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21. パンツ一丁は命がけ

俺たちは地下迷宮跡から出た。

俺が気がついた時にはアルダに背負われていて、コリスは魔法で取りだしたのか新しい服を着ていた。新しい、といってもそれはいつものつば広とんがり帽子と黒マントで、こいつは何かこだわりがあるのか黒い服しか着ない。理由を聞いてみたら、


「その方が魔女らしいだろ」


という答えが返ってきた。

その後、俺は俺の世界での魔法少女モノでは赤やら青やら派手な服ばかり着てるという事を力説してやった。


黒い服を着ている魔女少女など例は少なく、有名な音楽的名前のお団子頭の魔法少女シリーズでは赤・橙・青・紫・黄なんかがイメージカラーだった。お菓子を作りだした辺りからおかしくなった覚えがあるが。

……とにかく黒い服ばっか着てたら魔女だと言われてカエルになるか、一周回って(ループして)時間停止能力を覚えるしか道はない。なんなら今から眼鏡かけて三つ編みにするかコラと言ったのだが、


「もう途中からお前が何を言っているのかすら分からなくなったのだが」


と呆れられてしまった。


「お前誰と契約して魔法少女になったんだよ!?」

「契約なんてしてないし、魔女だ私は」

「奇跡も魔法もないんだよ!!?」

「魔女を前にして魔法がないとか言うな!」


この会話以降、コリスの服装について俺が言及した事はない。


そしてこんなアホな回想をしている俺は今、パンツ一丁だった。あとどうでもいいが、トランクス派である。


あのスライム、俺の全裸が見たくなかったのか、それともアニメで男のパンツだけは不自然に破れないという法則を流用したのか、一切溶かさなかった。

しかし、おっさんの背中にパンツだけで背負われている俺は、はたから見れば立派な変態だろう。


「ああ、目が覚めたか」


アルダがそう言って俺を下してくれた。俺はすぐさまアイテム画面を呼び出し、その中から適当な服を取り出して着た。

どうして俺をパンツ一丁のまま運ぼうとしたのか疑問に思っていると、俺の着た服が何故だか溶け始めた!?


「どういう事だ!?」

「そういう事だ」


よく見ると、アルダの服の背中部分、俺と接触していた部分も服が溶けている。


「スライムの影響だろうし、風呂入れば直るだろう」


アルダは首をかしげながらもそう言った。

俺も釈然としなかったが、ずっとパンツ一丁で生活しなければならないかもしれないと考えるより気楽なので、深くは考えない事にした。

触れるだけで服を溶かすチートとか、俺は要らない。


「ちょっと博士のとこ寄るわ」


だが、念には念をと、俺はとある“アンダーワールド”古参のところに行く事を告げた。するとソーイチ君が疑問の声を上げる。


「博士って誰?」

「チートを科学チートするって言うのが目的の、風変りな爺さんだよ」


先ほどからずっと無言のコリスが不安だが、まあ大丈夫だろう。あの爺さんと仲が悪いわけでもないし、“探査の実”の異常な反応についても博士から意見を聞きたい。


二人は(・・・)どうする?」


俺は保険として、わざとアルダとソーイチ君の意見を聞いた。


「現実を見に行く」

「俺もギルド直すの手伝いに行くわ」


この世界の金持ってないから宿にも泊まれないしな、とソーイチ君は苦笑した。

コリスも特に何も言わない。


俺はコリスの無反応さにひやひやしながらも、二人に別れを告げた。

なんとかここから挽回しなければ。

コリスとは長い付き合いだが、さすがにここまで機嫌が悪いのは初めてだった。

これが他の奴だったら放置で構わないのだが、コリスは得難い友人でありパートナー。ここは俺がこの空気を打破しなければいけない、と気合を入れる。



そんなシリアスまっしぐらの俺は、パンツ一丁だった。

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