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青春の罪  作者: 綾咲 彩希
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青春は何気に死亡フラグ多い

第二章青春は何気に死亡フラグが多い


俺たちは、いったん教室に戻ることにした。あの場にとどまっていると気が触れてしまいそうだった。出来れば忘れてしまいたい。だが、あの光景は脳裏から離れず、ずっとつきまとって来る。並べられた四肢。溶けた顔。自殺ではないのは明白だった。自殺だとしても誰かが手を貸している。地面に書かれたメッセージ

≪ゲームをしよう。犯人を当てるゲームだ。簡単だろ?≫

 ふざけるな。何がゲームだ。人の命をなんだと思って居る。そんな気持ちを喉の奥でぐっと堪える。ここで、叫んでもなんの意味も持たない。

 小人と友人は教室に戻ってからもふさぎ込んでいる。

 重苦しい空気の中、奇人は小さな声で言う。

「とりあえず、警察に連絡をしないかい?」

 奇人の言う通り、これは学生の手では負えない事件だ。手に余る。

「そうよね、誰か携帯持ってない?」

 番人が確認するが誰も声を上げない。誰も持っていないのだ。

「なら、外に出ましょう。それが確実だわ。」

「そうだな、皆動けるか?」

 番人と鬼人は顔色が悪いがちゃんと立てている。奇人はふらふらしているが歩くことに問題はないだろう。問題は…

「小人、友人。立てるか?」

「…なんとか大丈夫です」

 友人の顔色は真っ青だった。とても大丈夫には見えない。

「番人、手を貸してやってくれ。」

「いえ、大丈夫です…番人さんも顔色が悪いのでいけないです。迷惑はかけたくないです」

 友人は、一人で歩き始める。友人のいつも明るい元気な性格はどこにも見えない。

「小人は、立てそうか?」

「大丈夫よ」

 小人は、そう言いながら手をこちらに手を伸ばした。どうやら、立たせろという事らしい。俺は、手を掴み小人は立たせた。

「さ、行くわよ。さっさと警察に連絡して犯人を裁いてもらいましょう」

 

 俺たちは、高校三年生の階は三階になる。うちの学校は西棟と東棟に別れている。東棟は職員室や特別室などは全て東棟にある。西棟から東棟に移る為には、三階から下に行かなければならない。移る為の廊下が二階と一階にしかないからだ。靴箱などは、一階の西棟から東棟の廊下まで下りなけばならない。

 一階まで下りると、どっと疲れが押し寄せてる。恐らく、安心してしまったのだろう。ようやくこの現状から解放される。そんな気持ちが俺の緊張感を解いてしまった。

 番人が廊下の鍵を開け、ドアに触れて開けようとするが

「あれ?」

「どうしたのよ。さっさと開けなさいよ」

「開かないのよ」

「そんなはずないじゃないか」

 小人と奇人がドアに触れ開けようとするが、びくともしない。

「仕方がないから他の所を」

「待ってくれ」

 俺は、番人の言葉を遮り自分の考えを説明した。

「番人の言う通り、他の所なら空いているかもしれない。だが、ここまで来る道中窓は全て閉まっていた。夜中なのだから当然だが、なら俺たちはどうやって入った?内に入った後で鍵を閉めるのは誰にでも出来る。だが、入る時はどうしたんだ。」

「なにが、言いたいんだい」

 奇人は、まどろっこしい言い方をする俺に怒りを見せた。でも、扉が開かないことで一つの疑問が生まれた。どうか、気のせいであってくれ。確認の為には、鬼人の力が必要だ。俺は鬼人に願った。

「鬼人、割れた弁償は俺がする」

 ドアを本気で殴ってくれ。

 鬼人は、こくりをうなずき拳を握る。そして、大きく振りかぶりドアを殴った。鬼人は俺たちの中では大男で力が一番強い。ガラスで出来たドアなんて余裕で壊せるだろう。だが、ドアはびくりともしない。鬼人は、諦めず何発も殴る。しかし、びくりともしない。

「鬼人、ありがとう。」

 鬼人は手を止めてくれる。その拳は、血が滲んでいる。奇人がぺたりと座り込んだ

「俺たちは、閉じ込められたんだ。犯人に」


 俺たちは、無駄と知りながらも確認の為、小人、鬼人、奇人たちは西棟の廊下、俺、番人、友人は教室の窓などを調べ上げた。どこも開かないまま時間だけが過ぎ、俺たちは自分たちの教室に戻ることにした。皆を椅子に座らせ、俺は現状の説明から始めた。

「まず、現状の俺たちは閉じ込められている。外に繋がるドアも廊下の窓も開かない。」

「そんなことわかってのよ!だから、どうやって外に出られるの。てか、犯人って何?」

「皆も見ただろう。廊下にあるメッセージを」

 俺は、廊下に向かって指を指した。そこにあるメッセージ

≪ゲームをしよう。犯人を当てるゲームだ。簡単だろ?≫

「これは、多分ゲームだ。犯人と呼ばれる人物が仕組んだゲーム。方法は分からない。俺たちをどうやって連れて来たのか。どうやってこの密室を作ったのか。」

 分かっているのは、犯人の存在だけだ。

「なら、どうするの探偵気取りで犯人を捜すの?ばっかみたい。時間が経てばそのうち警備員が来るし、朝になれば生徒や先生が来るわ。犯人捜して危険な目に合うより、ここに籠城して待っていた方がずっと賢明だわ」

 小人は、怒りに任せて自分の考えを披露した。だが、

「小人…」

「なによ」

「今、何時だ」

「自分で確かめればいいじゃない」

「いいから!!」

 小人は、教室の時計を確認する。

「…ッ‼」

 小人だけではなく奇人も絶句する。

「時計…ない」

「そうだ、存在しないんだ」

「別に時計がこの教室に無いからって他の教室にも」

「どこにも存在しないんだ!!」

 俺は大声で叫んだ。友人がびくりと肩を震わせた。この教室には時計が存在しなかった。いや、どこの教室にも存在しなかった

「べ、別に時計が存在しないからって時間が進んでないと言うことにはならないでしょ!?」

俺や番人や友人は教室の窓を確認した際に時計の存在に気がついた。

「なぁ、鬼人。お前がご飯を作る時間って決まってるか?」

「がっごうが終わるのが、ぎょうは五時だっだがらがえるのに一時がん。六時半ぐらいだと思う゛」

外は真夜中。六時半や七時なんてとっくに過ぎて居るだろう。運動部の連中などは、八時まではやっている。だが、活気のある奇声などは聞こえない。

「部活のことを考えると今の時間は最低九時だ。だが、外の暗闇から考えると時間はもっと行っててもおかしくはない。」

これは、勘だが零時は確実に過ぎてると思う。

「だから、なによ!突然、夜の学校に居て鎌を持って居て詩人が死んでた!それでも、時間が進んでないことにはならないでしょう!」

「た、確かに!」

小人の言うことに、同意する奇人。

「なぁ、俺たち何気に学校で通っているから分からないかも知れねぇけど」

俺は、廊下や教室の灯りを指差した。

「電気…点いてるよな?」

「だから、なによ」

「あ!」

友人が何かに気づいたようだった。

「友人、何が分かったのよ?」

「も、もしですよ?今の時間が九時ぐらいだと仮定します。九時ぐらいなら、警備員さんが来ても居てもおかしくありません。電気が点いてるんです。それに気づいて来てくれるはずです!もし、零時を過ぎているのなら学校の周りの住人さんからの通報があるはずなんです!だ、だって零時を過ぎて明かりが点いてるなんておかしいじゃないですか!?」

そう、通報があれば警察やら警備員やら、それこそ先生の登場だ。だが、外からはなんの音も聞こえない。風の音や虫の音すら。

「それに、外を見てみてくれ。」

俺は教室の外を指差す。学校には、何本の木が植えられている。それは、この教室からでも見えるだろう

小人は半信半疑で窓の外を見る

「…ッ!!」

木がまったく揺れてないのだ。それだけなら不思議ではない。あってもおかしくは無いことだ。小人は急いで教室を出て二階に降りていく。奇人も続いて出ていった。

さっきも言ったが、俺と番人、友人は教室の窓を調べた。友人はともかく、番人は気づいてるだろう。小人達が戻ってくる

「葉っぱが…宙で…止まってたわ」

「開かない窓やドア。落ちない葉っぱ。これは、あくまで俺の考えだが」

この学校は時間すら止まってるんじゃないか?


場は静まりかえっていた。誰も話さず、ただただ重苦しい空気が流れていった。俺が現実を話さない手もあっただろう。小人や奇人や鬼人に希望を持たせて居ても良かった。だが、それでは生き残れない。例え、絶望に突き落としたとしても絶望に向き合って貰わないといけない。

「これから、どうするの?」

静寂を破ったのは、番人だった。

「え?」

思わず、マヌケな声を出してしまった

「ここまで、現実を突きつけてるのだから打開策の一つや二つあるでしょう?白人君。詩人亡き今、統一者は貴方よ?しっかりして」

俺は目を瞑り、深呼吸をする。そうだ、俺がしないで誰がする。これは、ゲームだ。どこかにクリアするための道があるはずなんだ。

「東館に行こう」

「まさか、本気で犯人を捕まえに」

奇人は震えた声で言う。

「いや、まずは食料調達と治療道具を取りに行こう。二人三グループ別れて、一つのグループは食料調達。一つのグループは治療道具調達。一つのグループは水の確保だ。」

「それは、家庭科室の食料調達と一緒にすればいいんじゃないかしら?」

「時が止まってるかも知れない以上、家庭科室の蛇口や廊下の蛇口から水が出るか分からない。だけど、水が絶対に貯まっている場所があるだろ?」

番人は首を傾げてる。元部活動生ならでの発想だ。分からなくて当然だ。

「どいれだろ?」

「正解。良く分かったな。鬼人」

「トイレの蛇口の水でも飲む気?貴方も言ったけれど…」

どうやら気づいたらしい

「も、も、もしかして、便器に貯まってるみ、水!?」

部活をしていた頃、休憩時間に蛇口を先輩方に取られていた。一年は、トイレの蛇口の水を取り合いをしていた。喉が乾いて水が欲しかったとき、ふと、飲めないかと考えた自分がいた。まぁ、結局は飲まなかったが。

「正気!あんな汚い水飲めるわけ!?」

小人が俺の胸ぐらを掴み、脳をシェイクする。

「もしも、蛇口から出なかったときの話だ。」

その為の確認だ。

「人間、水だけあれば二週間は生きれると聞く。食料が無かった時、俺たちは何で生き残るんだよ」

俺は、小人の手を掴み胸ぐらから引き剥がす

「で?ペアはどうするんだい?」

「小人と鬼人。奇人と番人。俺と友人だ。」

「そのパーティーの理由は?」

番人はどこか不服そうに言った。奇人と組むのがそんなに嫌なのだろうか?

「単に強い弱いを組み合わせただけだ。犯人は、どこかに潜んでいるか分からない。鬼人は小人をカバー。番人は奇人とカバー。俺は友人をカバー」

「ま!まるで、それじゃボクが弱いみたいじゃないか!」

「弱いでしょ」

「弱いわね」

小人と番人の言葉の棘が奇人の胸に刺さる。奇人は、涙目になりながら言い返す言葉を探してる。だが、何かが足りない

「ゆう゛じんが居ない」

「なぁッ!!」

周りを見渡しても、教室に友人の姿が見当たらない。

「最後に友人を見たのはいつだ!?」

「わ゛がらない。友人ぢいざいから気づかながっだ」

そうだ、鬼人は俺たちの中では一番の大男。身長も友人に比べれば四十㎝以上あるだろう。ここで、鬼人を攻めるのは間違っている。教室に居ないなら廊下か!?俺は、急いで教室の扉を開く。

「ふぃー」

陽気な顔をして、手を拭いている友人が居た。

「うわ、びっくりした。急に開けないでよ。白人君ー。あ、あれ?」

皆の視線が気になるのだろう。

「ど、どうしたの?皆」

「友人。どこに行ってた?」

「お、お手洗いに」

「え?待って、ハンカチで手を拭いていると言うことは、水出たの?」

大声で聞く小人に、びくりと肩を震わせ答える

「う、うん。出たよ?トイレの水も流れるし、何より蛇口からも水が出るよ?」

普段、お嬢様の小人が拳を握りガッツポーズを決めていた。他の皆も安堵しているようだ。

「今度から勝手に居なくなるよ。」

「ご、ごめんなさい」

友人は頭を深々と下げた。その頭を撫でてやると、えへへと友人は笑った。

「とりあえず、小人と鬼人は食料調達に行ってくれ。奇人と番人は保健室に。俺と友人は、職員室と放送室に行ってくる。」

「何故、職員室と放送室なんだい?」

「駄目元で、職員室の電話と放送室の放送で助けを呼ぼうかなと。意外に響くだろ?チャイムとか。一回の保健室。二階の職員室と放送室。それに三階の家庭科室。全部東館にある。何かあったらいけるだろ?」

「な、なるほど。」

奇人は納得したように頭を振った。

「他に質問は?」

誰も声をあげない。なら、行こう。 東館に


東館には階段が一つしかなく、皆で二階に降り東館向かう。階段の前で皆と別れた。皆には一応、鎌と花を持たせた。鎌は護身用と花は何かのヒントになるかも知れないからだ。

「始めにどこから捜す?」

友人の首を傾げてる姿にドキッとしながら、目の前の放送を見る。扉を開けようとするがびくともしない。

「職員室だな」

職員室は放送室から少し離れた右側にある。職員室の近くには、パソコン室もある。そういえば、パソコン室の存在をすっかり忘れてた。

職員室の扉を開くと、ガタガタと音をたてながら開く

「や、やったね!白人君!!」

「お、おう!」

友人が手を広げて喜んでいる。いつもはどこか怯えている小動物の様な友人はどこか元気がよかった。そんな友人も可愛い。グループの根拠は、強い弱いと言ったが間違いではない。だが、俺も高校生三年生の男だ。好きな女子と組みたい。 もし、ゲームが終わったら、告白をしよう。ここまで頑張ってるんだ。恋は、青春は成就するだろう。いや、してくれ!

「中に入ろう。ね?」

「そ、そうだな。」

駄目だ。二人きりだと、ドキドキしてしまう。いや待て、落ち着け!俺!ここでカッコいい所を見せてポイントを稼ぐんだ。

心を落ち着けて、机の上の電話を探す。友人は鍵を探している。電話はどこにでもあり、適当な所から受話器を取った。

家や警察に連絡しても、どこにも繋がらない。廊下や教室の電気が点いてるなら繋がると思ったが…悪いことには悪いことが重なる。この分だと鍵もないだろう。そう、諦めかけたその時

「白人君。あったよ!放送室の鍵!」

まだ、諦めるには早いらしい。他にも鍵がないか確認したが、どこも見つからない。だが、放送室の鍵を見つけたのは嬉しかった。

「よく、見つけたな」

「白人君が、頑張ってるんだもん。私もがんばらきゃ」

友人のその笑顔に俺は心打たれた

「ありがとう、本当にありがとう」

「あれ?あれれ?もしかして、な、泣いてる?」

「馬ー鹿。俺がこの程度で泣くわけねぇだろ。」

涙を拭いながら笑う。そうだ、俺はいつも友人に助けられてばっかりだ。インターハイで負けたときも、ペットが死んだときも悲しいことがあると友人は必ず支えてくれた。

ここで、決心が固まる

職員室を出て放送室に向かう。友人は、とてとてと俺の後ろを着いてくる。心を落ち着けて。言え!男だろ!

「友人、突然で悪いんだけどよ。」

「なーに?」

「俺」

「…」

「お前のことが!」

「白人ぐん」

なんだ?泣いてるのか?なら、もう一息

「す」

「たずげで」

友人の苦しそうな声が脳裏に響いた。後ろを振り向こうとしたその瞬間。

「がッ!!」

頭に衝撃が走った。何かで殴られた。目の置くがチカチカするが、それでも体勢を立て直す。が、再び殴られ地面に倒れる。地面に倒れてもまたもう一発殴られる。俺の意識はもうこの時には落ちていた。


「白人!!白人!!」

目を覚ますと、目の前に番人の顔がある。

「番人…」

意識がはっきりにするにつれ、頭の痛みがどんどん押し寄せてくる。俺は…

「友人!?友人は!?」

周りには、俺を介護する番人とその周りで鎌を構えてる小人や鬼人や奇人が居る。なんで、お前ら構えてるんだよ。

「貴方が殺したんじゃないの?」

小人の発言に俺は堪忍袋の尾が切れた

……は?

「ふざけんなよ、なんで俺が友人を殺さないといけないんだよ。」

「白人。落ち着いて。落ち着いて、自分の手と周りを見て」

言われるがままに手を見ると、俺の鎌には血がべっとり付いていた。周りを見ると、血が大量に壁や廊下を濡らしていた。

そして、放送室の前には人間の右足が置いてあり、足の指の間には手紙が挟まっている。俺は、ふらふらと立ち上がりながら右足に向かって歩いた。歩く度に頭痛に襲われるが知ったこっちゃない。

俺は、右足を拾った。右足は女の足だ。細くぷにぷにとした柔らかい足。まるで、友人の足の様じゃないか。友人を見てた俺には良くわかる。指先の手紙を取った。右足を脇に挟み手紙を開ける。手紙の文章を読んだ瞬間。

「ああああああああああああああああああああああ!!!!!」

俺は、大声で叫んだ。

「殺してやる!!!!!」

手紙にはこう書いてあった。

《犯人はここに居る》

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