★白(しろ)
『…それで、どうですかね?』
目の前のトウリョウさんに対して、いつにもました真剣な眼差しで見詰めるシュン。知らない人が端から見れば告白に対する返事を待っているように見えなくもない。
『率直に結論から言わして貰うとや、現時点では風呂を作るのは無理や。これでも色々な方法を考えてみたんやけど、お湯を張るっちゅう機能だけが、どう試行錯誤しても付けれへんねん。だから、このまま風呂の形だけを作っても水風呂になるだけやな…多分やけど、ウチの《木工》スキルのレベルが足りてないんやと思う』
なるほど、それは考えてなかったな。
でも、これは《造船》の時に遭遇した浮かばない筏と同じ系統の問題じゃないのか?もしかすると、風呂を作る為だけの特殊な複合スキルが必要になってくる可能性は有るよな。まぁ、僕以外に需要が有るのかは分からないけど。
オークション終了から五日目。トウリョウさんに少し時間をくれと言われたので待っていたのだけど、結果的には惨敗と言う感じが否めない。だけど、この結果はトウリョウさんが僕の我が儘を真面目に聞いて、真剣に考えてくれたから出ているので、それだけでも感謝だよな。
『お湯ですか…それは、また難問ですね』
勿論、ギルドホーム備え付けのキッチンに有る蛇口からは温かいお湯は出る。だが、それ以外の場所では水しか出ない。これは【noir】のホームだけでなく、街の工房等も含めたトリプルオー全体を通して共通の事柄だ。
なので、どうしてもお風呂に入りたかったら、キッチンのシンク部分を人が入れるくらいに巨大化する風呂無しアパート擬き案とか、キッチンから水風呂へとバケツで直接お湯を運ぶ火事場のバケツリレー案は考えられるのだけど、それだと全く風情が無いんだよな…と言うか、お風呂に最も入りたい僕自身が一番嫌だ。
お風呂造りの最初で最高の難問にぶち当たり、露天風呂計画が潰えそうなのだけど、今回は絶対に諦めたくはない。確かに以前の僕なら諦めたかも知れないけど、最近になって改善策の見えた《造船》が有るのだ。これを経験した今の僕のなら諦めようにも諦め切れない。
それに、これから冬もやってくるだろうし、なによりも僕がお風呂でリラックスしたい。まぁ、トリプルオーの世界に四季が有るかは別の話なのだけど…
『分かりました。【noir】でもその辺りについて少し検討してみますよ』
絶対に何かしらの方法を見付けてやる。それが、見付けにくい新種の複合スキルだったとしてもだ。僕は心の中で強く宣言した。
『本当にすまんな。出来る事なら、シュンの夢を叶えてやりたかったんやけど、今は無理や。そやけど、これからも手伝える事が有ったら、いつでも言うたってな』
そう言い残してたトウリョウさんは、【noir】の真正面に引っ越して来た【カーペントリ】の新しいホームへと帰って行く。
複合スキル検証等の協力体勢…生産ギルド組合【繰永人】(※人は永遠に繰り返すと言う生産活動に有りがちな行動に対する漢字と英語のcreateのスペルをかけて、トウリョウさんが最近考えた)を築いた事も有り、普段から仲の良い【プレパレート】の横…つまり【noir】の前に引っ越して来たらしい。まぁ、有言実行と言うか、ホームの規模も以前より大きくなっているけどな。結果的に僕達としても、色々な面でかなり便利になったのだから、何も言う事は無いだろう。まぁ、始めに聞いた時は、かなり驚いたんだけど。
『ヒナタ、カゲロウお待たせ。じゃあ、造船所に行くか』
色々な意味で少し待たせてしまったよな。
『はい。今日も頑張りましょう』
僕達三人は、今日も今日とて造船所へと向かう。
本当に少しずつだが《造船》作業も進んでいる。残りのメンバーは残りのメンバーで、氷火のビークィーンを狩りに【ヴェール】に向かっている。ちなみに、氷火のビークィーンは、以前に僕が苦しめられた合体クィーンの正式名称だ。
狩りメンバーの目的は、御神木の採取。今までは、倉庫で置物と化していた御神木だが、《造船》スキルで使える事が分かり、レベル上げを兼ねて採取に行っている。いまだに、合体クィーンの出現条件が確定していないので、御神木も採取出来たり、出来なかったりの繰り返しだが…討伐の挑戦回数をこなすことで、少しずつだけど確実に在庫数も増えていた。
船本体を製作する《造船》スキルは三人しか取得していない…だが、製作自体はギルドメンバー全員の協力が必要になってくる。錨等の金属部分で《鍛冶》でフレイ、帆等の革や布の部分で《革製作》と《裁縫》でアキラの力も必要になっている。勿論、今回の《造船》に付属する製作関係スキルを所持していないケイトも狩りや《家事》(その他の雑用も含む)で活躍してくれている。
つまり、《造船》スキル単独では、今現在大絶賛製作中の帆船は造れないようだ。まぁ、皆で使う船だから、皆で協力して造る方が楽しくて良いんだけどな。
ライトニングと言うのは、昔のイギリスに実在していた帆船の名称で、ヒナタが一番愛してやまない帆船らしい。まぁ、オークションが終わると同時にヒナタが書き起こしてきたデザイン案を初めて見た時に僕達も一目で気に入ったんだけどな。名前も、そのままのライトニングが採用されている。
ちなみに、ライトニングを製作している造船所には、ヒナタが【蒼の洞窟】と何の捻りもない名前を付けたと言う黒歴史(ヒナタ自身が思っているだけで、誰も気にしていない)が有る。これに関しては、少し緊迫した会議中にカゲロウの急な無茶ぶりにパニックになりながらも慌てて対応した結果なのだから、有る意味で仕方が無いだろう。それに、どう転んでもここの事は造船所としか呼ばないのだから、ヒナタ自身が気にする黒歴史が再び表に出る事はないだろう。
『やっと、基礎部分が出来ましたね』
『ヒナタ、これベースと言うか…言い難いんだけど、ただの骨組みじゃないのか?』
まだ、船の形すら見えてこないライトニング。目の前に有るのは、向こう側が余裕で見える大きく交差した木材の塊。確かに、要所要所で曲線部分が有りベースと言えなくもないのだろうけど…素人目には、ただの骨組みにしか見えないのだから。
『シュンさん、これは…縦に一番長い木材を竜骨とそれに垂直に交わっている木材を肋骨と言いまして、船で一番大切になる基礎部分なんですよ。船の命と言っても過言では無いのです。この部分が折れると、その船は死んだのと同じだとも言われたりもします。それに、…』
『………』
『なぁ、だから、最初に言っただろ。ギルマス、前にも言ったと思うが改めて言うぞ。うちのヒナタに船関係の質問をするのは絶対にダメだ。しばらく暴走して、全く説明が止まらなくなる。下手したら、朝から晩まで喋ってる事も有るんだ。弟の俺の気持ちになってくれよ』
確かに、カゲロウから事前に重々注意されてはいたけど、こんなにも長くなるとは思ってなかった。実弟の意見は、もう少し尊重されるべきだったらしい。
すでに、軽く二十分は息継ぎを全く感じさせず饒舌に語っている。フレイがいれば漫才師のマシンガントークとでも言いそうだ。これが僕達の興味の有る事だったなら、この流暢な話は逆に賞賛されていただろうけど、さすがに内容も専門的で分からなくなってきた。
『カゲロウ、本当に悪かった。次からは絶対に気を付ける』
まぁ、このヒナタの凄いところは話の内容や好きな物に対する知識ではなく、饒舌かつ丁寧に僕の方を見ながら語っていても、作業する手が止まる事は無いところだろう。
女の子にしてはかなり珍しい事だと思うけど、小さな頃から船のプラモデルや船の模型造りで慣れているようで、細かい部分の作業にも手を抜く事は無い。まぁ、密かな趣味がボトルシップ作りらしいので手先も器用なのだろう。
ただ、【noir】が運用する船の規模としては、もう少し小さくても良いのではないかと個人的には思っている。だが、《造船》リーダーのヒナタが言うには、このサイズの方が速度を出しても安定走行も可能らしく、色々な面で便利なのだそうだ。そうヒナタに言われると、知識が遥かに少ない僕達に否定出来る根拠は無い。
まぁ、この中で一番船に詳しい《造船》リーダーが言うのだ。多少の問題は有っても絶対的な間違いは無いだろう。仮に間違いが有るのだとしても、僕達には否定する根拠が無いのだから…大切な事なので二回言わせて貰った。
『おい、ヒナタ、次は何の作業をすれば良いんだ?』
でも、そろそろ止めさせて貰おうか。ヒナタの作業は止まってないけど、僕達の作業は止まっているし、ぼ~っと立っているのも芸が無い。それに、呆れ返っているカゲロウが不憫でならないからな。
『…あっ、はい。えっ~と、次は舷…船の側面の部分になりますね。昨日準備しました板材を私が加工していきますから、シュンさんとカゲロウは下から順に上へと張っていって下さい』
ヒナタから、加工済みの板材を渡された。
《造船》を始めてからの作業手順は、ヒナタが木材を加工する。その加工済みの木材や板材を僕とカゲロウがヒナタの指示通りに組み立てていくと言うものだ。
ちなみに、僕とカゲロウはヒナタの書いた設計図をほとんど全て理解出来てない。《造船》スキルの恩恵で船の各部の名称や、その用途がギリギリ分かる程度だ。なので、この船を造るにあたっては釘等は一切使用せずに全て木材に複雑な窪みを彫り込み、その木材と木材を噛ませる形で組み立てている事の素晴らしさもいまいち理解出来てない。まぁ、僕とカゲロウがヒナタの手足として動く分には全く問題は無い話なのだけど。
『ほれ、お土産の御神木とオマケの木材類や。今日も色々と大量のはずやで、確認したってや』
ホクホク顔を見せるフレイ、アキラ、ケイトの三人。その表情から推測するに、そうとう良い狩りが出来たのだろう。
そのフレイ達三人が大量の木材を次々と鞄から取り出していく。ただ、残念なのは誰一人として《木工》や《調合》を取得してないので、木材の種類は分からない点だろう。ただし、御神木だけは採取出来るポイントが固定なので、採取出来た事が分かっている。まぁ、そうじゃないと採取自体を頼めないんだけどな。
『皆、お疲れ様。じゃあ、次は僕達が行って来るよ』
今日で夏休みも終わりだし、たまには僕達も狩りをして体を動かしておきたいし、さっきまで狩りに行っていた三人にも他の事を楽しんで貰いたい。
『それなら、ウチらはホームで船で使う細かいパーツでも製作しとくわ』
三人との入れ代わりで、今度は僕達が採取に向かう事になった。
『ゆき、またはちさんたちのところにいきたいの』
その隣では、雪ちゃんがアキラにお出掛けを伝えている。
どうやら、今度は僕達に付いて来るらしい。その雪ちゃんに対して、約束事や注意点を何度も確認しているアキラの様子を端から見れば、母親と娘にしか見えないだろう。
えっ!?父親役が誰かって?それはご想像にお任せする。まぁ、僕としてはアキラがシングルマザーにならなければ、父親役が【noir】の誰であっても良いと思っている。誰が父親であっても優しい父親になるのだから。
あまり街の中には連れて行ってあげられないので、雪ちゃんはお出掛けする事が好きだ。普段から、ちょっとしたチャンスを見付ければ一緒に付いて来ようとしている。まぁ、最初にダメだと伝えてある、街の中心部には無理に付いて来ようとしないし、一度ダメだと言った場所については再びおねだりもしない。それが分かっている僕達は雪ちゃんにせがまれると断れなかったりもする。
オークションの時に、雪ちゃんがギルド以外のプレイヤーにバレなかった事も有り、アキラは雪ちゃんを普通にフィールドエリアでの採取や街の外れでの買い物等に積極的に同行させたりもしていた。雪ちゃん自身が怖がるので戦闘に参加させる事はないけど、一緒に冒険を楽しむ事は出来るからな。まぁ、その実態はアキラ自身が雪ちゃんと一緒にいるのが楽しいと思っているからだろうけどな。
僕の方も防具を新調してから始めての狩りになる。色々と効果を試してみようかな。
『さぁ、ギルマス。早く、早く行こうぜ』
すでに準備万端で僕達を急かしてくるカゲロウ。こう言う時の男は準備に時間は掛からない。勿論、僕も含めて。
多分、カゲロウも僕と同じで外の空気も吸いたかったのだろう。さっきまでよりも顔がイキイキしているのがはっきりと伝わってくる。
だけど、ヒナタの方はもう少しかかりそうかな?まぁ、女の子なら準備に時間が掛かっても仕方の無い面も有るだろう。
『少しだけ待っててくれ、ホームに寄って皆からの竜髭で【魔銃】を作ってくる』
狩りに出る予定が無かったので、【魔銃】の製作を後回しにしていた。だが、ビークィーンを安全に相手するなら、もう一丁【魔銃】が必要だよな。まぁ、メニューから製作出来るから、そんなに待たせる事も無いだろう。それに、ヒナタの準備にも充分な時間が取れる。まさに一石二鳥(カゲロウ以外)だな。
そうと決めた僕はゲートでホームに移動する。すかさず工房へと移動して、リストの中から【魔銃】を選ぶ。
『おっ、出来た。出来た…出来たんだけどな』
素材を集めるまでに苦労した時間に対して、なんとも短い製作時間。そこには、その事を少し虚しく感じる僕がいた。
【魔銃】の誕生を僕は長らくお待ちしてましたよ。これで、念願の【魔銃】の二丁持ちで戦える。それに、リロードの事を考えなくても済むので、MPにさえ気を使っておけば、半永久的に連射が出来る、まさに夢のような仕様だからな。
僕は【魔銃】製作のついでに、新規リストもチェックする。
『うん!?』
その中には…
【白竜・魔銃】
必要素材
魂魄
蒼魔石×10
翠魔石×10
緋魔石×10
竜の牙
【魔銃】
【雲水】
【霧氷】
これまでよりも遥かに多くの素材を必要とする一丁の銃が表示されていた。
『あれ?』
さらに不思議な事に、竜の牙と言う素材を僕は所持していないにも関わらず、この【白竜】は製作出来る。絶対におかしい。これは、何かしらのバグか?
倉庫や【by buy】で買い取ったアイテムを何度確認してみても、やはり竜の牙と言うアイテムは【noir】内に存在しない。
それに、(主に素材の準備に)苦労して作った貴重な【魔銃】も材料になると言う悪循環。まぁ、幸い。竜髭は皆のお陰で残り三つも有るし、改めて【魔銃】が必要ならもう一度作れば良いだけなのだけど。
ちなみに、魂魄と言うアイテムは初代MVPの報酬で貰った物だ。今まで全く使いようが無く倉庫の奥の方で密かに眠っていた逸品だ。まぁ、魂魄と言う名前だけは少し前に分かっていたんだけど。こちらは五つも有るので、一つくらいは使ってみても構わないだろう。
『まぁ、何よりも取り敢えずは作ってみようか』
普段なら、レア素材の使用には躊躇するところだけど、この場合は、その素材の価値すらも好奇心には勝てないらしい。どのみち、一度は製作しないと次のリストが現れないのだから。そう心の中で自分自身に対して言い訳をしながら…
『そ~れ!!』
僕はリストの中の唯一の銃【白竜・魔銃】を選択する。
すると、今までとは違い目を開けているのが辛くなるような夥しい光量を放つ真っ白な光に僕は包まれた。
【白竜Lv1・魔銃】攻撃力0/回復力100〈特殊効果:身体回復/光属性〉※譲渡不可
スキル《魔銃化》/《魔獣化》/《成長》/《心話》
※ユニーク
そして、光の嵐が過ぎ去った僕の目の前には、鱗のような模様の入った僕が包まれた真っ白な光にも負けないくらいの真っ白で綺麗な銃が出来上がっている…
『えっ!?』
…のだが、その程度で《銃製作》に慣れた僕が驚くはずがない。驚いた理由、それは…
なんなんだ?この銃は…どんな武器にもあるはずの攻撃力は0だし、武器にも関わらずプレイヤーみたいにレベルやスキルが有るし、挙げ句の果てには…
『この回復力って、一体何なんだ~~~』
最後の最後に思わず叫んでしまった。僕は、こんなサプライズを受けて我慢出来るほど器用では無いし、度量も無い。
『五月蝿いのじゃ、少しは静かにするのじゃ』
僕しかいないはずの工房で聞こえてきた一つの声。勿論、僕の声ではない。
『…えっ!?あっ、すみません』
その声に思わず、普段通り低姿勢な返事をするシュン。
いや、ちょっと待て。今声が聞こえたのって目の前にあるこの銃からじゃなかったか?いや、いや、いや、いくらここがトリプルオーの中でも、そんなバカげた話が有る訳が無い。きっと僕の空耳に決まって…
『えっ!?』
僕が瞬きをして目を離したほんの一瞬の間に【白竜】が消える。
『うそ!?』
僕は必死に辺りを見回す。だが、いくら辺りを見回しても【白竜】は見付からない。もしかして、今の出来事は夢だったのか?なるほど、きっとそうだよな。銃が喋るとか、普通は有り得ない。《造船》で疲れてて白昼夢でも見たのかも知れないな。真っ白な光だっただけに…
『創造主よ、さっきから何を馬鹿な事を考えておるのじゃ。しょうもないのじゃ。ワシは創造主の上におるのじゃ』
間違いない。今度こそ確実に声が聞こえた。
僕が声がする方に向かって覚悟を決め、恐る恐る顔をあげると…
『………』
そこには、小さな真っ白い爬虫類?らしきものが宙に浮いている。
『何も言わんのかの?ワシは【白竜】、名は白じゃ。これでも竜の端くれなのじゃ。蜥蜴等の下等生物と一緒にするでないのじゃ』
一切声の出ない僕に対して、自己紹介を続ける。【白竜】こと自称竜の白さん。悲しいかな、僕の理解は追い付かない。
『………』
一体、僕自身に何が起こっているんだろう。僕の理解はまだ追い付かない。
だが、一つだけはっきりと言える事も有る。これは確実に雪ちゃん以上の衝撃だろう。それだけは理解出来た事で僕の理解は加速し始めた。ちなみに、僕の両手は右頬をつねりっぱなしで、両目は開きっぱなしだ。
『まだ分からぬのか、情けないのじゃ。ワシは創造主の創った銃じゃ。そろそろ、理解しても良い頃なのじゃ』
それは無理難題と言うものですよ、白さん。まぁ、取り敢えずは…
『え~っと、僕はシュン。白さんで良いんだよね、はじめまして。さっきから言ってる創造主と言うのは僕の事なのでしょうか?』
これが今の僕の精一杯。
『他に製作者が…そもそもこの場所に他に人はいないのじゃ』
やはり、目の前のコイツは僕の製作した銃らしい。
倉庫を確認してみると、【白竜】の製作に使った素材に加えて、倉庫の中で眠らせていた【龍殺しの双剣】が、新しいアイテム【龍殺しの剣・右】に生まれ変わっている。
この事から推測するかぎり、どうやら竜の牙の代わりに【龍殺しの双剣】の片方の剣を使ったみたいだな…確か、【龍殺しの双剣】のアイテム説明に二本の竜の牙を鍛え上げた云々って書かれていた気もするからな。この武器を竜の牙の代用品にする事は可能だったんだろう。
まぁ、今はそんな事よりも目の前の事態の処理が先だよな。
『えっと、僕が製作した【白竜】…この場合は白さんになるのだけど、銃じゃなかったでしょうか?さっきは銃が目の前に有ったと思うんだけど』
『どちらにでもなれるのじゃ。ワシには《魔銃化》と《魔獣化》、二つのスキルが有るのじゃ。それくらい当然なのじゃ』
そう言い残した白さんは、僕の目の前で器用?に銃の形態や竜の姿に代わる代わる変化してみせる。
『………』
その瞬間、僕の理解はまた一歩後退してしまった。
『創造主よ、驚くのは無理も無いのじゃが、いい加減に諦めて慣れるのじゃ。そもそも、創造力が無ければ創造主になるのは一生懸けても無理なのじゃ。自身が創造主になれたと言う事は、そう言う事なのじゃ。それと、ワシの事は白と呼んで、創造主が話慣れた言葉で話のじゃ』
ゲームに馴染みの少ない、しかもごく普通の一般人の僕に無理を言うな。僕はこの無理を言うなを大声で叫びたかった。一度注意されていなければ叫んでいた事だろう。こんな事態を、そんな簡単に受け入れられる事じゃないだろうが…
『創造主よ、ワシみたいな魔獣器は他にもおるのじゃ。いちいち、この程度で驚いておっては切りが無いのじゃ』
他にも、こんなのがまだいるのか…
『創造主よ、いくらなんでもこんなの扱いは酷いのじゃ』
うん!?さっきから何か変ぞ。僕は一言も話していないのに会話が成立?しているような…まさか、僕の頭の中まで分るのか?僕が、そう思ったと同時に目の前に浮かぶ白い竜が頷いた。
マジか!?もしかして、これが白さん…いや、白の持つ《心話》と言うスキルの効果なのか?
心の中で白さんと呼ぼうとしたシュンを大きな瞳でギョロりと睨み、心の中でも白と呼ばせた事に対して妙に納得顔をした白。
〔『その通りじゃ。ちなみに、創造主とワシが念じれば、こう言う形での会話も可能なのじゃ』〕
その白が、もう一度頷きながら答えてくれる。まぁ、答えてくれると言っても、僕の脳内に直接話掛けてきてるんだけどな。この機能はパーティーチャットに近い感覚だ。
『うわっ!?』
また。新しい称号が増えている。しかも、二つも同時に。
new称号
〈創造主〉
魔獣器を造った者を讃える称号
取得条件/魔獣器を造る
〈なりたて飼い主〉
魔獣器を従えた者への称号/成長称号
取得条件/魔獣器を飼い始める
成長称号とか、これまた面倒くさそうな事になってるい気がするな。
『う~ん、あのさ、一つ質問が有るんだけど、【白竜】…白は《成長》するのか?』
『うむ、勿論なのじゃ。5レベル成長する毎に出来る事も増えるのじゃ。レベル100まで成長すると魔獣器の憧れの《聖獣》になれるのじゃ』
凄いじゃろとでも言いたげに胸を張っているけど、かなり人間っぽいと言うか、喋り方のせいでお爺ちゃんっぽく感じる。
はぁ~~、もう色々と認めるしか僕には選択肢が無いのだろう。
『白、白の事はあまり理解してないんだけど、取り敢えずは分かった事にするよ。それと、僕を創造主って呼ぶのだけは止めてくれ。シュンで良いから』
『それはダメなのじゃ』
続けて、白は僕を畳み掛けるように説明しだした。
その白の話では、僕の言う事が最優先で逆らう事は絶対に出来ないらしい。つまりは、絶対的な服従関係。《心話》の方は僕と白の相互発動が可能で、さっき使った機能がどんなに離れていても可能らしい。これは、案外便利で使い勝手が良いかも知れないな。ホームの中はともかく、外に出て見た目が銃の白相手に話掛けていたら、他人から見れば変な奴が確定するだろう。ただまぁ、竜の姿を見られる可能性が低く、他のプレイヤーには僕の一人言にしか見えなところが、微かな救いだけど。
『ぬぬっ、では、主様と呼ぶのじゃ』
『それも却下だ』
主様って、僕はいつの時代の人間なんだよ。
『ぬぬぬっ…では、では、主と呼ばして貰うのじゃ。これ以下は拒否させて貰うのじゃ』
はっきり言って、主もやめて欲しいけど、創造主や主様よりは遥かにマシだろう…と言うか絶対的な服従関係はどこに行ったんだ?すでに何度か拒否を示されているんですけどね、僕は。それとも、称号がまだ〈なりたて飼い主〉だからなのか?
まぁ、どのみち僕に命令を強制する気も無いけどな。
『…分かった。今から仲間と狩りに行くんだよ。取り敢えず、人前では《心話》で会話して欲しい事と僕が許可した人の前以外では《魔獣化》は使うな。これは約束だ。その内、ギルドメンバーには伝えるから、それまでは待っていて欲しい。それと、これが一番重要な事なのだけど、仲間をかなり待たせていると思うから、急ぐぞ』
白に《魔銃化》して貰い、それをホルスターに差し込んで待ち合わせ場所の【ヴェール】へと急いだ。
この時の僕は、あまりにも白の衝撃が強過ぎて、重大なミスを侵している事に気付いて無かった。
『すまない、かなり待たせた』
僕が【ヴェール】に着くと、少しイライラ気味のカゲロウと無邪気に微笑むカゲロウとは対照的な雪ちゃん、その雪ちゃんを慈愛的な心で見守るヒナタの三人が【ヴェール】のゲート付近で待っていた。普段なら、置いてきぼりを味わっていたかも知れない。それだけの時間を僕は待たせている。
『大丈夫ですよ。【魔銃】は出来ましたか?』
『まぁ、出来た事は出来たんだけど…まずは、蜂の巣に向かおうか。案内しながら、軽く説明するよ』
単に置いてきぼりを味わわなかったのは、雪ちゃんを除くヒナタ達二人が蜂の巣へ行った事が無かっただけ。そうでなかったら、ヒナタはともかく、カゲロウは僕を置いてきぼりして先に進んでいただろう。
《探索》のスキルを持つアキラよりも魔物を見付けるのが何故か早いらしく、それほど時間を掛けずに蜂の巣まで辿り着いた。雪ちゃんにしてみれば、魔物の発見は遊び感覚なのかも知れないが、僕達的には大いに助かっているな。
『改めて確認するけど、二人は蜂の巣は始めてだよね?』
事前に聞いていた。これは確認と言うよりも、形式的なものだろう。空気を変えると言う意味合いも有る。
現に、僕の質問に二人は同時に真剣な顔で頷いた。
『注意点としては、蜂の巣では大量のビーと言う蜂型の魔物が四方八方から襲って来る。そこで、作戦はカゲロウが前衛でヒナタを守る。ヒナタは後衛から範囲攻撃魔法を使ってビーの駆除。雪ちゃんは、少し離れた場所で良い子にして僕達を見守ってくれるかな』
『分かった。任せろ』
自らの装備を力強く握るカゲロウ。
『はい、分かりました』
そのカゲロウの二歩うしろに続くヒナタ。
『ゆきもわかったの』
少し離れた高い場所にある木の枝に陣取る雪ちゃん。
三人が各々のポジションにつく。雪ちゃんは、上から辺りを見てくれている。
最後に僕がヒナタとカゲロウに《付与術》を掛けたところで、僕達はビーを狩り始めた。今回はヒナタの範囲魔法が有る為、サクサクと狩り進める事が出来る…と言うか、かなり動くのが楽に感じるし、一つ一つの動作が早い気がする。僕自身の行動と言うよりも視認してからの行動が上昇してる感じがするな。
安全マージンを充分に得て回避出来るので、今までのようにギリギリで回避すると言う事が全く無い。これが、【ノワールシリーズ】のシリーズボーナス俊敏の効果か?それとも防具の補正効果が上昇しているからだろうか?これはまた別の機会にゆっくりと検証する必要が有るな。まぁ、今はそれよりも…
『安心しろ!こいつは通常のクィーンだ。これを狩ったら一回目の休憩だ』
それなりに強いビークィーンが発見されたこの場所は、ボスを苦労して倒す手間の割に獲得できるアイテム的にはあまり美味しくない事で有名になっている。ボスがドロップする素材以外の木材なら、この場所でなくても森の中で普通に採取出来るのだから、わざわざここまで来てボスと戦わなくても…と言うのがネイルさん達《調合》や《木工》系生産職人達の言い分だ。
攻略組の皆さんからしても、ビークィーンが出現するまでに、百匹のビーを倒さなくてはいけない手間とそのあとに出現するビークィーンが経験値の低さが、この場所を敬遠する理由となっている。効率面からすれば他にも美味しくて楽な場所はいっぱい有るのだから。
それなので、獲得できるレア素材について知らないプレイヤーはわざわざここまで来ない。つまりは、独占してボスを狩り続けても文句を言うプレイヤーもいないと言う事だ。今の僕達にしてみれば嬉しい限りだな。
すでにかなりの時間をトリプルオーに使っている僕達には、いかに通常ビークィーンがボスと言っても敵では無かった。ただし、その過程で負うであろうスリップダメージを除くけどな。
『ふ~~、やっとか…』
思っていたより結構時間が掛かったな。ようやく、氷火のビークィーンの出現する兆しが見えた。
今回は特別なクィーンが出るまでに三体の通常のクィーンを倒している。時間的にも、討伐はこれが最後になるだろうな。まぁ、たんまりと御神木以外の素材も回収出来ているので僕としては満足出来ているけどな。
『カゲロウ、まずは赤い方を惹き付けろ。ヒナタは《雷魔法》で青い方を攻撃してくれ、二人とも毒だけには気を付けろよ』
そう言って、僕は効果の切れていた《付与術》を再び二人に施していく。
以前から考えていた通り、【魔銃】の二丁持ちでも《付与術》は使えた。まぁ、僕の場合は【魔銃】と【白竜】の二丁持ちになるのだけど、いくら特殊な一丁と言っても、【白竜】も【魔銃】の一種には違いない。
あと、これはレアボスとの戦闘開始直後に白に言われた事だけど、【白竜】で攻撃してもダメージが出ずに、逆に傷付いたHPが回復する効果が有るらしい。試しに、皆から見えない位置で自分自身に対して撃ってみたけど、白の言う通りの現象が起き、減っていたはずの僕のHPが回復魔法を受けたように回復した。
こう言う大事な事は、もっと早く教えて欲しいと思う。遅くとも、通常のビークィーン戦が始まる前とかには…危うく、氷火のビークィーンを普通に回復させてしまうところだったのだから。
その為、今回の攻撃には【烈火】を使っている。【白竜】ショックの為、二丁目の【魔銃】を作り損ねた事が微妙に悔やまれるな。ホームに戻ったら、もう一度【魔銃】を作らないとダメだろう。竜髭を複数落札してくれた皆には改めて感謝だよ。
〔『当然、今のも聞いてましたよね。白、お願いしますよ』〕
…だが、残念ながら、白からの返事は無かった。本当に絶対的な服従関係はどこに行った。
ちなみに、【白竜】の回復力は僕の微々たる回復魔法〈ウインドヒール〉よりも高い。【魔銃】獲得で最近出番不足気味に陥っている《拳》に続いて、《旋風魔法》も肩身が狭くなってきてる気がするな。まぁ、完全に使用していない《拳》と違って、《旋風魔法》には〈ウインドミスト〉が有るので、不必要なスキルでは無いのだけど。
そして、いくら氷火のビークィーンが強いと言っても、前回は攻撃の弱い僕一人で戦っていたからだ。今回は僕を含めて三人+雪ちゃんと白がいるのだ。最後の攻撃以外は問題が無いはずだ。そんな事を考えている間にヒナタが魔法で火のビークィーンを片付けた。
〔『主よ、ダークエルフに向けてワシを使うのじゃ』〕
〔『どうした?何か有ったのか?』〕
久しぶりに喋ったと思ったら、それか?それに何の意味が有ると言うんだよ。残念ながら、カゲロウのHPは微々たる量しか減っていないんだよ。
〔『あの男、上手くアイテムを使って隠してはおるが毒を受けておるのじゃ』〕
白に言われて、改めてカゲロウのステータスを確認する僕。
確かに、カゲロウは毒よりも強い猛毒のバットステータスを受けており、さっきよりも確実にHPが減っている。戦闘中でも少し周りを気にした方が良いのかも知れないな。
〔『白、サンキュ』〕
『カゲロウ、毒を喰らったのなら、すぐに報告しろ』
このあとに起きるてあろう事を全く考えていなかった僕は、【烈火】を【白竜】に持ち変えて、カゲロウのHPを回復させる為にカゲロウを射撃する。それを待っていたかのように、氷火のビークィーンも合体を終えた。
『ギルマス、サンキュ…えっ!?なっ!?』
回復自体は有り難いが、まさか味方に撃たれるとは思ってもいなかったカゲロウ。
『…えっ!?なんで?』
回復する事は分かっていたけど、それ以上の事が起きるとは思わなかったシュン。二人は氷火のビークィーンを目の前にお互いを見詰めて呆けていた。
そして、その二人を目掛けてビークィーンからの強力な一撃が放たれる。
『シュンさん、カゲロウ、ボーッとしないで下さい。戦闘中ですよ。〈ボルテックシールド〉』
だが、寸前のところでヒナタの魔法によって阻まれるビークィーンの一撃。
いや、今そんな事を言われても、はっきり言って困る。
〔『白、どういう事だ、説明しろ。今の射撃はHPだけじゃなくて毒まで回復したぞ』〕
真実を知るであろう唯一の人物を僕は問い詰めた。これが今の最優先事項。えっ!?氷火のビークィーン?そんなものは後回しで良いんだよ。
〔『主よ、ワシは毒の回復は出来無いとは言ってないのじゃ。回復出来るから、あのタイミングでワシを使えと言ったのじゃ。主よ、そんな事も分からないとはワシは情けないのじゃ』〕
確かに出来無いとは言っていない、言ってはいないけどな。白、お前は出来るとも言ってないんだよ。そう言う事は、本当に事前に説明が欲しい。おかげで喰らわなくてもいい余計なダメージを心に喰らったじゃないか。
〔『あとで、今出来る事を全て説明して貰うからな。これは多分、最初で最後の命令だ』〕
命令はしたくなかったけど、これは別問題だろう。
『色々とすまない。カゲロウも大丈夫か?』
カゲロウと背後にいるヒナタを気遣いながら、僕は【白竜】でカゲロウを、【魔銃】で氷火のビークィーンに射撃していく。その会もあってか、少しずつだけど相手のHPが減っているのも分かる。
『…ギルマス、あとで話が有るぞ』
カゲロウは、ヒナタを庇いながら僕を問いただしてきた。
『あぁ、色々と覚悟は出来ている』
まぁ、普通はそうなるだろうな…そもそもの話、僕は普通に使ったけど銃による射撃で回復している事自体に疑問が有るだろう。それなのに、自身の所持アイテムでの回復に問題の有った状態異常までが綺麗さっぱり回復したのだから。
こうなってくると問題はどこまでを話すかだよな。ただ、残念な事に、僕も他人に対して答えれる程に理解していないんだよな。
『だが、その前にそろそろ最後の一撃が来るぞ。カゲロウとヒナタは僕のうしろに下がって防御に専念だ』
そう指示して僕は《付与術》で防御と回避を強化し、射撃でビークィーンの残り少ないHPを削っていく。
ビークィーンの方も、毎度お馴染みになりつつある最後の一撃の為に魔力を溜めだした。
徐々にだが、辺り一帯の大気までを凝縮したかのような大きさの氷塊を形成している。やがて、その氷塊は炎を纏い形を保てずに音を立てて爆発し、またもやこの世の終わりのような光景が現れた。
し・か・し、だ。今はレベルとそれに伴った速度と回避がかなり成長している。勿論、それには防具の性能とボーナス、《付与術》を含まれている。
調子良く順調に、ビークィーンからの炎を纏った氷弾を避けていく。これなら、問題は無い…
『うぐぐっ…』
完全に考えが甘かったシュン。ビークィーンの炎を纏った氷弾は後半に成るにつれて激しさを増して、ついには回避しきれずにその一撃を喰らってしまった。
やっぱり、これ全部は絶対に回避出来ないよな。だけど、個人的には、かなり惜しいところまで頑張ったとは思う。それもそのはずで、防御に専念していたはずのカゲロウが瀕死になっているにも関わらず、僕の方は以前とは違いHP的に大丈夫な事は勿論、喰らったのが一発のみと言う快挙なのだから。
その事を喜ぶより暇もなく、僕は【白竜】の連射でカゲロウ達を回復する。流石に今度はヒナタにも分かったらしく、驚いた顔で固まっている。
まぁ、氷火のビークィーンは倒れているから、ゆっくり驚いてくれても良いんだけど…ただ、皆さん、この場所にきた目的は氷火のビークィーン討伐ではなく、今から行う採取なんですよ。
…と言うか、よくよく考えれば、氷火のビークィーンを前にして呆けると言うのは危険極まりない行為だよな。あの時注意してくれたヒナタには改めて感謝だな。
〔『主よ、あれは本当に危険じゃったのじゃ。ワシは二度とご免なのじゃ』〕
実際のところ、いつまでも白の事を【noir】のメンバー相手に隠し通すのは僕には無理だろう。ここはカゲロウとヒナタだけでなく、皆一緒に説明した方が早いかも知れないな。
〔『それは悪かったな。それと、あとで皆に紹介するから、白は自己紹介でも考えてろ』〕
〔『主よ、了解なのじゃ』〕
『カゲロウ、ヒナタ、言いたい事も聞きたい事も色々有るんだろうけど、まずは採取してからだ。話しはホームに戻ってから皆と一緒にするからな』
覚悟を決めたはずの僕も、上手な言い訳を考える時間は欲しい。こうやって採取を挟むくらいは丁度良い気分転換にもなるだろう。
当然、二人は納得してない顔を見せながらも黙って頷き、採取に取り掛かってくれた。たまに、チラチラとこちらの様子を伺ってくるくらいはご愛嬌だろう。
例の如く、氷火のビークィーン戦後に出現する隠し採取ポイントから御神木の採取が出来ている。毎回採取出来る数が十本丁度なので、これはデフォルトなんだろうな。はてさて、皆には何から話したら分かり易いのかな…
そう楽しい楽しい採取活動から、過酷な未来が待つ現実へと戻ってくるシュンだった。
僕達がホームに戻ると、すでに他の三人はリビングの自分のお気に入りの場所に座って待っている状態だった。雪ちゃんもホームに戻るなり僕達から離れて、アキラの膝の上に行儀良く座っている。その全ての視線は帰ってきたばかりの僕達三人…いや、僕一人だけを見詰めている。
…と言う事は、ヒナタとカゲロウのどちらか、または二人共がコールかメールで連絡したみたいだな。僕としては皆を呼び出す手間が省けて都合は良い面と言い訳をまとめる時間は減って困る面との板挟みだけど。
『さぁ~て、ギルマス。全てを洗いざらい吐いて貰おうか』
まるで刑事ドラマ等で見かける取調室でのやり取りのような雰囲気を醸し出す、いつになく威圧的なカゲロウ。そして、マジックミラー越しに別室で控えるベテラン刑事のような眼差しをマジックミラー無しで見せ付けてくるアキラ達四人。あとはカツ丼でも有ればシチュエーションとしては完璧。この場で唯一の例外となる雪ちゃんの天使のような笑顔だけが僕の救いだな。
仮に僕が犯人なら、やっていなくても間違いなく自供していたはずだ。まぁ、今回はやっているんで犯人に間違いないんだけど。
それに、あれだけの事が起きたて、仮に僕が逆の立場だったら気になってしまうので、これも仕方が無いよな。
『う~ん…洗いざらいと言われても、僕も困るんだよ』
『何が困るんだ?』
より一層眼光が鋭くなるカゲロウ。
『まぁ、落ち着けよ。全く話さないって訳ではないから。取り敢えず、もう出て来て良いぞ。白』
そう言って、僕は【白竜】を皆の前にある机の上に置いた。
その行動に対して、白の存在を知らない皆は最初同じように首を傾げていたけど…
『主よ、ワシの事はもう少し丁重に扱って欲しいものじゃ』
『『『『『………えっ!?』』』』です』
銃が竜に姿を変えたのを見て、唖然として皆一斉に石像のように固まった。雪ちゃんだけは、白に興味を持ったのか?すでにいつもの感じで自己紹介を済ませている。本当に小さい子って逞しいよ。
『ワシは主の造った【白竜・魔銃】の白じゃ。別名、魔獣器とも呼ばれておるのじゃ』
白は白で皆の状態はお構い無しで、雪ちゃんと話すのをやめて勝手に自己紹介を始めている。多分、皆には聞こえてないよ。
それにしても、ザックリとした自己紹介だな。全然内容が伝わってこないので少しは僕の方で補則しないと無理かも知れないな。まぁ、そう言う僕も全てを知っている訳では無いんだけど。
『…えっ~と、だな。僕が【魔銃】を作りたかったのは皆知ってるよね。最近の僕の目標だった訳だし、必要だった素材の竜髭も皆にプレゼントして貰ったから、今日狩りに出る前にめでたく製作が完了したんだよ。その次のリストが、この【白竜】だったんだけど…まぁ、今回はたまたま素材が揃っていた事も有って製作したんだよ。なので、【白竜】が出来て…白が産まれて、まだ四時間くらいなんだよ。だから、正直なところ僕も【白竜】については良く解って無いんだ。ただ、初代MVPの報酬に有ったレア素材を使っている点と今までに製作した銃自体を素材の一部に使用している点から推測すると、かなり稀少な存在だと思う。あと、僕が分かっているのは白みたいな存在を魔獣器と言うらしくて、他にも複数存在するらしい。それと、白にはレベルとスキルが有って、僕達みたいに経験値を得る事で成長するってところかな』
白の事は僕にも良く解らない存在だ。とどの詰まり、話す内容自体は思い付いた内容から話しているので、多分皆がまともに聞いていたとしても支離滅裂になっていて伝わらなかったはずだ。
『主よ、もう少し分かり易く話せないものかの』
『おい、白。自分の事を棚にあげて、白が自分自身でそれを言うのか?誰のせいでこうなってると思ってるんだ。なので、それは僕の台詞のはずだ』
そんなやりとりを十数分、数十回繰り返し時だった。
『…それで、シュン、それは生きてるって事で良いの?かな』
一番早く石像から戻ったアキラが僕に訪ねてくる。だが、その事は僕自身には判断がつかない。唯一知っているであろう当人は…
『勿論、生きておるのじゃ。これでもワシは歴としたファミリアじゃ。それ扱いは嫌なのじゃ』
僕の側からアキラの側へフッと飛んで移動する白。その事には全く動じないアキラ。その二人の間には一触即発の空気が有る。
『ファミリア?』
だが、そんな些細な事よりも、また聞き慣れない単語が出てきた。
『簡単に説明するとじゃ、眷属や使い魔の一種と思ってくれたら良いのじゃ。そちらにおる雪?じゃったかのと同じファミリアじゃ』
『えっ!?』
さりげなく、白が新たな事実をぶっ込んでくる。これには、皆よりは多少詳しい(まぁ、それでも一~二時間分の微々たるものだけど…)はずのシュンも唖然となっている。
今度は雪ちゃんも自分自身の存在に関わる事なので真剣に聞いているようだ。
『主の《見破》スキルなら、視えているのではないかの?』
『いや、《見破》では見れなかった』
すでに実際に試してもいるけど何も見る事は出来ていない。
『主よ、それは違うのじゃ。目で見るのでは無く、眼で視るのじゃ。心を落ち着いかせて全てを見透かすような感じで視るのじゃ』
白は大きな二つの目を開いたり閉じたりしながら、見ると視るの違いを説明してくる。まぁ、その違いは僕には分からないけどな。
僕は白に言われた通りに再度試してみると、いつもよりも少し長く時間は掛かるが確かに視る事が出来る。ただし、この視る作業には集中力が普段以上に必要になるらしく、微妙に疲れも感じている。救いなのは、それが他者には伝わらないところだな。
『確かに白の言う通りで、雪ちゃんのステータスの一部が霊種ファミリアになっている。でも、主人の部分が僕の白のように個人名ではなくて、【noir】になっているのは何故だ?』
そこが白と雪ちゃんの最も大きな違いのように感じられる。ファミリアの種類は別として。
雪ちゃんは雪ちゃんで自分の主人が【noir】だと分かり、少し安心したのかアキラの膝の上で小さな寝息を経てて眠ってしまった。ちなみに、ファミリアの分類で言うと、白は魔獣器ファミリアらしい。
以前に僕が気付いてた部分は、《見破》スキルのほんの触りの部分だったようだ。以前に視る事が出来た時は、偶々調子が良かったとか、運が良かっただけなのかも知れないな。
『それはワシも分からないのじゃ。何か特別なイベントでも有ったのではないかの?ワシが視る限り、以前の主人は(仮)が付いておるがワシの主じゃったはずじゃ』
う~ん、僕が(仮)と言っても前の主人になっている理由は、夏のイベントで雪ちゃんに会って、形の上では拾った事になっているからだよな。そこまでは多分皆も理解出来ている。だけど…
『シュン、特別なイベントって、もしかしてあれかな?ほら、雪ちゃんにもギルドメンバーになった記念も兼ねて【ノワールの証】をプレゼントしたからじゃないかな』
『なるほど…』
その事が原因で主人が僕から【noir】に代わったのなら、僕達+雪ちゃんにとっては特別なイベントと言えなくもないし、納得出来るかも知れない。
『白やん、そのファミリアって言うんは《召喚師》の扱う《召喚獣》とは別物になるんか?』
【noir】にはいないけど、《召喚師》のジョブは野生の魔物を捕まえ、その捕まえた魔物を独自に調教して《召喚獣》として扱える。フレイの指摘は至極真っ当だろう。
ちなみに《召喚獣》は《召喚師》専用のスキルなのだが、極僅かだけ例外も存在している。例えば、騎乗用の魔物を購入するとか、《召喚師》から譲り受けるとか、etc…
『狐の姉さんよ、ファミリアと《召喚獣》とでは全く違うじゃ。《召喚獣》は《召喚師》のMPを貰って使役される魔物じゃ。ワシらファミリアは個人個人が自由に生きておるのし、主人のMPも必要としないのじゃ。それに、同じものが複数存在する《召喚獣》とは違って、ワシらは各々が唯一無二な存在になるのじゃ』
白の説明を真剣に聞き続けるフレイ。
その後もいくつからの質問をして、その都度納得したような面持ちで頷いているところを見ると、取り敢えずはフレイも納得したらしい。確かに、白の言いたい事は分からなくも無いからな。
『ギルマス、そいつの事は分かったけど、それよりもあの時の回復の件はどうなったんだ?』
フレイの質問攻めと、それに対して不躾ながらも真摯に答える白によって終息を迎えかけていた議題が、カゲロウの一言で再び燃え始めた。
寝ている雪ちゃんを除いて、白を含めた全員の眼が僕を見詰める。白、お前はどちらかと言うとそっち側ではなく、僕側の存在だと思うんだけどな。
白の存在ばかりに気を取られてて、完全に回復の件は忘れていたな…そもそも、回復専用の銃と言うのは有っても良い代物なのだろうか?
『話すのを忘れていたけど、【白竜】の攻撃力は0なんだ。直接見て貰ったら分かると思うけど、どうやら回復専用の銃みたいなんだよ。現状では毒の回復も出来る』
『主よ、麻痺もじゃ』
自信満々に胸を張る白。
『…だそうだ』
その白を睨み付けるその主。視線で牽制しあう一匹と一人、その思考の中では激しい論争?が繰り広げられていた。
〔『白、あらかじめ出来る事は言えって言っただろう…この他に隠している事や、言ってない事は無いのか?』〕
〔『う~む、それは心外なのじゃ。これは、隠していたのとは違うのじゃ。先程の戦いで少し成長して麻痺の回復出来るようになっただけじゃ』〕
白々しいほどのオーバーリアクション。
〔『うっ…それは、すまなかった』〕
白自身も成長するのだから、そう言う事も有りえるのだろう。まぁ、この事が本当かは分からないのだけど、否定しようにも確証がない。
『えっ!?回復専用の銃?って…シュン、それはいくらなんでも規格外過ぎるよ』
それが普通の反応だと思う。実際に僕もそう思ってるし、白の扱いには困ってる、切実に。だけど、いざ【白竜】を使ってみたら非常に便利なんだよな。《付与術》とかを使う分には、特にな。
『ギルマス、結果的に俺達は何をすれば良いんだ?』
カゲロウの一言に追随するように無言で数回頷くヒナタとケイト。
『はっきり言うと、僕には全く分かない。白からの情報以外は何の情報も無いし、どうなるかも解らない。だから…本当に悪いけど、また迷惑かけるかも知れない。だから、最初に謝っておくよ。すまない』
自分史上最大級に頭を下げるシュン。
『マスター、大丈夫なのです。マスターに関してはどんな事をしても今さらなのです。今までも色々と驚かされていますです。それに、私達はマスターのお陰で毎日を楽しく過ごせていますので、それでイーブンになりますです』
『そうですよ。雪ちゃんも白ちゃんもこんなに可愛いんですよ。こんな体験は皆さんと一緒の【noir】以外では味わえません』
ヒナタの言葉には、隣に座るカゲロウも頷いている。
『そやで、命を一から造るなんて生産者冥利に尽きるってもんや』
若干一名のかなり不本意な一言も混じってはいるけど、皆の言葉は温かくて何か嬉しい。
『皆、ありがとな』
ちょっと涙が出そうだよ。
〔『主よ、良かったのじゃ』〕
《心話》で白が呟いた。僕は何も返さなかったが、どうせ白には心が読まれているのだから、改めて返事は必要ないだろう。
『あっ、そや。シュン、一つだけ聞いてもええか?《銃製作》のリスト【白竜】の次って何か有るんか?』
『あっ!それは僕も気になるな』
驚いた僕の表情にジト目で返す【noir】の皆さん。
そんな目で見られても、白の衝撃が強力すぎて確認してないだけなんだよ。えっ~と…
『うわっ!!何これ、これって有りなの?』
『どないしたんや?』
より一層の注目を集めるシュン。ただ、シュン本人だけがその事を理解していない。それも仕方が無い事だろう。シュンの目には【白竜】以上の衝撃が有ったのだから…
『フレイ、今確認したんだけどな…リストから【白竜】が消えている。前にも説明したかも知れないけど、《銃製作》って他の生産系のスキルとは違って、メニューに表示されるリストから選ぶ方法でしか製作が出来ないんだよ。だから、【白竜】は二度と製作出来ないみたいだな。ただ、リストの方には新しく追加された【黒竜】と【???】と言う物が表示されてる。【黒竜】の方は必要な素材が【白竜】に似てるし、足りない魔石を回収してくれば製作出来るな。【???】の方は素材が全然足りてない。見た事も聞いた事もない素材の名前がズラリと大量に書いて有るから、製作は当分無理だと思う』
…と言うか、【???】は永遠に無理じゃないかな。僕は分かった事を出来るだけ皆にも伝わるように話した。最後に思った事だけを除いて。
『主よ、その【黒竜】も性格は分からんが魔獣器じゃ。もう一方の【???】も魔獣器の可能性は有るのじゃ。ただ、今の主のままでは造れないようじゃ』
『何だって!?』
再び衝撃を受ける僕以下一同。
名前が似ていて想像の範囲内だった【黒竜】だけでなく、【???】も魔獣器の可能性があると言うのか?
今の状態でも手に余り気味なのに、魔獣器が三つ?それは僕の手に余り過ぎる。それと、今のままの僕には造れないと言う言葉も気になるところだ。まぁ、多分造らないから必要は無いけど…
『シュン、【黒竜】を作れるなら早めに作ってた方が良いかもしれへんな。この世界に一本だけの武器やろうからな…まぁ、《銃製作》持っとるのがシュンくらいのもんやから、その辺の心配無いんやろうけど。白やん、《刀鍛冶》にもおるんか?魔獣器は』
いやいや、他人ごとだと思って、そんな簡単に言わないで欲しいな。
『確かに、おるにはおるのう。主にも言った事じゃが造れるかどうかは、素材云々よりも狐の姉さんそなたの創造力の方が問題じゃ。創造力さえ有れば、素材やレシピの方から狐の姉さんの元へとやってくるのじゃ』
白の発言によって、フレイのやる気が大幅に上昇したのが伝わってくる。当分の間、彼女は工房に立て籠ることだろう。
『じゃあ、白ちゃんの【noir】加入も決まったことだし、ちょっとマナさんとミナさん呼んできてくれる?』
『分かりましたです』
一番店舗に近い席を気に入って座っているケイト。こう言う場合、マナさん達を呼びに行くのは彼女の担当だったりする。特にやらせている訳ではないのにも関わらず、いつの間にか自然にそうなっていた。
しばらくしてケイトが、見慣れぬ格好をした二人を連れて戻って来た。
『えっ!?何で?』
この時、衝撃を受けたのはさっきまでとは逆で僕ただ一人。
マナさんミナさんの二人は僕がオークションで着ていた物にそっくりな【執事服】を着て現れたのだ。これ、僕のオークション用だけでは無かったの?本来予定していた使い方もするの?だったら、あの時着なくても良かったんじゃないないのか?
『他にも洋服を作って渡したんだけど、二人共が執事服を制服に選んだんだよ。なんでもね、シュンがオークションの時に着てたのが格好良かったんだって。シュン、良かったね。それと、雪ちゃんにも色々作って渡してるから、しばらくはファッションショーになっちゃうかな』
そう言われて、雪ちゃんを確認すると、いつも着ていた服とは違う物を身に付けていた。これについては、色までが違っているので言い訳のしようがない。
〔『主よ、女心が全く分かってないのじゃ』〕
〔『いや、言われなくてもそこは理解したから、少し黙っててくれるかな』〕
いや、待てよ。それだけ白の衝撃が強かったと言う事ではなかろうか?
〔『主よ、ワシのせいにするのは何か違うのじゃ』〕
〔『ですよね~』〕
ちょっと思ってみただけで、その事も僕は理解出来ているんだよ。
『うん。二人共良く似合ってるよ(僕よりも遥かに…)。アキラもありがとう』
店舗コンビの二人は一言だけ僕にお礼を述べて店舗に戻っていった。最初から制服のお披露目する為だけにリビングまで来たらしい。休憩中は普通に僕達と砕けた会話もするけど、仕事中の二人は物凄く真面目で、勤務中は仕事に集中したいらしい。以前にそう宣言されているので、ここでの追及は誰もしない。
『それとウチからも少しええか?明日から皆学校やろ?《造船》は土日にまとまった時間を取って皆でやらへんか?シュンに頼まれた検証やお客さんからの依頼も有るし、ウチは毎日《造船》の手伝いばっかりは出来へんねん。勿論、ウチはヒナタが《造船》したいのも分かってるんやで』
フレイにしては珍しく申し訳なさそうに話す。
『そうですね、それが良いと思います。《造船》は急いでませんからね。私も、少しずつ皆さんと一緒に作る方が楽しいです。それに、私とカゲロウも平日はそんなに時間が取れませんから』
ヒナタがそれで良いなら問題は無いだろう。それに、僕達も平日はログイン時間が合わない事が多い。だけど、これだけは聞いておきたい。
『フレイ、それで本音は?』
『…うっ、それを改めて言わんでも分かるやろ。ウチも魔獣器が造りたいだけや。シュン、そんな意地悪せんといて~や』
その本音に対して、少しばつの悪そうなフレイが答えた。その答えに僕を含めた皆が一斉に笑いだした。その笑いで苦笑いになるフレイ。
『フレイ、シュンから頼まれた検証って私達も手伝える事なの?』
なので、このアキラからの質問には空気を変える意味合いも有った。
『そやな、そんな難しい事やないんやけどな…』
その事を察しているフレイは、僕が発見した防具のシリーズボーナスの件を丁寧に話していく。それを兼ねて防具を新調していく事も。
『そんな事になってたんだね。シリーズボーナス?確かに、それなら防具の新調は確かに必要かもね。それって皆の分作るの?』
『一応、オークションの時のお礼も兼ねて全員分を作る予定だけど、シリーズボーナスについては不確定要素が強いかな。まぁ、服系はアキラに全員分の型紙作って貰おうと思ってるけどね』
その事についてアキラは、すぐにOKを出してくれた。これで【noir】は、しばらく平日の間は防具の新調に時間を取られる事だろう。僕としては防具の新調よりも新しいシリーズボーナスの発生が楽しみだ。
装備
武器
【烈火】攻撃力50〈特殊効果:銃弾に火属性が追加〉
【雷鳴】攻撃力50〈特殊効果:銃弾に雷属性が追加〉
【銃弾3】攻撃力+15〈特殊効果:なし〉
【魔銃】攻撃力40〈特殊効果:なし〉
【白竜Lv11】攻撃力0/回復力121〈特殊効果:身体回復/光属性〉
防具
【ノワールシリーズ】防御力105/魔法防御力40
〈特殊効果+製作ボーナス:超耐火/耐水/回避上昇・大/速度上昇・極大/重量軽減・中/命中+10%/跳躍力+20%/着心地向上〉
アクセサリー
【ダテ眼鏡】防御力5〈特殊効果:なし〉
【ノワールホルスター】防御力10〈特殊効果:速度上昇・小〉〈製作ボーナス:リロード短縮・中〉
+【マガジンホルスター2】防御力5〈特殊効果:なし〉〈製作ボーナス:リロード短縮・中〉
【ノワールの証】〈特殊効果:なし〉
《双銃士》Lv44
《魔銃》Lv43《双銃》Lv39《拳》Lv35《速度強化》Lv73《回避強化》Lv75《旋風魔法》Lv26《魔力回復補助》Lv73《付与術》Lv40《付与銃》Lv50《見破》Lv63
サブ
《調合職人》Lv19《鍛冶職人》Lv27《革職人》Lv47《木工職人》Lv20《鞄職人》Lv48《細工職人》Lv24《錬金職人》Lv24《銃製作》Lv35《裁縫》Lv25《機械製作》Lv1《料理》Lv32《造船》Lv8《家事》Lv60※上限
SP 52
称号
〈もたざる者〉〈トラウマ王〉〈略奪愛?〉〈大商人〉〈大富豪〉〈自然の摂理に逆らう者〉〈初代MVP〉〈黒の職人さん〉〈創造主〉〈なりたて飼い主〉




