的に、僕の食べるケーキを三分の一ずつ雪ちゃんと白に差し出す事で和解済み)になる。


 『うん!?シュン、何か数が合わへん事ないか?余った一つはじゃんけんか?それとも、頑張ったウチへのご(ほう)…』

 そう言ったフレイの右手は、すでにチョキを構えていた。


 『狐の姉さんや、多分ワシの存在を忘れておるのじゃ』

 白が《魔獣化》スキルで竜の姿に変化して、フレイの目の前へ自分の存在をアピールするように飛んでいく。


 『おっ、お~~、白やんも食べれたんか!?それは悪かったな。堪忍やで』

 僕もケーキ屋の前で聞いた時は驚いたけど、白も僕達と同じように食事が出来るらしい。まぁ、そのお陰でケーキ屋での試食時に一悶着が有ったのだけど。それに、同じファミリアである雪ちゃんも食事が出来るのだから、白が出来ても別段おかしくないよな。


 それにしても、最近は僕が驚かせるよりも、誰に驚かせれる方が多い気がするな。まぁ、僕自身は()(この)んで驚かせようとはした事がないし、これはこれで貴重な経験なのだろう。


 『ゆき、マナちゃんとミナちゃんにもこうちゃとケーキを渡してきたよ』

 少し大きめのおぼんを両手で抱えた雪ちゃんが戻ってくる。そこには、さっきまで乗っかっていた二つのケーキと紅茶セットはなかった。


 『雪ちゃん、ありがとう』

 僕はお礼代わりに、雪ちゃんの頭を軽く撫でてあげた。そうすると雪ちゃんは、少しくすぐったそうな顔を見せながらも喜んでくれる。


 雪ちゃんは、今日も今日とて当たり前のようにお手伝いをかって出てくれている。もう少し年相応に遊んでいても良いと思うし、雪ちゃん本人にも直接そう伝えて有るのだけど、雪ちゃんがお手伝い出来る事は進んでお手伝いしてくれていた。


 各々が好きなケーキを選んでいくが、誰一人として僕のオススメ季節限定の洋梨のタルトは選ばなかった。この洋梨のタルト、本当に美味しいんだよ。まぁ、まだ来ていないカゲロウ達に食べて貰って、その味を証明して貰おうか。あとになって後悔しても知らないからな。


 〔『主よ、あとで悔やむから後悔なのじゃ。あとになって後悔してもは間違いなのじゃ』〕

 いや、確かにそうだけど…そこはそれで良いんだよ。ただ単に強調したかっただけなのだから…


 『主よ、これも美味なのじゃ』

 おい、今度は無視かよ…


 フォークに刺したショートケーキの苺を食べながら喋る白。すでに僕の渡した洋梨のタルト(三分の一)は白のお腹へと消えている。


 白の声だけ聞いていると普通にプレイヤーと変わらないんだけどなぁ。やっぱり、白の正体を知っていると一つ一つの些細な事にまで驚かせれるわ。


 『そ、そうか、それは良かったな。週末は雪ちゃんと一緒にクッキーを作るから、それも楽しみにしてろよ』


 『マスター、私もそのクッキー作りご一緒しても良いですか?です』

 白の返事よりも早く反応するケイト。その反応速度は普段のおっとりした性格からは想像出来ない早さだった。


 『うん。いいよ。ケイトおねえちゃんもゆきといっしょにつくろ』

 こちらも、ケイトに負けず劣らず僕の返事よりも早く反応した雪ちゃん。


 でも、雪ちゃんの一言で全てが決まったな。ぼくもタルトを食べながら指でOKを作って返事をする。さぁ、休憩もしたことだし、本格的に生産しますかね。


 でも、その前に紅茶をもう一杯おかわりさせて貰いましょうかねぇ。





 さてと、まず始めにサンプルにする為に買って来た和服の縫い目を丁寧に(ほど)いて、一つ一つのパーツへと解体していく。だが、和服の造りは僕が思っていた物と随分かけ離れていた。これでは完成品がしっくりくる訳が無いよな。僕はサンプルを参考にデザイン案から書き直していく。


 数十分程、サンプル類と格闘した結果。


 『うん。これはなかなか良いんじゃないかな』

 そのお陰か、デザインの方は|僕のイメージと合致する《しっくりとくる》物が出来た。あとは実際にこの型紙通りに縫ってみて、着心地と動き易さの改良だろう。まぁ、これには発案者のフレイの参加が望まれる。


 『う~ん、そうだ!』

 どうせなら、ちょっと変わった素材を変えてみようか。確か、【noir(うち)】の倉庫には絹系の高級素材の在庫も有ったはずだ。これで着心地や肌触りの向上はさらに見込めるだろう。僕はデザインした型紙通りに生地を切っていく。


 この過程でいつも思う事だけど、こんな状態(バラバラ)の物を集めて正確に縫っていくと一つの形有る作品になる。それだけで感慨深いものがあるんだよな。



【フレイサールール(仮)・巫女装束】防御力40〈特殊効果:速度上昇・中〉〈製作ボーナス:着心地向上〉



 普通の巫女装束を思い浮かべたなら、上が白衣(白衣)(…まぁ白衣と言っても、今回は真っ白ではなく極薄く青色が入っているけど)で、下が緋袴…袴の色は当然朱色を思い浮かべる事だろう。しかし、うちのフレイが希望した色は濃い青系一択。それならと、少しでも赤を帯びた藍色を選んで元の生地を染め上げている。巫女装束で袴単品を作るだけなら、フレイの好きな色に染めてやりたいけど、これから作る予定の他の防具にも合わせる必要も有る。今回の当初の目的である不確定要素の多いシリーズボーナスを発現させる為にも出来る事は全てやっておきたいから、少しの妥協もしたくないところだ。


 他にフレイから製作依頼を請けたのは、籠手と三節棍用の(さや)とブーツだったよな。本当は足元は足袋とか草履の方が、より一層巫女服のデザイン的に合うと一般人の思考を持っている僕は思うのだけど、フレイの希望の足元はブーツ系しか考えられないらしい。籠手は以前に作ったものが気に入っているようなので、デザインは以前の物を参考に素材だけを一新する予定で、基本的には装備を和風に統一したいらしい。


 だからこそ、足元の異彩を際立たせる西洋系の一品(ブーツ)が問題になるんだよな。これは、かなりデザインにこだわる必要が有りそうだぞ。まぁ、実際に身に付ける本人が頑なにブーツを主張し続けているのだから、依頼された側の僕としては顧客満足?向上の為にも黙って従うだけだ。


 まぁ、こっちもある程度サンプル作って完成(仮)した巫女装束に合わせてみるしかないかな。しばらく試作を続けてみたが、ブーツに関しては納得するものが全く出来ず、その日はログアウトするに至った。実に不甲斐ない…





 「駿、バージョンアップの情報が情報サイトに少し載ってるぞ。見るか?」

 昼休みになると同時に蒼真が僕の席までやってきた。同じ教室にいるクラスメイトで、昼御飯も一緒に食べる間柄なのだ。そんなに慌てなくても良いんじゃないのか?


 うん!?ちょっと待てよ…と言う事は、あいつは授業中にバージョンアップの情報を調べてたのか?そんな事をしているから、追試を受けるはめになるんだよ…この時点で次の試験(テスト)とその後の過程で得られる追試も手伝わない事が僕の中で確定した。


 「それなら、昨日少し神殿前の掲示板で見たぞ」


 「何?広場にも出てたのか?駿、そう言う事は教えてくれ…」


 「悪いな。生産で、ちょっと行き詰まってたからな…蒼真だけでなく、ギルドメンバーに言うのも忘れてたくらいだから、そこは許してくれ」

 昨日のお茶会の話題は、希望の装備と好みのケーキやお菓子(スイーツ)についてだった。その話が女性陣で盛り上がり過ぎた結果、すっかりバージョンアップの事を伝えるのを忘れていたな。ログインしたら、皆にもメールをしておこうか。


 「それで、駿的には、どっちが気になるんだ?」

 複数選択(どれ)じゃなくて、二種からの選択(どっちか)と言う事は、昨日見た二種類から情報は増えてないらしい。


 「そうだな。どっちかと言われると種族だな。世界の拡大も気にはなってるけど、種族に対する興味には勝てないかな」


 「俺は断然、世界の拡大だ。噂で聞いていたのも有るんだが、俺は今回のバージョンアップで海外のエリアやサーバーが導入されるんじゃないのかと思っている」


 「へぇ~、そうなのか」

 海外ねぇ、僕は噂でも聞いた事はないけどな。


 確かにトリプルオー専用のヘッドギアの普及が定期的に行われているので、トリプルオーのプレイ人口は急激に増えている。そろそろ、海外でもプレイしたい人が現れてもおかしくはない頃かも知れないな。


 それに、少し閉鎖的な面も持っている【noir】でこそメンバーにプレイヤーが増えてはいないけど、他のギルドは人員の増加が激しいらしいからな。


 ちなみに、【noir】の人員が増えていないのは、あのクエストイベントを発生させたお陰だ。あれのお陰で普段の加入希望者は、ほとんどいなくなっている。噂では、次の加入クエストの開催を心待ちにしているらしい。その噂の当事者でもある【noir(僕達)】としては、当分の間は開催する予定も無い。


 それにしても、どこからか蒼真が仕入れてきた噂通りに海外用のエリアが出来るのなら、僕も遠征して(行って)みたいと思うのは、ある種の自然な流れか…まだ見ぬエリアに、まだ見ぬ素材、まだ見ぬ魔物(これは臨機応変に…強敵でなければOKかな)、色々な初体験を僕もしてみたいからな。


 「まぁ、どっちにしても、金曜日の昼休みには分かる事だろ」

 今、焦っても仕方が無い。


 「そうだな。それで、駿の生産の悩みって言うのは何だ?」


 「あぁ、今ギルドメンバーの防具の新調を始めたんだが…フレイ用のブーツがな。ちょっとした難問なんだよ」

 蒼真に現状を話してみる。何かしらのアドバイス…いや、ヒントでも貰えれば良いのだけど…


 「うん。話の内容は分かったぞ」

 自信満々の表情を見せる蒼真。


 おや!?もしかして…


 「その件は俺には無理だ」

 だが、僕の淡い期待は一切躊躇しないで高らかに宣言する蒼真に粉々に粉砕された。


 少しでも期待した数秒前の僕がバカだったよ。でも、長年連れ添った幼馴染みが悩んでいるのだから、少しは一緒に悩んでくれても良いんじゃないのか?せめて、一瞬くらい悩む素振り(そぶり)が有っても良かったはずだ。


 「…そうだな。僕が馬鹿だった。他の人に相談する」

 …と言っても、《裁縫》系の職人で親しくしているプレイヤーっていないんだよな。()いて誰かを挙げるなら、オークションの時に知り合った【美神】のミコトさんくらいか。


 一応、オークションの連絡をする流れでフレンド登録済みだからな。今日にでも相談してみるか。多分、《裁縫》系の質問なら他の誰よりも(一番)頼りになるはずだ。





 学校を終え、いつものように家の雑務(リアル家事)をこなして僕がトリプルオーにログインすると、すでにミコトさんはログインしていた。


 すかさずコールする僕。タイミングと言うものは往々にしてやってくる。その一瞬を逃せば、次またいつ合うのかが分からないのだから、躊躇していては駄目だろう。 


 『すいません。ミコトさん、今少し時間で良いですか?』

 そして、そのコール相手もすぐに応じてくれた。


 『あらあら、誰かと思えば珍しいお方やこと。お久しぶりどすなぁ。先日は、えらいお世話になりました。それで、今日はどないなされましたん?』


 『こちらこそ、オークションの時はお世話になりました。その節は色々とありがとうございました。それで…あの~、急に連絡しておいて不躾な質問で申し訳ありませんが、和装に合うブーツのデザインって何か参考になりそうな物って有りますかね?』


 『和装にブーツどすか?それは変わったご趣味で…いえいえ、別に大した事でもございませんなぁ。それなら、ニットブーツとかどないです?種類も色も様々な物が有りますさかい、和装にも合う物もございます。それにみたいも可愛いどすえ。あとは、細目のロングブーツのヒールを高めにしはると、舞妓さんが履いてはる高下駄みたいに足が長く見えはりますし、その他やと逆に見た目を派手にしはると案外面白いかも知れませなぁ』

 名前から想像する事が全く出来ないニットブーツは別として、ヒールの高いブーツは盲点だったかも知れないな。


 『ありがとうございます。参考にさせてもらいます』


 『いえいえ、お気になさらず。そや、シュンはん、最後に一つだけ。トリプルオー(ここ)はゲームの世界どす。色々なしがらみに捕らわれへんでもかまへんと思いますよ。ほな、頑張って下さいねぇ。それでは、また』

 流石は《裁縫》系ギルド、【美神】を束ねるギルドマスターミコトさんだ。言葉だけで軽く教えて貰っただけなのに、かなり参考になっている。


 ミコトさんが言うようにトリプルオーはゲームなのだ。現実で動きにくいブーツでも、製作者()の努力しだいでは既存の形のブーツでも動き易い(性能を持った)物が作れる可能性は有る。それに、黒に近い暗い青系の色にすれば、藍色に染まった巫女装束にも良く似合うかも知れない。


 そうなると…全体の装備を見て、足下()にいくほど濃い色、頭部()にいくほど薄い色にして、装備全体を一つのアイテム(デザイン)と考えるなら、グラデーションが効いて素敵になるかも知れないな。



【フレイサールール(仮)・ブーツ】防御力20〈特殊効果:回避上昇・中〉〈製作ボーナス:跳躍力+25%〉



 そんな事を考えている内に、フレイ用の新しいブーツが仕上がった。ブーツ自体(そのもの)のデザインをミコトさんのアドバイスを参考に、細目で長い形状(見た目としてはニーハイブーツが最も近い)を生かしつつ柔らかい感じを出す為に全体的にも丸みを帯びさせながらヒールを太目にする事で、僕がデザインする上で最も重視している動き易さ(安定感)とフレイの希望する巫女装束が絶妙なバランスを醸し出すようになった。


 『う~ん、これなら、もう少し袴の丈を少し短くした方が、さらに合うかも知れないな』

 【フレイサールール(仮)・ブーツ】は膝下までの長いブーツ。この良さを生かす為には…ミニスカートとまでは言わないけど肌が少し見えるか見えないかギリギリの長さが合っている気がする。


 その場で【フレイサールール(仮)・巫女装束】にも裾直し(改良)を加えていく。ついでに、全体的なグラデーションも意識して色を染め直した。現実と違ってあとから色を染め直せるのは大きなポイントだ。まぁ、生地の状態で染めるよりは色の選択肢は狭いのだけど、この便利さに比べればあまり問題にならないだろう。


 僕にとって、今回の装備製作は様々な事が初めて尽くしなので、少しずつ丁寧にバランスを取りながら、手探り状態で製作している。


 ただし、籠手だけは一度作っている事も有り、製作はスムーズに進む。



【フレイサールール(仮)・籠手】攻撃力40/防御力35〈特殊効果:強度上昇・中〉〈製作ボーナス:速度上昇・中/耐火〉※左右兼用



 『う~ん、思っていたよりも能力面での変化は無かったな』

 良く言えば、素材を変えた事による若干の性能アップ。悪く言えば、平凡。だが、色と模様は変えているので印象としてはかなり違って見える。まぁ、もう一つ製作すれば両腕に装備も可能になるから、性能面(そこ)は多目に見ようか。


 …となると、残すは三節棍用の鞘か。確か、左の腰に自作の刀【(つむじ)】専用の鞘を装備すると言ってたから、それ以外の場所…基本的には空いている右側になるのだけど…


 『さて、どうしようかな…あっ!?』

 そう言えば、最初に出会った頃のフレイはトンファー装備してたよな。意外と知られていないし、《打撃》スキルと勘違いされがちな事だけど、トンファー(あれ)はスキルの分類的には《棒》スキルになる。ちなみに、僕もフレイに教えて貰うまでは勘違いしていた人達の一員だった。


 『それなら…』

 こう言うのはどうだろうか?


 僕は、自分が思い付くままに、さっき製作したばかりの平凡な籠手に改良を加えていく。



【フレイサールール(仮)・右籠手】攻撃力40/防御力30〈特殊効果:強度上昇・小〉〈製作ボーナス:速度上昇・小/耐火〉


【フレイサールール(仮)・左籠手】攻撃力20/防御力20〈特殊効果:強度上昇・小〉〈製作ボーナス:速度上昇・小/耐火〉※三節棍収納可能 三節棍収納時は三節棍の能力を50%追加


※セットボーナス:耐久度上昇・中



 『これ、思い付きで作ってみたけど、性能面ヤバくないか?さりげなくセットボーナスまでが付いてるし…』

 片方ずつを単体で見た時の性能は下がっているけど、両方装備した時には、それを十分に帳消しにしてくれる性能。多分、この二つの籠手は基本的な分類は防具だけど、武器としての一面も有ると言うのが今回セットボーナスが発生した理由なのだろう。


 ちなみに、三節棍を籠手に収納した状態は、持ち手の無い…腕に固定されたトンファー。簡易的な盾としても使える優れ物。まぁ、籠手と言う防具は元から簡易的な盾代わりとしても使える代物なんだけど。


 取り敢えずは、依頼されたものは全て完成した。試着を頼むにしてもフレイはログインしてきて…


 『おっ!』

 まるで装備の完成を覗いていたかのようなタイミングでログインしてきたフレイ。それにしても、タイミングが少し良すぎじゃないかな。


 『フレイ、ちょっといいか?』


 『なんや?いきなり。少しは落ち着かせてくれても(バチ)は当たんへんで。ウチに紅茶を淹れてくれるとか』


 『それはあとでな。取り敢えず、装備のサンプルが出来たから先に試着して欲しい』

 フレイに出来上がったばかりの装備一式を渡す。


 『えっ、もう出来たんか?なんぼなんでもちょっと早過ぎへんか?手抜きは…うわっ、なんなんや、これ。し、してへんみたいやな』

 完成までのあまりの早さや渡された装備の見た目や性能面に驚くフレイ。その完成までのあまりの早さには、一瞬…ほんの一瞬だけ手抜きを疑う事に繋がってしまっていた。


 『当たり前だ』

 失礼な話だ。仲間の装備を製作するのに手を抜く理由も必要性も無い。そもそも、僕が手抜きをした事なんてな…いや、有るな。しかも、かなりいっぱい。鞄事件の時はほぼ手抜きしかしていない…と言う事は、僕の製作品の比率からすると九割以上は手抜きの品になのか?これはむしろ、疑われても仕方が無いんじゃないのか?


 『それなら、早速着替えてみるわ』

 さっそく、フレイはその場で着替え始める。


 始めると言っても、メニューから装備を選んで変更するだけなのでほぼ一瞬で終る。見えてはいけない部分がもろに見えてしまう等のラッキースケベ的なトラブルが起こり得ないのが素敵なポイントだ。まぁ、そんなイベントが起こり得るなら、フレイもこの場で着替えたりはしないだろう。


 『シュン、どないや?』

 着替え終わったフレイが、恥ずかしそうにしながらも製作者の僕にわざわざ確認させる(見せ付ける)ようにクルッと回ってみせる。


 『おぉ~!!なかなか良く似合っている。やっぱり、フレイが好きな色だけあって青系統は良く似合うな。着心地や動き易さはどうだ?一応、素材にもこだわってみたんだけど』

 フレイ本人が好きと言うこだわりだけでなく、本当に青系の色はフレイに良く似合うと思う。やっぱり、白衣を本来の色の真っ白にこだわらず、装備全体的をみた時にグラデーションに見えるようになるカラーリングを採用して良かったよな。我ながら、ナイスプレーだと思う。


 『その辺は全く問題は無しや。これ、かなり良いわ。普通の巫女装束より動き易いし。ウチ自身も頼んでおいて、巫女装束にブーツは半信半疑やったんやけど、意外と合うんやな』

 おいおい、それは初耳だぞ。フレイ自身が『絶対にブーツが良い。そこだけは譲らへん』と言い続けるから、頑張って製作したんだけど、そこら辺は半信半疑だったんだな…と言うか、僕の苦労を返して欲しい。


 『おっ!おぉ!?うぉっしゃ~~~!!念願のシリーズボーナスもGETやで。フレイサールールシリーズちゅう名前でシリーズボーナスは協調。仲間の攻撃に対しての追撃時に攻撃力上昇補正・強が付くらしいわ。でも、本当に一つのアイテムとして装備一式がまとまるんやな。これは便利やわ』

 フレイは、シリーズボーナスが発現した事で、色々とステータスや効果などの確認をしているらしい。一つ一つの感想を自分自身で確認を終えてから僕に教えてくれる。まぁ、その気持ちは一度経験している僕としては分からなくもない。ただ、僕は《見破》を使ったので確認作業に時間は取られなかったけど。


 『ご希望のブーツが過去最高にして最大の難問だったんだよ』

 取り敢えず、これだけは伝えておかねばならない。次からの無理難題を避ける為にも…それにしても、シリーズボーナスが出たのは良かったな。これで、色々と検証もしやすくなったはすだ。


 『あっ、そうだ!フレイ、その左の籠手の外側に【三位一体節棍】を収納してみてくれ』

 その言葉に何故?と言う顔を見せながらも、フレイは三節棍を三つに折れた状態で収納してくれた。


 『おいおい、シュン。これは、ええんか?ええんですか?』

 性能を見て驚いているんだろう。その嬉しそうな表情は驚いた顔の中にも確かに存在している。


 それもそのはすだろう、基本性能が元からの高い三節棍を収納する事で、籠手の性能も一段上へと跳ね上がっているのだから。


 『それに関しては、収納機能を付けた時に本当に偶然出来た能力だからな。素直に喜んでも良いんじゃないか?それに、同じ物をもう一度と作れと言われても、出来る気は全くしないからな』

 僕としては、フレイが喜んでくれる。それだけで良かった。


 『ありがとうな。大事にするわ。そや、これ使ってや』

 鞄から溢れる程大量の魔石を取り出して僕に渡してくるフレイ。


 今回の装備新調は皆から貰った竜髭のお礼のつもりだったのだけど、逆に魔石を大量に貰うと言う結果になってしまった。


 その中には【黒竜】を製作する為に足りなくて、今度採掘に行こうと思っていた魔石も大量に…これは、純粋なお礼と言う面も有るんだろうけど、遠回しには早く魔獣器の【黒竜】を作れと言う事でも有るんだろう。実際にフレイがその言葉(フレーズ)を言う事は無かったけど、僕にはその事がひしひしと伝わってきた。


 『こっちも、ありがとうな』

 本当に残念な話だけど、【黒竜】を作る為には本当に少しだけ黄魔石が足りてない。物語のように、そう都合が良い事ばかりが起きる訳ではない。


 まぁ、そんなに()かされるのなら、明日辺り一回鉱山ダンジョンに行って集めてこようか。それで、製作自体は可能になるだろう。


 『じゃあ、綺麗になったウチの姿を皆に見せ付けてくるわ』


 そう言い残したフレイが向かったリビングの方で、大きな拍手と歓声が起きている。この感じだと皆の感想も上々らしい。


 今日の残りは、装備を製作するには時間的にも中途半端(まぁ、これはある種の言い訳で…実際のところは精神的な微妙な疲れを現実逃避で取りたいだけ)なので、レベル上げも兼ねて雪ちゃんにぬいぐるみでも縫う事にした。


 形は…そうだな。ぬいぐるみの定番なところでクマで良いかな。【白竜()】も捨てがたいところだけど、白自身が雪ちゃんの部屋に入り浸ってるからな。わざわざ、ぬいぐるみにしなくても大丈夫だろう。だから、もし白を作るとしても次以降の機会だ。


 ぬいぐるみは以前にも家庭科の授業で簡単な物は作った事が有る。今の時点でも《裁縫》のレベルはかなり上がっているので、このぬいぐるみを作り終えたぐらいで《裁縫》を《裁縫職人》スキルへと進化させる事も出来るだろう。


 『よし、完成だ…よな』

 あれ?ぬいぐるみの名前が【クマさん?のぬいぐるみ】になっているよな。どこからどう見ても、完璧にクマなのだけど。世界に代表される二種類のクマのぬいぐるみとまでは言わないけど、見た目もデフォルメされて可愛く出来ているし、編み物として失敗した箇所も無い。それに、完成前に僕はクマのぬいぐるみと名付けたはずなんだけど…


 『シュンおにいちゃん、それはなになの?とってもかわいいいね』

 フレイに続き、これまたナイスなタイミングで雪ちゃんが現れる。


 『ありがとう。このぬいぐるみは雪ちゃんの部屋にでも飾って貰おうかと思って作ったんだよ』


 『ほんとに!?それ、ゆきうれしいの』

 早速手に取り抱き締め、明るくを扱う母親のように遊び始める雪ちゃん。気に入ってくれたみたいで良かったのだけど…やっぱり名前と付いた?が、僕としては気になるよな。


 『シュンおにいちゃん、このこのなまえは?』


 『名前はまだ付けてないんだよ。雪ちゃんが付けてくれるかな?』

 当然、今さっき完成したばかりのぬいぐるみに名前はまだない。そもそも僕にぬいぐるみに名前を付けると言う発想はなかった。


 『うん。ゆき、わかったの。それで、このかわいいこはなんのぬいぐるみなの?』

 えっ、どこからどう見てもクマだろう。でも、万が一覗いて確率で本当に見えないって事も有るし…一応聞いてみるか。


 『雪ちゃんには何に見える?』


 『ゆき、こんなにかわいいこ、みたことがないよ』

 何?何だと?それって、もしかして…


 『雪ちゃんは、○○クマとか○○ベアーって動物は見た事とか聞いた事は無いかな?』

 顎に指を当てて頭を左右に振りながら必死に考えている雪ちゃん。


 その結果としては全く見た事が無いらしい。そう言えば、僕もクマ系の魔物には出会って無いかも知れないな。あとで、ジュネやアクアにも確認して見るか。魔物でクマ系は非常に有りがちなので完全にいると思ってたんだけど、いないならいないで戦闘面では安心出来る。まぁ、少し寂しい気持ちも有るけどな。


 『え~っと、それはクマって名前の動物園なんだよ』

 待てよ!トリプルオーの中で動物と言う概念は有るのだろうか?よく耳にするのは、獣人種(アニマ)、魔物=モンスター…ぐらいだよな。


 『くま?じゃあ、このこなまえはくーちゃんだね。シュンおにいちゃん、ありがとう。ほら、くーちゃんもシュンおにいちゃんにありがとうってゆって』

 雪ちゃんは、嬉しそうにぬいぐるみを抱き抱え、リビングの上を数週回ってから部屋へと戻って行った。あんなに喜んでくれるなら、また作ろうかなと言う気分になるよ。


 そして、思っていた通りに《裁縫》も《裁縫職人》に進化させる事が可能になっていたので、迷わずに進化させる。


 これをもって、僕が取得している下位の生産系スキルは全て職人(クラス)に進化を終える。また一つ僕は目標に達する事が出来た。


 こう言う小さな達成感の積み重ねと言うのが僕には良いんだよな。そう言えば、《銃製作》はレベル30になっても次へと進化出来なかったよな。流石は生産系の複合スキルってとこだよな。


 『それと、そろそろ《合成》の方も何とかしたいよな…』

 《調合職人》と《木工職人》の取得で複合スキル《合成》を取得出来る…はずなのだけど、今の時点の僕は得出来ずにいる。カゲロウやヒナタ、それにネイルさん達は同じレベル達成で取得出来ているのだけど、僕だけが例外となっていた。


 以前にフレイ達と考えていた結果では、取得している他の複合スキル《機械製作》と《銃製作》の影響ではないかと言う事なのだけど、答え(真相)は分かっていない。僕と同じような例外は他にいないのだから…


 ちなみに、同一プレイヤーが同時に四つ以上の(様々な)生産を取得しているのは【noir】のメンバーくらいなので、【noir】で分からなければ、他のプレイヤー達が分かるはずが無い。





 翌日、僕はログインしてすぐに鉱山ダンジョンに魔鉱石を回収に来ており、ダンジョンに入ってから一時間程度は経っている。


 『主はいつも一人で狩りにいくのかの?』


 『まぁ、大体はそうかな。いや、でも最近はソロもパーティーも半々ってところじゃないか?ソロの時は新作のテストやアーツ等の戦闘訓練が多いし、パーティーを組んだ時は素材集めと攻略がメインかな』

 これが僕のルーティング。


 『主よ、今日は素材集めが目的ではないのかの?』


 『いや、まぁ、そうなんだけど…岩系の魔物の狩り方(・・・)は少し特殊だから、ギルドメンバーならフレイと僕以外は出来ないんだよ。もしかしたら、そろそろケイトも出来るようになってるのかもだけどな』

 壁から少しずつ採掘するよりも、魔物から採掘する方が遥かに効率が良い。


 白と話ながらも狩りの手は止めていない。周りに他のプレイヤーがいない事も確認済みなので、白とも普通に会話が出来ている。まぁ、今の白は銃形態なので、他のプレイヤーに見られても、僕が独り言で会話する変人に見られるだけなんだけどな。まぁ、それ自体が物凄く不本意になるのだけど。


 魔鉱石から魔石への加工については、未だに条件が解明されていない。その為にかなりの量を用意しておかなければ、足らずが発生して、またここに来なくてはならなくなる。それでも、そろそろ十分に回収出来てると思うんだけど。回収した魔鉱石の数も五十個を越えているのだから。


 『主よ、戻るのかの?』


 『あぁ、バージョンアップも近いらしいからな。【黒竜】を作って、その慣らしのついでに《造船》の為に御神木を採取してこようかと思ってる。今からなら、時間的に一回くらいは氷火のビークィーンも倒せるだろうし、白が回復専用なら【黒竜】は多分攻撃専用だろ?』

 実のところ、白よりも遥かに期待が持てる代物だ。


 『うぬぬっ、ど、どうじゃろうな。それはワシにも分からんのじゃ。同じファミリアと言えど、知らない事や分からない事もいっぱい有るのじゃ。【黒竜】が【白竜(ワシ)】よりも使えるかどうかも分からないのじゃ』

 僕の心の内が伝わって、微妙に悔しそうな白。普段の異種返しが出来たかと思うと、ちょっとだけスッキリした。


 短い付き合いながら、博識だと思っている白でも解らない事が有るんだな。


 『まぁ、それも製作してみれば全てが解るだろ。さっさと戻るぞ』


 予定を決めた僕の行動は早かった。すぐにダンジョンを出て街のゲートを使いホームへと戻った。





 『まずは、魔鉱石の加工から』


 数をこなす事で慣れてきた魔石への加工。粗削りを済ませた魔鉱石を魔石へと加工、精錬していく。


 今日は緋魔石二十九個、翠魔石四個、蒼魔石十一個、黄魔石八個か、どんなに繰り返しても魔石の数は読めない。【黒竜】を製作する為に足りない魔石が黄魔石を五個だったから助かっているけど、もし足りていない魔石が翠魔石だった場合、今回は数が足りてない。そうなっていたら、もう一度あの場所に足を運ぶ事になっただろう。


 『では、メインディッシュといきますか…』



【黒竜・魔銃】

必要素材

魂魄

黄魔石×10

蒼魔石×10

緋魔石×10

竜の牙(【龍殺しの右剣】※代替品)

【魔銃】

【烈火】

【皇土】



 『素材も十分』

 改めて必要な素材を確認する。うん。全て揃っている。竜の牙も【白竜】の時と同様に【龍殺しの双剣】の片割れ…今回は残っている【龍殺しの右剣】で代替が可能と。


 『それでは、製作開始っと…』

 決定を選択すると同時に僕の目を真っ黒な闇。【白竜】の時と真逆な展開。その真っ黒な闇が散っていくと共に、僕の前に真っ黒な【黒竜】が出現した。その姿は、色が【白竜()】の白一色と違って、黒一色なだけで形は【白竜】と全く同じ(そっくり)だった。



黒竜(こくりゅう)Lv1・魔銃】攻撃力0/回復力100〈特殊効果:魔力回復/闇属性〉※譲渡不可

スキル《魔銃化》/《魔獣化》/《成長》/《心話》

※ユニーク



 『えっ!?おい、ちょっと待て。白、どういう事だ!?説明しろ』

 またまた攻撃力が0。それに、今度は身体回復ではなく、魔力回復になっている…えっ、僕の攻撃専用の銃は?えっ?


 『主よ、ワシにも解らない事も有ると先に言ったのじゃ。つまりは、ワシにも解らんと言う事じゃ。おい【黒竜】よ、聞いておるのじゃろ。ワシらの前に姿を見せたらどうじゃ』


 『………』

 全くの無言。喋らないどころか、《魔獣化》の気配どころか、1ミリたりとも動きもしない。いや、本来の武器と言うのはこんなものかも知れないけど、すでに【白竜(例外)】を経験している僕としては、何かもどかしく感じる。


 『白、全く喋らないんだけど、魔獣器なんだよな。これも…』

 僕は【黒竜】を手に取って白に見せ付ける形で確認してみる。


 ちなみに、白はホームの中では《魔獣化(竜の姿)》で自由に過ごしている。まぁ、それもホーム内にギルドメンバーしかいと言う限定された場合のみだけど。白にも、それくらいの自由は有っても良いだろうと言う事で、そうなっていた。


 『一応はそうじゃ、《心話》も試してみたのじゃが一切喋らないのじゃ。主の《見破》でもダメかの?』

 白に言われて僕も《見破》を使って()る。やはり、魔獣器。それに、ちゃんと生きてもいるな。


 『間違いなく魔獣器だな。でも、何で何の反応しないんだ?僕の製作が失敗したのか?』

 何度確認してみても全く変化のない情報と【黒竜】。それに対して、ついつい自問自答を繰り返してしまう。


 『主よ、主は失敗はしておらんのじゃ。ちゃんと成功はしておるのじゃ。どうやら、ただの人見知りな性格のようじゃ』

 その状態の僕を見兼ねた白が、呆れ顔で追加の情報を提供してくれた。この呆れ顔は、はたして僕に対してなのか?【黒竜】の性格に対してなのか?僕としては後者であって欲しいものだ。


 『えっ!?』

 それにしても人見知りですか。魔獣器にも、多種多様(色々)な性格が有るんだな。それとも、やっぱりフレンドリー過ぎる白の方が変わっているのか?うんカラー、その可能性の方が高そうで怖いな。


 『【黒竜】、聞いてくれる?僕はシュン。それで、こっちが白。ゆっくりで良いから僕達と仲良くして欲しいな』

 どっちにしても、軽い自己紹介くらいは必要だろう。そもそも自己紹介はコミュニケーションの基本だし。


 『…(くろ)

 黒、【黒竜】の名前かな?これは少し前進したのかな。


 『OKOK、了解した。僕達は黒って呼ぶからな。僕達の事は黒が呼びたいように呼んでくれて良いぞ。ただし、創造主は勘弁して欲しい。それと、僕と白は今から森に行くんだけど、黒も来るか?』


 『………』

 相変わらずの無言。だが、何故かは分からないけど、黒が頷いたように僕は感じていた。


 『よし、じゃあ一緒に行くか。魔獣器の事はギルドメンバー以外には秘密にしてるから、話したくなったら、さっきの白と同じように《心話》で頼むな。僕に直接話すのが難く感じたら、白に伝えてくれても良いからな。白は喋り方が少し堅く感じるかも知れないけど、根は優しいから怖くないぞ。それと、多少窮屈かも知れないが移動中はホルスターの中で我慢してくれ』

 そう僕が言ったところで、僕の手のひらに降り立ち竜の姿から銃の姿へと変わった【白竜】と銃のままの姿で誕生より一切動いていない【黒竜】をホルスターへと収納した。



【白竜】【黒竜】

※セットボーナス:竜の力(自己回復力強化)



 せっかく、【白竜】と【黒竜】を装備でする事で発現した新しい種類(タイプ)のセットボーナスだけど、回避主体の僕にはあまり必要が無さそうな能力だよな。


 まぁ、今はそんなに時間も無い事だし、詳しい検証は後回しにして蜂の巣を目指そうか。


 『マスター、今から狩りに行くのですか?です』


 『良かったら、私達もご一緒しても良いですか?』

 そうこうしている内に、ホームに戻ってきたヒナタとケイトに捕まってしまった。普段なら、この申し出に対して即OKするところだけど…今日は、人見知りな超大型新人がいる。そうなると、必然的に答えは…


 『悪い、今日はダメなんだ。ちょっとソロでクィーン狩りに行ってくる』

 二人に軽く断りを入れ、その追求から逃げ出すように僕はゲートから【ヴェール】へと転送して行った。





 『う~ん、【魔銃】と【烈火】が無くなったのは攻撃面でかなり痛いよな』

 残された【疾風】と【雷鳴】の二丁でビーを狩っていく。


 今までの主力だった二丁を素材として使ったので、今はリロードに大忙しになっていた。防具のお陰で速度と回避に余裕が生まれているので大きなダメージを受けたりはしてないけど、とにかくリロードが大変な手間だ。


 前回も思った事だけど、本気でもう一度【魔銃】の製作を検討する必要が有りそうだ。二つの魔獣器製作に浮かれていて、一番肝心な【魔銃】製作の事を忘れていた自分に腹が立つ。


 『まぁ、こんな状態でも戦えない事は無いんだけど…よっと』


 まぁ、それも単純に攻撃面での雷属性の【雷鳴】が優秀過ぎる

事に加え、攻撃面ではそれなりの威力しか発揮出来ない風属性の【疾風】が牽制面では他の追随を許さないくらい優秀だから出来る事なんだけど。


 ビー達の連続攻撃をヒラリヒラリと(舞い散るように)回避していく、次の回避の為のマージンも十分に取れている。これは、確実に俊敏の効果だよな…シリーズボーナスにマジで感謝だ。


 フォローを繰り返すしなくても良い分、前回カゲロウとヒナタの三人で来た時よりも動きが軽快にして感じる。勿論、相手の攻撃のタイミングや攻撃の質を見抜く《見破》スキルをフル活用しているお陰も有るのだろうけどな。


 だって、魔物の行動の一手…いや、二手先が視えている気がするのだから。まぁ、あくまでも気がするだけで…実際のところ(真実)は分からない。





 『おや?おやおや?もしかして今日は当りの日か』

 普段から運の悪い僕としては珍しくラッキーな事に一回目から氷と火のビークィーンのご登場。あれ?でも色が…微妙に…


 『うん!?ちょっと待て~~~!!どう言う事だ?』

 驚き叫ぶ僕。


 それもそのはずで、現れたビークィーンの属性が氷と火ではなく風と雷になっていた。さっきの発言を訂正する。全然全く当りの日では無い。むしろ大ハズレだ…何か、僕はいつもと違う事でもしたのか?隠しレアボスのそのまた隠し?そんなの他のゲームの噂ですら聞いた事が無いぞ。


 そして、ついでに一つだけ分かった事も有る。僕は今日も今日とて不運。これだけは確かだろう。


 目の前の風と雷のビークィーンから、僕一人を目掛けて強力な暴風と落雷の攻撃が五月雨(さみだれ)ている。攻撃速度は、氷や火のビークィーン程では無いけど、その攻撃範囲が広くてウザイ。


 攻撃自体はまだ一発も喰らってないので、正確には分からない。だけど、木々が乱れ散っていく周りの惨状から、その威力がかなり大きい事は喰らわなくても想像出来る。


 多分、昔話とかに出てくる風神と雷神もこんな感じだったんだろうか…これを前にして、昔話の主人公はよく戦おうと思ったよ。マジで尊敬(リスペクト)するよ。


 …と言うか、今の僕が相手にしているのが風属性と雷属性…手持ちの銃の属性からすると、合体されたら僕は詰んでないか?そもそも、その前にどちらか片方(一体)でも倒せるのだろうか?


 鞄の中には【デルタシーク】が一丁だけ有る。でも、その一丁だけではかなり無理ゲーだろ。


 右手の【疾風】を鞄から取り出した【デルタシーク】に持ち変えて、風のビークィーンを射撃していく。MPを惜しまずアーツを多用しているけど、思った通り大したダメージは出ていないな。ここは、もう逃げようか…


 『うぇっ!?』

 逃げる事を考えて、改めて思い知らされ、突き付けられる現実。


 これは、かなり(目に見えて)ピンチだ。逃げようとエリアを確認したら進入可・脱出不可になっていのだ。


 『主よ、これは絶体絶命みたいなのじゃ』

 白、お前はこんな時でもかなり冷静な対応なんだな。少しはさ、僕の事も考えようよ。少しはさ…

装備

武器

【疾風】攻撃力50〈特殊効果:銃弾に風属性が追加〉

【雷鳴】攻撃力50〈特殊効果:銃弾に雷属性が追加〉

【銃弾3】攻撃力+15〈特殊効果:なし〉

【白竜Lv11】攻撃力0/回復力121〈特殊効果:身体回復/光属性〉

【黒竜Lv1】攻撃力0/回復力100〈特殊効果:魔力回復/闇属性〉

防具

【ノワールシリーズ】防御力105/魔法防御力40

〈特殊効果+製作ボーナス:超耐火/耐水/回避上昇・大/速度上昇・極大/重量軽減・中/命中+10%/跳躍力+20%/着心地向上〉

アクセサリー

【ダテ眼鏡】防御力5〈特殊効果:なし〉

【ノワールホルスター】防御力10〈特殊効果:速度上昇・小〉〈製作ボーナス:リロード短縮・中〉

 +【マガジンホルスター2】防御力5〈特殊効果:なし〉〈製作ボーナス:リロード短縮・中〉

【ノワールの証】〈特殊効果:なし〉



《双銃士》Lv46

《魔銃》Lv45《双銃》Lv40《拳》Lv35《速度強化》Lv74《回避強化》Lv77《旋風魔法》Lv26《魔力回復補助》Lv74《付与術》Lv42《付与銃》Lv51《見破》Lv65


サブ

《調合職人》Lv19《鍛冶職人》Lv27《革職人》Lv47《木工職人》Lv20《鞄職人》Lv48《細工職人》Lv24《錬金職人》Lv24《銃製作》Lv35《裁縫職人》Lv2《機械製作》Lv1《料理》Lv33《造船》Lv8《家守護神》Lv3


SP 35


称号

〈もたざる者〉〈トラウマ王〉〈略奪愛?〉〈大商人〉〈大富豪〉〈自然の摂理に逆らう者〉〈初代MVP〉〈黒の職人さん〉〈創造主〉〈なりたて飼い主〉

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