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青春の罪  作者: 綾咲 彩希
11/12

青春の最後。

 物語。

 いや、ゲーム。

 いや、いや、いや、これは子守唄だ。

 子守唄もようやく終わりが見えて来たね?

 ボクも彼らと過ごした日々を死んでても忘れない。

 ボクにしては、長く関わった方だ。末長くは関われなかった。

 どうか、見届けてほしい。目を瞑らず、耳を塞がず、顔を反らさず、意識を離さず。どうか、聞いてほしい。

 彼らの青春を


 どうやら、俺は本を読むのが苦手らしい。

 文字を、文章を、文脈を目で追う。目はひたすらそれらを追いかけて休む暇がない。それが一冊の本で終わるならいいが、続編があるとしたらどうだろう。例え、その一冊の本に追い付いたとしてもまた別の一冊がある。本を読み終えた感覚は陸上競技の長距離の感覚に似ている。

 文字、文章、文脈を追いかけて、読み終わったと思ったらまた新しい物が出ている。陸上競技も同じだ。抜いたと思ったら抜かれ、抜かれたと思ったら抜いて。その繰り返し。

 そして、終わりを迎える。本を読み終えればそこには高揚感と孤独感が待っている。これで、やっと終わった。もう、終わりかと。続きを見たいように感じるし、もう読まなくていいとも感じる。陸上競技の試合も同じだ。まだまだ、走りたい。試合の緊張感をもっと味わいたい。もういい。身体は限界。酸素が足りない。筋肉が震えている。そんな感覚で俺は本を読み進めている。

「ねぇ、」

「なんだよ。」

 今いい所なんだよ。 

「陸上競技の漫画に罪とか出て来ると思ってるの?」

「分からないだろ!?もしかしたッ‼ふげッ」

 番人は、辞書みたい本をフルスイングで俺の頭を狙っている。紙一重でそれを俺は躱す。紙(本)だけに

「今、くだらないギャグを聞いた気がするから。もう、殺していいわよね。」

「ま、待て。俺はまだ口に出して言ってないぞ!?」

 心を読まれた!?番人、いつからお前と俺は以心伝心になったんだ。

「ずっと、前からよ」

「お前、ほんとなんなんだ‼」

 本気読めるのかよ‼

「貴方、顔に書いてあるのよ。」

「そんなこと、書いてあるか‼」

「ばっちり、書いてあるわよ。」

 番人は、はぁ~と深いため息をついた。

「いい?次漫画読んでたら、角で行くから。分かった?」

 ギロリと番人睨む。俺は、眼を反らし、はいと答えるしかなかった。

「鬼人の方は何かいい本見つけた?」

「わがらない。」

 鬼人が手にしているのは、昔、昔の御伽噺の小説だった。

「鬼狩り物語ね。」

「それってどうゆう内容だったけ?」

 それを勉強するのは多分小学一年生くらいだから忘れた。内容を思い出そうとするが、やっぱり思い出せない。鬼が出てきて、それを退治する話ぐらいのことしか覚えていない。

 

 ある所に一人の少年が居ました。


 突然、番人が語り出す。


 少年は両親を鬼に殺され、自分を殺されかけていました。

 そこにある少年が助けに入りました。鬼は少年に助けられ鬼退治に出ようと誘われます。

 少年は名を桃人と名乗り、助けた少年は一人と名乗るようになりました。

 二人は、旅をする中で新たに仲間を二人加えました。

 大事な者を失った老人

 大事な者を殺されてしまった釣人。

 道中、三匹の動物も仲間に加えました。

 凶暴な狂犬

 人の言葉をしゃべる猿

 白い羽が生えた鴉。

 四人と三匹は数々の困難な鬼を倒し、遂に鬼ヶ島まで付きました。

 そして、見事。鬼の頭領を倒すと、鬼の頭領はいいました。

「」

 それは、祝福の様な呪いでした。四人の中の誰かは一人孤独に生きました。

めでたし、めでたし。


「後味悪!」

 それなお伽噺だったか?それ

「まぁ、本によっては少年が少女だったり、四人の中の誰かが裏切ったりと様々。裏切った罪によって呪いを掛けられたという説もあるわ」

 なるほど、確かに罪と言えば罪だが…後味が悪すぎる。

「これって、見方を変えたら良いことをしたのに自分に悪い事が降りかかっただけの物語じゃないか?」

 良いことをしたのに、自分に災いが訪れる。そんなことが分かっていたなら四人と三匹だって鬼退治なんか行かなかっただろう。

「もしくは、大を助けるために小を切り捨てたという話にもなるわね。流石よ?鬼人」

「よがっだ。」

「俺は、漫画しか読んでねーよ」

 俺は拗ねて、適当な本を取った。中身を見てもヒントも何も得られない。それより、

「なぁ、鬼人」

「なんだ?」

「トイレ行かないか?」

 さっきから我慢してたんだが、そろそろ限界だった。

「なら、ついでに手紙の確認してきて」

「番人は行かないのか?」

「男の連れしょんに女子を誘うのはどうかと思うんだけど?」

「それもそうだな。一応~」

 俺は本棚から適当な本を取って、番人に渡した。

「ここに居たっていう証拠になるから読んで感想をくれ」

「なるほどね。なら、よろしくね」



「くそ、なんで東棟にはトイレがない!」

「生徒が壊じたから」

 俺たちは西棟トイレに居る。東棟にはトイレがない。下品な話だが、もう少しで危うかった。

「なぁ、鬼人」

「ん゛?」

「俺たち、なんか、落ち着いてるな。」

「ぞうだな」

 友達が殺されたのに、酷く冷静だ。精神が麻痺したのかもしれない。壊れたかもしれない。それでも、俺たちは生きている。

「さて、行くか」

「なぁ゛、白人」

 俺は尿を出し終え、廊下に出ようとすると鬼人が止める。

「なんだよ?」

「手」

「あぁ、」

 鬼人は手を洗えと言いたいらしい。鬼人が言いそうなことだ。

「白人」

「どうした?手なら洗うぞ?」

「お前に謝りだい」

「謝り?何を?」

 殴ったことなら、それは筋違いだ。俺が謝らないと行けない。

「ずまがっだ。」

 鬼人はトイレの床に手と頭、足を付けた。俗にいう土下座だ。

「待て!待て!待て!お前が俺に何した。頼むから頭をあげてくれ」

「おではッ!!」

 余りの大きな声に、頭をあげようとする手が止まる。鬼人が何が言いたい?土下座までして何を言いたい?

「おでは、お前を疑ってたッ!!友達なのに疑っだッ!!友達なのにッ!!すまながっだッ!!」

 あぁ、止めろよ。鬼人。俺は鬼人の頭を掴み、頭突きをした。

「謝るなッ!!馬鹿野郎ッ!!」

 ヤバい、勢いよくやり過ぎた。こっちの頭の方が割れそうだ。だが、ここで苦悶の表情を見せては駄目だ。

「いいか?俺たちは友達だ!友達だから疑うんだよッ!!」

 鬼人は、首を傾げた、あぁ、分からないだろう。この言葉は詩人の詞だ。よく聞きやがれ。馬鹿野郎。

「信じたいから疑うんだよッ!!疑ってッ!!容疑が晴れてッ!!犯行が絶対不可能と分かればッ!!信じれるだろうがッ!!こいつは、一連の犯人じゃない。そうと分かれば絶対に信じれるだろうッ!?」

 疑うことは信じようとする事と同意義だッ!!

 かつて詩人が俺に言ったこと。

「俺を疑うんだったら、疑えッ!!」

 奇人にも言った。

「俺がお前らの推理を全部ッ!!全部ッ!!全部ッ!!蹴散らしてやる。俺が完璧に無実ということを証明してやる。それで、鬼人!お前から信用を貰えるならいくらだってやってやるッ!!」

 俺は言葉を続けた。

「お前は優しい。優しい奴だよ。だから、俺を疑ったことで頭をついた。心を痛めてくれた。だから俺は言う。ありがとう。俺はお前と友達でよかった。」

 言いたいことは伝えた。これが俺の精一杯の気持ちだ。

「ありがどう、ありがどう、ありがどう、」

 鬼人は涙を流す。鬼人が泣いてる姿なんて初めてみた。

「いいんだよ。」

 俺はあつい抱擁をした。



 声がここにまで響いてるのよ?暑苦しい男共。

「恋愛B.A.D ENDのシナリオなんてお断りよ」

 白人が私に渡した本は、中盤まで差し掛かっていた。ヒロインの両親を殺した少年の物語。それに恋をしてしまったヒロイン。

「ヘドが出るわね」

 私は、独り言をブツブツと呟きながらページを捲る。白人から渡されなかったら破り捨ててる所だわ。



 私は「恋」をしている。

 私のこれを「恋」と言ってのか、私は悩む。

 私のこれは「恋」なんていう低層の概念で済ませていいのか、私は悩む。

 私のこれは「恋」ではなく「愛」ではないのか?

 ここに来て気づいた。私は彼を「愛してる」

 弱くて、脆くて、儚くて、虐めたくなる彼を「愛してる」

 この感情を「愛」ではなく、なんと呼ぼう。

 詩人。あなたが最初に死んでくれて感謝してる。ありがとう。

 おかげで犯人が分かりやすかったわ。詩人が本当に犯人じゃなくて助かったわ。犯人に感謝しなくてはならないわね。

 あぁ、このゲームの犯人が分かったら彼はどんな表情をしてくれるんだろう。考えただけで股がムズムズする。

 さぁ、早く犯人を探して?私の愛しい、愛しい「白人」

 犯人はすぐ近くに居るのだから。




 図書室の扉を開けると、番人が渡した本を読んでいる。渡した本の内容は余り覚えてないがいい話だったと思う。

「ただいま。」

「おかえりなさい。あら?鬼人は?」

「あぁ、なんか腹を痛めたらしい。治ったら図書室に行くから待っててくれ。だそうだ。」

 顔色が真っ青になって、トイレに籠りに行った。 我慢してたのか、それともお腹を冷やしたのか。恐らく下痢か何かだろう。

「手紙はあった?」

「あぁ、ちゃんと持ってきた。これで俺たちのアリバイは完璧だな。」

 俺は番人に手紙を渡す。腕は右腕はそのまま置いてきた。番人は手紙を受けとると、中身を読み始める。

〈君達の罪は、渡した花が教えてくれるだろう〉

 花?

 俺は自分のポケットに入れておいた花を出してみる。適当に入れていたから茎は折れ、花弁が何枚か散っている。

「これで、確定ね。」

「何がだ?」

 番人は何かに気づいたようだった。もしかしたら、犯人の事か?

「犯人」

「本当かッ!!」

 思わず、大きな声で叫んでしまう。だが、興奮が止まらない。やっと、分かったんだ。これで仲間の敵が殺れる。

 小人か?

 奇人か?

 鬼人か?

 誰なんだ。

「えぇ、本当よ?」

「教えてくれ」

「いいけど、本当に言ってしまっていいの?」

「なんだよ。焦らすなよ。」

「そぅ。なら、教えてあげるわ」

 待ちに待った瞬間。ようやく、終わる。このゲームも終わる。俺の勝ち

「と、その前に質問していいかしら?」

「なんだよ。さっきから」

「簡単な質問よ?」

「さっさとしてくれ」

「ねぇ、白人」

 番人は間を開き発した。








 鬼人はきちんと殺せた?






 は?

 時が止まったように思えた。静寂。実際には、十秒と経っていないだろう。だが、俺には一分にも十分にも一時間にも感じられた。

 待てよ。俺が鬼人を殺した?馬鹿言うなよ

「犯人は俺と言いたいのか?」

「私は単なる質問よ?はいかyesで答えればいいのよ」

「それ同じ意味しかないじゃないか」

「えぇ、だって本当でしょう?」

 汗が止まらない。息が勝手に上がる。心臓がバクバクとなって今すぐにでも口から出てしまいそうだ。番人は一体何を根拠に

「なら、トイレ。トイレに行こうぜ」

「行かなくていいわ。貴方のシナリオを全部私が披露してあげるから。」

「シ、シナリオ?シナリオなんて存在しない」

 的外れもいい加減にしてくれ。何を根拠にそんなことを言ってんだよ。

「貴方は三階の男子トイレに鬼人を連れ込んで鬼人を鎌で殺害した。きっと、身体には血が少なからず付くわね。貴方は自分の教室に戻って奇人の服と自分の服を変えた。廊下に付いた血は拭き取ったかどうか分からないけど。貴方は教室にあった手紙を読んで、花を鎌で刈り取った。もしかしたら、小人や奇人の小体や奇体にも鎌で首元辺りを刈り取った。いや、これでは奇人の服に血が付くから、まず、貴方は服を脱いで、奇人の服を脱がせた。貴方は二人の首元と花を刈り取った。その後、元々自分の服を奇人に着せ、付いた血痕を水道で流した。貴方は奇人の服を着て、手紙を持って何気ない顔でここに戻り鬼人が腹痛と偽り、遅い鬼人を見に行こうと提案し、後ろから私を殺そうとした。ねぇ、白人そんな怖い顔しないでくれる?」

 まるで人殺しの顔よ。


 ・・・チッ

「なんで、分かったんだよ。」

 俺が鬼人を殺したって。完璧だと思ったんだが?

「あら、やっぱり当たってたのね。私、小説家に向いているかも知れないわね」

「御託はいい。なんで、分かった。俺たちは最初全員制服だったはずだ。俺と奇人はサイズがほとんど変わらない。制服ではバレない。返り血なら鏡で確認したからバレない。鎌なら奇人のと変えたからバレない。」

 念には念を入れた。バレるはずがない。完璧に完全に完遂したはずだ。

「貴方にしては良かったわ。なら、答え合わせね。一つ、匂いよ」

「匂い?」

「貴方、血の匂いが濃いのよ。返り血のせいで余計にね?」

 盲点だった。血は水より濃いと言うが匂いか。

「一つ、服よ」

「服には血は」

「皺よ」

「皺?」

「私、雑魚の胸倉掴んだの。だから、少なからず胸元には皺があるはずよ。それに貴方手の汗を服で拭ってったでしょ?」

 穏便に済ませたって言ったよな。こいつ

「後は表情ね。動揺し過ぎよ」

「何もかも失敗か。お前が言ったことは、ほとんど正解だよ。違うのは花を刈ればいいのは、ここに来てから知った。適当に手に取った本を読んだら、花言葉の本だった。鬼人の花言葉は、「疑い」つまり、俺はあいつが犯人と思った。トイレで疑ってすまないと謝ってきたがそれも演技だと思った。だから、殺した。だが、ゲームは終わらない。俺がしたことは単なる殺人だ。それに。」

 俺は、ポケットから手紙を出し音読する。鬼人の所にあった手紙だ。番人にも聞こえるように

≪もう子守唄は終わるよ?もう、寝る時間だよ。≫

「もう、なら、何人殺しても同じだろ?小人も奇人も刈り取った。後はお前だけなんだよ。」

 残ったのは、お前だけなんだよ。番人。だから、だから、だから、だから、だから、

「死んでくれないか?」

 友人の敵はお前だけなんだよ。

「いいわよ?」

「即答かよ」

「えぇ、だって私。貴方の事。愛してるから」

「・・・」

 番人の突然の告白。俺には友人だけだ。だからか?俺は友人が好きだ。だから殺した。保健室で聞いて来たあの質問はそういうことか。

「貴方の愛が貰えるなら、私はいつだって貴方に殺されてあげるわ。ねぇ、白人。私を愛してくれない?愛して愛して愛して愛してくれない?手を握ってくれない?抱きしめてくれない?頭を撫でてくれない?キスしてくれない?抱いてくれない?貴方の為になら何でもするわよ?朝起こしに行って、朝食を作って、一緒に登校して、学校でいちゃいちゃして。貴方が目障りと思う人物も殺してあげるわ。で、帰りに一緒に帰ってクレープでも食べて、私の家にまで来てsexして愛し合って帰りに家まで送って、また明日って言って。こんな、毎日が続く。最高だと思わない?ねぇ、白人。私を愛して?」

「断る‼俺が愛してるのは友人だけだ。」

「うん、言うと思った。なら、殺し合いましょう?」

 それも一つの愛よ。

 番人は立ち上がる。鎌を持って。

 俺は鎌を構える。

 さぁ、

 さぁ、

 殺し合いを始めよう。

 愛し合いましょう。

 




 あぁ、痛い。鎌で切られるってこんなに痛いのか。

 俺の鎌は番人の心臓に刺さっている。だが、番人の鎌は俺の首を的確に捉え血が噴き出している。番人は膝から崩れ落ちる。その目に生気は存在しない。俺の勝ちだ。後は、花を

「あ・・れ?」

 目の前がどんどん暗くなってくる。ヤバい、寒い。首の他にも腕や脚。所々に傷がある。血を流し過ぎた。

 ・・・あぁ、俺死ぬのか?

 最後の言葉とか考えてないけど、言うなら

 友人。敵は取ったよ。喜んでくれるか?

 涙が今更流れて来た。俺は何を間違えたんだ。詩人、小人、奇人、鬼人、番人、友人。俺の友達が皆死んだ。何を間違えたんだ。皆が助かる方法はなかったのか?俺たちの中に犯人が居るならなんでこんなことをするんだよ。

 後悔が押し寄せて来た。

 ごめんなさい、詩人。

 ごめんなさい、小人。

 ごめんなさい、奇人。

 ごめんなさい、鬼人。

 ごめんなさい。番人。

 ごめんなさい。友人。

 

 そういえば、俺の罪はなんだったかな?

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