スレブタウン
ルークタウンの地下スレブタウンにトラックは入っていった。
締め切られたコンテナの中からでも聞こえる悲鳴や怒声。
しばらくしたところでトラックは止まった。
運転手がコンテナを開けた。
コンテナからおろされた。
コンテナを出るとそこは薄暗い洞窟の中だった。
トラック一台が辛うじて通れるほどの狭い一本道だった。
いくつか一本道を横切る通路もあった。
壁に取り付けられたいくつもの古びた提灯が照らす。
運転手は冷酷な顔でこう告げた。
「エンドタウンの住民よ。 今日からお前たちはルークタウンの発展のための奴隷となってもらう。」
運転手の言葉に皆が固唾を飲んだ。
「仕事やここでの生活については他の奴隷に聞け。」
そう言って運転手はトラックに乗り込んだ。
「じゃあな。 せいぜい頑張れよ。」
トラックは後ろ向きに走り去っていった。
それからしばらくの間沈黙が続いた。
誰もが絶望していた。
遠くから声がした。
狭い一本道の向こうから声が聞こえてくる。
シルエットが徐々に鮮明となり男が現れた。
髪や髭が伸び放題で、やつれた顔をし、ボロボロになった布の服を来ている。
エンドタウンの住民も髪や髭が伸びており、やつれた顔をしており、布の服を着ている。
だが比べられないほどの不潔さが、先程の声の主にはあった。
「おい、新入り。 お前たちをボスのところへ案内する。」
そういって、声の主は一本道を歩いていった。
皆がそれについて行く。
少年もついていった。
一本道をしばらく進んだところで右に曲がった。
狭い通路を通り抜けると部屋があった。
中は明るく、広かった。
その部屋の奥に人が集まっていた。
声の主がその集団に声をかけた。
「ボス。 新入りを呼んできました。」
集団が横にはけていく。
真ん中に一人の少年が座り込んでいた。
赤髪の同い年ぐらいの少年だった。
その少年の周りには筋骨隆々の男達がいる。
赤紙の少年が喋りだした。
「よく聞け、新人。 俺はスレブタウンのボスだ。 まぁ、お前らにわざわざ自己紹介をしてやるほどの腰の低い者じゃないんでな、早速仕事の説明に入る。」
なめた口調で赤髪の少年が話続ける。
「過酷な労働を強いられる。 仕事の具体的な内容は他の奴から聞け。 着るものは今お前らが着ている服のみだ。 食事は1日1回だ。 下水をコップ一杯と残飯がもらえる。 寝るところはこの洞窟だ。 どこで過ごしても構わねぇさ。」
赤髪の少年がコップに入った水を飲む。
「不味いもんでも慣れれば飯だ。 それと、お前らの自己紹介がまだだな。 一人ずつしていけ。」
一列に並び、自己紹介がはじまった。
少年の番がきた。
少年は最後だった。
赤髪の少年が言った。
「今回の新入りも、ろくな奴がいねぇな。 はい次。」
「神崎弥生です。」
なぜか沈黙が流れた。
赤髪の少年が言った。
「お前。 まさか・・・ やべぇぞ。 とんでもねぇ奴が入ってきやがった・・・」